忍者ブログ

ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

糞擬態?! キアゲハ幼虫


今月は、ブログ開設時の原点に戻って、
想定読者は、虫好きの高校生!!!


前回、数種のカメムシ目の虫たちが、
鳥の糞に擬態している例を紹介した。

糞擬態は、隠蔽的擬態ではなく、
目立ちやすい非食物擬態の範疇に入る。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130213/1/


有名なのは、その名前にもなっている、
トリノフンダマシというクモの仲間で、
どう見ても鳥の糞にしか見えない。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120821/1/


また、個人的に非常に興味深い交尾擬態の例でもある、
ヒトツメカギバという蛾の成虫も、糞に擬態しているが、
この子たちは雌雄が合体して、蛾の輪郭を消している。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120918/1/

 


もっと身近に見られる「鳥の糞擬態」の例は、
アゲハ類の若齢幼虫だろう。

 

 

キアゲハ3齢幼虫(アゲハチョウ科)

2010年8月3日 だんぶり池・青森

この写真で見る限り、確かに鳥の糞に似ている。

ただし、幼虫が鳥の糞に似るのは、3齢までである。


幼虫が成長して、体が大きくなると、
さすがに糞に擬態するのは無理があるのだろうか?

鳥の糞で、そんなに大きなものはなさそうだ(多分)。

 

 

 

キアゲハ4齢幼虫(アゲハチョウ科)

2011年7月30日 だんぶり池・青森

だから、4齢幼虫になると、色彩はがらりと変わり、
白地に黄色と黒の斑点模様のよく目立つ色となる。

家で幼虫飼育中に、朝起きて見たら別の虫になっていた、
と思ってビックリするだろう?
 ⇒いまどき、そんな素直な人はいない!!


セリ科植物の有毒成分を体内に蓄積するため、
おそらく幼虫は、野鳥類に食べられることはない。

 

 

 

キアゲハ5齢幼虫(アゲハチョウ科)

2013年7月12日 だんぶり池・青森

5齢幼虫では、さらに黄緑と黒のしま模様に変化し、
黒いしまの部分には、橙色の斑点が目立つようになる。

ただ何故4齢幼虫と5齢幼虫の色彩・模様に、
微妙な違いがあるのかは不明である。

もしかしたら、3齢から4齢への急激な変化に、
対応しきれない、単なる中間型なのかもしれない。

 

 


キアゲハ若齢と4齢幼虫のツーショット

2011年6月29日 だんぶり池・青森

幼虫齢期の違いで、これだけの色彩を変えるには、
多分相当のコストがかかっているだろう。

こんな感じで、セリ科植物上に、
2種類のキアゲハ幼虫を、同時に見つけた野鳥類は、
一体、どのような反応を示すのだろうか?

 


⇒次回は、サイズ的な問題を、
 そのリアルさで見事にカバーした、
 オカモトトゲエダシャク幼虫である。

 我々の予想の斜め上を行くミラクル擬態・・・

 

    

拍手[19回]

PR