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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

目玉模様のモデル 動物の目は怖い??


虫たちの身体にある比較的大きな目玉模様は、
フクロウやネコの目に似ているので、
野鳥類の攻撃を躊躇させることが出来る。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150214/1/
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150218/1/


獲物を探す野鳥類は、かなり臆病であり、
食べようとした虫たちに、フクロウやネコを連想するような、
大きな目玉模様を、急に見せつけられるので、
あまり本物の目に似ていなくても、十分効果的である。

おそらく、左右対称のおよその場所さえ一致していれば、
どんな模様だって、目玉に見えてしまうのだ。

 


だから、本物の目の写真を載せて、
ニセの目玉模様と比較する必要なんて全くない。

 

 


・・・・けれど、

 


下の写真が、本物の動物の目である。

 


動物の目は怖い!


やはり、目玉だけを切り取ると、
人間が見ても、気持ちの良いものではない。


 ⇒あんまり、見つめない方が良いかも?

 

動物の目の形や、中にある模様(光彩?)は、
当然のことながら、微妙に形が違って、
いわゆる千差万別の世界である。


実際には、動物の(本物の!)目は、
同心円というイメージは、ほとんどないようだ。

 

 

上の写真の正体は???

 

ちょっとだけ可愛い動物たち

左上: ネコ(ネコ科) 弘前市・青森(20140801)
左中: ネコ(ネコ科) 弘前市・青森(20140801)
左下: ネコ(ネコ科) 弘前市・青森(20140801)
右上: イヌ(イヌ科) 弘前市・青森(20100314)
右中: キタキツネ(イヌ科) 知床・北海道(20110709)
右下: クスサン(ヤママユガ科) 碇ヶ関・青森(20080922)

 

じっと見つめた方は、すぐにお分かりのように、
右下の目は、噂の「蛾の目玉模様」である。


左側の3枚のネコは、自宅付近で見つかる飼い猫なのだが、
全体を見れば、多分可愛らしいのだろう。

もちろん、イヌ(かつての愛犬アイン君)やキタキツネも・・・


しかし、目の部分だけを取り出すと、
どうしても、やや怖いイメージが出てくるようだ。

おそらく、野鳥類にとっても、目だけ見ると、
人間と同じように、恐ろしいのだろう。


 ⇒今度、多摩動物園に行ったら、昆虫館だけでなく、
  たまには、ミミズクやフクロウの写真も撮らないと!!

 

 


さらに、こんな目をした動物もいる。


 

野鳥類の天敵?

左: アオダイショウ 大雪山山麓・北海道(20140705)
右: ホンドテン 白岩森林公園・青森(20120808)


野鳥類にとって、もっともっと怖い天敵は、
おそらく、ヘビかもしれない。

左のアオダイショウ(ナミヘビ科)は、
大雪山山麓で、もうちょっと歩くと、
残雪が残っているようなところで見つけた。

そっと近づくと、こんな写真を撮らせてくれた。


あまりヘビの写真を撮る機会がないのだが、
偶然出会った、このヘビの目は、小さくて、
予想外に、やさしい感じがした。


しかも、左右に分かれて配置されているので、
虫たちが真似をする目玉模様のモデルには、
どうも、なっていないようだ。


野鳥類が、ヘビの怖さを感じるのは、
やはり「細長い体」なのかもしれない。


 ⇒少なくとも、うちの娘(次女)は、
  ゴキブリやケムシは、全く平気なのに、
  道路に落ちている縄を見ただけで、
  「ヘ!がいる!!」と叫んで、かなり怖がるのだ。

  よほど嫌いなのか、「ヘビ」という言葉も発しないで、
  ただの「ヘ!」というのだ。

 

 

一方、右のホンドテン(イタチ科)は、
あまり野鳥類を捕獲することはないと思うが、
巣の中の卵や、ヒナが狙われそうだ。

この写真は、アオダイショウとは違って、
かなり遠くで撮った写真を、トリミングしたものだ。


 ⇒目のまわりが黒くなっているのは、
  比較的小さな目を、強調してるのだろうか?

