虫たちの親子-18 シャチホコガ
恒例となった(?)2月の「擬態の特集記事」も、
さりげなく終わって・・・
中断していた『虫たちの親子シリーズ』を、
第18回目から再開します。
左側のカテゴリー欄の虫たちの親子をクリックすると、
第1回から17回目までを見ることが出来ます。
⇒このブログでは、カテゴリーの「二重登録」が出来ないようなので、
カテゴリー『擬態』ではなく、『親子』の方を優先しています。
まずは、下の幼虫の写真から・・・・
シャチホコガ幼虫(シャチホコガ科)
2014年5月24日 金沢市・石川
全ての突起物を、身体にピッタリつけている状態。
ちょっとだけ緊張しているのか、あるいは、
こんな状態が、最もリラックスしているのか?
とりあえず、普通の虫(の幼虫)には見えない!!!
枯れ葉か? 鳥の糞か??
・・・・近づくと、・・・動いた!!
シャチホコガ幼虫(シャチホコガ科)
2014年5月24日 金沢市・石川
何だか良く分からないような突起物が、
いろいろと、わざとらしく出てきた!!
⇒脚だか? 触角だか? 棘なのか?
こんな突起物は、普通の蛾の幼虫には、
全く見られない特異な形状だと思う。
どっちが前なのかも、分からないし・・・・【注】
シャチホコガ幼虫(シャチホコガ科)
2014年5月24日 金沢市・石川
以前紹介したホシナカグロモクメシャチホコの幼虫は、
脅かすと、頭部と尾部を反り返らせて、
英語のU字型のような格好になる。
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120920/1/
おそらくシャチホコガの名前の由来は、
幼虫のこの格好から、名付けられたと思う。
結構このポーズをとるイモムシが多いので、
捕食者からすると、普通の蛾の幼虫には、
あり得ない姿かたちになるのだろう。
⇒多少とも、接近してくる捕食者を、
ビックリさせる効果があるのかもしれない。
実は、この子も同じような恰好をするのだが、
写真を撮ろうとして近づきすぎたために、
この後、地面に落下してしまった。
⇒尾脚や腹脚が、細長い角状に変化しているため、
あまりしっかりと葉っぱや小枝に、
しがみ付くことが出来ないのかもしれない。
という訳で、ようやく成虫・・・
一体、どんな不思議な蛾(成虫)なのだろうか?
シャチホコガ成虫(シャチホコガ科)
2013年6月21日 矢立峠・秋田
何の変哲もない、普通の蛾???
シャチホコガの仲間の成虫は、「擬態する蛾」と
翅を開いて静止する「普通の蛾」の2種類に大別できると、
個人的に(勝手に)思っているのだが、
この子は、普通のタイプだ。
ただ、静止するときに、前翅が後翅の外側に、
さりげなく、はみ出していることが多い。
たったそれだけのことでも、一瞬「おやっ!」と感じる。
ついでながら、シャチホコガ科の「擬態する蛾」には、
このブログで「ミラクル擬態」とした種類がたくさんいる。
左: ムラサキシャチホコ 宮古市・岩手(20130814)
右: ツマキシャチホコ 矢立峠・秋田(20130802)
⇒まさに、本物よりも良く似てる(?)枯れ枝と枯れ葉だ。
普通の人は、見つけても、蛾とは思わないだろう。
その他にも、シャチホコガ科の成虫には、モンクロシャチホコ、
セダカシャチホコ、ウスキシャチホコ、モンキシロシャチホコ、
ウスズマシャチホコ、ハガタエグリシャチホコ、エゾギンモンシャチホコなど、
このブログでも紹介した「ちょっとだけ不思議な蛾」がいる。
面白いことに、幼虫時代も、「普通のイモムシやケムシ」のタイプと、
かなり奇妙な、あるいは「何かに擬態」したタイプに大別できる。
⇒幼虫がユニークな形状だと、成虫は普通の蛾で、
成虫が凝った(?)姿かたちだと、逆に、
幼虫時代は、普通に見かけるイモムシ状のものが多いようだ・・・
枯れ枝に擬態する蛾 ツマキシャチホコ
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20121201/1/
葉っぱの上で良く目立つ ムラサキシャチホコ
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130821/1/
【注】多くのチョウ目の幼虫は、胸部に3対の短い胸脚と
第3~6腹節に、各4対の吸盤状の腹脚がある。
種によっては、第10腹節にも、吸盤状の尾脚が1対ある。
今回のシャチホコガの幼虫は、胸脚(中脚と後脚)が、
成虫の脚のように、細く、長くなっている。
この胸脚の構造こそが、最も奇妙だと思う。
腹脚も普通の幼虫のように柔らかくはなく、
個人的にはブタの脚(?)のように見える。
さらに尾脚は、内側に曲がった角状に長く変化して、
触角のように動かすので、尾脚の側が頭に見える。