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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

・・・・ 寿 命 ・・・・

ここ半年程の間に、生物の寿命について、
あれこれと想いを巡らすことがあった。

その直接的な原因は、昨年11月に愛犬アイン君と、
今年3月に母を、相次いで亡くしたことだ。

いずれも死因は、事故や病気でなく、老衰であった。

自分の力で、食べ物を摂取することが出来なくなって、
本当に枯れるように、逝ったのだ。

 


これって、ちょっとだけ不思議な話だ。

普通の、と言うか、地球上のほとんどの生き物は、
基本的に、寿命(老衰)で死ぬことはないからだ。

 

 


アイン君(0才)

1995年5月?日 徳島市・徳島

単細胞生物は、2分裂で全く同じ個体ができるので、
基本的に寿命という概念はない。

一方の多細胞生物は、ある特定の期間が経過すると、
子孫となる個体を新たに産みだすという方式で、
自らの生命を繋いでいく。

 

 


アイン君(2才)

1997年3月?日 徳島市・徳島

だから、多細胞の動物は、自分の子を産めば、必然的に老化し、
個体が死に至るという「寿命」が存在してしまう。

逆に言うと、子を産んだ親が永遠に生きていては、
むしろ邪魔になってしまうからだ。

 

 

 

アイン君(4才)

1999年3月?日 徳島市・徳島

当然、普通の生物は、老化が進むと、
決して元に戻ることはできない。

ただ、以前もこのブログで紹介したように、
ベニクラゲという海の中の小さな多細胞動物は、
ときどき「若返り」を行うことで、不老不死と言われている。

 

 

 

アイン君(6才)

2001年3月20日 徳島市・徳島

ベニクラゲは、ある程度の期間生存すると、
組織や器官を退化させ、肉の塊のようになる。

その後、その肉の塊は、若いポリプに戻り、若返りを起こすのだ。
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120221/1/

当然のことながら、ベニクラゲは、例外中の例外であり、
今のところ、これができる生物は、他に発見されていないようだ。

 

 


ようやく、ここからが「虫たちの寿命」の話・・・・?

 

 


アイン君(8才)

2003年5月4日 徳島市・徳島

当然のこととして、虫たちの生理的な寿命の長さには、
それぞれの種によって、かなり異なっており、
数ヶ月~1年という長さが一般的である。

虫たちは、老衰で死ぬことはあるのだろうか?

 

 


アイン君(10才)

2005年6月19日 徳島市・徳島

実際に自然状態では、どんな死に方をしてるのか?


手元の資料に、アメリカシロヒトリの生命表データがある。

実験方法の詳細は省略するが、例えば、9528個の卵のうちで、
羽化して成虫にまでなったのは、わずか10個体であった。

アメシロ幼虫の場合には、いわゆる生理死はごく少なく、
ほとんどの個体の死亡要因は、クモ、カマキリ、アシナガバチと
野鳥類による捕食であった。

 

 


アイン君(12才)

2007年7月11日 徳島市・徳島

このブログのテーマの一つでもあるように、
虫たちは、様々な工夫で捕食者から逃れようとするが、
残念ながら、彼らの死亡原因は、
ほぼ全てが、事故死(他の動物の餌)なのだ。

もっと言えば、産卵数の多い虫たちは、
ほとんどの個体が、幼虫時代に、
他の生物に食われてしまう運命にあるのだ。

虫たちの世界では、特別野例外を除いて、
ごく一部の個体だけが、成虫になるのだ。

 


アイン君(14才)

2009年6月16日 谷川岳・群馬

しかし、話はこれでは終わらない。

無事に成虫になっても、それから雌雄が出会って、
交尾・産卵を行わなければならない。

それが無事に済んでからでないと、老衰による死とは言えない。

 

 


アイン君(16才)

