忍者ブログ

ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

ちょっとだけ綺麗な虫たち クモなのか?


個人的には、捕食者としてのクモしか興味がなかったが、
写真を撮るようになって、改めてクモを間近に見ると、
予想外に、美麗種がいることに気付く。


 ⇒さすがに、左欄のカテゴリーを、
  昆虫の種類にすることはできない???

 

今回の写真で、無意味な「クモ嫌い」を解消!!!

 

 


ワカバグモ雄(カニグモ科)

2011年6月5日 だんぶり池・青森

この微妙な色合いと、静止姿勢は秀逸だ。

雌は明るい緑色なのだが、雄は日本的(?)な美しさだ。


前の2対(4脚)は、根元が紫紺色で、先端が薄緑色なのに、
後の4脚は、何故かその逆である。

しかも、その静止している場所は、葉っぱの先端部で、
誰も、彼の彼の背後を、そっと通り過ぎることはできない!!!

 

 

 

 

ウロコアシナガグモ(アシナガグモ科)

2012年6月7日 芝谷地湿原・秋田

まるで単色のステンドグラスのような腹部の模様が素晴らしい。

緑色と薄緑色の組み合わせで、こんな雰囲気の模様は、
もしかしたら、昆虫類にはないかもしれない。

 

 

 


多分カバキコマチグモ(ツチフクログモ科)

2014年6月4日 猿羽根山・山形

半透明(?)の長い脚が、独特の雰囲気を持っている。

黒と赤と黄色の3食葉、警戒色の典型だが、
他の昆虫類に見られるような毒々しさは全く感じない。

いわゆる警戒色ではないのかもしれない。


この姿勢は、おそらく、お尻から糸を出して、
空を飛ぶ前兆なのだろう・・・?

 

 

 

 

アズチグモ(カニグモ科)

2012年8月20日 東海村・茨

薄紫色の花(多分園芸種のスミレ?)で見つけた白い雲(?)。

 ⇒パソコンの漢字変換ソフトは、
  「しろいくも」と打つと、これしか出ない!

  ・・・・でも、訂正はできるだろうemoji


白さの感じは、腹部と頭胸部とは微妙に違う。


この静止姿勢は、ちょっとだけ不思議だ。

これでは、花の上を歩く小昆虫を、
待ち伏せしているようには見えない。

花に飛んでくる小さな虫を待ってるのか・・・

 

 

 


サツマノミダマシ(コガネグモ科)

2012年8月7日 小泉潟公園・秋田

腹部がきれいな緑色のクモ。

何故、こんな名前がついたのだろうか?

 ⇒もちろん、「薩摩ノミ騙し」ではない?


ネット情報では、その姿がハゼノキの果実に似ており、
これが、京都府や福井県の一部で「サツマの実」と呼ばれるので、
サツマノミダマシと名付けられたようである。


 ⇒えっ!! ハゼの実????

  小さな実が、房のようになるイメージしかない。

  サツマノミダマシは、一度にこんなに沢山は、
  絶対に見ることが出来ない珍品ではないのか?

 

  

 

     

拍手[17回]

PR

ちょっとだけ綺麗な虫たち 小さな蛾


昼行性の蛾の仲間は、チョウに負けず、美麗種が多い。

特に、比較的小型の蛾の場合には、
もっと大きかったら大人気になるだろう(?)、
そんな雰囲気の種類が、さりげなくいるのだ。

 

ただ、野鳥類の餌としてのサイズ的な問題からか、
いわゆる警戒色の範疇には入らない種類がほとんどである。

 

 

 

オオギンスジハマキ(ハマキガ科)

2012年6月8日 だんぶり池・青森

オレンジ色と銀色の絶妙の組み合わせ。

初夏のだんぶり池で、昼飯の弁当を食っていたら、
ふと目の前に飛んできたので、すぐに分かった。

やっぱり、よく目立つ配色だ。

 

 

 


アオスジアオリンガ(コブガ科)

2014年8月19日 木賊峠・山梨

この子は、春型の雄で、何故か逆さに静止している。


 ⇒君は、人面カメムシか??!!

 

ちょっとだけ不思議なことに、常夜灯で良く見かける雌は、
全体がうす緑色なので、見た目は別種のようなのだ。

【不思議な緑色の虫たち② アオスジアオリンガ】
 ↓   ↓   ↓
 http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120131/1/

 

 

 


クロモンベニマルハキバガ(マルハキバガ科)

2014年5月31日 筑波山・茨城

小さい蛾にしては、複雑な模様だ。

名前の由来となった黒い紋が、重要なアクセント?


