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虫たちの防御戦略⑨ Ⅲ(1). 逃げる

ここからは、虫たちが運悪く捕食者と出会ってしまったときに、
最後の手段として行う、本当の意味での防御方法である。

Ⅲ(1).  逃げる

子供のころ、トンボやセミを捕まえようと、そっと近づいても、
網を振る直前に、逃げられてしまうことが、たまに(!)あった。

そして、大人になってからも、虫たちを見つけて、
写真を撮ろうとカメラを向けると、
絶妙のタイミングで、逃げられてしまうことが、
しばしば(!?)ある。


被食者からみれば、捕食者が射程距離に入る前に、
その気配を察知し、その場から飛び去ることはできれば、
それは、最も簡単で、効果的な防御手段となるだろう。


もちろん、虫たちは、飛んで逃げるだけではない。


体の扁平なゴミムシ、ハサミムシ、ハネカクシ、ゴキブリなどは、
石の下や隙間や落ち葉の中に、素早く歩いて逃げ込みむ。

イナゴやカメムシは、葉の裏側へ回り込み、相手の動きを見極め、
常に反対側へ移動しようとする。

また、ハムシ、コメツキ、カミキリなど多くの虫たちは、
少なくとも我々人間が近づいただけで、植物体から落下する(注)


このような逃避行動が、大きな防御効果を持っていることは、
われわれが野外でケガをしている虫に、
ほとんど出会わないことからも想像される。

実際に、うまく飛んだり歩いたりできないようにした昆虫を、
地面においておくと、必ずアリがやってきて運び去ろうとする。

 

しかし、逃げる途中の虫たちを、カメラで撮るのは不可能に近い!!

あまり良い写真ではないが、たまたま撮れた3枚。

 


2011年8月11日 東海村・茨城

これは、多分スジアオゴミムシが、普段の隠れ家(朽木の穴)に、
逃げ込む寸前の写真である。

 


2012年10月14日 浅瀬石ダム・青森

セアカヒラタゴミムシが、私に気付いて、
必死に逃げているところを、さらに、
必死に追いかけて撮った貴重な一枚である。

 


2012年5月18日 芝谷地湿原・秋田

とにかくクルクル回っているので、おそらく、
捕食者の射程距離には入りにくオオミズスマシ。

これは一瞬止まったところを写したもの。

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

次の2枚組の写真は、ちょっとだけ自慢(2枚目)。

しかし、偶然の賜物である。

 


2011年6月29日 白岩森林公園・青森

イオウイロハシリグモが、少しずつ近いづいて、
ハナバチの仲間を、完全に射程圏に捉えている!!!



2011年6月29日 白岩森林公園・青森

しかし、攻撃した瞬間に、わずかのタイミングで、
獲物に逃げられてしまった!!!

これが、そのときの証拠写真である。
クモの前方に、ぼんやり写っているのが、
今回は生き延びたハナバチ君である。


この写真を見て、昔読んだ論文を思い出した。

確かビデオカメラの映像から、カマキリの捕獲速度(前脚の動き?)と、
獲物(多分ハエだった?)の逃避速度の関係を調べて、
カマキリの射程距離と、ハエの逃げるタイミングを推測していた。
もう40年も前に、こんなことをやる研究者がいるんだ、
と感動したものである。

結論は、はっきりとは覚えていないが、
ハエは、カマキリの射程距離に入ってしまっても、
半分以上の確率で、逃げることができたと思う。

上のハナバチも、クモの微妙な動きを察知し、
多分絶好のタイミングで、飛び立ったのだろう!!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

逃げることに、特別な手段を持っている虫たちもいる。

今シリーズで、色々な場面に登場した金属光沢の虫たち。

ミドリシジミやルリタテハの場合には、
翅の表側にある金属光沢は、こんな効果が期待できる。



2011年7月12日 帯広市・北海道

翅の表面がキラキラに輝くジョウザンミドリシジミ(多分)。
本当に遠くからでも、よく目立つ。

実際に、このチョウが飛んでいるときには、
左右の翅を体の真上と真下でぴったり合わせる。

そうすると、ある瞬間には翅の表面だけ、
ある瞬間には翅の裏面だけが見えるのだ。

だから、良く目立つキラキラ表面が、
途切れ途切れに移動しているように見えるので、
捕食者は、正確に後を追うことができなくなるのだ。

 


