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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

昆虫クイズ【その7】

多分、今回が、最後の昆虫クイズです!!!

実は、何を隠そう(特に隠していた訳ではないが)、
今までの昆虫クイズ【1~6】は、
今回の昆虫クイズ【7】への布石だったのです。

昔から撮りためた写真を整理しながら、
少し強引に選択した「あるシリーズもの」があります。

そのシリーズ公開に向けて、まず、
この最後の昆虫クイズ【7】で、
軽く「!?!?!?」と感じていただければと思います。




 問題です。
昨年夏に撮った下の4枚の写真の昆虫ですが、
通常、カメラを向けると嫌がって逃げ出します。
さて、この子たちは、一体どのようにして、
カメラから遠ざかるのでしょうか?


次の中から選んでください。

  《1》 飛ぶ

  《2》 歩く

  《3》 走る


(⇒⇒ 今回は写真の中にヒントが隠されています)

 

 
【コエゾゼミ】

2010年7月28日 青森・酸ケ湯温泉

普段は、とても写真なんか撮れないセミであるが、
早朝、気温の低いときに、
さりげなく、目の前に休んでいることが多い。



【シラフシロオビナミシャク】

2010年8月23日 青森・だんぶり池 

だんぶり池で見つけた昼間飛ぶ蛾の仲間である。
この子は、夏のある時期には、比較的よく目につく。

 

【エルモンドクガ】

2010年8月11日 秋田・田沢湖

田沢湖畔の街灯の下草で見つけた。
非常に美しい白色の蛾である。

 

【ヒトリガ】

2010年9月8日 青森・白岩森林公園

保護色的な前翅の下には、
オレンジ色のよく目立つ後翅が隠されている。



すぐに答えの分かった方は、クリックしてください。
↓  ↓  ↓
 

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カノコガ交尾中

カノコガは、昼間、活動するヒトリガ科の蛾である。

例によって、だんぶり池でも普通に見つかる。

明るいときに飛びまわるので、
比較的目につきやすいのかもしれない。

 

2010年8月1日、午前6時頃(!!)のことである。

お腹が太くなったメスが葉の裏に止まっていたので、
しばらく見ていると、予想どおり、
どこからともなく、しかも、さりげなくオスがやってきた。

 


 

多分ほぼ一直線に、オスは飛来したと思う。

メスのそばに着地することなく、
すぐさま交尾しようとする。




 

夜間に、性フェロモンを利用して、交尾する蛾の場合、
誘引されてくるオスは、一旦メスの近くに着地することが多い。

カノコガの場合は、昼間交尾することもあり、
オスの触角の形状は、メスと見た目は変わらないので、
少なくともメスの放出する性フェロモンよりは、
視覚でメスを探してきたようであるが・・・・
 



 

メスの後方から、ホバリングしたオスは、
すぐに、そのまま腹を曲げて、交尾体制に入った。

 


 

この写真で、オスとメスのお腹の太さが、
2倍ほど違うのが分かる。

 


 

そして、どちらかというと、
あっという間に、交尾は成立した。
 


というわけで、ハチに擬態してるカノコガ君!!
大変、失礼いたしました。

 今度は、別のカテゴリーでも出演してください。
 

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出たな妖怪! なんか用かい?

全国各地を、車で走り回っていると、
不思議な妖怪たちに、突然出会うことがある。

今回は、そんな妖怪と、それにまつわる噂を紹介する。



【鳥取県の鬼】 

2008年6月25日 鳥取・大山の麓

大山の西側を通ると、ビルの上に鬼が見える。
鬼が島で桃太郎に成敗された鬼が、ここまで逃げてきて、
カッコつけてるらしい。

岡山の桃を積んだトラックが来ると、
上げた足を元に戻して、正座するという噂がある。




【遠野の河童】

2009年4月8日 岩手・遠野

柳田國男の遠野物語に出てくる河童が、
JR遠野駅にたむろしているので、必ず会える。

近くにカッパ淵まで行けば、本物に出会える可能性がある。
しかしながら、そこへは、2度ほど訪れたが、
これほどお勧めはできない場所は、他に見当たらない。

信仰心のない人が行っても、
絶対に会えないという噂があるが・・・




【大町ダムのドラゴン】

2009年5月26日 長野・大町ダム

信州旅行では、比較的よく立ち寄る大町温泉の日帰り湯。

そこから、車で30分ほどで大町ダムに付く。
そこの守護神のようであるが・・・・・

大町温泉に入浴後、25分以内に出会えると、
背中の少年がウインクしてくれるという噂がある。


 

