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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

ダムサイト② クサギカメムシばっかり

晩秋の晴れた日、ダムサイトは、珍品カメムシの宝庫である。

場合によっては、フトハサミツノカメムシやアオクチブトカメムシが、
さりげなく見つかる。

 

ところが・・・・

 


クサギカメムシ(カメムシ科)

2012年10月27日 森吉ダム・秋田

こんなのは、初めてである。

何なんだ、この状況は!!!

 

 

クサギカメムシ(カメムシ科)

2012年10月27日 森吉ダム・秋田

次の支柱にも・・・・・

これでは、せっかく作った立派な手すりも、
普通の人は、触ることもできない。

 

 


クサギカメムシ(カメムシ科)

2012年10月27日 森吉ダム・秋田

そして、その次の支柱にも・・・・・

この写真でざっと数えてみると、なんと、
一本の支柱に29匹が写っている。

 

 


クサギカメムシのいる支柱

2012年10月27日 森吉ダム・秋田

このダム(堤防?)上の道路には、
落下防止用の手すりが数百本、ずっと続いている。

ただ、ダムの中心付近に歩いて行くと、
クサギカメムシの数は、段々少なくなっては来るのだが。

 

 


クサギカメムシのいる支柱

2012年10月27日 森吉ダム・秋田

この写真をクリックして、拡大してみると、
保護色(?)で多少分かりにくいかもしれないが、
それぞれの支柱には、平均10匹程度のクサギカメムシがいる。

支柱が道路の両サイド合わせて、500本あったとすると、
それだけで、なんと5000匹もいることになるのだ。

もちろん、支柱以外の場所にも沢山見つかるので、
森吉ダムには、おそらく1万匹以上のクサギカメムシがいることにある。

この数の0.1%でも人家に入り込めば、
不快害虫として、十分な厄介者になるだろう。

 

 

そして、これでは、珍品のツノカメも居場所がなくなってしまう?

ちょっと信じられないことであるが、これだけクサギカメムシがいるのに、
他のカメムシは、私の見た限り、ツマジロカメムシ、スコットカメムシ、
ヨツモンカメムシ、ホソヘリカメムシだけであった。


恐るべし、クサギカメムシ!!

 

 


実際にダムサイトでは、紅葉を楽しむ多くの観光客が、
ブンブン飛び回っているクサギカメムシに、悲鳴をあげていた。

思わず手で払いのけて、強烈な匂いを洋服に付けてしまう人もいるし、
道路上にいるカメムシを踏んでしまうと、靴に匂いが残って、
車の中はとんでもないことになるだろう。

ただ、幸か不幸か、少なくとも私は、この点に関しては、
あまり気にならないのだが・・・


 

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ダムサイト① 今年はクサギカメムシが目立つ

カメムシ類の多くは、成虫で越冬する。

晩秋になると、好適な越冬場所を求めて飛行するが、
その途中で、太陽の熱で暖められたダムサイトで、
一休み(?)する習性があるようだ。

実は、この習性を利用すると、晩秋と春先の晴れた日には、
かなり珍しい種類のツノカメムシを、簡単に見つけることができる。

 

家から30分ほどのところにある浅瀬石ダム。
付近は広葉樹が多いし、ダムの上を普通に歩くことができる。

 

行ってみると・・・・何と!!!!!!

 

クサギカメムシ(カメムシ科)

2012年10月22日 浅瀬石ダム・青森

どこから来るんだろうと思うほどのクサギカメムシを発見。

ダムの駐車場の桜の木にも、いる

 

 

クサギカメムシ(カメムシ科)

2012年10月22日 浅瀬石ダム・青森

今の時期は、お腹が赤いのか?

落ち葉の中に隠れていると、保護色?

 

 

クサギカメムシ(カメムシ科)

2012年10月20日 浅瀬石ダム・青森

そして、階段の手すり部分にも、いる・・いる

 

 


クサギカメムシ(カメムシ科)

2012年10月14日 浅瀬石ダム・青森

トイレの壁にも、いる・・いる・・いる

 

 


クサギカメムシ(カメムシ科)

2012年10月20日 浅瀬石ダム・青森

トイレの通風孔にも、いる・・いる・・いる・・いる

 


しかし、今年のクサギカメムシは、
これでは終わらない!!・・・・次回!!

