ちょっとだけ綺麗な虫たち ヒトリガの仲間
昼行性の蛾の仲間には、チョウに負けず、美麗種が多い。
体内に不味成分を持つマダラガの仲間が、その代表であるが、
他にも、地味な(?)存在ながら、派手な模様を持つ種がいる。
今回のヒトリガの仲間は、良く知られているように、美麗種も多い。
どちらかと言うと、警戒色になるのかもしれない(?!)、
そんな雰囲気の色彩と模様の種がいるのだ。
つい最近、虫たちの親子シリーズで、ヒトリガ科の2種を紹介したが、
いずれも、幼虫時代に微妙な有毒植物を食べているので、
成虫もその成分を引き継ぎ、鮮やかな警戒色であった。
↓ ↓ ↓
スジモンヒトリ: http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150326/1/
ヒトリガ: http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150329/1/
今回は、ヒトリガ科のファイルにある写真の中で、
まだ幼虫が同定できない美麗種が少なからずいるので、
「虫たちの親子シリーズ」とは別に、まとめて紹介したい。
アカスジシロコケガ雄(ヒトリガ科)
2014年8月19日 木賊峠・山梨
この赤と白の配色は、シンプルだが、素晴らしい。
アクセントの黒い点は、左右に2個ずつあるのが雄で、
1個ずつしかないのが雌である。
幼虫は、ものすごいケムシのようだが、
その名のとおり、地衣類などを食べるので、
餌に由来する有毒物質は待たない。
当然、成虫も無毒のはずだが、
何故こんな目立つ色彩なのだろうか?
スジベニコケガ(ヒトリガ科)
2012年6月21日 道の駅みしま・福島
オレンジ色の地に、赤色の細かい筋模様と黒色の点が配列されるが、
この模様には、かなり個体差があるようだ。
幼虫は、サクラなどの樹皮に着生するウメノキゴケなどの地衣類を食べる。
前種と同様に、無毒と考えられるが、この色彩は目立つ。
ヨツボシホソバ雄(ヒトリガ科)
2013年7月22日 志賀坊森林公園・青森
雄の場合は、全身が黄色っぽいだけの雌と違って、
ものすごい配色である。
このように、頭と胸が鮮やかなオレンジ色で、
何と脚が青藍色の金属光沢があるのだ。
雌は、灯火で良く見かけるが、何故か、
雄には、ほとんど出会うことはない。
上のコケガ類と同じように、幼虫は地衣類を食べるが、
この体色は、明らかな警戒色だ。
野鳥類は、捕食するのだろうか?
シロヒトリ(ヒトリガ科)
2012年8月1日 志賀坊森林公園・青森
真っ白で、比較的大きな蛾である。
翅を広げると、脚と腹部の側面は赤い。
幼虫の食草はスイバ、ギシギシ、イタドリ、タンポポなどで、
一応これらは、微妙な有毒植物である。
幼虫には、毒針毛はなく、触っても大丈夫なのだが・・・
ヒメキシタヒトリ北海道亜種(ヒトリガ科)
2014年7月5日 層雲峡・北海道
ネット情報では、産地によって4亜種に分かれるようで、
上の写真の子は、北海道で撮ったので、間違いなく北海道亜種だろう。
模様の白色部分が多い(太い?)のが、特徴のようだ。
幼虫の形態および餌植物は、不明とのことで、おそらく珍品なのだろう。
白黒の模様で、こんな雰囲気の蛾は少なくないので、
おそらく警戒色ではない可能性が高いと思われる。
という訳で、今回の5種のヒトリガ科の蛾は、
いずれも警戒色であるとは断定できないのだが、
捕食者が食べるのかどうかは、不明である。
⇒私の想像では、捕獲すれば食べるかもしれないが、
「やっぱりマズイ!、出来れば、次からは食べるのは止めよう!!」
と感じているのではないだろうか?
後日、微妙な有毒植物とそれを食べる虫の体色との関係を、
まとめて紹介する予定です。