ちょっとだけ不思議な虫たち アゲハモドキ
昨年も訪れた白馬岳山麓の林道で、少し小さめのアゲハを見つけた。
ジャコウアゲハにしては、明らかに小さすぎるが・・・
この子は、近づいても全く逃げる気配がない。
アゲハモドキ(アゲハモドキ科)
2012年6月27日 白馬岳山麓・長野
これが、アゲハモドキという蛾の仲間である。
全体が黒っぽいチョウで、後翅表面の赤い模様が、
やはりジャコウアゲハそっくりである。
アゲハモドキ(アゲハモドキ科)
2012年6月27日 白馬岳山麓・長野
この写真で、少しだけ見えるお腹の部分にも、
ジャコウアゲハのような赤い模様がある。
アゲハモドキは、擬態に自信があるのか、このように、
目立つところに止まっていることが多いようである。
とりあえず、本家のジャコウアゲハは、こんな感じである。
ジャコウアゲハ(アゲハチョウ科)
2003年4月5日 与那国島・沖縄
もし両種が、モデルとその擬態種の関係にあるとすれば、
擬態種(アゲハモドキ)は、ほぼ完璧な仕事をしたことになるだろう。
ジャコウアゲハの幼虫は、ウマノスズクサという有毒植物を食べて育ち、
その毒を体内に蓄積しているので、鳥などの捕食者から身を守っている。
だから、アゲハモドキも、ジャコウアゲハと同様に、
捕食者に食べられる頻度はかなり減っているはずである。
アゲハモドキ(アゲハモドキ科)
2012年8月1日 白岩森林公園・青森
しかし、今度は、青森県の白岩森林公園でも見つけた。
南方系のチョウであるジャコウアゲハ類が生息していない青森県でも、
アゲハモドキは、目立つ場所で普通に見られる。
だから、このベイツ型擬態については、疑問視する考えもある。
ただ、渡り鳥などが、南国にいるとき、ジャコウアゲハで嫌な経験をして、
その記憶が残ったまま、北国へやってくる可能性も指摘されている。
アゲハモドキ(アゲハモドキ科)
2008年9月1日 白石市・宮城
午後から夕方にかけて飛ぶ昼行性とされるが、
アゲハモドキは、高速道路のSAのトイレでも見かけたことがあり、
やはり「君は蛾なんだ!!」と思う。
少なくとも、このような状況にいるときには、
ジャコウアゲハに、擬態している意味は全くない???
やっぱり、いろんな意味で、ちょっとだけ不思議な虫だ・・・