 


ちょっとだけ不思議なクサギカメムシの寄主植物について・・・


カメムシマニアにとっても、宿命の悪役クサギカメムシは、
日本全土に分布し、リンゴやナシ、ミカンなどの果樹害虫として有名である。

そのためか、広食性カメムシの代表のように紹介されることが多く、
事実、50種類以上の植物から、成虫と幼虫が見いだされている。

しかし、不思議なことに、見つかったその植物だけを餌として飼育しても、
孵化幼虫から新成虫にまで発育し、交尾・産卵するとは限らないのだ。

私も学生時代、大学構内のサクラの果実から、沢山の成虫を捕まえて、
実験室で産卵させて、累代飼育を試みたが、見事に失敗した記憶がある。

冷蔵保存したサクランボで、簡単に飼育できると思っていたのだが、
成虫になる前に、結局すべて死んでしまったのである。


果樹害虫とされる多くのカメムシは、その時点での最適な餌を選んで、
次々に寄主植物を変えていく習性をもっている。

だから、クサギカメムシの成虫と幼虫がサクランボにいたからと言って、
それが本来の意味の「寄主植物」ではないのである。


それでは、クサギカメムシの本来の寄主植物は何だろうか?

名前からして、植物のクサギのような気がしないでもないが、
実は、クサギカメムシのもともとの寄主植物として知られていたのは、
雑木林の中にあるキリだけであった。

最近、秋田果樹試験場の舟山氏によって、キリの分布密度が低い秋田県内では、
ウワミズザクラが寄主植物であることが確認された。

秋田県では、ウワミズザクラは5月上旬開花し、成熟果実は9月中旬まで見られる。
だから、クサギカメムシは、自然状態で、単一の餌植物を餌として、
十分に孵化幼虫から成虫まで育つことができるのだ。

 

 

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似てる??④/④ チャイロクチブトカメムシとクサギカメムシ

今回で最後のクチブトカメの似たものシリーズ。

完全に、蛇足の蛇足であるが・・・

肉食であるただのチャイロクチブトカメムシと、
それにちょっとだけ似た種クサギカメムシを紹介する。

 


チャイロクチブトカメムシ(カメムシ科)

2011年10月9日 蔦温泉・青森

一見どこにでもいそうな普通のカメムシであるが、
あまりちょっとだけ珍しいチャイロクチブトカメムシである。

当然この子も、他の虫を襲って、体液を吸う肉食なのだ。

 

 


チャイロクチブトカメムシ(カメムシ科)

2011年10月9日 蔦温泉・青森

ちょっとだけ珍しいと書いたが、その唯一の根拠が、
私が撮った写真は、この子だけだからである。

かなりの珍品なのだろうか? 

ネット情報では、日本からヨーロッパにかけて、
広く分布しているようであるが・・・

 


そして、対応するように、良く似た種がいる。

 


クサギカメムシ(カメムシ科) 

2011年10月9日 蔦温泉・青森
 

サイズ、大まかな形態、色具合が非常によく似ている。
しかし、よく見ると、ツノの形が違う(前回と文章同じ!!)。

この写真は、チャイロクチブトカメムシと同じときに、
同じ場所で撮ったものである。

だから、最初の写真は、「またクサギカメムシか?」だった。

 

 

クサギカメムシ(カメムシ科)

2011年9月92日 白岩森林公園・青森

クサギカメムシは、全くの普通種である。
いや、全国の果樹園では、大害虫なのだ。

それだけではない。
越冬するときには、家屋に侵入する不快害虫でもある。


しかも、近年は大発生傾向が続いているのだ。

 

今年のダムサイトは、クサギカメムシが・・・・!!!!!(次回)

 

