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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

鳥のフン擬態

いつかは紹介しなければと思っていた「鳥のフン擬態」である。

当然、これから紹介する写真は、
すべてトリのウンコ(のよう)である。

しかし、これがなかなか興味深い!!
何故、虫は鳥のフンに擬態するのか?

昆虫類が、鳥の糞に擬態するのは、
以前紹介した「標識的擬態」なのか「隠蔽的擬態」なのか、
議論の分かれるところである。

↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110114/1/ 


カメラ片手に、林道を歩いていると、
意外なほど頻繁に、鳥の糞やそれに良く似たものに出会う。
 

まずは、以下の写真をご覧ください。


蛾の幼虫(種不明)
 
2010年10月8日 だんぶり池・青森

実は、この写真を撮った日は、小雨模様で、
弘前では、10月になると気温がぐんと下がり、
肌寒さを感じるくらいであった。

最初は、本当に鳥のフンだと思った。
普通はこんな恰好で静止していることはないだろう。

すぐ近くには、越冬前のアマガエルが沢山いたが、
この幼虫は、全く食べられる気配がなかった。

実物の鳥のフンの写真も載せれば良いのだが・・・
お食事中の人もいるかも知れない。

まあ、どっちにしても、こんな感じである。

 

オジロアシナガゾウムシ(ゾウムシ科)
 
2010年8月11日 小岩井農場・岩手

こちらは、ゾウムシの仲間である。

静止している状態で、全ての足は体の下になっている。
こうすれば、自分が鳥のフンに似ることが、
分かっているのだろうか?

一番の問題は、この姿が、
目立つのか? 
目立たないのか? 
である。

 

 

蛾の幼虫(種不明)
 
2010年8月12日 だんぶり池・青森

この幼虫も、どう見ても鳥のフンである。

いつも、こんな感じで静止しているのだろうか?
それにしても、リアルである。

いろんな生物を見たときに、「これは何かに似ている」と、
ふと感じてしまう例は数多い。

人間が考える擬態とは、最初は、ここから始まったのだろう。

しかし、この問題が、誰でも簡単に想像できるので、
しかも、面白くて、取っつきやすいために、
安易な判断がなされている場合も多い。

まあ、もともと擬態とは、そういうものであるのだが・・・

 

 

クロヒラタヨコバイ(ヨコバイ科)
 
2011年5月31日 だんぶり池・青森

この子も、上の種類とは、イメージが違うが、
ぼんやり歩いていると、小さな鳥のフンのように見える。

ただ、本当にそれが擬態なのかどうかについては、
しっかりした観察(?)が必要である。

この点は、保護色や警戒色などについても同様であり、
これまでに、トリノフンダマシというクモの例を待つまでもなく、
後に誤りであったと判断された説は、さりげなく多い。

 

 

ユウマダラエダシャク成虫(シャクガ科)
 
2010年8月1日 だんぶり池・青森

これまで、やや否定的とも思えるコメントが続いたが、
この子の場合には、はっきりと、意見が分かれると思う。

確かに、このような状態に見える水鳥(?)のフンもある。

肯定的に考えるひとつの根拠は、この子が昼間活動する蛾で、
しかもこのように、葉っぱの上に目立つように、
さりげなく静止していることが多いからだろう。

 


成虫になると、キンキラキンのアカスジキンカメムシの幼虫も、
何を隠そう、見方によっては、鳥のフンに見えるのである。

アカスジキンカメムシ幼虫(キンカメムシ科)
2011年5月27日 白岩森林公園・青森

この子も、葉っぱの上に、
比較的良く目立つように静止している。

こうなると、白と黒の模様の虫で、
比較的目立つように静止しているものは、
全て鳥のフンに見えると言っても過言ではない。

そんな馬鹿な・・・・・

 

さりげなく、最初の疑問に戻ろう!

鳥のフンに似た外見を持つ虫たちは、
目立つような「標識的擬態」なのか、
目立たなくするような「隠蔽的擬態」なのか、
一体どっちなんだろうか?


