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ミュラー型擬態??? スズメバチの仲間


以前このブログで、ミュラー型擬態の紹介をしたときに、
以下のような文章を書いたことがある。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20101114/1/


ミューラー型擬態とは、
何らかの防御手段を持った別の種どうしが
互いに良く似ている現象を言うが、
アシナガバチやスズメバチのように、
近縁種が、同じような色彩と形態を持っていても、
あまり面白くない。

やはり、ミューラー型擬態の醍醐味(?)は、
近縁関係にない種どうしが良く似ていることにあると思う。

 

  ⇒醍醐味というあいまいな言葉を使ったが、
   数種のスズメバチが全く同じ形状なのは、
   あるいは、ゲンジボタルとヘイケボタルが似ているのは、
   ミュラー型擬態の範疇には含まれないと、
   勝手に解釈していたのだ。

 


そんなとより、警戒色を持つ近縁種(!)が、
お互いに良く似ている現象は、予想外に多い。

日本国内で見られるテントウムシ、ハムシ、ベニボタル、
マダラチョウなどの一部の種の間では、
良く似た色彩パターン(警戒色!)を採用している。

この近縁種どうしは、本当にミュラー型擬態なのだろうか?

 

 

そこで、ミュラー氏が発見した経緯について、
手元の本『ヴィックラーの自然も嘘をつく』の記載を、
もう一度確認してみた。


 要約すると・・・・

ベイツ型擬態が発見されてから、20年後の1876年、
南米ブラジルでチョウの採集・観察をしていたドイツのミュラー氏は、
マダラチョウの仲間の中に、かなり良く似た種類が多いのに気が付いた。

警戒色を持ったマダラチョウは、学習可能な捕食者1匹に対して、
少なくとも1匹の犠牲者が必要であるが、
ミュラー氏は、このリスクを最低限にするためには、
不味いチョウどうしが、同じ模様になれば良いと考えた。

そうすると、マダラチョウの仲間の一部は、
ある捕食者に対して、種の壁を越えて、
同じような警戒色を持つ1匹の犠牲者がいれば、
それに良く似たすべての種の個体が、
同じ捕食者に2度と襲われることがなくなるのだ。


 このことに気付いたミュラー氏は、
その現象について、擬態(Mimicry)という語を、
 少なくともその時点では使用してはいないはずだ。

現在、ミュラー型擬態の定義が多少曖昧に感じるのは、
決してミュラー氏の責任ではないのである。

 

  ⇒どうでも良いことであるが、
   もし仮に万が一、私がその場にいたら、
   近縁種が互いに良く似ているの当然のこととして、
   多分、一件落着してしまったことだろう。
 

 

 

・・・・という訳で、

 


ミュラー型擬態の発見の経緯としては、
近縁で別種のマダラチョウ類の中で、
起こっている現象だったのだ。

だから、最初に挙げた私のブログの記載は、
さりげなく「ピント外れ(!!)」だったことになる。

 

この近縁で別種に見られる良く似た警戒色が、
ミュラー型擬態の範疇に入るとすると、
日本にいるスズメバチやアシナガバチの仲間も、
まさにその好例になってしまう。

 

 

キイロスズメバチ(スズメバチ科)

2010年8月25日 だんぶり池・青森

スズメバチやアシナガバチが、黄色と黒色の縞模様で、
素人では同定できないほど良く似ているのは、
共通祖先が同じだから当然と考えるのではなく、
それ以外の形状や色彩の突然変異種が生じても、
排除されてしまった結果と考えた方が良いのだろうか?

 

 

 

モンスズメバチ(スズメバチ科)

2011年6月5日 だんぶり池・青森

おそらく人間も含めた信号受信者(!)は、
黄色と黒の縞模様のスズメバチとアシナガバチは、
みんな同じに見える可能性が高いのだ。

 

  ⇒少なくとも野鳥類は、スズメバチの顔を見比べて、
   単眼の周辺部の色を見たり、小楯板の色を見たりしない。

 

 

 

コガタスズメバチ(スズメバチ科)

2013年8月5日 東海村・茨城

人間が見ても、ビビるような姿かたちなので、
小さな野鳥類にとっては、もっともっと怖い存在なのだろう。

当然、モンスズメバチでひどい目にあった鳥は、
次回からは、コガタスズメバチも避けるだろう。

 

 

 


キアシナガバチ(スズメバチ科)

2013年10月31日 浅瀬石ダム・青森

この写真は、アシナガバチの仲間ではあるが、
上3種のスズメバチと区別が付かないほどよく似ている。

少なくとも私には、野外で見つけたときに、
その場で同定することはできない・・・

 

