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  • 2017.12
目玉模様の進化【2】

昨日の【1】から先にお読みください。

昨年12月24日に紹介したアケビコノハ成虫の場合も、
クスサンとよく似た行動が観察される。
 

下の写真のように、アケビコノハの成虫は、通常の静止状態のときは、
典型的な隠蔽的擬態である「枯れ葉模様の前翅」が見える。

 
2010年11月27日 三春PA

ところが、外敵に襲われたり、危険を感じたりして、
飛び立つ寸前に、前翅を広げると、
普段は見えない鮮やかなオレンジ色の後翅の表面が表れ、
そこにある(やや不完全な目玉模様)を、外敵に見せつけることになる。

 

 
2010年11月27日 三春PA

でも、そのときの写真をよく見ると、
突然前翅を広げて、目玉模様を見せたというよりも、
ただ単にその場から逃げようとして、(翅を広げて)、
飛び立っただけである。

アケビコノハの場合も、クスサンと同様に、
逃げようとして飛び立つ寸前には、
後翅にある鮮やかな模様が、嫌でも見えてしまうのである。

 

捕食者に限らず、多くの生物は、
突然目の前に鮮やかな色をしたものが飛び出すと、
かなり驚くことは、半世紀も前に、
ブレスト博士の有名な実験で証明されている。

博士は、被食者のそばに、突然色々な模様が表れるような装置を作り、
とても目玉には見えないような「四角」や「十字形」の模様でも、
捕食者(鳥)の攻撃を避ける頻度は、模様がない場合に比べて、
十分に下がることを確かめた。

つまり、目玉模様でなくても、何らかの模様が突然目の前に出てくると、
ほんの一瞬でも捕食行動を躊躇させることができるのである。
 

このように、捕食者が、『えっ!? 何これ?』と、
攻撃するのを一瞬ためらうことで、
被食者は、そのすきに、現場から逃げ出すことができるのは、
以前述べた、「カメムシの匂いのビックリ効果」と全く同じである。
 


しかし、残念ながら、目玉模様もカメムシの匂いも、
両方とも、それだけでは、絶対的な防御効果はない。

鳥は、同じようなイメージの餌を食べ続ける傾向があり、
目玉模様をもった『他に防御手段を持たない味の良い幼虫』が、
目玉模様に恐怖心のない(ヘビやフクロウなどに遭遇したことのない)鳥に、
一度食べられてしまうと、【目玉模様の幼虫 = 餌】という関係が成立して、
逆に「よく目立つ目玉模様は、おいしい餌」として認識されてしまう。

だから、他に防御手段を持たない(味の悪くない)蛾が行う
『突然翅を広げて、後翅にある目玉模様を見せる』
という行動が進化する条件は、かなり微妙である。

 


以前紹介したように、ベイツ型擬態が成り立つ条件のひとつである、
モデルと擬態者の数の問題とも関係するが、
捕食者が最初に食べるのが、「擬態者」か「モデル」かによって、
その後の状況は、異なってくるはずである。

したがって、ベイツ型擬態の場合には、
擬態者の個体数がモデルより、かなり少ないという条件は、必須であった。

さらに、防御手段を持たない擬態者が生き残っていくには、
捕食者がモデル種を攻撃したときに経験した恐怖心(!)を、
いつまでも覚えていることが前提である。



目玉模様の場合も、全く同じことが考えられる。

というか、わずか数年の寿命の小鳥たちが、自然状態で、
フクロウやヘビに襲われて、しかも、(その怖い経験をしただけで)、
生き残っている確率は、どの程度なのだろうか?

これでは、小鳥が生まれて最初に出会うのが、
フクロウかクスサンかによって、
クスサンの運命は、大きく異なってしまうのか・・・


話が、ちょっとややこしくなってきた?!


(つづく)
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Entry/73/

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【2011/03/09 07:33 】 | 擬態 | 有り難いご意見(0)
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