2011年6月18日 東海村・茨城

虫たちの老衰死の極端な例を挙げれば・・・

単為生殖を繰り返して増殖するアブラムシ類は、
約10日ほどで成熟し、無翅胎生雌虫を産む。

また、同じカメムシ目に属する、アメリカの17年ゼミは、
土の中で17年間も幼虫として過ごし、羽化すると、
交尾・産卵後はすぐに死亡する。
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130215/1/


おそらく、上記の二つの例では、アブラムシも、17年ゼミも、
定義上は、例外的に「老衰」で死ぬことになるのだろう。

 

 


アイン君(18才)

2012年9月22日 ひたちなか市・茨城

通常の虫たちの場合、無事に(?)成虫になって、
交尾・産卵を終えた個体だけが、老衰で死ぬ権利を得るのだが、
その確率はかなり低いことは、間違いないことだろう。

 


アイン君が死んで、初めて2週間のMMT【注】に出かけた。

途中で立ち寄った鳥海山、八幡平、霧ケ峰、安曇野では、
アイン君と一緒に、虫の写真を撮りながら歩いたことを、
ふと思い出してしまう「ペットロスのおっさん」がいた。

 

【注】懐かしの1960年代、ビートルズが歌っていた、
   Magical Mystery Tour というヒット曲があった。

   学生時代の昆虫サークルでは、
   採集予定をスケジュール表に書き込んでいたが、
   厳密な予定を組まないでどこかへ出かける場合に、
   Magical Musitory Tour(MMT) と呼んでいた。

         
      

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春の珍事?! ⑩ 名前が分からない!!!


さりげなく写真を撮っていると、どうしても、
名前の分からない虫たちが、たまにいる。


写真だけで、図鑑と絵合わせしたり、
ネット上の写真と比べようとしても、
そもそも、何の仲間なのかさえも分からない。

 

例えば、下の写真を見ただけで、
何の仲間か(少なくとも、科レベル?)すぐに分かる人は、
そんなにいないだろう(多分)。

 

 


2014年4月25日 ひたちなか市・茨城

とりあえず、軽く調べてみるが、全く分からない。
サイズは、数ミリ・・・??

ヒゲナガハムシ?、ハムシダマシ?、クチキムシ?、
カミキリモドキ?、ゴミムシダマシ?、キノコムシ?、

 

 


クロボシホナシゴミムシ(オサムシ科)

2014年4月25日 ひたちなか市・茨城

さりげなくギブアップして、
大学時代からの友人(記野直人氏)に写真を送る。

上記の名前のゴミムシのようだ、とのこと。


確かに、葉っぱの先端にいるが、
真っ黒ならば、ゴミムシのイメージだ。

 

ホナシゴミムシ???

初めて聞いた名前だ。

 

 

 

クロボシホナシゴミムシ(オサムシ科)

2014年4月25日 ひたちなか市・茨城

すぐに、ネット上で名前を入力しても、
写真は、一枚もヒットしない。

そんなに、珍品なのか?

 

早速近くの図書館に行って、写真を確認するが・・・

ホナシゴミムシ亜科 Perigoninae (4)
 ホソホナシゴミムシ Perigona (Perigona) sinuata Bates,1883
 カタボシホナシゴミムシ Perigona (Perigona) acupalpoides Bates,1883
 クロボシホナシゴミムシ Perigona (Perigona) plagiata (Putzeys,1875)
 クロズホナシゴミムシ Perigona (Trechicus) nigriceps (Dejean,1831)

 

 


ついでにもう1種!

ほぼ同じ場所で、得体のしれないハムシを発見。

 



2014年4月25日 ひたちなか市・茨城

この子は、ハムシであることがすぐに分かったが、
こんな特徴のある色彩なのに、図鑑には見当たらない。

もちろんネット上の写真にも、当てはまるものはない。

 

新種なのか?