地面に並行に広がる大きな葉っぱの上には、
枯れ枝や花の残骸など、色々なものが落ちている。

確かに、その中に紛れ込んでいると、
鳥のフンのような虫は、隠蔽的擬態であるような気もする。

しかし一方で、少なくとも、虫を探しながら歩く人間には、
葉っぱの上の鳥のフンは、よく目立つ。
同じく、虫を探しながら飛ぶ(歩く)鳥や動物にも、
よく目立つのだろうが、おそらく彼らの関心を引くことはないだろう。


つまり、捕食者が必死で探す虫(餌)のリストから、
食べられない鳥のフンとして、とりあえず外されることは、
かなり大きい防御手段になっていると言えるのではないだろうか。

明らかに食べられないものとして、よく目立つ方が、
むしろ目立たないが、食べられるもの(虫)よりも、
生存上、有利なのかもしれない。

だから、私は「鳥のフン擬態」は、
標識的擬態に分類した方が良さそうな気がする。

 

 

最後に、下の2枚の写真をご覧ください。


クワコ幼虫(カイコガ科)
 
2011年6月23日 だんぶり池・青森

言ってみれば、野生のカイコであるが・・・・
 


これは何だ!!
 
2011年6月1日 白岩森林公園・青森

お食事中の方、すいません!?   ⇒(そんな人はいない・・・)
 

 

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早春に咲く花⑧/⑧

今シリーズ最後は、早春の木の花(つづき)である。

木の花は、草本類の花とは違う趣がある。
その花に通う虫たちも、その虫を食べに来る捕食者たちも、
良く見ていると、なかなか面白い。

まあ、昆虫採集マニアにとっても、捕食者にとっても、
木の花は、さりげなく貴重な存在なのである。


ただ、かなり不思議なことに、
今回紹介する春の花は、
少なくとも昆虫マニアにとっては、
あまり面白味がない。

  

タムシバ(モクレン科)
 
2011年6月8日 八幡平・秋田

漢字で書くと「田虫葉」となるらしい。

八幡平の大沼周辺の遊歩道そばに、沢山咲いていたが、
ほとんど虫の姿は見かけなかった。

 
 

ギンヨウアカシアの花(マメ科)
 
2010年3月22日 夢の島公園・東京

葉が銀色のアカシアだそうで、
夢の島公園では、この日満開の花を見ることができた。

例によって、訪花昆虫を探したが・・・・


 

キングサリの花(マメ科)
 
2010年6月3日 弘前市・青森

小さい鉢植えなどもあるが、これだけの大木は珍しい。

しかし、虫が来ない!!

 


ウワミズザクラの花(バラ科)
 
2010年5月30日 白神山地・青森

弘前市内から少し山に入ると、
比較的良く見かける。

遠くでは、これが桜か・・と思うが、
近くで良く見ると、まあ桜である。

虫はいない。

 


キブシの花(キブシ科)
 
2010年5月30日 白神山地・青森

だんぶり池に多いが、花には虫が少ない。
むしろ、もう少し経過してから、
果実にカメムシが訪れるようだ。

 

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早春に咲く花たち⑦/⑧

ネットで調べてみると、狭義のスプリング・エフェメラルとして、
日本産で代表的なものは、以下のようなものがあるらしい。

このシリーズで紹介できたのは、予想外に少ない。


キンポウゲ科
キクザキイチゲ・ユキワリイチゲ・アズマイチゲ・
イチリンソウ・ニリンソウ・フクジュソウ・セツブンソウ

ケシ科
エゾエンゴサク・ヤマエンゴサク・ムラサキケマン

ユリ科
カタクリ・ショウジョウバカマ・ヒロハノアマナ・バイモ類


そして、今回と次回は、木の花である。
もちろん、スプリング・エフェメラルとは全く無関係・・・・

 

ネコヤナギ(ヤナギ科)
 
2010年5月18日 酸ケ湯温泉・青森

早春を代表する木の花だと思うが、
青森・八甲田周辺では、5月になってから咲く。

どことなく懐かしい雰囲気を持った花である。

 
 

ヒメアオキ雄花(ミズキ科)
 
2010年5月16日 梵珠山・青森

雪解け後の緑があまりない時期に、
良く見ると沢山見かけるが、
おそらく「地味な花の代表」と言って良いだろう。


 

アケビの花(アケビ科)
 
2010年5月15日 弘前市・青森

毎年、アケビコノハが産卵しに来るのを待っている。
というか、幼虫の食痕を探すだけであるが・・・

 


トチノキの花(トチノキ科)
 
