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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

似てる!!①/④ アオクチブトカメムシとツノアオカメムシ


以前、華麗なる吸血鬼としてアオクチブトカメムシを紹介した。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20111203/1/

見かけることは少ないが、大型の非常に美しいカメムシで、
日本産美麗種ベスト10に入ると思う(多分)。

ただ、肝心の写真が、越冬前のくすんだ色合いの個体で、
撮り方が下手糞なこともあり、この種の美しさが表現(?)できなかった。

もしかしたら、全部メスだったのかもしれないのだが・・・・・

 


今回は、そのリベンジである・・・・

 

 

アオクチブトカメムシ(カメムシ科)

2012年7月20日 芝谷地湿原・秋田

この写真は、自然光のもとで、撮ったものである。

直射日光が当たっていないときの金属光沢は、こんな感じで、
さりげなくマイルドであり、個人的には一番良いと思っている。

 

 

アオクチブトカメムシ(カメムシ科)

2012年7月20日 芝谷地湿原・秋田

この写真は、同じ個体をストロボを使用して、撮ったものである。
輪郭部分の赤味が極端に協調され、自然光のものとは、全く違って見える。

手持ちのカメラのストロボでは、赤色が強く出るようだ。

 

 

アオクチブトカメムシ(カメムシ科)

2012年8月22日 十国峠・長野

この直射日光下の写真は、撮った場所が違う個体であるが、
撮るアングルを全く考慮しなかったので、普通の写真である。

 

 


アオクチブトカメムシ(カメムシ科)

2012年8月22日 十国峠・長野

むしろ、この場合も日陰にいる方が、自然な色合いである。

 

 

そして、今回のテーマであるよく似た種・・・

 

 

ツノアオカメムシ(カメムシ科)

2011年7月16日 温寝湯・北海道

私がカメムシを好きになった直接原因である。
学名を、Pentatoma japonica というカメムシの代表である。

どうだろうか?

サイズ、大まかな形態、そして色具合が、
アオクチブトカメムシとそっくりなのである。

良く観察すれば、ツノの形が違うのだが・・・

 

 

ツノアオカメムシ(カメムシ科)

2011年8月16日 乗鞍高原・長野

ついでに、交尾写真・・・・・比較的珍しい光景。

 


これだけなら「よく似た種がいるものだ」で、終わってしまう。
しかし、次回分と合わせて見直すと、ちょっとだけミラクルなのだ。

 


⇒次回に期待!!!

 


 

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岩木山遠景

このブログの写真の撮影地として良く出てくる志賀坊森林公園は、
弘前市周辺で、私のお気に入りの比較的虫が多い場所である。

かなり急な坂を登りきったところにある駐車場からは、
弘前市内をはさんで反対側に、独立峰(?)である岩木山が見える。

地元のテレビ局が、天気予報のバックグラウンドとして、
良く利用している画像は、ここからの景色だと思う。


降雪期に行くことはないが、駐車場に車を止めれば、
四季折々の岩木山の姿を、さりげなく撮ることができる。


今回は、そんな岩木山の写真を紹介するが、
決して、虫の写真のネタ切れではない。

 

 


2012年5月13日6時42分 志賀坊森林公園から

5月で、まだ残雪がある岩木山。

なかなか、雲一つない快晴の空の写真が撮れないが・・・

 

 



2011年6月1日5時50分 志賀坊森林公園から

岩木山の麓にかけて、雲(霧?)が印象的である。

この場所から撮ると、必ず写る手前の緑地は、
多分ゴルフ場のようである。

 

 

 



2012年8月8日4時42分 志賀坊森林公園から

この時間に、駐車場にいたということは、多分、
国道7号線の秋田との県境、矢立峠の道の駅の常夜灯で、
沢山の蛾の写真を撮った帰りである。

この雰囲気が、個人的には、大好きである(デスクトップの背景)。

 



2012年10月10日6時12分 志賀坊森林公園から

これが、最新の写真である。

もう少し早ければ、違った雰囲気の写真になっただろう。


今度は、快晴の日に、夜明けの写真を撮ってみたい。

 

 


というわけで、みんな早朝の写真でした。

 

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ちょっとだけ不思議な虫たち ベッコウハゴロモ

前回、集団で出演したアオバハゴロモ君たちと、
さりげなく一緒に写っていたベッコウハゴロモ君。

以前このブログで、かなり不思議な姿の幼虫を紹介した。
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110814/1/

 

ベッコウハゴロモ幼ベ虫(ハゴロモ科)

2011年8月2日 だんぶり池・青森

幼虫は、このように、お尻に真っ白な毛の束をつけているので、
全く虫には見えないのだ。


 


しかし、成虫になってからも、ちょっとだけ不思議な虫なのである。


 

ベッコウハゴロモ(ハゴロモ科)

2011年9月23日 だんぶり池・青森

前回のアオバハゴロモと一緒に写っていた子とは、
多少イメージが違って、より鮮明な模様が確認できる。

はっきりとした2本のラインは、分断色のイメージもあるし、
左右の翅の先端部分には目玉模様もあり、
逆さに止まっていると、ちょっと怒ってる動物の顔のようだ。

 


ところが・・・

 


アミガサハゴロモ(ハゴロモ科)

2010年8月10日 東海村・茨城

この子は、何故か、薄緑色のコナを体中に付けている。
よく見ると、葉っぱにも、粉が付着している。

どうやら、羽化直後の個体のようである。

少なくとも、これでは、折角の分断色(?)も目玉模様(?)も、
隠されてしまうので、上の子とは、まるで別種のようである。

幼虫の出すロウ物質と同じ起源なのだろうが、一体何のために?