  ひょっとして、歌舞伎役者が擬態してる???

 

 


・・・・蛇足

 


カエルの目

左: シュレーゲルアオガエル だんぶり池・青森(20101008)
右: ニホンアマガエル だんぶり池・青森(20100612)


カエルの目は、実は、かなり怖いのだ。

何故か、虫たちが真似をする目玉模様は、
どちらかというと、カエルの目に似ている。


 ⇒カエルが、野鳥類を捕獲することはないと思うし、
  むしろ逆に、野鳥類がカエルを食べることが多い??


ということは、
野鳥類は、偽物の「目玉模様」は、物凄く怖がるのに、
カエルの(本物の)目は、全く怖がらないことになる??


 ちょっとだけ不思議emojiemojiemoji

 

 

 

・・・蛇足の蛇足

 

 

思い付くままに・・・ことわざ・慣用句


『眼力』     ⇒もちろん、私には全くない。

『目を見て話せ』 ⇒それが、なかなか難しい。

『目をそらすな』 ⇒ヒグマに出会ったら、できるだろうか?

『鵜の目鷹の目』 ⇒この際、ノーコメントで・・・

『鬼の目にも涙』 ⇒多分、涙にあふれている。

『眼光鋭い』   ⇒過去に2人くらい出会ったか。

『目玉焼き』   ⇒命名者のセンスに完敗?

『目には目を歯には歯を』  ⇒これは絶対ダメ!

『目は口ほどにものをいう』 ⇒そんな人いる?

 

 

    

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変わり者の特権 これも自然淘汰なの??


我々が目にすることのできる虫たちの中には、
奇妙で、目立ちやすい姿かたちをしているのに、
体内に不味成分を持っているとは考えにくいし、
もちろん、何かに擬態してるとは思えない種がいる。


有名なのは、熱帯のツノゼミの仲間で、
とても虫とは思えない、変てこりんな、
怪獣映画に出てくる宇宙人のような風貌をしている。


日本国内には、そんな雰囲気の虫たちはいないので、
自分で写真を撮ったことは、もちろんないのだが・・・


 ⇒写真を見たことのない方は、
  多分、「熱帯のツノゼミ」でネット検索すれば、
  すぐに見つかると思います。

 


では、日本で見られる虫たちの中で、
非常に奇妙で、目立ちやすい風貌とは、
どんな雰囲気なのだろうか?


実は、過去に、このブログでも紹介したことがある。

ODDITY???
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130123/1/

 

防御手段を他に待たない虫たちが、
捕食者に見つかりやすい目立つ格好をしながら、
子孫を残し続けられる理由は、何なんだろうか???

 


鳥類のような視覚的に獲物を探す捕食者の多くは、
獲物に対して、サーチングイメージができるので、
直前に食べた虫たちを狙う習性があるようだ。

だから、過去に出会ったことがないような、
奇妙な格好をしている虫たちを見つけても、
一瞬、攻撃を躊躇する可能性があるのだ。

 

当然、どのくらい奇妙な姿かたちならば、
捕食者の攻撃を躊躇させるのかは、
様々な条件で変わってくるはずだ。

 

 


・・・写真がなければ、話にならない?

 

 


タイトルを、異端児としたのは、幼虫だからである。
成虫は、まあ、普通の虫たちなのに・・・・

 

異端児の特権(!!)

