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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

さりげなく大きい?! オオクモヘリカメムシ

今月は、「カメムシ写真強化月間」です。
頑張って、不定期にブログ更新します。

 

今日は、さりげなく大きい(長い!)オオクモヘリカメムシ。
Homoeocerus (Anacanthocoris) striicornis Scott,1874

見た目で大きさが伝わらないのは、体が細長いからだろうか?
緑色と黒褐色のコントラストがはっきりして、なかなか美しい種だ。


ちょっとだけマニアックであるが、
一見間違えやすいミナミトゲヘリカメムシというのがいる。

でも、南方系の種なので、少なくとも関東から北では、
別によく見なくても、大丈夫だ。

 

 


オオクモヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)

2011年6月16日 東海村・茨城

公園のネムノキで見かけることが多い普通種であるが、
一般の人は、視界には入っていても、気づかないのだろう。

一度、撮影中に声をかけられたが、しばらく撮影対象が、
カメムシであることが、分からなかったようだ。

 

 


オオクモヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)

2012年5月24日 東海村・茨城

名前の由来は、害虫として有名なクモヘリカメムシに似ていて、
それよりずっと大きいことによるのだろう。

確かに良く似ているのだが、個人的は、別の名前の方が・・・

 

 


オオクモヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)

2011年6月11日 東海村・茨城

交尾中のカメムシ類の写真は、他の虫たちと違って、
ネット上でも、比較的簡単に見かける。

多分交尾している時間が、比較的長いという理由だけで、
被写体になりやすいからなのだろう。

 

 


オオクモヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)

2013年6月4日 道の駅みわ・茨城

では、何故カメムシ類の交尾時間は長いのだろうか?

カメムシ類の雌は、交尾後、すぐに他の雄との再び交尾することができる。
その場合は、後から交尾した雄の精子と受精するのだ。

だから、雄たちにとっては、つがい相手の雌が、自分と交尾した後、
すぐに別の雄と交尾させないような、何らかの対策が必要だったのだろう。

それが、長時間交尾を続けて、この写真のように、
雌をしっかり拘束しておくことなのだ(注)

 

 


オオクモヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)

2013年6月4日 道の駅みわ・茨城

それにしても、結構落ち着いている感じがするし、
近づいても、まったく逃げる気配がない。




(注)もちろん、ほかの昆虫類も、状況はよく似ているのだが、
   何故カメムシ類が長いのかについては、
   過去に紹介したことがあるので、以下の記事をご覧ください。

   カメムシ交尾中【2】 何故カメムシの交尾時間は長いのか?
   ↓  ↓  ↓
   http://kamemusi.no-mania.com/Date/20111212/1/


   カメムシ交尾中【3】 何故、虫たちは交尾するのか?
   ↓  ↓  ↓
   http://kamemusi.no-mania.com/Date/20111215/1/


    

 

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大~きすぎるよ!! オオヘリカメムシ

今月は、さりげなく「カメムシ写真強化月間」です。
頑張って、不定期にブログ更新します。

 

今日は、多分日本産ヘリカメムシ科の最大種オオヘリカメムシ(注)
Molipteryx fuliginosa Uhler,1860

褐色で、前胸部側面が前方に張り出している大きなヘリカメムシ。

脚が太く、いかにも頑丈そうな雰囲気がある。

 


オオヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)

2012年5月31日 南会津・福島

定番のアザミに葉っぱにいて、よく目立つ。

この写真でみると、葉っぱとのサイズ比較から、
オオヘリカメムシの大きさの想像がつく。

 

 

オオヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)

2010年6月15日 だんぶり池・青森

北方系・山地性の種類なので、
徳島に住んでいるころは、まあ珍品扱いしていたが、
だんぶり池周辺では、結構、頻繁に見つかる。

 

 


オオヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)

2011年9月15日 白岩森林公園・青森

この子は、上の写真の子と比べて、
真っ黒で、体も細いので、
まるで別種のように見える個体である。

 

 

 

オオヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)

2011年6月7日 白岩森林公園・青森

こちらは、交尾中の比較的珍しい写真。

上の方で見た、体の太さ(幅)の違いは、
明らかに、雌雄による差によるものだったようだ。

 

 


オオヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)

