不思議な植物【3】 紅葉に意味を見出す?
昨年11月26日に、日本の紅葉を紹介した。
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20101126/1/
何故、広葉樹の緑色の葉は、秋(落葉前)になると、
赤や黄色の比較的明るい色に変化するのだろうか?
普通の答えは、「葉の中のクロロフィルの減少によって、
その他の色素の色が目に付くようになるから」なのだろう。
いらなくなった器官である葉から、多くの物質が回収されることは、
生物が生き延びていくためには、当然のことと思う。
でも、この説明では、面白くも何ともない。
色を見ることができる動物たちは、
秋になって紅葉する植物を見て、
どんなことを感じているのだろうか?
独立峰である岩木山には、植物の垂直分布の状況が簡単に見える。
この写真は中腹部にあるブナやミズナラが紅葉しているのがわかる。
それより上の部分は、当然気温が低いのだが、
常緑のハイマツやササが、緑色のまま残っているのだろう。
ちょっと不思議な光景である。
このように秋になって、気温が(多分)8℃以下になったところから、
突然(?)目の前の風景が、緑色から赤や黄色に激変するという現象に、
生態的な意義はないのだろうか?
このブログで何回も紹介してきたように、
通常の生物の世界では、赤や黄色は警告的な意味をもっている。
特に多くの昆虫類では、緑色の葉っぱにいる有毒種は、
赤や黄色の警戒色をしているのだ。
自分の周りにある緑色の葉っぱが、
ある日突然、赤や黄色に変化するのを見て、
動物たちは何か危険が迫ってくるのを感じても不思議ではない。
空が真っ赤になる夕焼けは、昼間活動する生き物にとって、
もうすぐ危険な夜が来るのを知らせる危険信号となっている可能性がある。
当然、朝焼けの場合にも、夜行性の動物が、また同じ意味を見出したのだろう。
生物が進化していく過程で、昼と夜が入れ替わるわずかな時間に見える波長を、
人間で言えば「赤色」と意識して、それを危険信号とした生物が、
おそらく生き残って、子孫を残してきたのかもしれない。
夕焼けや朝焼けと同じように、美しい秋の紅葉を、
これから厳しい冬が来るのを知らせる警告色として、
使用している生物は、いないのだろうか?
もちろん、ほとんどすべての生物は、
日長(日の長さ)の変化や、単なる外気温の低下で、
厳しい冬が来るのを知ることができる。
でも、たった一種類でも良い。
秋の紅葉を目安に、冬が来るのを知る生物がいても良いのではないか?
多分それは、テレビも新聞もなかったころの、
全身が毛で覆われていない人間なのかもしれない。
でも、今の北国の人たちは、こんな楽しいことをしながら、
厳しい冬を迎えるのである。