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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

ヒグラシの鳴く頃に

 ヒグラシのブログ記事を書こうとすると、
何故か、ちょっとだけ感傷的になる。


日本人だからなのか???


ヒグラシの「カナカナカ・・・・」という鳴き声は、
幼い日の記憶が鮮明に思い浮かぶ、そんな鳴き声のようだ。


ただ、私の場合は、東京の下町育ちなので、
いつもいつも、聞いていたわけではない。
そのためか、ヒグラシの鳴き声を最初に聞いた日のことは、
今でも、鮮明に覚えている。


それは、小学校5年の夏休み、北軽井沢の林間学校だった。

当時、すでに昆虫少年だった私は、スプリング式の捕虫網を、
ひとりだけ持っていた。


そのネットでは、トノサマバッタやギンヤンマを、
いとも簡単に捕まえることができたので、
虫好きの同級生から、(多分)うらやましがられていたと思う。


夕食前の自由時間、他の子はフォークダンスの練習をしていたが、
私は、ひとりでカラマツ林の中で、ヒョウモンチョウを追いかけていた。

そろそろ陽が落ちかけて、薄暗くなったころだと思う。

開けた林の中で、突然一匹のヒグラシが鳴きはじめた。

すると、あちこちから、カナカナカナ・・・という鳴き声が聞こえて、
軽井沢の夕やみ迫るカラマツ林は、ヒグラシの大合唱の場になってしまった。

しかも、間近で聞く鳴き声は、予想以上に大きく、
むしろ、「うるさい!」という印象の方が強かった。

ただ、自慢のネットで、一匹でも捕まえたいと思って、
カラマツの木の上を、必死に見上げて探したが、
結局、その鳴いている姿を、見つけることができなかった。

(実は、ヒグラシの鳴いている姿を、まだ直接見たことがないのだ!)


今思うと、最初に聞いた鳴き声とは全く異なる印象、
つまり、遠くの方で聞こえる何か「物悲しい鳴き声」を感じたのは、
もう少し大人になった(?)頃だったのかもしれない。


そんな思い出のあるヒグラシの鳴き声である。

 

(写真ブログなのに、前置きが長すぎ!!!)

 

 


ヒグラシ(セミ科)

2013年8月2日 矢立峠・秋田

薄明るくなった雑木林の中に、何か、青白いものが見える。

どうやら、セミのようだ。

 

 

ヒグラシ(セミ科)

2013年8月2日 矢立峠・秋田

そっと近づいて、ズームで一枚。

これが、あの美しい声で鳴く、噂のヒグラシだ。

鳴き声だけでなく、その姿も、透き通るように美しい!!!

 

 

と、エイプリルフールでもないのに・・・・

 


実は、これは、ヒグラシの羽化直後の姿(テネラル)なのだ。

脱皮をする虫たちは、一時的に体を柔らかくすることが必須で、
どうしてもこの危険な、しかも、美しい(?)数時間【注】を、
無事にやり過ごさなければならないのだ。

 

 


ヒグラシ(セミ科)

2013年8月2日 矢立峠・秋田

撮影時刻は、朝の4時前後。

まだ鳥たちが活動を始める前の時間だろう。


おそらく、地面から這い出して脱皮するセミにとって、
この時間帯が、一番安全なのかもしれない。

 

 


ヒグラシ(セミ科)
  
2013年8月2日 矢立峠・秋田

それにしても、無防備で美しい!!!

でも、これは、わずか数時間のみの姿なのだ。

 


実際には・・・・

 


ヒグラシ(セミ科)

2013年8月12日 安達太良SA・福島

これが、普通の(?)ヒグラシである。

残念ながら、カラマツの樹皮にいる個体の写真は、
大合唱のあの日から、数十年経っても、まだ撮れていない。

 


ところで、ヒグラシの鳴き声は、
すぐ近くで大合唱を聞くよりも、
夕日に向かって歩きながら、
遠くの方で聞くのが一番である。


最近は、歩きながら聞くよりも、
車の窓を全開にして、夕暮れ間近の山道を走っているときに、
「あっ! ヒグラシが鳴いている」という状況が多いのだが・・・

でも、そんなとき、
さりげなく、家に帰りたくなってしまうのは、
私だけだろうか?


ちなみに、どうでもよいことではあるが、
私の携帯電話の着信音は、「ヒグラシの鳴き声」である。

 
 

【注】テネラルについては、こちらの過去記事をご覧ください。
   ↓  ↓  ↓
   http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130117/1/



    

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