2010年9月2日 だんぶり池・青森

この子の行先には、恐ろしい(?)アリがいるが・・・

他のカメムシ類と同じように、
この子は、体に触れるような刺激に反応して、
強烈な匂い成分を放出する。

しかし、実際に野外で観察していると、
カマキリや、造網性のクモなどに、簡単に捕獲されてしまう。

だから、匂い成分の防御効果は、
野鳥類を含めた多くの捕食者に対して、
ほとんどの場合、有効でないようである。

しかし、何故かアリに対しては、
ほぼ完ぺきな防御効果を示すのは、
しばしば観察されるのだ。


この写真撮影の後、数分してから戻ってきてみると、
アリの方が居場所を変えていた(逃げた?)。

カメムシの匂いの不思議2/5 アリに対する防御効果
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20101108/1/

 


(注)日本原色カメムシ図鑑第3巻によると、
   2006年に記載されたミナミオオヘリカメムシ
   【Molipteryx asahinai Kikuhara,2006】という種が、
   九州・四国・本州の温暖な地域で見つかるようだ。

   その体長は【19.9~26.3mm】とされており、
   オオヘリカメムシ【18.8~25.2mm】より、
   わずかだが、大きいことになる。

 

       

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背中のハートが!? エサキモンキツノカメムシ

今月は、さりげなく「カメムシ写真強化月間」です。
頑張って、不定期にブログ更新します。

 

今日は、人名のついたエサキモンキツノカメムシ。
Sastragala esakii Hasegawa,1959

背中に、大きな黄色のハートがあるツノカメ。
雌成虫は、卵や幼虫を保護する習性があるらしいが、
もちろん私は、まだ見たことがない。


   

 

エサキモンキツノカメムシ(ツノカメムシ科)

2012年8月4日 五色沼・福島

背中のハートマークは、遠くからでもよく目立つ。

これは、珍しく右側の触角が写っていない希少写真。
もちろん、下の写真と同一個体なので、
まるで手品師のように、自分の触角を隠しているのだ。

 

 

 

エサキモンキツノカメムシ(ツノカメムシ科)

2012年8月4日 五色沼・福島

ちなみに、背中の黄色の紋がハート型になっていない、
ただのモンキツノカメムシという種類がいる(注)

残念ながら、こっちは珍品のようで、
手持ちの写真がなく掲載できないのが、ご愛嬌である(?!)

 

 


エサキモンキツノカメムシ(ツノカメムシ科)

2012年8月4日 五色沼・福島

実は、ハートでないモンキツノカメムシの方が、
最初に記載されていた種である。

今から50年以上前であるが、長谷川仁先生が、
黄色の三角形が、ハート型になっている近似種を発見し、
エサキモンキツノカメムシという和名がついたのだ。

 

 


エサキモンキツノカメムシ(ツノカメムシ科)

2013年9月17日 ひたちなか市・茨城

エサキという名前は、結構色々な虫についており、
もちろん、戦前に活躍された江崎悌三博士に由来する。

以前このブログで紹介したイシハラハサミツノカメムシと、
良く似た発見の経緯と和名だと思うので、この機会にもう一度!!

新種イシハラハサミツノカメムシ
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20121113/1/

 

 


エサキモンキツノカメムシ(ツノカメムシ科)

2013年9月17日 ひたちなか市・茨城

この写真を撮ったひたちなか市内の公園は、
市街地にある本当に小さな公園なのに、
予想外に虫の種類の虫が多いので、ちょっとお気に入り・・・

 


(注)実は、黄色の紋が「ハート紋」か「まる紋」かだけでは、
   厳密に両種を識別することはできない。
   まる紋なのに、エサキモンキツノカメの場合があるのだ。
   (多分逆のパターンはない)

   基本的には、前胸背側角(ツノ)の形状で見分けるようで、
   モンキツノの方が、エサキモンキより長く張り出している。
   先端部の形状は、逆に、短いエサキモンキの方が尖っており、
   長く突出するモンキの方が、丸みを帯びている。

   私は、前胸背の色が褐色の場合は、エサキモンキツノカメ、
   緑色の場合は、モンキツノカメとしているが、
   これは、どうも正式な同定法ではないらしい。

   さらにマニアックな同定法がある。
   触角第1節と2節の長さが等しいか、
   わずかに1節の方が長いのが、エサキモンキツノカメムシで、
   第2節の方が明らかに長いのが、モンキツノカメムシである。


 
    

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こんな時しか出番がない? セアカツノカメムシ

今月は、さりげなく「カメムシ写真強化月間」です。
頑張って、不定期にブログ更新します。

 