左: モモイロツマキリコヤガ幼虫 ベンセ沼・青森(20130715)
右: アケビコノハ幼虫 弘前市・青森(20101017)


この2種の蛾の幼虫は、姿かたちも奇妙なのだが、
さらに、モモイロツマキリコヤガ幼虫は、
背中を持ち上て静止しているし、
アケビコノハ幼虫は、逆に、
頭とお尻を上に持ち上げてU字型に静止している。


 ⇒普通のイモムシでも、このように、
  突然、いつもと違うポーズをするだけで、
  捕食者は、ちょっとだけビックリするようだ。

 

モモイロツマキリコヤガ幼虫は、サルトリイバラの葉を、
 食べることが知られている。

アケビコノハ幼虫の食べ物は、アケビの葉であり、
もちろん、いずれも有毒植物ではない。


 ⇒この子たちを、目の前にした野鳥類やカエルは、
  本当に、攻撃を躊躇するのだろうか?


  というか、まず、虫とは思わなかったり、
  ただ単に、薄気味が悪い(?)生き物を、
  見て見ぬふりで、素通りするのだろうか?

 

 

もう一枚、分かりやすい写真!

 

 

異端児の特権(??)

左: ルリタテハ幼虫 ひたちなか市・茨城(20130922)
右: リンゴドクガ幼虫 蔦温泉・青森(20111009)


この2種の幼虫も、その姿かたちだけで、
やりすぎとも思えるほど、風変わりだ。

もちろん、我々人間が見たイメージだけなのだが・・・

 

ただし、この2種に関しては、別の微妙な条件がある。


まず、左のルリタテハ幼虫は、
サルトリイバラやホトトギス類などを食べるが、
これらは、特に有毒植物と言われる種類ではない。

だから、体液に不味(有毒)成分は持っていないし、
もちろん、この棘には毒はない。

しかし、この風貌が、イラガ幼虫をモデルとした、
「ベイツ型擬態」であれば、話はそこで終わってしまう。

 

次に、右のリンゴドクガ幼虫。

この子は、ドクガの仲間ではあるが、
毒針毛はなく、手で触っても大丈夫だ。

リンゴやナシ、サクラなどの葉を食べるので、
体内に不味成分は持っていないはずだ。

しかし、この風貌が、他のドクガ幼虫をモデルとした、
「ベイツ型擬態」であれば、話はそこで終わってしまう。

 

 

話をすぐに終わらせないために、陳腐な結論!!


ちょっとだけ不思議な昆虫の世界では、
 「異端児の特権」と「ベイツ型擬態」の両方の可能性を、
さりげなく残しておくのだ。

 

 


その他にも、こんな虫たちがいる・・・

 

 

トリノフンダマシの仲間

左: トリノフンダマシ 金山町・秋田(20120806)
右: オオトリノフンダマシ だんぶり池・青森(20140809)


左のトリノフンダマシは、その名前のとおり、
どう見ても「鳥の糞」だ。


 ⇒野鳥類にとって、自分たちの糞は、
  まあ、身近なものなのかもしれない。

  しかし、薄気味悪く、奇妙なものではないはずだが、
  見つけても、近づくことはないだろう。


これに対して、右のオオトリノフンダマシは、
模様の周りに、ちょっと暗褐色の輪があるだけで、
鳥の糞に見えなくなっているのだ。

顔だけのカマキリにも見える?
 

まだ写真が撮れていないのだが、
トリノフンダマシの仲間には、
赤と白の水玉模様のような、よく目立つ種がいる。


このように、近縁種がほぼ同じ姿かたちなのに、
イメージ(色彩?)が全く変わっているという例は、
非常に興味深いと思う。

 

 

 

ベッコウハゴロモ幼虫

2013年7月30日 だんぶり池・青森

この子も、かなり異様な外観だ。

一体何故、こんなことをするのだろうか?