2011年5月24日 だんぶり池・青森

ルリタテハの翅の裏面は、捕食者である鳥に対して、
このように、保護色(隠蔽色)として機能する。



2011年4月28日 だんぶり池・青森

しかし、表面は、強烈に目立つ金属光沢の輪がある。

この状態のときに、見つけた鳥が近づいて来たとき、
突然、翅を閉じたらどうだろうか?
(⇒突然見せる目玉模様とは、全く逆の状況である)

おそらく、それまで見せていた派手な色の表面が、
突然なくなって、裏面の隠蔽的な効果が、
そのコントラストの大きさによって、より強調されるだろう。

近づいてきた捕食者は、マジックでも見てる感じだろうか?

 


さらに、全然別の、ユニークな逃亡手段がある。

多くの昆虫類が持っている鱗粉や細かい毛は、
それが体から非常に離れやすいという理由で、
逃避的な防御手段になる可能性があるのだ。

例えば、体中にろう物質の粉を付けているコナジラミは、
モウセンゴケのトラップから脱出できるし、
抜けやすい毛で覆われているトビケラは、
クモの糸から簡単に逃れることができると言われている。



2010年8月10日 御所湖・岩手

全身に粉をふいてるようなアミガサハゴロモ。

もしかしたら、この子もクモの巣から逃げられるのだろうか?

 


また、有名な例として、コウモリに対する蛾の逃避行動がある。

蛾がコウモリの声を聴くことができるという事実は、
昔から知られていたが、それが何の意味をもっているかは、
全くわからなかった。

しかし、夜行性のコウモリの飛行は、彼らの発する超音波の反射音を、
感受することによって行なわれていることわかってから、
コウモリと蛾の複雑な関係が、明らかになってきたのだ。

コウモリの超音波に対抗する第一の手段として、
蛾は仝身に細かい毛をもって、超音波を吸収しようとした。

ある種の蛾は、超音波を感受できる装置を背面に備え、
コウモリの発するそれを30~40m離れて聞いたときは、
明らかにその方向を知ることができ、
その場から離れようとすることが観察された。

コウモリ自身の聴覚範囲は、その1/10以下であるので、
この捕食者は、あたかも蛾の定位をさまたげるように、
全くランダムなジグザグ飛行をする。

一方、コウモリが蛾を発見して、一直線に近づいてくると、
両者の飛行速度の違いから、
もはや逃亡するのが不可能であることを知った蛾は、
そのまま地面に落下してしまう。

しかし、コウモリの方も、最適な食物である蛾の行動を、
見逃してはいない。蛾が落下し始めると同時に、
あたかもその軌道を計算しているかのように方向を変え、
蛾が地面に着く直前に捕えるという行動を発達させてきた。

蛾の方も、ただ落ちるのではなく、急降下したり、
キリモミ状に落下して抵抗するが、
膨大な写真の分析から、10回のうち6回までしか、
コウモリは、落下中の蛾を捕えることが出来なかったのだ。


さすが、愛すべき虫たち!!!

 

(注)この落下するという逃避方法は、予想以上に効果が高い。

       一度地面や落ち葉の中に落ちてしまった虫たちを、
       もう一度探し出すことは、まず不可能であることを、
   昆虫採集する人なら、だれでも経験してるはずだ。

   しかし、賢い昆虫マニアは、その虫たちの行動を逆手にとる。

   枝の下に、白い布を置いて、その枝を軽く棒でたたくと、
   その枝にいた虫たちが、布の上に、簡単に落ちてくるのだ。

   布に落ちた虫は、すぐには飛び立ないので、
   目的の虫を、簡単に採集することができるのだ。

   これを、昆虫マニアは、ビーティング採集法と呼ぶ。
   実際は、こんな感じである。
   ↓  ↓  ↓ 

   
   1991年8月9日 大山・鳥取

       かなり、やらせっぽい写真ではある。    
     ⇒注目は、やはり撮影年だろうか?

 

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【2013/02/20 06:58 】 | 防御行動 | 有り難いご意見(0)
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