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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

ムラサキシャチホコ 隠蔽的擬態? 非食物擬態??

再び、矢立峠の衝撃!!!



2013年8月2日 矢立峠・秋田

枯れ葉が、微妙な位置に?

ちょっとした風で、ヒラヒラと舞い落ちてしまうような雰囲気。

でも、一体何故、枯れ葉の写真なんかを、わざわざ撮ったの?

 

 

 


2013年8月1日 矢立峠・秋田

もう一枚、枯れかけた葉っぱの上に、枯れ葉が!!

ちょっとした風で、ヒラヒラと舞い落ちてしまうような雰囲気。

でも、一体何故、枯れ葉の写真なんかを、わざわざ撮ったの?
しかもストロボで!!

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

実は、上の2枚写真は、ムラサキシャチホコという蛾だ。

別角度からの写真を見てみよう。


ムラサキシャチホコ(シャチホコガ科)

2013年8月2日 矢立峠・秋田

良く見ると、脚が少しだけ見えて、
蛾であることが、何となくわかる。

翅が、まるで枯れ葉のように、巻いている?!

しかし、実際には、平坦な翅に鱗粉の色と濃淡で、
立体的に描いているだけのだ。

以前紹介した、マエグロツヅリガのように、
実際に翅を丸めているわけはないのだ。
↓   ↓   ↓
マエグロツヅリガ 保護色から隠蔽的擬態へ
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120729/1/

 


ムラサキシャチホコ(シャチホコガ科)

2013年8月1日 矢立峠・秋田

この子も、良く見ると、脚が見える。

葉脈まである枯れ葉が、カールしているように見せかけるのは、
現代の「だまし絵」にも通じるテクニックであり、
まさに「ミラクル擬態」の真骨頂である。

 


これだけ枯れ葉そっくりであれば、ムラサキシャチホコは、
いつも止まる背景を、枯れ葉のある場所に限定せず、
普通に、緑色の葉っぱの上の目立つところにいたとしても、
捕食者(鳥類!)は、食べ物と認識しないので、
攻撃されることはないだろう。
↓  ↓  ↓
虫たちの防御戦略④ Ⅱ(3).  隠蔽的擬態
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130207/1/

虫たちの防御戦略⑦ Ⅱ(6). 非食物擬態(仮称) 金属光沢と糞擬態
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130213/1/



しかし、残念ながら、上の写真は4枚(2個体)とも、
矢立峠の常夜灯付近で、夜間・早朝に撮ったので、
全くの自然状態で、葉っぱの上に静止していたものではない。


典型的な隠蔽的擬態種ならば、自らが静止する場所として、
枯れ葉の多い環境を選ぶ方が生存上有利なはずである。

一方で、隠蔽的擬態というよりも、
良く目立つ「非食物擬態種」の場合には、
自分が良く目立つような場所、つまり、
緑色の葉っぱの上に静止する傾向が強く出るだろう。

 


果たして、ムラサキシャチホコは、どっちなのだろうか?

 

 

次回予告!

ついに撮れた!
自然状態のムラサキシャチホコの静止場所。

   

 

 

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