⇒nabita氏より、この写真は、アミガサハゴロモであるとの指摘がありました。
  本文は修正せず、タイトルの昆虫名のみ変更します。
 

 

 

 

ベッコウハゴロモ(ハゴロモ科)

2011年9月23日 白岩森林公園・青森

これは、3匹が集まって、前回のアオバハゴロモと同じような、
集団擬態に近いことをしているのか?

 


と思ったら・・・

 


ベッコウハゴロモ(ハゴロモ科)

2011年9月23日 白岩森林公園・青森

よく見ると、単に交尾のために、
オスとメスが、近寄っているようだ。

それよりも、いちばん下の子は、
この角度から見ると、やはりセミである。


というわけで、色々とちょっとだけ不思議な虫でした。

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集団擬態?? アオバハゴロモ

アオバハゴロモという素敵な名前を持った虫がいる。
この和名は、美しい天女が身にまとっていた「羽衣」から来ているのだろう。

ついでに、学名にも触れておくと、これは天女とは違う別の趣があり、
名付け親である外国の昆虫学者(Walker氏)は、
この子に Geisha distinctissima という名を与えた。

もちろん、属名は「芸者」から来ているのだろうが、
日本人は「芸者」と「天女」は、明確に区別できるのに・・・

 

そんな美しい虫も、ちょっとだけ不思議な習性をもっているのだ。

 

アオバハゴロモ(アオバハゴロモ科)

2011年10月26日 東海村・茨城

この子が、天女と芸者の姿を持つアオバハゴロモである。

透き通るような薄い青色の翅には、ピンクの縁取りがあり、
まさに、三保の松原に舞う天女のイメージである。
(少なくとも、私がイメージする芸者ではない?)

こんな美しい虫であるが、カメムシと同じ仲間であり、
果樹や庭木の汁を吸う害虫とされることがある。

 

 

アオバハゴロモ(アオバハゴロモ科)

2012年10月2日 東海村・茨城

アオバハゴロモの成虫は、細い木の枝に静止していることが多く、
ときには、数個体が等間隔で整然と並んでいる。

この写真には、何匹写っているかわかりますか?

 

 


もう一度・・・

 

 


アオバハゴロモ(アオバハゴロモ科)

2012年10月2日 東海村・茨城

赤色丸で囲った部分に、少なくとも7匹は確認できる。

ただし、黄色丸の中の子は、ちょっとだけ様子がおかしい。
なんか違うような気もするが・・・・

青色丸の子は、明らかに雰囲気がアオバハゴロモとは違う。

もしかしたら、これがモデルになった本物の芽なのか?

 

 

黄色丸の部分を、別の写真で拡大してみると・・・・

 


アオバハゴロモ(アオバハゴロモ科)

2012年10月2日 東海村・茨城

どうやら、これもアオバハゴロモのようである。

角度を変えると、こんな風に見えるのだ。

 

 

今度は、青色丸の部分を、別の写真で拡大してみると・・・・

 


ベッコウハゴロモ(ハゴロモ科)

2012年10月2日 東海村・茨城

どうやらこれは、閉じた翅の角度と色合いが異なっている。
同じ仲間のベッコウハゴロモのようである。

2種がこのように混在して見つかることは、しばしばある。

ベッコウハゴロモについては、次回、改めて紹介したい。

 

 


アオバハゴロモ(アオバハゴロモ科)

2012年10月2日 東海村・茨城

もう一度、全体の雰囲気を少し引いた写真でみると、
こんなイメージで、完全に植物に中に溶け込んでいる。


もう少し整然と並んでいると、外国のウンカの仲間のように、
集団擬態の範疇になるのだが・・・

 

 

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翅の下は何色? 

