ベイツ型擬態?① アゲハモドキ
このブログの「記念すべき第1回目の記事」で、
日本で見られるベイツ型擬態の好例として、
ハチに擬態した蛾セスジスカシバを紹介した。
よろしければ、もう一度、セスジスカシバ君の見事な擬態をどうぞ!!
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http://kamemusi.no-mania.com/Entry/1/
彼の場合は、誰が見ても、どう見ても、ハチのような蛾であった。
しかしながら、ベイツ型擬態とは言っても、
中には、かなり微妙なものもある。
今回は、日本で見られるベイツ型擬態の例を、
数回に分けて、紹介したい。
まずは、下の2枚の写真をご覧ください。
ジャコウアゲハ(アゲハチョウ科) ⇒モデル
2003年4月5日 与那国島・沖縄
ジャコウアゲハの食草であるウマノスズクサ類には、
有毒物質(アルカロイド)が含まれている。
幼虫時代に体内に摂取した成分は、
成虫になっても体内に蓄積されている。
鳥などの捕食者は、一度ジャコウアゲハ成虫を食べると、
体液に含まれる有毒成分により中毒症状をおこす。
多くの捕食者は、一度経験すると、以後、
黒地に赤の斑紋のあるチョウを識別し、攻撃をしなくなる。
アゲハモドキ(アゲハモドキガ科) ⇒擬態者
2008年9月1日 白石市・宮城
写真を見る限り、ジャコウアゲハに良く似ている。
和名からして、アゲハに擬態していると考えられていた。
ところが、この子は、写真ではわかりにくいが、
ジャコウアゲハよりだいぶ小さい。
しかも、南方系のジャコウアゲハが生息していない
北海道・東北地方にも、普通にみられる。
このふたつの理由から、
アゲハモドキがジャコウアゲハに擬態する効果については、
疑問を持つ人もいる。
一方で、有力な捕食者が渡り鳥である場合を考えると、
南方でジャコウアゲハの嫌な経験を覚えていて、
北国で、その経験を、ふと思い出すことも、
全くあり得ない話ではないだろう。
これが「ちょっとだけ不思議な昆虫の世界」なのだ。