幼虫は、ミズキの枯れ枝を食べるとされている。

 

 

 


クロスジノメイガ(ツトガ科)

2010年8月21日 だんぶり池・青森

オレンジ色の地に、黒い線があって、よく目立つ

葉っぱの表面でさりげなく(?)交尾中だが、
撮影は、早朝のだんぶり池である。

もちろん、付近に常夜灯はない。


明け方に、交尾するのだろうか?

 

 

 


ギンモンシマメイガ(メイガ科)

2012年6月30日 上州武尊山・群馬

この子は、常夜灯に来ていて、帰りそびれたようだ。


軽く調べたネット情報では、
幼虫が、スズメバチ科のハチの巣そのものを食ベるらしい。

ただ、幼虫がどのような経緯でハチの巣の中に潜入できるのか?

おそらく、成虫がハチの巣の中か、周辺部に産卵するのだろうが、
時期や方法など、まだ謎が多いようで、おそらく、
この子は、比較的珍品なのであろう。

 


というわけで、「警戒色とは無縁の小さな蛾たち」でした。

    





拍手[20回]


ちょっとだけ綺麗な虫たち ヒトリガの仲間


昼行性の蛾の仲間には、チョウに負けず、美麗種が多い。

体内に不味成分を持つマダラガの仲間が、その代表であるが、
他にも、地味な(?)存在ながら、派手な模様を持つ種がいる。


今回のヒトリガの仲間は、良く知られているように、美麗種も多い。

どちらかと言うと、警戒色になるのかもしれない(?!)、
そんな雰囲気の色彩と模様の種がいるのだ。

 

つい最近、虫たちの親子シリーズで、ヒトリガ科の2種を紹介したが、
いずれも、幼虫時代に微妙な有毒植物を食べているので、
成虫もその成分を引き継ぎ、鮮やかな警戒色であった。
↓    ↓    ↓
スジモンヒトリ: http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150326/1/
ヒトリガ:    http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150329/1/

 


今回は、ヒトリガ科のファイルにある写真の中で、
まだ幼虫が同定できない美麗種が少なからずいるので、
「虫たちの親子シリーズ」とは別に、まとめて紹介したい。

 

 

 

アカスジシロコケガ雄(ヒトリガ科)

2014年8月19日 木賊峠・山梨

この赤と白の配色は、シンプルだが、素晴らしい。

アクセントの黒い点は、左右に2個ずつあるのが雄で、
1個ずつしかないのが雌である。


幼虫は、ものすごいケムシのようだが、
その名のとおり、地衣類などを食べるので、
餌に由来する有毒物質は待たない。


当然、成虫も無毒のはずだが、
何故こんな目立つ色彩なのだろうか?

 

 

 


スジベニコケガ(ヒトリガ科)

2012年6月21日 道の駅みしま・福島

オレンジ色の地に、赤色の細かい筋模様と黒色の点が配列されるが、
この模様には、かなり個体差があるようだ。


幼虫は、サクラなどの樹皮に着生するウメノキゴケなどの地衣類を食べる。

前種と同様に、無毒と考えられるが、この色彩は目立つ。

 

 

 

 

ヨツボシホソバ雄(ヒトリガ科)

2013年7月22日 志賀坊森林公園・青森

雄の場合は、全身が黄色っぽいだけの雌と違って、
ものすごい配色である。

このように、頭と胸が鮮やかなオレンジ色で、
何と脚が青藍色の金属光沢があるのだ。


雌は、灯火で良く見かけるが、何故か、
雄には、ほとんど出会うことはない。


上のコケガ類と同じように、幼虫は地衣類を食べるが、
この体色は、明らかな警戒色だ。


野鳥類は、捕食するのだろうか?

 

 

 


シロヒトリ(ヒトリガ科)

2012年8月1日 志賀坊森林公園・青森

真っ白で、比較的大きな蛾である。

翅を広げると、脚と腹部の側面は赤い。


幼虫の食草はスイバ、ギシギシ、イタドリ、タンポポなどで、
一応これらは、微妙な有毒植物である。

幼虫には、毒針毛はなく、触っても大丈夫なのだが・・・

 

 

 

 

ヒメキシタヒトリ北海道亜種(ヒトリガ科)

2014年7月5日 層雲峡・北海道

ネット情報では、産地によって4亜種に分かれるようで、
上の写真の子は、北海道で撮ったので、間違いなく北海道亜種だろう。

模様の白色部分が多い(太い?)のが、特徴のようだ。

幼虫の形態および餌植物は、不明とのことで、おそらく珍品なのだろう。


白黒の模様で、こんな雰囲気の蛾は少なくないので、
おそらく警戒色ではない可能性が高いと思われる。

 

 

 

という訳で、今回の5種のヒトリガ科の蛾は、
いずれも警戒色であるとは断定できないのだが、
捕食者が食べるのかどうかは、不明である。


 ⇒私の想像では、捕獲すれば食べるかもしれないが、
  「やっぱりマズイ!、出来れば、次からは食べるのは止めよう!!」
  と感じているのではないだろうか?

