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さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。 従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。
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虫のブログなのに(?)、虫の写真が続いたので、
今回から数回に分けて、たまには植物の写真を・・・
ということで、たまにはタマバチやタマバエが関係する、
ちょっとだけ不思議な虫えい(虫こぶ、ゴール)を紹介したい。
昔は「虫えい」と聞くと、まさに独断と偏見で、
葉っぱ一面に突起が出る「ダニえい」や、
癌化したような葉っぱのフクレフシなど、
かなり病的なものは、ちょっとだけおぞましいというか
気持ち悪いというイメージしか記憶になかった。
しかし、今回から紹介する「虫えい」は、
緑の葉っぱの上で、微妙な美しい色彩を持つものや、
他に類を見ない一種独特の形態を有するもので、
ほとんどアートの世界となっていることもあり、
植物と虫の特別な関係に、ちょっとだけ興味を感じる。
・・・ついに禁断の世界に、足を踏み入れてしまったのか?
ミズナラメウロコタマフシ
2014年10月1日 だんぶり池・青森
ミズナラの頂芽に形成されたタマバチにようる虫えいで、
うす紫色の綺麗なウロコ(鱗片)に覆われており、
遠くからでもよく目立つ。
ネット検索すると「北海道の虫えい」という素晴らしいHPがあり、
その情報では、虫えい内部には、楕円状の幼虫室が1個あり、
形成者のミズナラメウロコタマバチ(種名未同定?)が、
基本的に1匹だけ入っているようだ。
内部の幼虫は、虫えいの内壁(?)そのものを、
ムシャムシャ食べるのではなく、植物体からしみ出す液を舐める。
ミズナラメウロコタマフシ
2014年10月9日 田代平・青森
この写真には、多分寄生されていない頂芽が3個、
手前に小さく写っているので、どのくらい肥大したのか、
さりげなく大きさの差が実感できる。
このような虫えいは、9~10月にかけて出現し、
晩秋には、成熟したものから、落下していくとされている。
そして、かなり不思議なことに、虫えい内部で終齢幼虫で越冬するが、
おそらく成虫は、翌年の秋に羽化して、さらに翌年の越冬芽に産卵するようだ。
ミズナラメウロコタマフシ
2014年10月9日 田代平・青森
虫えいは、ミズナラの頂芽だけでなく、
このように、枝先に近い側芽にも見られる。
タマバチによって与えられた何らかの刺激によって、
植物側が反応して、細胞・組織が異常に増殖した結果であるが、
考えてみれば、かなり不思議な現象だと思う。
もし、ハチが植物体の特定場所に産卵しなければ、
そして、もし寄生された植物側が、微妙に違う反応をすれば、
全く同じ形状の虫えいは、できないはずなのだ。
ミズナラメウロコタマフシ
2014年10月5日 黒森山・青森
この写真は、上の撮影場所の田代平より標高が低く、
日付も4日ほど前なので、まだ着色していないのだろう。
どうやら、直射日光の当たり加減で、こうなるらしい。
リンゴの色付きと全く同じ原理だ。
一体、このくらいの大きさになるまでに、
何日くらい経過しているのだろうか?
そして・・・・・・
上の写真とほぼ同じ場所にあるコナラにも、
ミズナラメウロコタマフシと良く似ている虫えいがあった。
私には、コナラのもミズナラのも、同じに見えるのだが・・・
前出の「北海道の虫えい」によると、
ブナ科植物のウロコ状の虫えいは、
以下の4種の存在が確認されているようだ。
①ミズナラメウロコタマフシ(ミズナラ)
②ミズナラメコウロコタマフシ(ミズナラ)
③ミズナラメヒメウロコタマフシ(ミズナラ)
④コナラメウロコタマフシ(コナラ)
この4種類の虫えいは、核(幼虫室)や鱗状片の形質が違うとされるが、
少なくとも写真で見る限り、その違いはかなり微妙である。
という訳で、「北海道の虫えい」には、ミズナラメウロコタマフシが、
コナラでも見られるとは書かれておらず、
コナラに付くものは、コナラメウロコタマフシ(仮称)として、
別に掲載されていたのだ。
虫えい形成者も、タマバチの1種とされているだけで、
その生態も、詳細は不明と記されている。
これからの展開が、非常に楽しみではあるが、
虫そのものの移動能力は多分極端に少ないだろうし、
植物側の生育状況に大きく依存しているようなので、
タマバチの同定も、困難を極めることが予想される。