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さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。 従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。
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それにしても、適切すぎる見事な名前を付けたものである。
・・・トリノフンダマシ・・・
ずっと昔から、一度は会ってみたい虫であった。
昔バイト先で、先輩と一緒に来たクモが好きだという美少女(?)が、
「こんな変なクモがいるよ!?」と、教えてくれた。
それ以来、実物を一度は見たい(偶然見つけたい!!)と思っていた・・・
そして、そのときは、突然やってきたのだ。
トリノフンダマシ(コガネグモ科)
2012年8月6日 金山町・秋田
例によって、葉っぱの上の鳥のフンが目に入った。
最初は、さりげなく通り過ぎてしまった。
道路わきのクズが茂っている場所、
その中央部に写っているのが、トリノフンダマシである。
遠目に見ると、こんな感じで、まさに「鳥のフン」なのだ。
トリノフンダマシ(コガネグモ科)
2012年8月6日 金山町・秋田
思いきり近づいてみると、上の方に黄色く見えるのが、
見事に折りたたまれた脚である。
灰色の微妙な模様の腹部とのバランスは、明らかに、
鳥のフンを意識(?)しているのだろう。
一番目立つ場所で、必死に演技している!!!
トリノフンダマシ(コガネグモ科)
2012年8月6日 金山町・秋田
このように、鳥の糞に似せた外見を持つ虫たちは、
ネット上では、隠蔽型擬態として扱われることが多い。
ただ、擬態者が捕食者である場合には、どうしても、
獲物を待ち受ける攻撃擬態とされてしまう傾向があるようだ。
つまり、鳥のフンに集まる虫たちが、間違えてあつまってくるので、
いとも簡単に自分の餌にすることができると考えられるからだ。
しかし、詳細は省くが、そうではないという証拠も多いようだ。
トリノフンダマシ(コガネグモ科)
2
012年8月6日 金山町・秋田
やはり、鳥のフン擬態も、葉っぱの上で、これだけ目立つのであれば、
枯れ葉擬態と同じように、標識的擬態の範疇に入れるべきだろう。
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120729/1/
ただ、いずれの場合も、一般的なベイツ型擬態とは異なり、
捕食者は、モデルに対して一度も嫌な経験をすることなく、
最初から(本能的に)、これらを餌でないものとして無視するのだ。
トリノフンダマシ(コガネグモ科)
2012年8月6日 金山町・秋田
これらの2種類の標識的擬態【Mimicry】について、
しつこいようだが、もう一度まとめてみよう。
通常のベイツ型擬態:
①捕食者が過去に嫌な経験をした生き物(モデル種)を覚えていて、
次回からその種ばかりでなく、それに擬態する種も避けるようになる。
②ほとんどの場合、モデル種は、良く目立つ色彩をしているので、
捕食者も、学習しやすく、次回からは基本的に攻撃しない。
③捕食者は、少なくとも一回はモデル種を食べようとして、
嫌な経験をしなければ、擬態者を避けることはない。
鳥のフン擬態: (枯れ葉や枯れ枝に擬態する場合も含む)
①捕食者が、本能的に食べものと認識しないものが存在し、
それに擬態することで、捕食者の攻撃を免れることがある。
②ほとんどの場合、モデルとなったものは、良く目立つので、
捕食者も、簡単に見つけることができるが、即座に食べ物でないと判断する。
③捕食者は、ベイツ型擬態のように、一度もモデルを食べることはないので、
おそらく学習によって、擬態者を避けるわけではない。
このような非食物擬態(仮称)は、通常の隠蔽的擬態【Mimesis】とは異なり、
目立たせることによって、捕食者に食べ物でないことを認識させる。
このブログで何度も紹介したハイイロセダカモクメ幼虫に代表されるような、
捕食者に見つからないように、徹底的に隠れる隠蔽的擬態とは、全く違うのだ。
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20111007/1/
彼らは、ヨモギの花穂にいるときだけのパーフェクトな擬態者である。
しかし、それ以外の場所にいる場合には、全く無防備なのだ。
もちろん、ヨモギの花穂以外の場所にいることはないのだろうが・・・
いずれにしても、今回紹介したトリノフンダマシは、脚の折り方も含めて、
ここまでやらなくても良いのでは? と思わせる「やりすぎ擬態」である。
私は、これを「ミラクル擬態」と読んでいるが・・・
また、冒頭に出てきた美少女のイニシャルは、KKだったと思います。