 


フジハムシ黒化型(ハムシ科)

2014年4月25日 ひたちなか市・茨城

写真を送った、前記の友人からの返事。

「多分フジハムシの黒化型でしょう?」

 

そんな・・・emoji

 

 


今回で、10回も続いた「春の珍事」シリーズは終了です。

 

 

    

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春の珍事?! ⑨ コガタルリハムシ幼虫集団


ようやく、だんぶり池も春らしくなってきた。

早春の草木の葉っぱが、出そろって、
いよいよ虫の季節がやってきたのだ。

 


イタドリの葉っぱに、鳥の糞のようなものが・・・・

 

 

何? 鳥の糞??

2014年5月19日 だんぶり池・青森

歩きながら、こんな鳥の糞(?)を見つけて、
しかも、写真を撮ってみようとする人間(?)は、
世の中に、あまりいないだろう(?)。

・・・(?)マーク、多過ぎ!!!

 

 


多分コガタルリハムシ幼虫(ハムシ科)

2014年5月19日 だんぶり池・青森

近づいて、よく見ると、小さな幼虫の集団だった。

食草や季節から考えても、おそらく、
これは、コガタルリハムシの孵化幼虫だろう。


念のため、似たような写真をネットで探してみたが、
全く出てこない・・・


成虫や老熟幼虫の写真は、結構ヒットするのに・・・

 

 

 

多分コガタルリハムシ幼虫(ハムシ科)

2014年5月19日 だんぶり池・青森

葉っぱを少し揺すってみると・・・

ちょっとだけ、焦ってる?

 

 


多分コガタルリハムシ幼虫(ハムシ科)

2014年5月19日 だんぶり池・青森

近くの葉っぱに別の大集団!!!

産卵直前の雌成虫のお腹は、
以前紹介したクルミハムシのように、
かなり膨らんでいるようだが、
本当に、これで1卵塊分なのだろうか?・・【注】



 


多分コガタルリハムシ幼虫(ハムシ科)

2014年5月19日 だんぶり池・青森

さらに、別の集団発見・・・

雰囲気的に、孵化直後の集団ではなさそうで、
一体何故、こんなに折り重なるように、
集まっているのか、ちょっとだけ不思議だ。

 


こんな状態で、葉っぱを食べ続けるには、
あまりメリットがなさそうだが・・・

⇒このまま、連続して観察を続けたいのだが、
 翌日から、2週間の予定でMMTに出かける。
 来年の同時期まで、楽しみにとっておこう。





でも、予測はできる???


 


コガタルリハムシ幼虫(ハムシ科)

2014年4月23日 ひたちなか市・茨城

こちらは、茨城で撮った、コガタルリハムシの終齢幼虫・・・

青森と茨城では、産卵時期が1ヶ月ずれているようだ。

 


【注】ハムシの仲間の雌は、産卵前に大きく膨らむ場合がある。
   しかも、その膨らみ具合は、半端ではない。
   クルミハムシの衝撃的な写真を、是非ご覧下さい。
   ↓  ↓  ↓
   http://kamemusi.no-mania.com/Date/20100911/1/





追記(2014年6月23日)

約2週間後に、同じ場所のイタドリの葉っぱの状態を確認したが、
まったくの予想外であったが、成長した幼虫を見つけることはできなかった。

詳細を別記事にしたので、ご覧ください。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20140623/1/



      

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春の珍事?! ⑧ エサキモンキツノカメムシ


エサキモンキツノカメムシは、以前、
背中に、大きな黄色のハートがあるツノカメとして紹介した。
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20131109/1/

 

背中の黄色の紋がハート型になっていない、
ただのモンキツノカメムシという種類もいるが、
こちらは、珍品のようで、私も写真を撮ったことがない。


そんな珍品が、だんぶり池にいた????


 


モンキ? エサキモンキ??

2014年5月11日 だんぶり池・弘前

これは!!

背中の紋が、確かにハート型ではないぞ!

 

 


モンキ? エサキモンキ??
9593
2014年5月11日 だんぶり池・弘前

ついに、モンキツノカメが撮れたのか!?