2010年5月30日 白神山地・青森

遠くの山が、真っ白に見えるのも良いが、
近くで見るのも、さりげなく良い。

 

ムシカリの花(スイカズラ科)
 
2011年6月8日 八幡平・秋田

良く似た花が多いが、今回は、間違いない。
木に、名前の付いた看板がぶら下がっていた。

 

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早春に咲く花たち⑥/⑧

今回から、ただの「早春の花」になるだろう。

でも、何となく好きな花ではあるが・・・

さりげなく、SEL1【★☆☆☆☆】としておく。

 

ナノハナ(アブラナ科)
 
2009年3月27日 西伊豆・静岡

最も(?)一般的な早春を代表する花であると思う。
特に、菜の花畑と言われるような一面の黄色は、見ごたえがある。

まずは、ナガメがいるかどうかを探してしまうが・・・

しかし、植物油の原料として大量に栽培されているのは、
ほとんどが別種のセイヨウアブラナであるらしい。

在来種のアブラナは野菜として生産され、
開花前に収穫されてしまう事が多い。

 
 

ヘラオオバコ(オオバコ科)
 
2009年5月16日 岩木山・青森

この花も、一種独特の雰囲気を持っている。

葉っぱは、普通のオオバコのようだが、写真のように、
その上へ茎を幾本もひょろひょろと伸ばして、
花の穂をつける。

 
 

ミヤマキケマン(ケシ科)
 
2009年5月16日 梵珠山・青森

弘前市周辺の日当たりのよい、広葉樹林縁部などに、
普通に生育する。

あまり虫が寄り付かないという印象がある。

 


ウシハコベ(ナデシコ科)
 
2010年6月1日 弘前市・青森

ハコベ(ハコベラ)に似ていて大きいことから、
この名前になったらしい。

花は春に多いが、弘前市内でも、年中見られる。

 
 

コバンソウ(イネ科)
 
2009年5月22日 大山・鳥取

コバンソウは、イネ科の普通に見られる雑草の一つで、
小判に似た形の小穂をつけることから名付けられた。

今まで、全く見過ごしていたが、
こんな花もあったんだという感じである。

 

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早春に咲く花たち⑤/⑧

ここまでくると、だたの「春の花」である。

あまりにも、どこにでも見られるので、
雑草というイメージが強く、
スプリング・エフェメラルという言葉は、とても浮かんでこない。

でも、やっぱり、「待ち遠しい春が来たんだ」と感じる花ではある。

さりげなく、SEL2【★★☆☆☆】としておく。

 

フキノトウ(キク科)
 
2010年4月8日 奥薬研温泉・青森

ちょっとした山道では、道路沿いにどこでも見られる。
どちらかというと、用水路周辺などの
やや湿った環境に多いように感じるが・・・

弘前に来たころ、珍しがって必死に山菜採りをしたが、
スーパーで一個15円程度で売られていたので、
ちょっとがっかり。

 


オオバキスミレ(スミレ科)
 
2010年5月16日 梵珠山・青森

昨年の春、初めて梵珠山周辺の散策路を歩いたが、
このような黄色いスミレがたくさん咲いていた。

オオバキスミレの仲間であることは、分かったのだが、
黄色のスミレは珍しいものと錯覚していた。

スミレの世界は奥が深い・・・・

 
 

オダマキ(キンポウゲ科)
 
2010年5月16日 弘前市・青森

よく見ると、かなり奇抜な形状の花である。

山野で普通に見られるのは、日本原産のミヤマオダマキと、
ヨーロッパなどが原産の西洋オダマキ(園芸種が多いらしい)がある。

弘前市内の多くの家の庭にも見られ、白から紫まで数段階の花の色がある。

 
 

トキワイカリソウ(メギ科)
 
2010年5月16日 梵珠山・青森

この花の形も、一種独特のものであるが、
イカリ以外に、何か別の形に見えなかったのか?

私の行動範囲の中では、あまり多くないようで、
写真が撮れたのは、この一枚だけある。

 


コンロンソウ(アブラナ科)
 
2010年5月31日 白岩森林公園・青森

雪のように白い花が、中国の崑崙(コンロン)山に、
雪が降り積もる様子に由来したらしいが、
日本でも、比較的良く見かける花である。
 

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