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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

ヒメツチハンミョウ かなり不思議な昆虫の世界

これまでは、ブログタイトルどおり、
ちょっとだけ不思議な昆虫の世界」の話をしてきた。

今回は、「かなり不思議な昆虫の世界」を紹介したい。



まずは、舞台となった場所はこんな感じだった。


乗鞍高原 牛溜池
 
2010年9月27日 一の瀬園地 長野

こんな雰囲気の乗鞍高原の静かな池のほとりで、
落ち葉の陰に、まるで人工物のように、
キラキラ輝く青い虫を見つけた。

 


 
2010年9月26日 乗鞍高原

ヒメツチハンミョウのオスである。

男なのに、まるで妊娠しているように膨らんだお腹、
全く飛ぶことが出来ないと思われる小さな翅、
ありえないところがハート型に膨らんだ触角、
全ての体の部分が同じ光沢のある青色。

これだけ見ても、この子は、
「かなり不思議な雰囲気」を持っている虫である。


 

 
2010年9月26日 乗鞍高原

ただし、この子の不思議なところは、外観だけではない。
これからが、「かなり不思議な昆虫の世界」なのだ。


ツチハンミョウの仲間は、ファープル昆虫記にも出てくるので、
その不思議な生活誌を、ご存知の方も多いと思う。

まず、ツチハンミョウの雌は、4000以上の卵を産む。
この数は、通常の昆虫の産卵数ではない。

そして、春先に孵化した1齢幼虫は、アザミなどの花によじ登る。
自分で花の蜜を吸うためではない。
ハナバチが蜜を吸いに来るのを待つのである。

運良くハナバチが来ると、強靭な大あごと肢の爪で、
ハナバチの毛にしがみつき、その巣にたどり着く。

運悪くハナバチの雄にしがみついてしまった場合、
交尾したときに、雌の体に飛び移るという。

巣の中に入った1齢幼虫は、そこで、ハナバチの卵を食べる。

そして、脱皮した2齢幼虫はなんと、イモムシ状になり、
今度は、蜜の上に浮いて蜜を食べる。

その後、3齢幼虫になると、また体型が変化し、
ほとんど動かないサナギにそっくりの擬蛹になる。

さらに、擬蛹の中で、またイモムシ状の4齢幼虫になり(逆戻りの変態)、 
まもなく通常の蛹となって、ついで写真のような成虫となる。

成虫は林床や草地を徘徊し、苔などを食べているといわれる。

このような特徴的な変態を「過変態」と呼ぶが、
何故、3齢幼虫が蛹に似た姿になるのかは、
まだ明確に解明されてはいないらしい。

 

 
 
2010年9月26日 乗鞍高原


しかも、ツチハンミョウ類はカンタリジンという猛毒を、体内に持っている。
だから、この子に、不用意に触れると、強い痛みを感じ、水泡を生じる。

カンタりジンの哺乳類に対する毒性は高く、
昆虫類の持つ有毒成分の中でも、トップクラスになると思う。

また、カンタりジンを持つ昆虫類は多く、
ツチハンミョウ類の他にも、ジョウカイボン類、カミキリモドキ類、
アリモドキ類、ハネカクシ類などが知られている。

昔は、毒薬や媚薬、あるいは育毛剤などに用いられたという。


何でこんな不思議な昆虫がいるんだろうか?
 

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原発事故と風評被害

5月になったので、このブログの趣旨とは離れますが、
東日本大震災、原発事故と風評被害について、
一度だけ、思っていることを書きます。

普段、ブログに勝手なことを書いているのに、
今回の事故に関して、何も触れないのは、
ちょっとだけ違和感があると感じたからです。

 

4月9日から2週間、茨城県の「東海村」と「ひたちなか市」を、
震災後初めて、夫婦で訪れた。
大学で原子力関係の仕事をしている息子(夫婦と孫)と、
娘(次女)が、それぞれ住んでいるからである。
 

弘前から高速道路を走行したが、一部区間通行止めや車線規制があり、
路面はでこぼこのところが多く、路肩の亀裂は、応急処置が施されていた。

 
2011年4月10日 那珂湊付近

現地の道路も、いたるところで亀裂が入っており、段差が多く、
大洗方面へのR245の湊大橋も、壊れて通行止めであった。

 


