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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

春の珍事⑨ その後のイタドリの葉っぱは???


今月最初の記事(春の珍事⑨)で、イタドリの葉っぱにいた、
多分コガタルリハムシ孵化幼虫の集団を紹介した。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20140601/1/


イタドリにいた孵化幼虫集団

2014年5月19日 だんぶり池・青森

この写真だけで、おそらく数100匹はいただろう。

葉っぱに直接産卵するコガタルリハムシに対して、
イタドリハムシ雌成虫は、地面に産卵するので、
この孵化幼虫は、イタドリハムシではなさそうだった。

また、コガタルリハムシの雌成虫のお腹は、
産卵前に大きく膨らみ、一度に多数産卵を行うイメージがあり、
幼虫が黒い体色であることと併せて、
ブログでは「多分コガタルリハムシ」とした。


・・・・


しかし、この写真を見たnabita氏から、
「コガタルリハムシが、イタドリにいるのは、
 見たことがないので、もしかしたら、
 幼虫はイタドリハムシかもしれない」
との、コメントがあった。

確かに、ネット検索をしても、コガタルリハムシは、
ギシギシの葉っぱしか食べないようだった。


・・・


ブログにも書いたように、
写真撮影後の約2週間、弘前にいなかったので、
その後の様子を確認することが出来なかった。


もし、幼虫がイタドリハムシだったら、
葉っぱの食痕は、物凄いだろうと思って、
6月6日に、雨が降っていたが、
だんぶり池の同じ場所に行ってみた。

 


・・・ところが、

 

イタドリの葉っぱ

2014年6月6日 だんぶり池・青森

何と、前回の撮影場所周辺のイタドリの葉っぱには、
ほとんど食痕が見られなかったのだ。

数枚の葉っぱに、1~5個程度の食痕があったが、
裏側には、全くハムシ類の幼虫は確認できなかった。

 

 


イタドリの葉っぱ

2014年6月6日 だんぶり池・青森

これが最も多く食痕が見つかった葉っぱである。

雰囲気的に、イタドリハムシの食痕のようであるが、
裏側には、ハムシ類の幼虫はいない。

 

 


イタドリの葉っぱ

2014年6月9日 だんぶり池・青森

さらに、3日後の晴れた日の状況。

この時期のイタドリの葉っぱは、
結構色々な虫に食われていることが多い。

逆に、このような虫食いの全くない状態で、
沢山葉っぱが残っている方が珍しい???

 

 


イタドリの葉っぱ

2014年6月9日 だんぶり池・青森

数少ない食痕のある葉っぱ。

葉っぱの葉脈だけを残すような、
イタドリハムシの典型的な食痕であるが、
どこを探しても、幼虫の姿はない。


しかもこの食痕は、傷口がふさがっている状態で、
かなり古いようだ。

 

 

・・・ということは、あの孵化幼虫は、
一体、何処へ行ってしまったのだろうか???

 

 

私の推測:

イタドリハムシだった場合:

 ① 大雨により、幼虫集団が地面に流されてしまった。
    ⇒弘前にいない間、結構雨が降ったようである。

  ② 強風により、吹き飛ばされてしまった。
    ⇒イタドリの葉っぱは、弱い風でも茎ごと大きく揺れる。

 ③ 強力な天敵(捕食者)により、一網打尽になってしまった。
   ⇒ただ、そんな捕食者は、すぐには思いつかないが・・・


コガタルリハムシだった場合:

 ④ 通常の食草であるギシギシが近くになかったので、
   雌成虫が、とりあえずイタドリに産卵してしまった。
   しかし、残念ながら、それは孵化幼虫にとって、
   好適な食草ではなかったので、全て死んでしまった.


その他のハムシ幼虫だった場合:

 ⑤ アザミオオハムシやクルミハムシの食草が周辺にあり、
   何らかの原因で、普段食べることのないイタドリの葉っぱに、
   一時的に集合していた可能性もある。
   コガタルリハムシと同様に、この2種の産卵前の雌のお腹は、
   異常なほど大きく膨らんで、大量の卵を産む。
 
    

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かなり不思議な虫 ヒゲナガハナノミ

タイトルどおり、初めて見たこの子は、
色々な意味で、かなり不思議な虫だ。

 

まずは、その写真から・・・

 


何これ!!

2014年5月31日 東海村・茨城

何か、ちょっと汚いベニボタルがいる?

そう思って、シャッターを押すのを躊躇した。


こんな色あせたベニボタルもいるんだ!!

写真では、あまり赤色が出ていないが、
実物は、もう少し明るい色だったと思う。

 

 

 

ヒゲナガハナノミ(ナガハナノミ科)

2014年5月31日 東海村・茨城

触角もクシ状なっているので、
十分にベニボタルの雰囲気なのだが・・・


帰宅してから、大学時代からの友人に写真を送り、
この子が、ハナノミの仲間であることが分かった。

 

でも、ハナノミって、私の知るかぎり、
お尻の部分(尾節)が、細く突き出ていたような・・・

だから、ナガハナノミは、ハナノミとは、
基本的に違う仲間のようだ。

 


 


上の写真から、数分後・・・

すぐ近くの葉っぱで、何かおかしな状況が!


