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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

擬態??③/④ リアル動物


(前回の【②/④】を、先にお読みください)


今回の5枚の写真は、結構リアルな動物の顔である。

しかも、前回の逆さに静止するだけの蛾とは違って、
より効果的に、外敵を驚かすような行動が伴っているのだ。

形態に連動した行動をすれば、鬼に金棒である。

 

今回は、そんな例である・・・

 


信じるか、信じないかは、あなた次第です。
(どこかで聞いたことがあるセリフ・・・?)

 



    


怒ってる犬??? ウンモンスズメ

2012年7月21日 白岩森林公園・青森

実は、この子は、美麗種ウンモンスズメの成虫である【注1】

彼らは、自分をどう見られてるのか分かっているように、
意図的に(?)翅を少しだけ立てているのだ。

しかも、ときどき耳の部分(実際は後翅?)を、
それらしく動かしたりもする。

ただ、偶然似ているのではなくて、明らかに、
それらしく見せるような動き方をするのだ。


このように、外敵に似せたような姿かたちと、
それに連動した特定の行動が認められる場合には、
何らかの適応的意味がある可能性を示唆する。

 

 


 

恐怖のドラゴン??? マダラツマキリヨトウ

2013年6月21日 矢立峠・秋田

これは、明らかに普通のヘビよりも、恐ろしげだ!!
ヘビと言うより、竜(ドラゴン)なのか?


この写真を見ると、前・中脚のフサフサの毛は、
体を大きく見せる効果とともに、
明らかに、胴体の模様に連動している。

しかも、その脚の位置が絶妙で、
通常の中脚は、後方を向くことが多いのだが、
この子の場合は、前方に向いて大きく開いて、
体全体で、ドラゴンの姿を演出しているのだ。

明らかに、分かってやっているのだろう【注2】

 

 


 

さりげない猿??? アサマキシタバ

2014年5月25日 津山市・岡山

この子の場合、普段は動物の顔(後翅!)は見えない。
何らかの刺激で、突然翅を開くのだ。

この動物は、私には、猿の顔のように見えるのだが・・・・

 

キシタバの仲間は、その名のとおり、
普段は、前翅に隠れて見えないのだが、
驚いたときや、飛び立つ直前には、
この写真のように、鮮やかな色の後翅表面の模様が見える。

普段見せていない模様を突然見せる方が、
いつでも見せているよりも、捕食者に襲われる確率が、
ほんのわずかだけ低かったので、
長い年月の間に、突然見せる個体の方が、
少しずつ増加していったのだろう【注3】

 




 

 


獲物を狙うフクロウ??? ヤママユ

2011年9月3日 酸ヶ湯温泉・青森

この子は、子供向けの本にも良く出てくる有名な蛾だ。

ただ、普段静止しているときは、このように、
目玉模様が見えないことが多い。


上のキシタバと同じように、突然翅を開いて、
この目玉模様を見せるのだ。

ヤママユの仲間は、比較的体が大きいので、
全体がフクロウのように見える。

 




 

 

やさしい犬?? コマバシロコブガ

2014年6月5日 矢立峠・秋田

以前、別個体の写真を紹介したことがあるが、
今回も全く同じイメージで、どう見ても犬の顔である。


ただ、この写真では、最初の写真の怒っている犬と違って、
やさしい顔なので、全く怖くない。

むしろ、我々人間には、愛想の良い犬に見えるが、
小鳥にとっては、やんちゃな天敵になるのだろうか?

 

 

とは言っても、今回紹介した写真の最大の問題点は、
実際の外敵とのサイズが違い過ぎることだ。

次回、野鳥類が今回のような「小さな虫の擬態者」を、
実際に、どのように見ているのかについて考えてみたい。

 

 


【注1】普通の静止状態では、おそらく、
    翅を持ち上げて静止することはないのだろう。

    その場合は、なかなか犬のようには見えないので、
    もしかしたら、上の写真のような状態のときは、
    危険を察知したときのポーズなのかもしれない。

 

   
【注2】このような書き方をすると、また友人から怒られそうであるが、
    正確に表現すると、
    「前・中脚に、胴体と同じ模様のフサフサの毛があり、
     普通は後方を向く中脚を、前方にして静止する方が、
     捕食者に襲われる確率が、ほんのわずかだけ低かった」
    ので、少しずつ増加していったのだろう。

 


【注3】もちろん、その防御効果は、
    捕食者を一瞬、躊躇させるだけである。

    だから「カメムシの匂い成分のようなビックリ効果」しかないのだ。
    ↓  ↓  ↓
    カメムシの匂いの不思議【03】ビックリ効果
    http://kamemusi.no-mania.com/Entry/30/ 

    虫たちの防御戦略⑬ 化学的防御手段
    http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130304/1/

  


 

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