忍者ブログ
  • 2017.07
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31
  • 2017.09
アリ擬態はベイツ型擬態なのか??


前回の「ミュラー型擬態」に続いて、
今回は、「アリ擬態」の謎(?)について、
個人的な考えを、簡単にまとめてみた。


地面だけでなく、葉っぱの上にも、アリがウロウロしている。
そんな本物のアリに混じって、偽物のアリも見かける。

予想外に多くの「アリのような姿かたち」の虫たちがいるのだ【注】


 ⇒多くは、姿かたちだけでなく、
  歩き方や仕草まで、アリに似せている。

  写真を撮ろうとかなり近づいてから、
  ようやくアリでないことに気付いて、
  シャッターを押したことも、何度かある。

 

しかし、アリに似ている程度(擬態の完成度)は、
ピンからキリまであるようで、
この点に関してだけでも、ちょっとだけ不思議だと思う。

 

 


アカネカミキリ(完成度★)

2012年5月18日 だんぶり池・青森


一体何故、ほぼパーフェクトにアリに似た擬態と、
何となくアリに似てる程度の擬態まで、
様々な完成度の虫たちが、存在しているのだろうか?

これは、全くの個人的な感想なのであるが、
特に、ベイツ型擬態の場合には、
完成度のバラツキが見られることが多い。

逆に、隠蔽的擬態の場合には、その完成度はみな高く、
このブログで言うところのミラクル擬態も、しばしば見られる。


その理由のひとつは、我々人間の行動からでも、十分説明できる。

ほとんどの人たちは、怖いものはちょっとだけしか見ないが、
怖くないものは、結構じっと見つめる傾向があるはずだ。

だから危険な種に擬態するベイツ型擬態はちょっと似てれば良いし、 
危険でないものに似せる隠蔽的擬態は、より精密さが必要なのだと思う。

 

 


・・・と、
アリ擬態はベイツ型擬態に含まれるとの前提で、
これまで、話を進めてきた。

しかしながら、多くの虫たちが、何故アリに擬態しているのか、
本当のところは、まだ分かっていないようだ。


ベイツ型擬態の可能性については、最後に触れるとして、
とりあえず、「その他の4つの説」について、考えてみよう。

 

 

 


最初の説は、アリの社会に入り込むアリとの共生・寄生説で、
かなり昔から有力だった(?)のだが・・・


アリの集団は、何らかの保護を受けている可能性が高い。

だから、アリと一緒にいれば、究極には巣の中に入り込めれば、
アリと同じように保護される可能性が高いのだ。


アリに擬態することで有名な、アリグモやカミキリ類の他にも、
完成度は低いが、ホソヘリカメムシなどの若齢幼虫や、
コアリガタハネカクシなどは、アリの巣の中に入ることはない。

アリの巣の中に入り込む虫として、アリヅカコオロギや、
アリヅカムシ、さらにはクロシジミの幼虫などが、
すぐに思い付くが、残念ながら、彼らの姿かたちは、
アリそっくりという訳ではないのだ。


その一方で、
『アリの巣の中に入り込むことのないカミキリやアリグモが、
アリに擬態することで、何らかの利益があるのか?』 
というような意見を、ネットでも、しばしば目にする。

ただ、この疑問提示はおそらく「まと外れ」で、
アリの巣に入り込む虫たちは、多くの場合、
姿かたちをアリに似せる必要はない。

むしろ、体表ワックスや匂いなどの化学的擬態が主流なのだ。

 


2番目は、アリを捕食するための攻撃的擬態という説だ。

『アリが仲間と間違えて寄ってくるので、これを捕食する』
というのは、確かに、魅力的な説である。

しかし、アリがウロウロしている葉っぱの上で、
アリグモを見かけることがあるが、少なくとも私は、
アリグモが、アリを捕食する現場には遭遇したことはない。

むしろ、アリグモは何故かアリを避けるような行動も見られる。

また、肉食性でない虫たちも、アリに擬態している場合が多く、
攻撃擬態説は、あまり有力ではなさそうだ。

 