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似てる?!③/④ クチブトカメムシとトゲカメムシ

前回と前々回、2度に分けて紹介したように、
日本産の【Pentatoma属】2種(ツノアオカメムシとアシアカカメムシ)には、
かなり不思議なことに、それぞれに非常に良く似た肉食のカメムシ、
「アオクチブトカメムシ」と「アカアシクチブトカメムシ」がいた。


今回は、多少無理があるとは思うが、
山地で普通にみられるトゲカメムシにも、
非常に良く似た肉食のクチブトカメムシがいるのである。
(⇒ちなみに、この子の場合は、ナミクチブトカメムシとは言わないようだ)
    ↓   ↓    ↓
    http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120726/1/

 

まずは、ただのクチブトカメムシから・・・

 


クチブトカメムシ(カメムシ科)

2011年8月31日 白岩森林公園・青森

クチブトカメムシの仲間では、日本全国の林道で、
多分ダントツに良く見かける種である。

一見どこにでもいそうな普通のカメムシなのだが、
やはり、ツノの特徴がクチブトカメである。


 

クチブトカメムシ(カメムシ科)

2011年9月8日 白岩森林公園・青森

ただし、何処にでもいるとは言っても、
やはりそんなに簡単に出会えるものではない。

まして、クチブトカメムシの交尾写真を撮ったのは、
この時が、最初で最後(?)である。

 

 

クチブトカメムシ(カメムシ科)

2011年10月4日 だんぶり池・青森

あのミラクル擬態で有名なハイイロモクメヨトウを、
攻撃したのも、この子である。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20111018/1/

 

 

そして、対応するように(?)、良く似た種がいる。

 

 

トゲカメムシ(カメムシ科)

2011年7月12日 帯広・北海道

サイズ、大まかな形態、色具合が非常によく似ている。
しかし、よく見ると、ツノの形が違う(前回と文章同じ!!)。

 

 


トゲカメムシ(カメムシ科)

2010年9月7日 だんぶり池・青森

しかも、この子も全くの普通種である。
多分、クチブトカメムシとは、比較にならないくらい
個体数は多いと思う。

だから、こんな交尾写真は、比較的簡単に撮れるのだ。

 

 

まあ完全に今回は、蛇足だったか・・・

 

しかも、まだまだ、続く?!?!

 

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似てる!!②/④ アカアシクチブトカメムシとアシアカカメムシ

前回のアオクチブトカメムシとツノアオカメムシに続いて、
ちょっとだけ名前がややこしいが、
アカアシクチブトカメムシとアシアカカメムシを紹介する。


この組み合わせも、初めて片方だけ見た瞬間に、
「アレ! どっちだ?」と思うほど、良く似ている。

 

まずは、肉食のクチブトカメから・・・

 


アカアシクチブトカメムシ(カメムシ科)

2011年10月9日 蔦温泉・青森

こんなスマートなカメムシであるが、
イモムシなどの体液を吸うのだ。

前回のアオクチブトカメムシと、ツノの感じが良く似ている。

 

 

アカアシクチブトカメムシ(カメムシ科)

2012年6月21日 南会津・福島

しかも、この子は、比較的珍しい種類であり、
偶然見つけると、さりげなく嬉しいのだ。

そんなに、足が赤いというわけでもなさそうだが・・・

 


そして、対応するように、良く似た種がいる。

 


アシアカカメムシ(カメムシ科)

2003年8月12日 青荷温泉・青森

どうだろうか?

サイズ、大まかな形態、そして色具合が、
アオクチブトカメムシとそっくりなのである。

良く観察すれば、ツノの形が違うのだが・・・

(前回と文章同じだ!!)


しかも、このカメムシも、かなりの偶然なのだろうか、
前回のツノアオカメムシと同様に、Pentaoma属なのだ。

 

 

アシアカカメムシ(カメムシ科)

2010年9月27日 新保高温泉・岐阜

実は、この子も、珍品の部類である。

こちらも、何故か、足が赤いというイメージはない。

 

このように、日本産のPentatoma属の2種に、
それぞれ対応する良く似たクチブトカメムシがいるというのは、
かなり不思議なことであると思う。

もしかしたら、共通祖先が同じなのかもしれないが・・・


 

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