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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

虫たちの防御戦略⑧ Ⅱ(7). 集団防御

虫たちの中には、人間の想像をはるかに超えて、
大集団を形成する種類がいる。

最初は、なんでそんなに大きな集団になるのか、
なかなか説明がつかなかったようだ。


しかし、最近では(とは言っても半世紀ほど前だが)、
天敵からのエスケープと呼ばれる明快な説明がなされている。

アメリカには、周期ゼミと呼ばれる数種のセミがおり、
17年周期のセミが3種、13年周期の4種が確認されている。
(⇒当然のことながら、それぞれ、生息する地域と発生する年が異なる)

最も有名な有名な17年ゼミは、世界で最も長生きするとも言われている。

何と17年間も地中で過ごした幼虫が、特定の年に一斉に羽化するのだ。

このセミは捕まえるのが容易で、有毒成分や武器を持たないため、
野鳥などの捕食者の餌食にされやすい。
しかし、ある地域に、何万匹というセミが一斉に出現した場合には、
とても、そこにいる捕食者が、食べきれるものではない。

この現象を「天敵からのエスケープ」と呼ぶのだ。


そして、この話には続きがある。


十分すぎるほどの餌があると、その年の捕食者の数は、必然的に急増する。

しかし、捕食者にとって不幸なことに、大発生した年の翌年以降は、
17年も好適な餌であるセミの姿は、全くなくなってしまうのだ。

そのため、急増した捕食者は、急激な餌不足となり、
再び17年間にわたって、細々と(?)生活しなければならないのだ。

 

 

アメリカには、もうひとつ、ものすごい数の集団がいる。

これも、今ではすっかり有名になったオオカバマダラの集団越冬である。


夏の間、北米カナダなどで発生を繰り返したオオカバマダラは、
8月下旬に蛹から羽化した成虫が、そのまま交尾もせず、南へと移動を始める。

各地からやってきた小集団は、南へ移動するにつれて、
次々に、さりげなく合流していく。
そのため、目的地に近づくと、空を覆うばかりの大集団になるという。

そして、最後の目的地は、カリフォルニア州の太平洋沿岸の数か所と、
メキシコの2か所だけが、現在知られており、おそらく他にはないだろう。

不思議なのは、その場所でも、越冬に選ばれた木は限られており、
その木は、(写真で見る限り)オオカバマダラに埋め尽くされるのだ。


何故、こんなことが起こるのだろうか?


おそらく、オオカバマダラは、
北米の繁殖地でそのまま冬を越すよりも、
暖かい地域に移動して、バラバラに越冬するよりも、
大集団になって移動した地域の限られた数本の木で集団越冬する方が、
より生き残りやすかったのだろう。

 


今回は、写真がない!?・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・あります!

 

アメリカのセミやチョウほど、大きなスケールの話ではないのだが、
日本で見られる虫たちの中にも、多分それに近いことが起こっている。



2012年5月23日 長者原SA 宮城 

かなり効率よく並んでいるオビカレハ幼虫。

多分鳥が来ても、食べきれるものではないだろう?

アメリカシロヒトリが、日本で大発生したのも、
幼虫が、集団で営巣し、天敵からのエスケープが、
その理由のひとつと言われている。

 


2012年5月23日 長者原SA 宮城

同じ日の同じ場所には、こちらも整然と並んで、
適度な密度で集団吸汁するアブラムシの仲間がいた。

この中の数匹が、テントウムシに食われても、
全く影響はないのだろう。

 


2011年6月25日 だんぶり池・青森

こちらのアブラムシは、整然と並んではいない。
あえて表現すれば、メチャクチャである。

増えすぎて(?)足の踏み場もないほど、重なり合っている。
右の拡大写真を見ると、アリがその上を歩いているのがわかる。

こんな状態のところに、天敵のテントウムシなんかが来るのか?
まあ、アリが守ってるのかもしれないが・・・

 


2012年8月22日 十石峠・長野

ジュウジナガカメムシ幼虫集団は、十石峠の林道で、
合計3か所で見つけている。

限られた範囲で、数個の大きな集団が見られたということは、
天敵からのエスケープというだけではない、何か別の説明が必要だろう。

その中で、一番考えやすい説明が、
「捕食者から見ると、同じような餌が沢山あり過ぎて、
特定の個体に注意を払えずに、リスクが分散する」
というものである。

もちろん彼らは、1匹が攻撃されると、アラームフェロモンを放出し、
バラバラになったり、地面に落下したりする。

さらに言えば、大集団になるということ自体が、
視覚で獲物を探す捕食者に対して、かなりの違和感を持たせ、
攻撃を躊躇させるような効果がありそうだ。

少なくとも、妻と娘は、毛虫やアブラムシの集団を見ただけで、
気持ち悪いと言って、それ以上近づくことはない。

虫を食べる捕食者が、それが大集団になっているのを見て、
「気持ち悪い」だとか、「こわい」とかの感情を持つかどうかは別にして、
おそらく「普段と違う!!」というビックリさせる効果である。

 

最後にまた、虫の話ではないのだが、こんな写真は有名である。


2010年9月25日 大洗水族館・茨城

水族館のイワシの群れ。

多分これは、集団になって、
一匹の大きな魚に見せかけている(?)


 

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