 

3番目として、『アリに擬態する虫たちのターゲットは、
アリそのものである』という説もある。

これは、2番目の攻撃擬態と全く逆の発想である。


小さな虫たちにとって、アリは、もちろん脅威であり、
そのアリに「見た目や行動」を似せれば、
少なくともアリからは、攻撃されることがなくなるかもしれない。

アリは地上で最も攻撃的で、
しかも個体数の多い捕食者といわれており、
その生息範囲に生活する小動物が、
何らかの形でアリに対する防御手段をもつことは、
その個体の生存の上で、必要不可欠であるかもしれない。

それほどアリは、小型の虫たちにとっては脅威なのだ。


この辺りの詳細については、ブログ開設当初に、
カメムシの匂い成分のアリに対する防御効果のところで考察した。
↓   ↓   ↓
カメムシの匂いの不思議【2】 アリに対する防御効果
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20101108/1/

 

 

4番目は、『アリ以外の小さな捕食者がターゲットである』
という説である。

アリ以外の小さな捕食者に対しても、
姿や行動が危険なアリに似ていれば、
攻撃を受けない可能性もある。

サイズのあまり違わない捕食者(特に昆虫や小動物)が、
本能的に、アリを避けることは、十分ありそうである。

もちろんこれは、学習できない捕食者が対象なので、
通常のベイツ型擬態とは違った概念である。

  
この説は、なかなか捨てがたく、否定できる根拠はない。


しかし、その一方では、予想外に多くの小さな捕食者が、
アリを食べていることも事実ではある。

 ヤニサシガメなどのサシガメ類(特に若齢幼虫)は、
普通にアリを捕獲し、その体液を吸うことが知られている。

もちろん、徘徊性のクモの仲間も、アリを見つけると、
そっと近づき、捕獲するのを、私自身、何度か見ている。

他にも、ウスバカゲロウの幼虫が、
すり鉢状の罠(アリ地獄!)で、
落ちてきたアリを捕獲するのは有名である。


ただ、現時点では、詳細な観察例や実験的研究はなく、
この説に関して、肯定も否定もできない。

 

 


そして、最後の5番目は、最初に書いたように、
「アリ擬態」はベイツ型擬態に含まれるとする、
もっともありそうな説だ。


ベイツ型擬態とするには、一つだけ気になる点がある。

それはモデルとなるアリは、基本的に目立つ体色ではないことだ。
もちろんムネアカオオアリもいるのだが・・・

 


マツシタトラカミキリ(完成度★★)

2012年6月19日 白岩森林公園・青森


普通に考えれば、アリの仲間が、何らかの理由で、
捕食者に食べられないという事実があって、
そのために、類縁関係のない虫たちが、
アリの姿かたちに似せることは、有りうることだ。


この「ベイツ型擬態」説が正しいことを確かめるには、
少なくとも1種以上の学習できる捕食者が、
「アリを食べない」という観察結果があれば良い。

 

まず、「最恐の学習できる捕食者の野鳥類は、
アリを食べるのか? 食べないのか??」
が重要な問題である。

おそらく誰も、アリは野鳥類の餌としては、
小さすぎて、野外で実際に観察した人は、
多分いないかもしれないのだが・・・

多くのアリ類は、体内に蟻酸を持っているので、
野鳥類が食べない可能性も十分ありうるのだ。

 


・・・・手元にある『鳥の胃の内容物を調べたリスト』を見る!!


