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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

シャッターチャンス【2】

カメラ片手に、林道をぶらぶら歩いていると、
思いがけないシャッターチャンスにめぐり合うことがある。

今回は、そんな偶然出会った虫たちとの出会い現場を紹介する。

 


脱皮中のイナゴ
 
2011年7月27日 だんぶり池・青森

バッタやキリギリスの仲間は、このように、
昼間堂々と脱皮することが多い。

ただその一部始終をカメラで撮るのは、色々な事情で難しい。

以前紹介したアシグロツユムシの自然状態での羽化写真は、、
今思うと、よほど運が良かった、例外中の例外であると言える。
http://kamemusi.no-mania.com/Entry/4/

 

 

アブラゼミ脱皮直後
 
2011年8月5日 白岩森林公園・青森

この写真も、羽化後の翅が伸びきったときのものである。

セミの羽化の瞬間は、薄明るくなった早朝に林道を歩けば、
ストロボなしで簡単に撮れると思う。

今回の撮影時刻は、06:59であり、ちょっとだけ遅かった(?)。

 

 

ノコギリクワガタの上に蛾が!

2011年8月7日 乳頭温泉・秋田

虫でなくても、自分の頭の上に蛾が止まったら、
一応嫌がるだろう。

しかし、このノコギリクワガタ君は、広い心を持っており、
そんな小さなことは、全く気にしない!

単に、鈍感なだけか?

 

 

エサキオサムシ食事中
 
2011年8月11日 東海村・茨城

アブラゼミが、さりげなく舗装道路上に横たわる
この光景も、確かに異様であるが、
そこにいる一匹だけのオサムシも、何となく寂しい。

 

 

エゾアオカメムシやっぱり同種だ

2011年7月31日 白岩森林公園・青森

このブログの3回目に、「本当に同種なの?」で紹介した。
(アドレス0913)

カメムシ類の色彩変異については、
アオクサカメムシやミナミアオカメムシでは、
良く知られていた現象であるが、
エゾアオカメムシでも、同じことが起こっていた。

これがその証拠写真である。

 

 

オオカマキリ産卵中
 
2011年9月3日 白岩森林公園・青森

これも、「オオカマキリは、本当に積雪量を予測するか?」
で紹介した内容の証拠写真である。
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110611/1/

これを見ると、冬には完全に雪の中に埋もれてしまうクズの茎に、
オオカマキリの雌は、その年の積雪量を、全く予測することなく、
必死に産卵中であった。

 

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ちょっとだけ不思議な虫たち【4】

特に基準があるわけではないが、
ちょっとだけ不思議な雰囲気を持った虫たちを選んで、
これから数回に分けて紹介する。

ちょっと怖いのは、これをテーマに紹介していくと、
全ての虫たちを取り上げなければならないかもしれない・・・・

どんな虫にも、不思議なところが必ずあるからだ。

 


 
ミノウスバ交尾中(マダラガ科)
 
2010年9月26日 乗鞍高原・長野

昼間飛ぶ蛾で、透明な翅をもっているので、
取り合えず、ハチに擬態してるのかな? と思うが・・・・

この蛾は、幼虫の方が有名で、
垣根や庭木などに使われるマサキやマユミなどを、
全て食べ尽くすこともあるほどの大害虫である。

この良く目立つ黄色と黒の幼虫は、手で触ると、
カメムシの良い匂いとは全く違う、
不快な臭いのする粘性の防御物質を出す。

おそらく、幼虫の味はあまり良くなく、
鳥やトカゲなどの外敵に襲われることはないのだろう。

この幼虫は、春までにマサキの柔らかい葉っぱ食べて、
蛹になると、そのままの状態で暑い夏を過ごす。

だから次の世代の幼虫が、マサキの堅い葉っぱを食べることはない。

そして、秋になって涼しくなると、成虫になり、
交尾して、卵を産み、そのまま冬を越すのである。

実にうまい具合に、餌植物の柔らかい葉っぱをを食べている・・・・

 

 

ラクダムシ(ラクダムシ科)
 
2011年6月29日 だんぶり池・青森

普段は、絶対に見かけない虫である。
これは、滅多にやらないビーティングで落ちたものである。

写真では分かりにくいが、背中にこぶがあるわけでもなく、
何で、この名前がついたのか、ちょっとだけ不思議である。

軽く調べてみると、この虫のドイツ語名に由来しているようで、
ラクダの首のような虫ということになるらしい。

こぶではなく、首の形がラクダなのか?