 

 

しかし、・・・・

 

 

エサキモンキツノカメムシ(ツノカメムシ科)

2014年5月11日 だんぶり池・弘前

残念ながら(!?)、これが噂の・・・

マル紋型のエサキモンキツノカメのようだ。

 


実は、黄色の紋が「ハート紋」か「まる紋」かだけでは、
厳密に両種を識別することはできないのだ。

マル紋なのに、エサキモンキツノカメの場合があるのだ。
(多分逆のパターンはない)

 

 


エサキモンキツノカメムシ(ツノカメムシ科)

2014年5月11日 だんぶり池・弘前

基本的には、前胸背側角(ツノ)の形状で見分けるようで、
モンキツノの方が、エサキモンキより長く張り出している。

逆に、先端部の形状は、エサキモンキの方が尖っており、
長く突出するモンキの方が、丸みを帯びている。

私にはは、前胸背の色が褐色か緑色かで区別しやすい。
エサキモンキが褐色で、モンキツノが緑色なので、話は簡単だ。

ただし、これは、どうも正式な同定法ではないらしい。


さらにマニアックな同定法がある。
触角第1節と2節の長さが等しいか、
わずかに1節の方が長いのが、エサキモンキツノカメムシで、
第2節の方が明らかに長いのが、モンキツノカメムシである。

 

 


 
エサキモンキツノカメムシ(ツノカメムシ科)

2013年9月17日 ひたちなか市・茨城

こちらが、別の場所で撮った、
通常のハート型のエサキモンキツノカメ。


確かに、紋の形状以外の違いは見当たらない。

 

 

・・・・一応、春の珍事?!

      


 

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春の珍事!? ⑦ トゲヒゲトラカミキリ


これまで、何度も紹介してきたように、
姿かたちがアリに似た虫たちは、予想以上に多い。
↓  ↓  ↓
アカネカミキリ: 
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120611/1/

マツシタトラカミキリ: 
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120704/1/

アリグモ: 
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20140322/1/

アリグモ幼体: 
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20140322/1/

 


ところが、姿かたちはそうでもないが、
動き方(歩き方)が、アリにそっくりなカミキリがいる。

もちろん、上で紹介したアリに擬態する虫たちも、
多少とも、動き方はアリに似せているが、
今回のトゲヒゲトラカミキリは、それ以上に、
ほぼ完璧に、歩き方がアリなのだ。

 

 

 

トゲヒゲトラカミキリ(カミキリムシ科)

2014年4月28日 大多喜町・千葉

今回の掲載写真は、いずれも大きく拡大されているので、
誰が、どう見ても、カミキリにしか見えないのだが・・・


実際は、この子の体長は10mm前後で、
クロオオアリとほぼ同じサイズなのだ。


少し早足で歩いては、何かを探すように立ち止まり、
触角で葉っぱを叩いたり、方向転換を頻繁に行う。

ここまで、動きがアリに似せている例は、他に思いつかない。

 

 

 

トゲヒゲトラカミキリ(カミキリムシ科)

2014年4月28日 大多喜町・千葉

場所は、房総半島の大多喜町にある有名なハーブ園。

この時期、沢山の種類が栽培されているハーブの葉っぱ上を、
沢山の(本物の!!)クロオオアリが歩き回っていた。

このハーブ園の一角で、おそらく、
数10個体のクロオオアリを見ていると思う。

 

 

 

トゲヒゲトラカミキリ(カミキリムシ科)

2014年4月28日 大多喜町・千葉

だからこそ、この衝撃は大きかった。

もう一度、今まで見たアリを、最初から見直したいほどだ!!!


ちなみに、同行した妻と娘に、
葉っぱの上を歩いているのを見せて、
「このムシな何だ?」
と聞いてみたら、間髪を入れずに、
「アリじゃないの!!!」
と答えた。

私が間違えたのだから(?)、当然の結果だ。

 

 

 

トゲヒゲトラカミキリ(カミキリムシ科)

2014年4月28日 大多喜町・千葉

今思えば、本当に動画を撮らなかったのは、
・・・・・残念で仕方がない。

    


 

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