サティロス型擬態⑤ イモムシの目玉模様も??
前報④で、蛾の前翅の最初から見えている目玉模様が、
サティロス擬態の範疇であることを紹介した。
イモムシにも、目玉模様を持つ種がいて、
近づいてくる捕食者に、突然見せつけるのではないので、
この場合も、サティロス型擬態として良いのだろうか・・・?
特に子育てをしている野鳥類にとって、
イモムシは、質量ともに格好の餌になるはずだ。
【虫を食べる野鳥類① シジュウカラ】
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http://kamemusi.no-mania.com/Date/20140203/1/
当然、イモムシたちも、黙って食べられているわけではなく、
様々な対抗手段で、餌にならないように工夫(?)をしている。
ベニスズメ幼虫(スズメガ科)
2010年10月12日 白岩森林公園・青森
普通に葉っぱを食べているときは、
どこにでもいる蛾の幼虫である。
ただ、この体色と目玉模様・・・
頭部を上に持ち上げると、
ちょっとヘビに似てくる。
さらに、前から見れば、まるでヘビである。
⇒体の前方を、ゆっくり振ると、
サイズとは無関係に、鳥には蛇に見えるだろう。
アケビコノハ幼虫(ヤガ科)
2010年10月8日 弘前市・青森
この写真は、過去の記事で使用したものであるが、
お気に入りのトリミングなので、もう一度・・・
アケビコノハの幼虫は、その恐ろしさを非リアル(?)に表現する。
むしろ実物とは、かけ離れたほどの強調と言っても良い。
⇒私は、最初にこのブログで紹介したときに、
漫画チックという言葉を使って表現したが、
もちろん漫画は、特定の部分を強調する傾向が強い。
我々人間も、いきなりこんな虫が目に入ったら、
多少は、ビックリするのかもしれない。
クワコ幼虫(カイコガ科)
2011年6月29日 だんぶり池・青森
野鳥類が、イモムシの目玉模様を見た瞬間に、
本当に攻撃を躊躇するのか、個人的には、
実を言うと、最近まで疑問視していた。
本物のヘビとイモムシでは、サイズが違いすぎるからである。
ところが、野鳥類は、必要以上に怖がりであることと、
遠近感とサイズ認識が苦手であるというふたつの理由で、
「小鳥たちは、遠くのフクロウよりも、
近くのクスサン方が、はるかに怖い」
ということが、ようやく理解できたのである。
【擬態??④/④ サイズの違い】
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http://kamemusi.no-mania.com/Date/20141214/1/
ただ、「鳥類の視覚認知システムが人間と違う」
と言うサティロス型擬態の基本理念には、
これらの模様は、アイコン的な模様と定義されている。
だから、サイズが違いすぎるという問題に関しては、
あまり大きな影響は与えないと考えられている。
⇒もちろん、イモムシの目玉模様も、
サティロス型擬態として良いだろう。