 ⇒詳細な状況は、以下をご覧ください

  君は虫か? ベッコウハゴロモ幼虫
  ↓   ↓   ↓
  http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110814/1/

 


・・・という訳で、

 


野鳥類のように、視覚的に獲物を探す捕食者が、
これまでに例示したような虫たちを食べることは、
よほど空腹の場合を除いて、おそらくないだろう。


しかし、防御手段を何も持たない虫たちが、
奇妙な風貌で捕食者から身を守ろうとする場合には、
逆に、非常に危険なこともあるのだ。


何らかの理由で、勇気ある捕食者が、
彼らを捕獲して、食べることが出来たとすると、
次からは、この味の良い目立つ風貌は、
格好のサーチングイメージになってしまうからだ。


 ⇒多くの野鳥類は、直前に食べた虫たちを、
  もう一度狙って捕獲する習性がある。

  ある有名な実験があって、小鳥たちに、
  小枝とシャクガ幼虫を同時に提示した場合に、
  最初に食べたのがシャクガ幼虫だったときには、
  その小鳥は、次回からは、本物の小枝を、
  執拗に突っついて確かめるのだ。

 

冒頭で述べたように、多くの捕食者は、
過去に出会ったことがないような、
奇妙な格好をしている虫たちを見つけたとき、
それが、食べても大丈夫なものなのかどうかを、
何らかの手段で、確かめなければならない。


だから、それまで食べたことのある獲物を、
サーチングイメージとして、次回からも、
同じような獲物を捕獲する傾向があるのだ。


おそらく、この微妙な事実こそが、
冒頭に提示した疑問への回答なのだろう。


実を言うと、擬態に興味を持ち始めた学生時代から、
「警戒色のベイツ型擬態ではない無毒昆虫」と、
「奇妙な姿かたちで良く目立つ無毒昆虫」は、
何故、子孫を残し続けることが出来たのか分からなかった。
  
最近になって、ようやく、その答えの一部が、
見えてきたような気がするのだ。

ずっと疑問に思っていたことの答えが、
最もありふれた、誰でも考え付くような
「捕食者が見慣れないものを、本能的に避ける」
という陳腐な結論になってしまいそうなのだ。

 



   

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虫たちの目玉模様 これも自然淘汰?


衝撃的なタイトルだが、内容はそうでもない。

 ⇒長文ですので、時間のあるときに・・・?



前回、大きい目玉模様と、小さい目玉模様には、
それぞれ、捕食者の攻撃を躊躇させる機能と、
逆に攻撃をその部分に向けさせる機能があり、
どちらとも言えない中間サイズの目玉模様は、
両方の効果が期待できることを紹介した。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150214/1/


実は、虫たちの身体にある目玉模様には、
前回の標準的な(?)の同心円状のもの以外に、
色々なタイプの良く似た模様があり、
まさに「ちょっとだけ不思議な昆虫の世界」なのだ。

 


とりあえず、前回の最後に示した写真・・・


ベニスズメ幼虫のリアルな目玉模様と、
アケビコノハ幼虫の漫画チックな目玉模様とでは、
どちらの方が、ビックリさせる効果が高いのだろうか?

 

実は、この謎を解く鍵が、下の写真にあるのだ。

 


これも目玉模様??

左上: ウンモンスズメ 白岩森林公園・青森(20120721)
右上: コマバシロコブガ 矢立峠・秋田(20140605)
左下: ワモンキシタバ 木賊峠・山梨(20140819)
右下: アトジロシラホシヨトウ 矢立峠・秋田(20140605)


これらは、いずれも蛾の成虫の写真なのだが、
翅の地色とは違う左右対象の模様は、
丸い形ではなくても、翅の輪郭にマッチすると、
目玉模様のように見えることが多いのだ。


確かに、この4種類の目(?)の部分は、
同心円ではないし、1個ずつ切り離してみれば、
どれも目を連想させることはない。


 ⇒ただ、翅の輪郭が動物の顔のようで、
  下を向いて静止しているときには、
  まさしく、目にしか見えないのだ。

 

左側2種の目は吊り上がり、ちょっと怖そうだが、
右側2種は、何となく、やさしいイメージがある。

いずれにしても、この4種の目玉模様は、
それぞれ、ほぼ完成品(?)だろう。


このように、輪郭が伴えば、小さな目玉模様でも、
野鳥類の攻撃を、躊躇させることが出来るはずだ。

別に、怖そうな顔(!)をしていなくても・・・


顔の表情を見て、怖そうか、優しそうかは、
我々人間だけ(?)が、過去の経験から、
勝手に思い込んで判断した結果である。


 ⇒という訳で、前回のリアルなヘビと、
  漫画チックなヘビは、どちらも、
  野鳥類にとっては、同じなのだろう。

  またしても、陳腐な結論??

