ちょっとだけ不思議な花 ツリフネソウ
全くの季節外れであるが、林縁部のやや湿った場所で、
良く見かけるツリフネソウは、かなり不思議な花であると思う。
ツリフネソウ(ツリフネソウ科)
2011年9月8日 白岩森林公園・青森
何が不思議かって、普通に見られる筒状の花は、
ユリのように、根元部分を茎が支える形になっている。
ところが、名前のとおりツリフネソウは、
花の中心部分から伸びた茎(葉腋というらしい?)で、
バランス良く、ぶら下がっているのだ。
花の後方は、距と呼ばれるが、その先端は、
渦巻き状に巻いて、多分閉鎖されているのだろう。
ツリフネソウ(ツリフネソウ科)
2010年8月22日 白岩森林公園・青森
見れば見るほど、さりげなく不思議な花だ。
大型のクマバチが花の中に潜り込んで、
蜜を吸っているのを、見たことがある。
良く見ると、ちょうど花の入口の下側が、
ハチが止まるのに適した台座になっている。
さらに不思議なことがある。
この形に良く似た黄色い花を咲かせる別種があるのだ。
キツリフネ(ツリフネソウ科)
2011年9月8日 白岩森林公園・青森
見た目(花の形)は、ツリフネソウにそっくりだが、
花の色が黄色で、葉っぱの下に花がある。
そして、花の後ろに伸びる距の先端が、
渦巻きになっていないのだ。
キツリフネ(ツリフネソウ科)
2010年7月18日 だんぶり池・青森
高校生のころ、同じく虫好きの友人が、
キツリフネのことを「キツネフリ」と呼んでいた。
確かに、キツネがふりまわす提灯のような形状であるが・・・
確かに、細い1本の葉腋でぶら下がって、
空中に浮いてるようにも見える。
ミヤマカラスアゲハとキツリフネ
2011年8月26日 白岩森林公園・青森
このように、ブラブラした状態なので、大型のチョウは、
花に静止して、蜜を吸うことはできない。
キツリフネの花から、ホバリング気味に蜜を吸っている。
おそらく、蜜のある距の部分まで、
口吻が伸びているのだろう。
そして、さらに不思議なことがある。
ツリフネソウとキツリフネが混生している場所があるのだ。
良く似た種が、全く同じ場所で共存するのも、
また不思議なことであると思うのだが・・・
ツリフネソウとキツリフネ混生群落
2011年9月8日 白岩森林公園・青森
この写真でみると、園芸植物に見られるような、
花の色が異なる品種のイメージである。
しかし、2種は明らかに別種なのだ。
Impatiens textori ツリフネソウ
⇒東アジアに分布する。
Impatiens noli-tangere キツリフネ
⇒ユーラシアと北米に広く分布する。
ちなみに、属名インパチェンスは、
種がはじけて飛ぶホウセンカの仲間で、
花言葉は「私にさわらないで!!」だそうである。
この花言葉を知っている若者たちは、
なんかの機会に利用できそうかも・・・