 

 


ヒゲナガハナノミ(ナガハナノミ科)

2014年5月31日 東海村・茨城

ん?!


・・・


交尾??


・・・


もしそうなら、雄と雌が違いすぎる!!

しかも、甲虫類は、こんな格好で交尾しないでしょ・・・


ただ単に、全く偶然に2匹の静止位置が、
お尻を突き合わせたようになってるだけ?

 

 


・・・お邪魔です・・・

 

 


ヒゲナガハナノミ(ナガハナノミ科)

2014年5月31日 東海村・茨城

・・・ということで、軽くツンツンしてみた。


予想どおり、
「なんだよ~!」という感じで、
2匹が一緒に、少し動いた。


明らかに、2匹はお尻で繋がっていたのだ。

まるで、カメムシのような状態で、交尾している!!!

 

 

 

ヒゲナガハナノミ(ナガハナノミ科)

2014年5月31日 東海村・茨城

ストロボで1枚。

帰宅後、改めてパソコンで写真をよく見ると、
このような「雌雄の体色の違い」と、
まるで「甲虫らしからぬ交尾姿勢」は、
ちょっとだけではなく、かなり不思議だ。


ネット情報では、雌は確かに黒っぽい??

ということは、ベニボタル類に擬態しているのは、
雄だけということになる。


このような雌雄で明らかに異なる色彩は、
以前このブログでも紹介したツマグロヒョウモンのようだ。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130319/1/

ただ、ツマグロヒョウモンの場合は、
雌が有毒のカバマダラ類にそっくりで、
雄は、普通のヒョウモンチョウである。

ヒゲナガハナノミの場合は、逆に、
雄だけが、有毒のべのボタル類に擬態しているのだ。

 

     

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君はチョウ? それとも蛾??

このブログを見ていただいている方は、
虫マニア指数が様々だと思います。
(⇒そんな指数あったっけ?)


今回は、プロ級の昆虫マニアの方は、
さりげなく笑って、すっ飛ばしてください!!

 

下の撮影日順に並べた6枚の写真に写ってるのは、
チョウでしょうか? それとも蛾でしょうか?

⇒全ての写真について、コメントは敢えて付けません。
 最後に、種名を列記しますので、ご確認ください。

 

 

写真①

2014年5月28日 新穂高温泉・岐阜


 


写真②

2014年5月28日 常念岳山麓・長野


 


写真③

2014年5月31日 筑波山・茨城


 


写真④

2014年6月3日 五色沼・福島


 


写真⑤

2014年6月4日 猿羽根山・山形


 


写真⑥

2014年6月5日 矢立峠・秋田




・・・

 


・・・

 


・・・

 

それでは、回答です。

 


・・・

 


・・・

 


・・・

 


もう少しです。

 


・・・

 


・・・

 


・・・

 


・・・

 


写真① ウスバシロチョウ(アゲハチョウ科)


写真② ミヤマセセリ(セセリチョウ科)


写真③ ダイミョウセセリ(セセリチョウ科)


写真④ シラフシロオビナミシャク(シャクガ科)


写真⑤ キンモンガ(アゲハモドキ科)


写真⑥ 多分ユウマダラエダシャク(シャクガ科)

 


というわけで、①②③がチョウで、④⑤⑥が蛾でした。

⇒分類学上は、チョウと蛾を明確に区別できる基準は、ありません。
 
 
 いくつかの曖昧な基準はありますが、必ず例外がでてきます。

 チョウ目の昆虫の中で、アゲハチョウ上科、セセリチョウ上科に属する種が、
 日本ではチョウと呼ばれています。

 それ以外の(チョウの30倍以上の!)種が、蛾と呼ばれています。

 

      

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クズの葉に集まるカメムシたち

ちょうど2年前になるが、白河市の公園の駐車場で、
1本の桜の木に、4種類のカメムシを、
ほぼ同時に見つけたことがある。
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120617/1/

⇒このときの得体の知れない幼虫については、
 後日、黒石市のnabita氏によって、
 ナシカメムシの幼虫であることが示唆された。

 

今回、大垣市の中心部近くのクズの葉っぱで、
4種同時発見という、桜の木と似た状況があった。

いつもは、マルカメとホシハラビロヘリカメムシなのだが・・・

 


車でR21を走行中に、朝の渋滞に巻き込まれて、
思わず脇道にそれてしまったときである。


道路に沿った雑草地に、いつもと違う雰囲気のクズの葉が見えた。
都市部の空き地で、どこでも見かけるような、
あたり一面の大群落(?)ではなかったからだ。

前記の桜の木と違って、根本で1本になってるかは不明だが、
わずか1×3メートルほどの範囲内にある葉っぱだったと思う。

 


そんなイメージのクズの葉っぱに、まず・・・

 


マルカメムシ成虫(マルカメムシ科)