 

後日、微妙な有毒植物とそれを食べる虫の体色との関係を、
まとめて紹介する予定です。

     

 


 

拍手[17回]


ちょっとだけ綺麗な虫たち ハバチ類


ハチに対しては、嫌いというほどではないが、
どうも、あまり良いイメージはない。

あまり刺されたことはないのだが・・・


黄色と黒の警戒色っぽい色彩が多いし、
種の同定がややこしいからだろうか?

 

こんな前振りでは、先が見える???

 

 


ただ、ハチの仲間でも、特にハバチ類には、
色彩に変化が多く、美麗種が多いのだ。

 

 


キムネコシボソハバチ(ハバチ科)

2012年6月14日 白岩森林公園・青森

黄色と黒色の縞模様は、本当によく目立つ。

名前にケチをつけるつもりはないのだが、
この子は、ムネは黒色部分が多いし、
コシはそんなに細くない。


昔は、広腰亜目と呼ばれていたハバチ類だが、
多少とも、腰の部分が狭くなっているかも・・・

ギリギリのところで、ベイツ型擬態なのだろうか?
 

 

 

 


多分セマダラハバチ(ハバチ科)

2012年6月3日 白岩森林公園・青森

この子は、完全な黄色ではなく、どちらかというと、
うす緑色が、葉っぱの色に負けていない気がする。

セマダラハバチの仲間は、近縁種が多いので、
写真だけでの同定は、難しいのだが・・・

 

こんな、か弱い雰囲気なのに、
自分と同じくらいの大きさの虫を捕獲して、
ガリガリと食べているのだ。


 ⇒下に、切り落とされた犠牲者の頭部が!


ハバチの成虫は、基本的に肉食なのだ。

 

 

 


モンキハバチ(ハバチ科)

2012年6月27日 白馬岳山麓・青森

この子は、オレンジ色に近い黄色で、
翅も同じような色合いなので、
葉っぱの上で、良く目立つ。

近縁種はいないようで、同定は間違いないかも・・・


ハバチの仲間は、雌でも人を指すことはないので、
安心して手で触れるが、ハバチでない場合もあるので、
むやみに手で掴まない方が良いうだろう。

 

 

 


クロムネアオハバチ(ハバチ科)

2014年5月30日 荒船山山麓・群馬

この子のうすい青緑色は、なかなか良い雰囲気を出してる。

東北の5~6月は、新緑の綺麗な季節だが、
それにさりげなく調和(?)したハバチが結構見られる。


 ⇒名付けて、新緑のハチ??


でも、これで肉食系とは、ちょっと不思議?!

 

 

 

ルリチュウレンジ(ミフシハバチ科)

2012年9月25日 東海村・茨城

ハチの仲間で、金属光沢を持つ種類は、
おそらく、あまり多くないだろう。

幼虫は、有毒ツツジの葉っぱを食べるので、
おそらく成虫も、野鳥類に食べられることはない。


お気づきのように、この金属光沢の雰囲気は、
前回のブログで再掲したヒメツチハンミョウにそっくり・・・

 

もしかしたら、ツチハンミョウの仲間とミュラー型擬態??
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110504/1/

 

 ⇒ハバチに対するこれまでのイメージが、
  ちょっとだけ変わった・・・・ 




 

    

拍手[17回]


千載一遇!? マルクビツチハンミョウの交尾

 
 タイトルにあるように、非常に珍しい写真が撮れた。

・・・とは言っても、撮影者は「私の娘(次女)」だ。


だから、このブログ始まって以来の、
「自分で撮ったものでない写真」を、
さりげなく2枚も使用することになる。


この写真が、どれほど貴重なものなのかは、
今のところ、全く分からないのだが・・・

 

 


マルクビツチハンミョウ(ツチハンミョウ科)
 
2015年3月31日 御前山・茨城

越冬明け直後のような雰囲気の雌雄だが、
2匹は、間違いなく交尾している。

急に暖かくなって、雄と雌がほぼ同時に、
やわらかい土(?)のようなところから這い出してきて、
すぐに交尾相手を見つけたのだろう。


こんな早春に交尾するんだ!?