【秋田のなまはげ】 

2009年6月18日 秋田・(元)八郎潟近く

国道13号線を北上していくと、八郎潟の干拓地付近で、
見かける大きな「なまはげ人形」である。

夜遅く、幼い子供を乗せた車がそばを通ると、
突然動き出して、車の前に立ちふさがるという噂がある。


 

【池田湖のイッシー】

2010年1月10日 鹿児島・池田湖

九州最南端の薩摩半島の先端付近に、
池田湖という多少神秘的なカルデラ湖があるが、
そこにオオウナギがいるらしい。

そのオオウナギを餌とする怪獣イッシーがいる。

しかし、これまで一度も嘘をついたことがない人にしか、
見ることができないという噂がある。


 

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日本のキンカメムシ

日本国内で、普通に見ることができるキンカメムシは、
以下の6種類である。
いずれも、南方系の種で、キンキラキンで、
宝石のように輝く、綺麗なカメムシである。

キンカメムシは、死後は色あせてしまうので、
標本を作るより、写真で残しておきたい種類である。


ニシキキンカメムシ

2005年5月8日 福岡・古処山

おそらく日本最美麗種だと思う。
古処山に行けば、多分見られるはずとの噂を聞き、
夫婦で訪れたが、幸運なことに、
初めて行って、見つけることができた。
 


アカスジキンカメムシ

2010年9月24日 茨城・東海村

日本国内で、比較的よく見かけるキンカメである。
写真は終齢幼虫で、不思議なことに、ヒノキの毬果で見つかる。
このまま越冬するようである。

 

アカギカメムシ

2004年1月13日 沖縄・石垣島

冬の石垣島では、特定のアカメガシワの木で集団越冬する。
オレンジ色をベースにしたキンカメムシであるが、
良く見ると、青緑色の金属光沢もある。

 

オオキンカメムシ

2006年2月12日 高知・室戸岬

比較的南方系のキンカメムシであるが、
高知県室戸岬で、やはり集団越冬する。

 

ナナホシキンカメムシ

2003年4月6日 沖縄・与那国島

南西諸島に生息するキンカメムシ。
金緑色の美しい金属光沢をしており、
腹部全体を覆う小楯板には7個の濃紺色の紋がある。
本種は触れても悪臭を放つことはない。

 

ミヤコキンカメムシ

2003年4月5日 沖縄・与那国島

沖縄の固有種といわれている。
前種に似ているが、一回り小さいキンカメムシである。

 

この他に、南西諸島にハラアカナナホシキンカメムシ、
ミカンキンカメムシが確認されている。

おっと忘れていた! キンカメムシ科に属するが、
キンカメという名前が付かないチャイロカメムシという、
非常に(!)目立たないヤツがいた。

大変失礼しました。

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擬態の不思議【3】 隠蔽的擬態

(前項【2】を先にお読みください)

コノハチョウ、ナナフシ、コノハムシ等にみられるように、
自分が他の動物から捕食される可能性がある動物は、
周囲の植物や地面の模様にそっくりな姿をすることで、
攻撃者から発見されにくくすることができる。

このような場合は、【2】で述べた標識的擬態に対して、
目立たなくするための【隠蔽的擬態 Mimesis】と呼ばれる。

しかし、【1】の用語の混乱のところで検討したように、
隠蔽的擬態という用語は、あまり一般的ではないのかもしれない。

一方で、不思議なことに、日本語で単に「擬態」というと、
目立たせるタイプのカバマダラに似せたアゲハチョウや、
ハチに似せたセスジスカシバよりも、
木の葉や枝に似せ、目立たなくするコノハチョウや、
ナナフシの方を思い浮かべる人が、多いのではないだろうか。


