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虫たちの防御戦略⑫ Ⅲ(4). 目玉模様(小)、自切など

捕食者の攻撃を、うまくはぐらかす虫たちもいる。

今回は、3つのタイプを紹介したい。

 

最初は、おなじみの目玉模様である。

比較的大きな目玉模様の機能については、Ⅲ(2)で紹介したように、
捕食者を驚かせ、その攻撃を躊躇させる効果が認められている。

一方で、比較的小さな目玉模様には、
むしろ全然逆の、別な意味あるのだ。


多くのチョウには、写真のように、翅の端に、
数個の小さな目玉模様を持っている。



2010年8月10日 東海村・茨城

ヒカゲチョウの目玉模様は、この大きさでは、
おそらく、小鳥を驚かすことはないだろう。

小さな目玉模様は、逆に、小鳥がついばむ行動を、
そこに向けさせる役割を持つと考えられている。

狩りをする捕食者には、多くの場合、
獲物の急所である目玉を攻撃する習性があるからだ。

 


2012年9月27日 東海村・茨城

後翅の半分近くが破れてなくなったヒカゲチョウ。
おそらく、鳥のくちばしで突かれて出来た破れ跡である。

この部分には、小さな目玉模様があったはずだ。

それらの破損は、左右対称に認められることが多く、
ビーク・マーク(beak mark)と呼ばれている。

これが、野鳥類が目玉模様に向かって、
攻撃(ついばむ)する証拠とされている。

 


2012年8月28日 小泉潟公園・秋田

こちらも、典型的なV字型のビークマークを付けたクロヒカゲ。

2枚の翅の同一場所が、きれいに破れているので、
おそらく、翅を閉じて静止しているところを、
少し大きめの鳥が、そこにあった目玉模様を狙って、攻撃したのだろう。

あるいは、飛んでいるときに、攻撃されたものかもしれないが、
チョウの飛び方は、翅を大きくはばたき、胴体の上下で翅が合わさるので、
その瞬間を狙われたのかもしれない。

そして、このような状態になって、生存しているということは、
翅の端っこにある(胴体から離れた場所!)目玉模様が、
鳥の攻撃をその部分に誘導し、見事に攻撃から逃れた結果である。

このようなビークマークを付けたチョウは、比較的簡単に捕獲できるため、
その出現頻度をもとに、野鳥類のチョウに対する捕食圧を推定しようとする試みが、
若い研究者によって行われているようだ。

 

 

2番目の特殊な方法も、なかなか面白い戦略であると思う。


下の写真のように、シジミチョウの仲間は、
後翅に尾状突起を持っていることが多いが、
一体どんな意味があるのだろうか?

 


2012年7月3日 小泉潟公園・秋田

まず、先端が白くなった2本の尾状突起が、
まるで触角のように見える。(写真はウラナミアカシジミ)

その付け根にある黒い点は目のように見え、
さらに、翅の裏面にある波状のしま模様が、
その目のような点に集まっている。

 


2012年7月3日 小泉潟公園・秋田

近づくと、後ろの2本の突起を、ゆっくり交互に動かす。
これは、まさに触角の動き方だ!!

鳥のような捕食者は、おそらく、
写真の右手の方向に飛び立つと予測するだろう。

あるいは、頭を一撃で狙う捕食者は、おそらく、
頭部のような黒い点を攻撃するだろう。

もちろん、攻撃されたその部分は、
生存に直接損傷を与えるような急所ではない。

このちょっとした工夫が、結構役に立っていると考えられる。

 


アカシジミ(シジミチョウ科)

2011年7月21日 大沼・北海道

尾状突起を持つシジミチョウの仲間の多くは、
翅の裏面の模様が、尻尾の方へ向かうようになっており、
反対側が頭部のように見えるのだ(写真はアカシジミ)。

 


2010年8月1日 だんぶり池・青森

逆に言うと、尾状突起を持たないシジミチョウには、
そこへ向かうような「しま模様」がないことが多い!!
(写真はゴイシシジミ)

 

同様に、写真はないが、ビワハゴロモの仲間にも、
後端に触角状の突起や目玉模様を持っている種がおり、
着陸する瞬間に、向きを変えて飛翔方向に尾端を向けたり、
垂直の面にとまって頭を下に向けて、
尾状突起を触角のように動かしたりする。

これらは、鳥などの捕食者が予想するのとは、
全く逆の方向に飛びたつことに、意味があるわけであるが、
実際の効果については不明である。

ただ、ずいぶん昔の話であるが、学生時代に読んだ本の中で、
捕食者は、獲物の頭の部分を狙って最初の攻撃を仕掛けるが、
間違えて尻尾の方を最初に攻撃してしまう頻度が数値化されていた。

 

 

3番目の特殊な方法も、興味深いものだ。

人間世界での例え話にも出てくる「トカゲのしっぽ切り」である。
このかなり奇妙な行動が、虫たちにも見られ、自切(じせつ)と呼ばれる。


最も有名なのは、バッタの自切行動である。

ただ、子供のころから、バッタを捕まえて、脚の部分を持つと、
その脚だけを残して逃げてしまうことがあって、
ちょっと気持ち悪いし、あまり後味の良くない印象が残っているのだが・・・

 

写真2579
2010年9月10日 白岩森林公園・青森

多分自切によって、右後脚がなくなったミカドフキバッタ。

実際に、野外でバッタの写真を撮るようになって、
予想以上に、片足のない個体に出会うことが多いことに気付いた。

この行動は、そんなに逃避効果があるのだろうか?

 

このように、自切は、捕食者に襲われた際に、自分の体の一部を犠牲にして、
捕食を回避する行動であるので、自切後の状況も重要である。

つまり、その組織(脚)は再生するのか?
自切後の運動能力は、どの程度ダメージを受けるのか?
交尾行動に影響を与えるのか?
などが、重要なファクターになってくるはずである。

最近では、地元弘前大学の若い研究者によって、
その方面の研究も精力的に行われているので、
機会があれば、このブログでも紹介したい。

 

下の元記事をご覧ください。
↓   ↓   ↓
20120811 どっちが前なの? ウラナミアカシジミ
http://kamemusi.no-mania.com/Entry/270/


 

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