 

撮影場所の御前山自然公園は、
茨城を訪れると、必ず立ち寄りお気に入りの場所で、
実は、撮影日の10日前に私も行ってみたのだが、
まだまだ、虫の写真が撮れるような雰囲気ではなかったのだ。

 

 

 

 


マルクビツチハンミョウ(ツチハンミョウ科)
 
2015年3月31日 御前山・茨城

最初に写メールで送られてきた写真では、
多分ヒメツチハンミョウだと、娘には返信したのだが・・・

後日パソコンに送ってもらった元サイズの写真を見ると、
右側に写っている雄の触角に、特徴的な膨らみが見られないので、
おそらくこの子は、マルクビツチハンミョウだろう。

 


特異な姿かたちのツチハンミョウの仲間は、
昔から、カンタリジンを体内に持つ有毒昆虫として知られている。

当然のこととして、捕食者に食われることはなく、
良く目立つ警戒色(金属光沢)の虫ではある。


この条件だと、ベイツ型擬態のモデルになる可能性がある。

 

 

 


ついでなので、ヒメツチハンミョウの写真を再掲。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110504/1/

 

ヒメツチハンミョウ雄(ツチハンミョウ科)
 
2010年9月27日 一の瀬園地 長野

雄なのに、まるで妊娠しているように膨らんだお腹、
全く飛ぶことが出来ないと思われる小さな翅、
ありえないところがハート型に膨らんだ触角、
全ての体の部分が同じ金属光沢のある青色、


これだけ見ても、この子は、
「かなり不思議な雰囲気」を持っている虫である。

 

しかも、ツチハンミョウの仲間は、
以下のような「ミラクルな生活史」なのだ。


1)まず、ツチハンミョウの雌は、4000以上の卵を産む。
  この数は、通常の昆虫の産卵数ではない。

2)そして、春先に孵化した1齢幼虫は、アザミなどの花によじ登る。
  自分で花の蜜を吸うためではない。
  ハナバチが蜜を吸いに来るのを待つのである。

3)運良くハナバチが来ると、強靭な大あごと肢の爪で、
  ハナバチの毛にしがみつき、その巣にたどり着く。

4)運悪くハナバチの雄にしがみついてしまった場合、
  交尾したときに、雌の体に飛び移るという。

5)巣の中に入った1齢幼虫は、そこで、ハナバチの卵を食べる。

6)そして、脱皮した2齢幼虫はなんと、イモムシ状になり、
   今度は、蜜の上に浮いて蜜を食べる。

7)その後、3齢幼虫になると、また体型が変化し、
  ほとんど動かないサナギにそっくりの擬蛹になる。

8)さらに、擬蛹の中で、またイモムシ状の4齢幼虫になり(逆戻りの変態)、 
  まもなく通常の蛹となって、ついで写真のような成虫となる。

9)成虫は林床や草地を徘徊し、苔などを食べているといわれる。

 

 

どうして、雌成虫は、子供(幼虫)の為を思って、
直接ハナバチの巣に産卵しないのだろうか?

その方が、自分の子孫も残しやすいだろうに・・・

 

理由は、ただ一つしかない!!

 

お腹に卵を沢山持った雌成虫は、飛ぶことができないのだ。

もちろん、雄も飛べないのだが・・・


 ⇒飛べないから、沢山の卵を産むようになったのか?
  沢山の卵を産むために、飛べなくなったのか??

 

 

蛇足:

昔、徳島に住むようになった直後の頃、もう30年以上前の話であるが、
お隣の高知県に、非常に珍しい「生き物」が2種いることを聞いた。

トサヒラズゲンセイというツチハンミョウ科の昆虫と、
あとは、ヤイロチョウというチョウではなく鳥なのだが、
いずれも、徳島にいるときには、出会うことがなかった。


結局生きてる姿をみることのなかったヒラズゲンセイ(改名?)は、
今回のマルクビツチハンミョウと同じツチハンミョウ科に属し、
クマバチの巣内で幼虫、擬蛹、蛹が発見されるので、
ほぼ同じ生活史なのだろう。


ただし、体色は真っ赤で、でっぷりとした体型でもなく、全く違う印象である。

 


・・・と言うことは!!

 

飛ぶことができるヒラズゲンセイの場合には、どうやら、
雌成虫が、直接クマバチの巣の中に卵を産み付けるようだ。

当然、産卵数は、前2種ほど多くないはず!!

 

さすが、「ちょっとだけ不思議な昆虫の世界」である。

 

 

拍手[19回]