ここでは、手持ちの写真の中から一枚だけ、
隠蔽的擬態の見事な例を紹介する。

 
2010年10月8日 ハイイロセダカモクメ だんぶり池 

当然のことであるが、隠蔽的擬態に関しても、
外見が背景によく似ることは必須であるが、
擬態者の行動も重要な意味を持っている。

写真でお分かりのように、ヨモギの花穂に平行になるように静止して、
ようやく【隠蔽的擬態 Mimesis】が機能するのだと思う。

つまり、上のハイイロセダカモクメの幼虫が、
どれだけヨモギの花穂に似ていても、
下の写真のように、葉っぱの上に静止していたのでは、
あまり効果的ではない。

 
2010年10月8日 ハイイロセダカモクメ だんぶり池 

しかし、ここまで過剰な擬態をしなくても、良さそうな気がする。

コノハムシやカレハカマキリも全く同様であるが、
「何でそこまで似せなければならないの?」と思う。

ハイイロセダカモクメのやりすぎ(?)とも思える擬態は、
単純に、突然変異と自然淘汰という図式からは、
ちょっと違った説明が必要な気がする。

実際、全く同じ場所には、下の写真のような、
かなり不完全な擬態をする別種の蛾の幼虫が見つかる。

 
2010年10月14日 種名不詳の蛾の幼虫 だんぶり池 


さらに、近縁種には、よく目立つ蛾の幼虫(毛虫)もいる。

 
2010年10月14日 種名不詳の蛾の幼虫 だんぶり池 

いずれにしても、ハイイロセダカモクメ以外の
すべての幼虫が鳥に喰われてしまうことはないはずである。

このような状況の中では、擬態の効果を確認するには、
やはり統計学的な解析が不可欠であり、
ハイイロセダカモクメ幼虫が、ヨモギの花穂上で、どのような生存率であるのか、
あるいは、同時に発見されるその他の蛾の幼虫はどうなのかを、
詳細に検討しなければならないと思う。《注6

隠蔽的擬態に関しては、あまりにも似すぎているために、
我々は早とちりをして、安易な判断がなされている場合も多い。

本当にそれが擬態として作用しているのかどうかには、
しっかりした観察に基づく慎重な論議が必要であると思う。

一つの例を示そう。

鳥の糞に擬態するクモや昆虫を良く見かける。
これが、【隠蔽的擬態 Mimesis】なのか【標識的擬態 Mimicry】なのか、
議論の分かれるところである。

鳥の糞に似た外見は、それに興味を示す動物はごく稀であり、
普通は【隠蔽的擬態 Mimesis】であるとされている。《注7

これに対し、ハエトリグモの仲間で鳥の糞に似せた場合には、
【標識的擬態 Mimicry】の中の攻撃型擬態と考えられる場合もある。

ある種のチョウやハエは、鳥の糞の汁を吸うために、
糞を目当てに近寄ってくることがあり、
クモが鳥の糞に似た外見を持つことによって、
そのような習性を持つ昆虫をおびきよせて捕まえている、
と考えられたのである。

しかしながら、これは有名な話であるが、
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このクモは、昔は、糞だと判断してよってきた昆虫を食べる、
攻撃的擬態であるとみなされていた。
しかし、現在では、このクモは夜間に網を張って獲物を捕えることわかった。
それでも糞に擬態している可能性は残るわけだが、
実はこのクモは、多くの場合葉の裏側に止まるのである。
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さらに言えば、
木の葉に似た昆虫の化石が見つかった時期(ジュラ紀後期)には、
まだ広葉樹は出現していないとのしてきもあり、
擬態者がモデルよりも新しいとは限らない。
 
広葉樹の葉がモデルで、コノハチョウが擬態者であることは、
間違いないと思うが、これもちょっとだけ不思議である。


以上のように、残念ながら日本では、用語の混乱も含めて、
擬態は、博物学の範囲で語られることが多かった。

しかし最近になって、ようやく擬態を、
生物学の問題として扱う人も増えてきて、
擬態の起源、擬態の効果、進化のしくみ、視覚信号の意味等、
生物進化を知る上で、貴重な実験材料の一つになりつつあるように思う。

 

注6》イギリスの工業黒化したオオシモフリエダシャクを用いた
    ケトウェルの実験が有名である。


注7》鳥のフンに似た昆虫の写真は、日を改めて掲載する予定である。
 

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