 ・・・・・・・・・・

 


ここで問題なのは、類縁関係が非常に近い種が、
お互いに似ているのは、共通祖先が同じだから当然のことで、
わざわざ擬態を持ち出さなくても説明できることだ。


ベイツ型擬態では、信号受信者は、
味の良い(危険でない)擬態種も避けるので、
つまり、だまされていることになり、
これは擬態の定義に合致する。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110602/1/

 

ところが、ミュラー型擬態の場合には、
信号受信者は、類縁関係があろうとなかろうと、
そんなこととは全く無関係に、
良く似た姿かたちの集団の全メンバーを避けるのだ。

信号受信者は、決してだまされているわけではないし
もちろん、モデルと擬態種の区別もない!!!


だから、擬態の通常の定義から言えば、ミュラー型擬態には、
何処にも信号受信者をだますという擬態の要素は、
全くないことになってしまう。

 

  ⇒もちろん、針を持たない雄バチが、
   雌と同じような姿かたちなのは、
   通常のベイツ型擬態の範疇になり
   明らかに「だまし」が存在するのだが・・・

 

 

キイロスズメバチ雄(スズメバチ科)

2013年10月18日 浅瀬石ダム・青森

この子は間違いなくオスバチで、危険ではない。

ただ、普通の人や獲物を探す野鳥類には、
スズメバチ類の雌雄の区別はつかないだろう。

 

 

 

もうひとつ、ミュラー型擬態を複雑にしているのは、
良く知られている多型の問題である。


まず、多型が普通に存在する理由が、
本来のミュラー型擬態の定義では説明できないのだ。


例えば、南米産のベニモンドクチョウとアカスジドクチョウは、
それぞれの種に、約30もの異なったモルフが知られており、
そのモルフが対をなしている。

多くの場合、これらの対をなすチョウは、
(ある程度地理的に隔離された?)同じ地域に、
それぞれ生息しているのだ。

この事実については、その意味を、沢山の人が考察している。


しかし、ミュラー型擬態の発見の経緯からすると、
このような多型は、全く逆の現象ということになる。

ミュラー型擬態は、なるべく最初の犠牲者を少なくするために、
別種でも同じような姿かたちになったのだから・・・

 

  ⇒一体何故、ドクチョウの仲間は、
   こんな手の込んだことをするのだろうか?

 


同じスズメバチの仲間でも、似たようなことがあり、
多少雰囲気の異なるクロスズメバチが数種が知られている。

もちろん、普通のスズメバチとクロスズメバチは、
私でも、簡単に識別可能である。

しかも興味深いことに、
キオビホオナガスズメバチという種がいて、
大型の女王は、キイロスズメバチ型であり、
やや小型のワーカーとオスは、クロスズメバチ型という、
不思議な現象も存在するのだ。

 


ますます、ミュラー型擬態の定義が難しくなりそうだ。

 

 

ついでなので、もう少し・・・・


過去に、このブログで、紹介しているように、
様々な種類があるとされる「擬態」の定義については、
なかなか一筋縄ではいかない問題があるのだ。

 

隠蔽的擬態:

ムラサキシャチホコが、枯れ葉の中にいれば、
視覚で獲物を探す捕食者には、絶対見つからないだろう。

ただ、緑色の葉っぱに静止していることもあるのだ。
このときには、逆によく目立つので、隠蔽的擬態ではない

でも、捕食者に攻撃されることはない。
一般的な捕食者は、枯れ葉を食べることがないからである。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130821/1/

 

糞擬態:

鳥の糞のように見える見える虫たちも多い。

この場合には、隠蔽的擬態と思われがちだが、
実は、緑の葉っぱの上では良く目立つ。

しかし、野鳥類に襲われることはないだろう。
野鳥類は、自分の糞を食べることはないからである。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130213/1/

 

攻撃擬態:

良くピンクのハナカマキリが好例とされ、
書籍やネットの写真で公開されている。

本来の攻撃擬態の定義からすれば、
ハナカマキリは、葉っぱや枝にいて、
花の蜜を吸うため、だまされて飛んできた虫を、
捕獲する状況を言うのだ。

しかし、多くの例は、ピンクの花の上にいる写真であり、
本物の花の蜜を求めて飛んできた虫を捕獲するのだろう。
この場合には、隠蔽的擬態の例になってしまう。

ここをハッキリ区別しないと、隠蔽的擬態をする捕食者は、
全て攻撃擬態の範疇に入ってしまう。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110114/1/

 

 

     

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