今日は、普通種セアカツノカメムシ。
Acanthosoma denticaudum Jakovlev,1880

おそらく、大型のツノカメの中では、
最も個体数が多い(見つけやすい?)と思われる。


というわけで、こんなときしか、出番がないツノカメだが・・・


 


セアカツノカメムシ(ツノカメムシ科)

2011年5月27日 白岩森林公園・青森

前2種とは違って、小楯板中央が広く赤褐色となる。

また、前胸背側角(ツノ)の先端は、
北日本の個体は丸みを帯びる傾向があるが、
通常は黒色で、近似種との明確な識別点になるようだ。

 

 


セアカツノカメムシ(ツノカメムシ科)

2010年8月18日 白岩森林公園・青森

普通種とはいっても、そこはやはり大型のツノカメである。

白岩森林公園で、初めて見つけたときには、
やっぱり嬉しかったのを覚えている。

見つけやすい種とはいえ、ツノカメは別格なのである。

 

 


セアカツノカメムシ(ツノカメムシ科)

2010年7月4日 伊達市・北海道

この子は、触角をピンと前にそろえて、
おそらく、近づくカメラを警戒しているのだろう。

 

 


セアカツノカメムシ(ツノカメムシ科)

2011年9月4日 だんぶり池・青森

翌年には、だんぶり池の林道でも、
ようやく見つかった。

この子は、目の前ブーンと飛んできて、下草に止まった。
やっぱりツノカメの飛ぶ音も、なかなか良い!

 

 

セアカツノカメムシ(ツノカメムシ科)

2012年10月22日 蔦温泉・青森

越冬前のまるで別種のような個体。

こんな色の子が、ダムサイト以外で見つけると、
本当に、別種かと思ってしまう。

 

 

セアカツノカメムシ交尾中

2010年7月11日 東海村・茨城

交尾中のカップル発見。

こうしてみると、予想以上に、雌雄のサイズ差がある。

      

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よく似てるが・・・ ツノアカツノカメムシ

今月は、さりげなく「カメムシ写真強化月間」です。
頑張って、不定期に(!?)ブログ更新します。

 

今回は、前種に非常に良く似たツノアカツノカメムシ。
Acanthosoma haemorrhoidale angulatum Jakovlev,1880

とりあえず、北方系の希少種ということになっているが、
四国の山地(ダムサイト)でも見つかる。

 

 

ツノアカツノカメムシ(カメムシ科)

2010年8月22日 白岩森林公園・青森

前回のミヤマツノカメムシと良く似ているが、
前胸背側角(ツノ)が顕著に突出することで、区別できる。
ただ、その突出の程度には、変異が結構大きく、
たまに、ミヤマツノカメに似た突出が弱い個体も見つかるので、
同定には、以下の確認が必要だ。

 

 

ツノアカツノカメムシ(カメムシ科)

2011年7月19日 登別温泉・北海道

ツノアカツノカメの腹部結合板(黒色楕円部)には、
黒色部がないので、黒色部があるミヤマツノカメとは、
十分識別は可能である(注)

 

 


ツノアカツノカメムシ(カメムシ科)

2011年11月1日 玉川ダム・秋田

三角形の背中(小楯板)の緑色が、なかなか良い。

そして、この赤色(?)は、車の色でいうと、
ブラキッシュレッドマイカ、または、
ダークグレーレッドメタリックとでもいうのだろうか?

 

 


ツノアカツノカメムシ(カメムシ科)

2011年11月1日 玉川ダム・秋田

立派なツノは、裏側から見ると、赤色部が目立つ。

なかなか、この角度から撮る機会はない。
このあと、一瞬で飛び去った。

 

 


ツノアカツノカメムシ(カメムシ科)

2011年11月12日 浅瀬石ダム・青森

撮影場所のダムは、自宅から車で30分かからないで行ける。

10月から11月にかけて、曇りや雨が続いた後の晴天の日には、
ダムサイトに沢山のカメムシが集まってくる。

沢山のミヤマツノカメムシの中に、ときどき、
ちょっとだけ雰囲気の違うツノアカツノカメムシが見つかるので、
毎年の楽しみのひとつである。


(注)あまり人のことを言える立場にはないが、
   ネット上では、明らかに誤同定の写真が見られる。

   ひどいのは、ハサミツノカメムシの雌を、
   ツノアカツノカメムシとしている例があった。
   確かに、ツノの赤いツノカメではあるのだが・・・

    

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