2014年5月27日 大垣市・岐阜

クズの葉っぱ(というより茎の部分)で、
集団で見つかることが多いが、今回は、
何とこの1匹だけ・・・

マルカメの幼虫は、結局見つからなかった。

 

 


ブチヒゲカメムシ成虫(カメムシ科)

2014年5月27日 大垣市・岐阜

この子たちは、色々な作物を加害するややマイナーな害虫。

キク科植物に多いが、クズの葉では、初めて見つけた。

もちろん、大豆からも吸汁するので、
クズの葉にいても、おかしくない。

 

 


ブチヒゲカメムシ幼虫(カメムシ科)

2014年5月27日 大垣市・岐阜

成虫と同時に、発見できなかったら、
おそらくブチヒゲカメムシの幼虫とは、
同定はできなかったかもしれない。

すぐ近くで、成虫と幼虫の混合集団見みられたのだ。

 

 

 

スカシヒメヘリカメムシ成虫(ヒメヘリカメムシ科)

2014年5月27日 大垣市・岐阜

普段は、なかなか見つかりにくいカメムシが、
何故か簡単に見つかった。

 

 



 スカシヒメヘリカメムシ幼虫(ヒメヘリカメムシ科)

2014年5月27日 大垣市・岐阜

近くで、幼虫発見。

やっぱり、近くに成虫がいなかったら、
同定に苦労しただろう・・・

基本的に雑食性のようなので、クズからも吸汁するはずだ。

 

 


ナガメ(カメムシ科)

2014年5月27日 大垣市・岐阜

問題は、この子だ!!!!

アブラナ科の植物のみ(!)から吸汁するはずだ。

ただ、このときは、近くにナズナがあったので、
たまたまクズの葉で、見つかったと思ったのだが・・・

 

 

わずか、1分後に衝撃が・・・!!!

 

 

ナガメ幼虫(カメムシ科)

2014年5月27日 大垣市・岐阜

何と、幼虫も発見!

しかも、4匹も!!

偶然、幼虫がクズの葉にいたとは思えない!!!


ナガメは、学生時代に実験材料として、
大量に飼育していたので、同定は間違いない(と思う)。


まさか、クズで育っているなんて・・・嘘だろ!!!!



   

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再びアリグモ これがミラクル擬態だ!!


以前このブログで、アリに擬態するクモを紹介した。

成体(成虫)は、クロヤマアリにそっくりで、
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130702/1/

幼体(幼虫)は、ムネアカオオアリにそっくりだった。
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20140322/1/

 

タイトルのミラクル擬態とは、このブログだけの用語で、
「そこまで似せなくても、捕食者は騙されてくれるよ!!」
と、いうようなやりすぎ感のある擬態を指す。

一部の虫たちだけが、何故、ミラクル擬態になったのかは、
非常に興味深い問題である。

 

 


アリグモ(ハエトリグモ科)

2014年5月24日 金沢市・石川

この写真が、典型的な生態の姿である。

頭部の上顎の形状が、ちょっとだけ気になる【注】が、
他の部分は、どう見てもアリだ。

 

 


アリグモ(ハエトリグモ科)

2014年5月24日 金沢市・石川

気になる部分を微妙に隠して撮ると、
こんな感じになる。

これは、やや反則攻撃か・・・・

 

 


アリグモ(ハエトリグモ科)

2014年5月24日 金沢市・石川

似ているのは、姿かたちだけではない。

歩いてるのを、遠目に見ると、アリにしか見えない。

前脚の動きが、まるで触角で、もちろん、
本物のアリそっくりの歩き方をするのだ。

 

 


アリグモ(ハエトリグモ科)

2014年5月24日 金沢市・石川

こんな姿と動きのクモがいるのを知っていても、
実際に遭遇した現場では、アリだと思い込んで、
シャッターを押せなかったことが、何度もあるはずだ。

特に、雌の場合には、上顎が発達しないので、
もっともっと、アリに見えるのだが、
残念ながら、まだ写真に撮れていない。

おそらく見逃しているのだろう・・・??

 

 


本物のアリ!!!

2014年5月24日 金沢市・石川

もちろん、すぐ近くの葉っぱには、
アリグモの数よりも多い本物のアリがいた。

おそらくクロヤマアリだろうが、改めて写真で見ても、
笑ってしまうほど、そっくりである。

 


・・・・そして、

撮りたかった写真がようやく・・・

 

 


アリとアリグモのツーショット!!!

2014年5月24日 金沢市・石川

残念ながら、手前の本物のアリのフォーカスが・・・emoji

 

【注】何故、雄の上顎が異常に大きく(長く?)なっているのか?
   これは、考えてみれば、かなり不思議な話である。

   他の部分は、まさにミラクル擬態と呼べるほど、
   完璧に似せているのに、肝心の頭部だけは、
   まるで「私はアリではない!」と主張するように、
   無理やり変化させているからだ。

   多分、交尾行動に関係していて、アリに擬態するより、
   重要な(より適応的な?)機能があるのだろう。


     

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