枯葉のような蛾 イカリモンガ
以前、このブログで紹介したように、
保護色の蛾で、翅を開いて静止する種は、
背景を間違えてしまうと、逆に目立ってしまって、
完全に蛾であることが分かってしまう。
いくら精巧な枯れ葉模様の翅を持っていても、
緑色の葉っぱに、翅を広げて止まっていると、
輪郭が、どう見ても蛾なのだ。
ところが、同じ蛾の仲間でも、
翅を閉じて葉っぱの上に止まる種がいる。
この場合には、輪郭が蛾のように見えないので、
緑色の葉っぱにいても、落ちている枯れ葉にしか見えない。
枯れ葉なら、捕食者に発見されても、
食べ物ではないので、全く問題ないのである。
下の写真のイカリモンガが、その好例である。
イカリモンガ(イカリモンガ科)
2012年10月6日 だんぶり池・青森
これは、わざと遠くから撮った写真であるが、
ちょうど真ん中に、枯れ葉のように見えるのが、
翅を閉じて静止するイカリモンガである。
どうだろうか?
枯れ葉が落ちているようにしか見えない???
イカリモンガ(イカリモンガ科)
2012年10月6日 だんぶり池・青森
近づいてよく見ると、蛾ではあるが、
体の輪郭が微妙にギザギザで、枯れ葉のように見えるし、
もちろん、色や模様も枯れ葉のようである。
しかも面白いことに、この子は、
枯れ葉に擬態することに自信満々のようで、
近づいても全く逃げる気配がない。
イカリモンガ(イカリモンガ科)
2012年10月6日 だんぶり池・青森
さらに、この角度から見ると、
触角そろえて前方に突出させ、
頭全体が、葉柄のように見える。
この子は、間違いなく演技をしているのだ。
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イカリモンガ(イカリモンガ科)
2010年8月29日 だんぶり池・青森
本種は、春から夏にかけては、昼間活動し、
チョウのように、花から花へと、蜜を求めて飛びまわる。
もちろん、このときには、頭部や触角は普通であり、
前翅の裏側の鮮やかな模様を見せている。
枯れ葉の演技はしていないのである。
イカリモンガ(イカリモンガ科)
2011年10月9日 だんぶり池・青森
鮮やかなオレンジ色の模様と相まって、翅を閉じて止まるし、
分類学上も、チョウと蛾の境に位置するようだ。
この写真を見る限り、テングチョウやベニシジミのようだ。
イカリモンガ(イカリモンガ科)
2011年6月4日 だんぶり池・青森
和名の由来となった鮮やかな碇(イカリ)の模様が見える。
もしかしたら、春から夏にかけては、周囲に枯れ葉がないので、
枯れ葉の演技はしないのかもしれないのだが!?
もちろん、こんな時には、近づけばすぐに逃げてしまう。
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イカリモンガは、成虫で冬を越す。
もしかしたら、秋になって周囲に枯れ葉が目立ち始めると、
自分も枯れ葉のように演技するようになるのだろうか?