良く見ると、胸の部分が細長く伸びていて、
写真では、そうなっていないが、
静止するときにこの部分から上に傾けて、
頭を持ち上げる性質があるらしい。

このときの格好がラクダに似ているので、
この名前が付いたとのことで、
さすがドイツ人? (何のこっちゃ!)

今度は、自然状態で、もう一度撮りたい虫である。

 

 

アオカメノコハムシ(ハムシ科)
 
2011年7月3日 白岩森林公園・青森

良く見かけるカメノコハムシは、茶色で目立つが、
この子は、全身がくすんだ緑色のカメノコである。

このように、アザミの葉っぱの上に、
頭も脚も引っ込めてじっとしていると、
なかなか虫とは気づかない。

何か、イメージとして、カエルやカナヘビが、
上からパクリとやっても、つるっと滑って、
なかなか食べられそうもない感じである。

普通のハムシの仲間は、葉っぱの上に静止するときに、
脚を体の下に引っ込めることはない。

自分の姿・特徴を、分かった上でやってるのだろうか?

それにしても、ちょっとだけ変な虫である・・・・

 

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飛び立つ瞬間

多くの虫たちは、翅を持っていて、
空中を飛びまわることができる。

ヤンマやスズメガのように、
空中でホバリングする虫たちは、
最近のデジカメならば、以前紹介したように、比較的簡単に撮れる。

http://kamemusi.no-mania.com/Date/20101210/1/
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110804/1/

しかし、普通に虫が飛んでいる姿を撮るのは、
特殊な装置が必要である。

ただ、甲虫類は、飛び立つ直前に、
翅を広げている瞬間が比較的長い。

だから、普通に静止写真を撮ろうとして、
偶然に飛び立つ瞬間を撮れることがある。


今回は、そんな簡単に撮れた写真を紹介する。


アカハネムシ(アカハネムシ科)
 
2010年5月30日 白神・青森

多くの場合、このような写真を撮る前に、
数枚の静止している状態を撮っている。


 

コガネの一種(コガネムシ科)
 
2010年6月29日 十勝・北海道

そして、被写体に、より近づいた瞬間に、
偶然このような写真が撮れるのだ。

 


ベニボタル(ベニボタル科)
 
2011年7月24日 白岩森林公園・青森

甲虫類のこのような写真は、よく見かける。

簡単に撮れる理由のひとつは、
こうしている時間が比較的長いからである。

 


コフキコガネの一種(コガネムシ科)
 
2011年7月24日 志賀坊森林公園・青森

この子は、結構長い時間、ウォーミングアップしていた。
だから、数枚の同じような写真を撮ることができた。

 


ムツモンオトシブミ(オトシブミ科)
 
2011年6月3日 だんぶり池・青森

この子も、飛び立つまでの時間が長い。
だから、甲虫類は、飛び立って逃げるよりも、
地面に落下して、逃げる種類も多いのだ。

 


アトボシハムシ(ハムシ科)
 
2011年10月11日 だんぶり池・青森

秋も深まり、気温が低い午前中には、
ウォーミングアップというより、
太陽の光を全身に受け止めようとしているようだ。

 

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ハイイロセダカモクメ幼虫 衝撃の瞬間

ハイイロセダカモクメは、蛹で越冬する。

蛹で越冬する昆虫類の多くは、春に成虫になって、
幼虫が新緑の柔らかい葉っぱを食べて育つ。

ところが、ハイイロセダカモクメは、
そのような食べ物が豊富な時期も、蛹のままで過ごして、
何故か、夏の終わりに成虫になるのである。

もちろん、この時期には、新鮮な葉っぱはない。
幼虫は、周囲に沢山ある柔らかいヨモギの花穂を餌とするのだ。


しかし、ひとつ大きな問題が出てくる。

ヨモギの花穂は、葉っぱと違って、隠れるところが少ない。
しかも、花穂を食べてしまうと、ますます、隠れるところがなくなってしまう。


そんな中で、彼らは鳥に捕食されないように、
あっと驚くミラクル擬態を完成させたのだ。
何と、彼らは、食べてなくなったもの(花穂)そっくりなのである。

その擬態の完成度たるや、少なくとも我々人間が、
必死になってヨモギの花穂を探さなければ、
決して見つけることができないほどの「ミラクル擬態」と言える。

そして、これだけの努力をしたのだから、
鳥類の餌となる機会は、かなり減ったに違いない。

これで、一件落着である・・・・・・

 

しかし、自然界の掟は、ときには、かなり残酷である。


・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・


前回予告したように、衝撃の瞬間を紹介しよう。

以下の7枚の連続写真をご覧ください。

 