 
2011年4月10日 那珂湊おさかな市場岸壁

休日は買い物客でにぎわう那珂湊の魚市場も、営業できる状態ではなく、
原発事故の影響で、漁も中止されていた。




 
2010年4月15日 ひたちなか海浜鉄道の線路

多くの住民の足であった鉄道も、電車が脱線したままで放置され、
線路も波打って、一部の枕木が剥がされて積み上げられていた。



テレビでは、被害の甚大な三陸方面の状況を紹介することが多い。
しかし茨城や千葉でも、被害が大きいところでは、状況は同じである。

滞在中、余震も頻繁で、震度3クラスのものが何度もあった。
津波注意報が出たときには、不気味なサイレンが鳴り響いた。

娘は、慣れたせいか、比較的平然としていたが・・・

 
 

そして、福島第2原発からの放射能漏れの影響である。

東京電力では、昼夜を問わず、必死の修復作業を続けているが、
この事故は、これからの世界の原子力エネルギーの利用について、
大きな影響を与えることは間違いないだろう。

ほんの10数年前に比較して、我々が入手できる情報は激増し、
特に、ネット上では、放射能漏れに関する様々な情報が氾濫している。

それをを見ていて一番気になるのは、(具体的には言及しないが)、
それなりに影響力のある学者も含めた著名人が、
不正確な情報を流すことである。

これでは、いわゆる風評被害も、あっという間に広がるだろう。


今回訪れた茨城県内のスーパーでは、
出荷制限のかかっていない福島県産の野菜や食材が、
何故か、半額以下で売られていた。
茨城の人でさえ、買うのをためらっているようである。

妻と娘は、さりげなく安いイチゴを大量に購入した。

放射線は、テレビの専門家が解説するように、
どんな場合でも、できるだけ被曝しない方が良いに決まっている。

それでも、現在の状況が変わらない限り、
私や家族は「福島産の食材を普通に買う」と思う。

理由は、多少のリスクがあるとしても、
複数の「放射線の安全性に関する専門家」の同意を得た、
政府の発表することは、基本的に正しいはずだからである。

誤解のないように付け加えておくが、私は、
ある消費者が「福島産の食材は買わない」ことを、
批判しているのではない。
もちろん「汚染の可能性がある地域の食品を食べても大丈夫だ」と、
購入して食べることを、奨励している訳でもない。

これから数か月の間は、我々一人ひとりがどのように行動するべきかを、
真剣に考える絶好の機会なのかもしれない。

自分が軽微なリスクを避けるような行動をすることは、
属する集団に、悪い影響を与える利己的な行動かもしれないことを、
人間以外の生物は、おそらく理解することができないはずである。

生物(生命体)は、その成り立ちからみて、間違いなく利己的であるし、
そうでない生物は、とっくに滅亡している。

しかし、我々人間は、本能だけの生物ではない・・・・
 

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ちょっとだけ不思議な日本の橋

先日、印象に残る「日本の灯台ベスト5」を紹介した。

今回は、明確な選択理由はないが、
ちょっとだけ不思議な「日本の橋ベスト5」を紹介したい。

 

 まずは、この不思議な橋(?)から・・・

東京湾の橋(工事中)
 
2010年925日 夢の島・東京都

私は、東京の海抜0メートル地帯に、25年間住んでいた。
下町の道路のほとんどは、川(運河?)をまたぐのに、
橋がアーチ型をしており、かなりの坂道になっていた。
実は、小学生のころは、それが普通だと思っていた。

一体、どういう手順で工事をしていったら、
あんなに見事な橋が完成するのか・・・
川に架かる橋は「ちょっとだけ不思議」な存在だった。

そして、それから数十年たって、ようやく
造りかけの橋の写真を、撮ることができた。

写真のように、両側から少しずつ伸ばしていって、
普通に、真ん中で合体させるだけだった。
当然、アナログ的な微調整なんかしないで、
中央部で、ぴったり合体するんだろうな。

地震とか、地盤沈下とかで、
数ミリレベルのずれはあるかもしれないが・・・

 


加賀須野橋(開閉橋)
 
2008年4月4日 徳島市・徳島

最近まで住んでいた徳島市の今切川に架かるこの橋は、
下を船が通れるようなアーチ型はしていない。

そのかわり、橋(道路)の一部が、ほぼ直角にまで開くのである。
この開閉橋は、全国的にも有名らしい。
今でも一日に10回程度は、開閉していると思う。

だから、通勤時間帯にも平気で跳ね上がり、
かなりの交通渋滞を引き起こしていた。

今は、知っている人も少ないと思うが、
東京にも、勝鬨橋という橋が隅田川に架かっており、
一日に数回は開閉していたので、
特に「珍しい」とも、「不思議である」とも思っていなかった。

でも、開かなくなってから、もうすでに50年は経っているのか?