本来は夜行性の蛾の仲間は、
昼間は適切な背景を選び、(多分)ほとんど動かない。

いわゆる保護色の効果で、外敵に見つかりにくくなっているからだ。

もし、運悪く捕食者(鳥)に見つかってしまった場合には、
さっと翅を広げて、一目散に現場から飛び去ろうとするだろう。

このとき、翅の下(正確には後翅表面)にある鮮やかな模様が表れる。
その模様は、通常状態では見えないものであり、
捕食者も、それまで見たことがないものだろう。

だから捕食者は、ちょっとビックリして、攻撃を一瞬躊躇するだろう。

このわずかなタイムラグをうまく利用すれば、
蛾はその場から、飛び立って逃げられるかもしれないのだ。

 

今回は、そんな蛾たちの後翅表面の色と模様を、
偶然にも(?)、写真に撮ることができたので、
カトカラ【Catocala】類を中心に、紹介していきたい。

以下の写真で、右下に小さく添付したものは、
それぞれの種の通常の静止状態であるが、
撮影年月日は、本体のものとは異なっている場合がある。

 

 

ゴマシオキシタバ(ヤガ科)

2012年10月11日 城ヶ倉・青森

普通に静止しているときの前翅表面は、典型的な保護色(右下写真)である。

普段見えない後翅表面は、鮮やかなオレンジ色と黒色の模様があり、
そのような蛾の代表格は、マニアからカトカラと呼ばれている種類だろう。

日本には、数十種類のCatocala属の蛾がいるようだが、
多くは、このタイプの色彩だと思う。

 


アケビコノハ(ヤガ科)

2010年11月27日 三春PA・福島

やや漫画チックな目玉模様があるアケビコノハ幼虫が有名であるが、
アケビコノハの成虫の姿かたちは、まるで枯れ葉そのものである。
↓   ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20101224/1/

この枯れ葉擬態だけでも、十分な保護効果はありそうだが、
彼らは、万が一のことを考えているのだ。

飛んで逃げなければならないような状況が発生した場合には、
後翅表面にあるカトカラと同じような模様が表れる。

 

 


ウンモンスズメ(スズメガ科)

2012年7月21日 白岩森林公園・青森

さらに、緑色の美しいスズメガであるウンモンスズメも、
前翅に隠された部分に、赤い模様を持っている。

こんな色の組み合わせでも、鳥のような捕食者の攻撃を、
一瞬でも遅らせる効果はあるのだろう。

写真を撮った私自身も、ちょっとびっくりしたのだから・・・

 

 

ところが・・・・

 


ムラサキシタバ(ヤガ科)

2011年9月29日 城ヶ倉・青森

カトカラの仲間には、後翅表面がこんな色の蛾もいる。

紫と白の組み合わせも、周辺にはない色なので、
捕食者をビックリさせる効果は、おそらくあるのだろう。

 

 

 

フクラスズメ(ヤガ科)

2010年11月27日 城ヶ倉・青森

こちらは、ムラサキシタバと同じ雰囲気を持っている蛾である。

この子は、名前がややこしいが、スズメガの仲間ではない。

ビックリ効果というより、この紫色は、美しいと思う色である。

 

 

しかし・・・・

 

 

シロシタバ(ヤガ科)

2012年10月10日 城ヶ倉・青森

カトカラの仲間には、こんな色の蛾もいる。

黒と白の組み合わせも、周辺にはない色ではある。

しかし、捕食者をビックリさせる効果は、どうだろうか?

現在でも、立派に生き残っているということは、
早朝や夕方の薄暗いとき、目が慣れていない捕食者は、
やはり、ちょっとビックリするのだろう。

 

 

さらに・・・・

 


シロオビドクガ(ドクガ科)

2012年8月22日 十国峠・長野

ドクガの仲間ではあるが、食草が不明なので、
成虫の体液に不味成分が含まれているかどうかは、
現時点では確認できないらしい。

ただ、オスは背中に白線が一本しかないので、
有毒種のホタルガにベイツ型擬態している可能性はある。

一方、やや複雑に白線が交差するメスの場合には、
以前検討したように、分断色のような効果があるかも知れない。

少なくとも、メスの後翅表面は、写真のように、
鮮やかなオレンジ色で、捕食者をビックリさせる効果はありそうである。

 

 

そして・・・・・

 


トラガ(トラガ科)

2010年6月19日 だんぶり池・青森

右下の写真でも、わずかにオレンジ色が見えるが、
普通に静止しているときでも、半分翅を開いていることが多い。

この子は、完全な昼行性で、花にも蜜を吸いに来るが、
このときには、最初からオレンジ色が良く目立っている。

白と黒のよく目立つ模様と、後翅のオレンジ色との組み合わせは、
おそらく、警戒色の範疇に入るだろう。

だから、捕食者は、最初から食べようとしないのでは?

 

 


ついに・・・・・

 

 

ヒトリガ(ヒトリガ科)

2011年8月31日 酸ケ湯温泉・青森

上のシロオビドクガと雰囲気は良く似ているが、
この子は、警戒色を持った有毒種とされており、
おそらく鳥に食べられることはないのだろう。

良く見ると、前翅表面の地色は赤味がかった茶色で、
コントラストのはっきりした白線があり、
それだけで警戒色の範疇に入るだろう。


では、突然見せる後翅表面の鮮やかなオレンジ色の役割は?

 

 


というわけで、ちょっとだけ不思議な蛾の世界でした。

 

 

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