衝撃の8分前【14:18】
 
2011年10月4日 だんぶり池・青森

背後から、そっと近づく恐怖のクチブトカメムシ。

ちょっと見た感じでは、クサギカメムシのような
普通の植物の汁を吸うカメムシである。

ところが・・・


ピンと伸ばした口吻の先端からの距離は、多分1cmもない。

もちろん、この位置と距離では、
ハイイロセダカモクメ幼虫のミラクル擬態は、機能していない。

おそらく、捕食者の眼には、犠牲者の全体像は見えず、
普通のイモムシのお尻にしか見えていないだろう。

 


衝撃の5分前【14:21】
 
2011年10月4日 だんぶり池・青森

約3分かかって、ゆっくりゆっくりと至近距離まで近づいた。

触角が、幼虫のお尻に軽く触れているのが分かる。

 


衝撃の3分前【14:23】
 
2011年10月4日 だんぶり池・青森

まだカメムシの口吻は、幼虫の体に突き刺さってはいない。

ここが、カマキリやハエトリグモの捕獲行動とは全く違うのだ。


 

衝撃の瞬間【14:26】
 
2011年10月4日 だんぶり池・青森

この写真は、突き刺した瞬間ではないかもしれない。
もしかしたら、数秒あるいは数十秒経過しているかもしれない。

突然、幼虫が体を上に曲げ、いやいやをするように数回振った。

 


衝撃の1分後【14:27】

2011年10月4日 だんぶり池・青森

その後、すぐにその動作は鈍くなり、止まった。
おそらく、カメムシが麻酔薬を注入したのだろう。

なんとも、恐ろしい光景である。


 

衝撃の11分後【14:37】
 
2011年10月4日 だんぶり池・青森

そして10分程度で、幼虫の体は、植物から離れ、
宙に浮いた状態になっていた。


 

衝撃の12分後【14:38】
 
2011年10月4日 だんぶり池・青森

その後、カメムシが体を軽くゆすったとき、
幼虫の体は下に垂れさがった。

体液を吸われ続けているのだろう。

・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・

どんなに完璧な防御手段であっても、
全ての捕食者の攻撃を避けることは出来ないのだ。

 

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ヨモギの花穂に集まる虫たち

だんぶり池周辺の林道も、
秋になると咲いている花が限られてくる。

そんな中で、ヨモギの花穂(かすい)には、
ミラクル擬態のハイイロセダカモクメ幼虫以外にも、
結構色々な虫が集まってくる。

今回は、普通に見かける幼虫たちを紹介するが、
(残念ながら、種名が確定できない・・・)
何の防御手段も持っていないような虫でも、
このように、毎年見ることができる。

そんな彼らでも、十分子孫を残していけるのである。


一体何故、ハイイロセダカモクメ君だけが、
彼らと同じ環境にいるのに、やりすぎとも思えるような、
ミラクル擬態を進化させてきたのか?


ちょっとだけ不思議な昆虫の世界である。

 


種名不明の幼虫
 
2011年9月23日 だんぶり池・青森

黄色と黒の良く目立つ色の幼虫であるが、
この静止する恰好は、枝に擬態しているようでもある。

つまり、警戒色の良く目立つ虫が、
保護色の虫のような行動をしているのである。

 


多分ヨモギエダシャクの幼虫(シャクガ科)
2011年9月23日 だんぶり池・青森

こちらは、目立たない代表格の幼虫である。
良く見ないと、見逃してしまう。

この虫が、この行動ならわかる?

 

 

種名不明の幼虫
 
2010年10月14日 だんぶり池・青森

ちょっとグロテスクなケムシ・・・

だが、よく目立つ。

 

 

種名不明の幼虫
 
2010年10月14日 だんぶり池・青森

同じく、グロテスクなイモムシ・・・

小鳥の餌にしては、ちょっと大きいか?

 

 

オオトビサシガメ(サシガメ科)
 
2011年9月23日 だんぶり池・青森

これだけ、多くの幼虫がいると、
それを狙って捕食者が集まってくる。

その代表が、オオトビサシガメだ。

 

 

クチブトカメムシ(カメムシ科)
 
2011年10月4日 だんぶり池・青森

クチブトカメムシもえものを求めてやってくる。
まあ、普通に近づいてカメラを構えた。


その瞬間、ようやく気が付いたのだ!!!

わかりますか?

・・・・彼の目の前に、ハイイロセダカモクメ幼虫がいる・・・・

 

実は、この後の一部始終を、カメラで記録することが出来た。


次回予告!

これが衝撃の瞬間だ!!

 

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