ちょっとだけ不思議なのは、私がこの二つの橋のある都市に、
それぞれ25年と、35年住んでいたことであろう・・・

 

 

関門海峡大橋
 
2010年1月9日 下関市・山口

日本は島国なので、島と島をつなぐ橋が比較的多い。

多分、両端の陸地の条件がそれぞれ違うので、
色々なタイプの橋が架かっているのだと思う。

日本の灯台のときにも、そんな風に感じたが、
(もちろん設計者の意図もあると思うが)、
自然の風景の中に、違和感なく溶け込んでいるようにも見える。

ただし、幅が広い海峡に架かる比較的長い橋は、
その海峡が、船の重要な航路になっているためか、
イメージが良く似た吊り橋タイプになってしまう。

だから、関門海峡大橋と、鳴門海峡に架かる大鳴門橋は、
雰囲気が雰囲気が良く似ていると思う。

後で、写真だけを見ると、どっちだか分からなくなるほどである。

 

 

明石海峡大橋
 
2004年4月30日 淡路島SA・兵庫

多くの人が「明石大橋」と呼んでいるが、
その名前の橋は、明石市の国道2号線に存在しており、
正式には「明石海峡大橋」とういらしい。

全長3,911m、中央支間1,991mで、
世界最長の吊り橋とされている。

また、主塔の高さは海面上298mもあり、
東京タワーに近い高さとなっている。

愛称を「パールブリッジ」と決めたようだが、
その名で呼ぶ人は、私の知る限りどこにもいない(?)

ただ、明石SAからの夜間の眺めは、
時間ごとに7色のライトが点灯し、最高である。

しかし、この橋が完成したことで、
徳島市は、さりげなく近畿地方になってしまった。

 

 

瀬戸大橋
 
2004年1月31日 与島SA・香川

この橋の上部は、4車線の瀬戸中央自動車道で、
下部は、JR本四備讃線が通る2階建ての構造である。

徳島に住んでいたとき、
頻繁に大山や蒜山高原に、カメラ片手に出かけていたが、
実際にこの橋を通ったのは、そんなに多くない。
ほとんどは、並行して走る、値段の安いフェリーを利用していた。

しかし、ここから見る夕陽は、実に見事であり、
時間調整しながら橋を渡ることが多かった。

何故、四国に橋が3本も架かったのか、
今でも「ちょっとだけ不思議」である。


 

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日本のセミ【2】

(4月22日のつづきです)

セミの写真を撮るのは、なかなか難しい。
多くのセミは、木の高いところで鳴いているからである。

だから、大好きなヒグラシの声が聞こえてきても、
樹上を探して、写真を撮ろうとは思えない。


でも、ひとつだけ(?)良い方法があるのだ!!!
それは、「早起きをする」ことである。

朝早く林道を歩くと、まだ湿って、
水滴がついているような下草の表面に、
日中では絶対見られない状態で、
セミが、さりげなくいることがある。

以下の5枚の写真は、全てセミが草の上にいる(???)

 


ヒグラシ
 
2010年7月18日 だんぶり池・青森

何を隠そう!!!
私は、日本の風景の中では、ブナ林も良いが、
唯一の落葉針葉樹であるカラマツ林も好きである。

特に、夕暮れ迫る頃に、ヒグラシが鳴いていると、
何となく涙が出て、泣いてしまいそうになる。

太宰治は「富士山には、月見草が似合う」と言ったが、
私は「カラマツ林には、ヒグラシの鳴き声が似合う」と、
昔からさりげなく思っていた。

  


コエゾゼミ
 
2010年7月28日 酸ヶ湯・青森

北方系の種類で、ブナ林などで見られるが、
頭部を下向きに止まって鳴くらしい。

エゾゼミの方が個体数は多いと言われているが、
何故か、コエゾゼミしか撮影できていない。
たまたま、写真を撮りやすい場所にいるのが、
コエゾゼミなのかも知れないが・・・

それでも、早朝にしか撮れていないが・・・・


 