それによると、キツツキの仲間であるヤマゲラやアオゲラは、
多数のムネアカオオアリやトビイロケアリを捕食しているようだ。


 ⇒このブログでは、虫を食べる野鳥類シリーズで紹介したが、
  アオガラの例では、沢山の虫の名前が列記されている中で、
  アリ類として、最初に出てくる。
  ↓   ↓   ↓
  虫を食べる野鳥類③ アオゲラ
  http://kamemusi.no-mania.com/Date/20140207/1/

 

個体によっては、600匹以上のアリが確認された場合もあるのて、
アリを常食としている気配さえも感じる。


どうやら、「アリが野鳥類に捕食されない」
ということは、なさそうである。


その他にも、アリを食べる学習可能小な捕食者としては、
日本国内には生息しないアリクイやアルマジロなどが有名である。

 

 

アリグモ(完成度★★★★)

2014年5月24日 金沢市・石川

 

少なくとも1種以上の学習できる捕食者が、
なかなか見つからない。

 

・・・・しかし、最後の切り札が、かろうじて残っている。

 

日本国内で、視覚によって獲物を探し出し、
しかも、学習できる捕食者ととしては、
カエルやトカゲ、ネズミなどが考えられる。


 ⇒個人的には、アマガエルなどは、
  アリに遭遇する機会が多いはずだが、
  どうも、アリを食べないような気がする・・・?


ただ、カエルが実際にアリを捕食するのか否かについては、
実験・観察記録は、私には見つけることが出来なかった。

アリは、地上で最強の捕食者とも言われ、
かなり攻撃的で、お尻近くの毒腺から蟻酸を放出したり、
集団で大きな生き物を襲ったりする。

もし、彼らがアリを食べないのであれば、
多くの虫たちがアリに擬態することで、
捕食を免れる可能性は高い。

 

 

アリグモ幼体(完成度★★★★★)

2014年3月19日 ひたちなか市・茨城

この写真を撮ったとき、かなり近づいて、
シャッターを押す直前まで、アリだと思っていた。

姿かたちは当然として、何かを探すような歩き方や、
止まったときの仕草は、まさにアリそのものだったのだ。

 

写真を見ているだけで、何故か、
「ちょっとだけ不思議な虫たちの世界」を感じる。


 ⇒ただ、前回のミュラー型擬態に続いて、
  今回も、結論は出ていない??

 

 


【注】上記写真の詳細については、以下の過去ログをご覧ください。
   今回使用した写真の詳細な説明分があります。


   アリのようなカミキリ発見!!
   ↓  ↓  ↓
   http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120611/1/


   マツシタトラカミキリ? ムネアカオオアリ??
   ↓  ↓  ↓
   http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120704/1/


   ミラクル擬態? アリグモ
   ↓  ↓  ↓
   http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130702/1/


   君はアリか? アリグモ幼体
   ↓  ↓  ↓
   http://kamemusi.no-mania.com/Date/20140322/1/


   再びアリグモ これがミラクル擬態だ!!
   ↓  ↓  ↓
   http://kamemusi.no-mania.com/Date/20140611/1/

   

拍手[22回]

PR
【2015/02/06 06:32 】 | 擬態 | 有り難いご意見(2)
<<隠蔽的擬態の虫は、本当にいるのか??? | ホーム | ミュラー型擬態??? スズメバチの仲間>>
有り難いご意見
無題
だんちょう様

コメントありがとうございます。
アリ擬態の一番不思議なところは、モデルの警戒色に似せる「通常のベイツ型擬態」の枠を超えていることだと思います。
対象が学習できない小型の捕食者である可能性もあると思います。

【2015/02/07 08:19】| | Sally Genak #554f44f1f9 [ 編集 ]


こんばんは
アリグモはかなりアリに似ていますね(^O^)

ぼくも何度かみたけど、歩きかたもそっくりで、近くでみないとわかりませんでした。

ホソハンミョウもありに似ていて、アリと一緒に行動しあるいているそうです。

アリに似せると言う擬態は不思議ですねぇ。
【2015/02/06 21:35】| URL | だんちょう #56b710e5f7 [ 編集 ]


貴重なご意見の投稿














<<前ページ | ホーム | 次ページ>>