エゾハルゼミ
 
2010年6月24日 登別温泉・北海道

冷涼な地域の、ブナなどで構成された落葉広葉樹林に生息する。
成虫はハルゼミより少し遅く、5月下旬から7月にかけて発生する。

鳴き声は、風邪をひいたヒグラシのような感じで、
どこからともなく聞こえてくる。

ただ、純粋な森林性の種のようで、
市街地で鳴き声が聞かれることは少ない。

 


イワサキクサゼミ
 
2003年4月5日 与那国島・沖縄

八重山諸島に生息する日本最小のセミである。

初めて見たときは、興奮して、写真を撮りまくったが、
サトウキビの害虫としても、よく知られている。

実は、同じ日の午前中に、すぐ近くの林道で、
世界最大の蛾(?)ヨナグニサンに出会っているので、
この日は、さりげなく「興奮の一日」であったのだ!!!

 


ツマグロゼミ
 
1999年6月20日 与那国島・沖縄

今回紹介した中で、唯一の希少種である小型の美しいセミ

宮古島では、保護運動が起こっていると聞く。

前翅の先端部に黒い紋があるので、この名前がついたらしいが、
この写真では、分かりにくい。

実は、撮影時点では、イワサキクサゼミと思っていた。
後で調べると、ツマグロゼミと分かった。

もっと、沢山写真を撮っておけば良かった。

 

 

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日本のセミ【1】

セミは、昆虫の中でも、かなり大きな声(?)で鳴く。
オスの腹部には、大きな空洞があり、
ギターのように音を増幅することができるからである。

日本では、新緑の季節を過ぎると、松林などで、
さりげなくハルセミが鳴いていることに気がつく。

そして、夏にかけて、いろいろなセミの声が聞こえてくる。

しかし、日本国内で、普通に見られるセミの種類は、
わずか20種程度しかない。
だから、昆虫に興味のない人でも、
鳴き声を聞けば、~~ゼミとわかるほどである。

そのせいか、昔から文科系の人たちにも、
少なからず興味を持たれていたようで、
多くの文学作品の題材になっている。



今回は、日本の代表的なセミ4種を紹介する。

 

クマゼミ
 
2005年8月6日 鳴門市・徳島

鳴き声の大きさでは、多分日本一だろう。

徳島市に住んでいたころ、阿波踊りの季節が近づくと、
ギンギラギンにさりげなく、クマゼミが鳴き出す。

だから「阿波踊りには、クマゼミの鳴き声がよく似合う」と思う。

ここ数年、クマゼミの分布域が北上していると言われるが、
これも、地球温暖化の影響なのか?

 


ミンミンゼミ
 
2010年8月10日 東海村・茨城

独特の鳴き声は、どことなく懐かしい。
個人的には「ミンミンゼミの鳴き声は、かき氷とよく似合う」と思う。

ただし、西日本の平野部には、ミンミンゼミは、ほとんどいない。
昔の九州が舞台のテレビドラマで、ミンミンゼミが鳴いていて、
多少、違和感を覚えたことを覚えている。

したがって、ミンミンゼミとクマゼミが、
合唱することは、基本的にはないと思う。

 
 

 ニイニイゼミ
 
2010年7月11日 筑波山・茨城

鳴き声も、サイズ的にも、非常に地味なセミである。

多分、日本人の多くは、神社やお寺の境内にいると、
一種独特な雰囲気を感じると思う。
「ニイニイゼミの鳴き声は、そんな雰囲気によく似合う」と思う。

そういえば、松尾芭蕉が山寺で詠んだ有名な俳句のセミは、
ニイニイゼミである可能性が高いという。

 


アブラゼミ
 
2005年7月31日 鳴門市・徳島

子供のころは、東京にもアブラゼミが沢山いたし、
千葉県の梨畑では、立派な(?)害虫であった。

しかし、関東以西の市街地では、環境の変化によって、
生息数が減少しているといわれている。

ほとんどのセミの種類は、透明の翅を持っているが、
アブラゼミの翅は、前後とも不透明の褐色であり、
世界でも珍しい翅全体が不透明のセミである。

そのためか、アブラゼミは人が近づくと、
幹の反対側に歩いて逃げようとするが、
クマゼミなどは、すぐに飛んで逃げる。

しかし、この行動パターンが、アブラゼミの
個体数減少の直接原因ではないだろう。

 

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