 

 


実は、切り離すと、もっと目には見えない模様もある。

 

 


アサマキシタバ(ヤガ科)

2014年5月25日 津山市・岡山

良く知られているように、多くのキシタバ類の仲間は、
隠蔽的な色彩の前翅の下に普段は隠されているが、
後翅の表面には、鮮やかな模様がある。

その鮮やかな模様は、左右対称なので、
翅を開いて、急に見せられたときには、
動物の目のようにも見えてしまう。

 

・・・ところで、この写真を撮ったとき!!


野鳥類が目玉模様に驚いて、攻撃を躊躇する場面には、
残念ながら、私はまだ、出会ったことはない。

ただ、常夜灯の下という、人為的な状況ではあるが、
上のアサマキシタバの写真を撮ったときに、
もしかしたら「これがそうか?!」ということがあった。


 ⇒夜明けの常夜灯近くには、明るくなっても、
  帰り遅れた沢山の蛾が残っているが、
  動きが鈍く、簡単に捕獲できるので、
  学習した数種の鳥たちが集まって来る。

  個人的には、そんな鳥たちは、
  虫の写真を撮る私にとっては、邪魔で、
  憎らしいライバルなのだが・・・

 

私が、写真を撮るため、キシタバに近づいたとき、
多分ハクセキレイだったと思うが、すぐ傍にいて、
何故か驚いて飛び去ったような気がした。

だから、上の写真のような鮮やかな後翅の写真が撮れたのだ。

もしかしたら、私に驚いて飛び去ったのではなく、
アサマキシタバの目玉模様のような模様(?)に、
反応したのかもしれない・・・?

 

 


さらに、もともっと発展途上(?)の目玉模様もある。

 


オスグロトモエ(ヤガ科)

2013年8月12日 阿武隈高原・福島


この写真、何となく違和感がある!


・・・?


何と、目玉模様が前翅にあるのだ!!!!

そうかと言って、この程度では、
前回のクジャクチョウほどの迫力は全くない。


だから、この子は、ビックリ効果を狙って、
突然目玉模様を見せるのではないし、
初めから見せているにしては、完成度が低く、
あまり防御効果がないような気がするのだが・・・


 ⇒冒頭の4枚の写真の蛾ほどには、
  動物の顔には見えないが、 
  アングルによっては、フクロウか?


やっぱり、進化の途中段階なのだろうか?

 

 

 

さらに、下の写真も、色々と興味深い。

 

 

ヤママユ(ヤママユガ科)

2011年8月31日 白岩森林公園・青森


ちょっとだけ分かりにくいが、
枯れ葉のように、左右に1匹ずつ写っているのは、
ヤママユの雄成虫である。


実際の撮影現場では、もっと沢山の枯れ葉があって、
かなり大きな蛾なのだが、遠目には枯れ葉のように見える。

ヤママユの夕べ
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110907/1/

 

4枚の翅には、それぞれ1個ずつの目玉模様を持っているが、
ほとんどの個体は、最初から目玉模様を見せている。

 

そして、何故か、周辺の葉っぱにも、沢山の目玉模様がある。

このように、翅を横に大きく開いて静止していると、
もしかしたら、ヤママユの目玉模様は、隠蔽的擬態か保護色???


このことに気付いたとき、思わずひとりで笑ってしまった。


木の葉の目玉模様って、何なんだろうか・・・・・


 ⇒この木の種類は、コブシだと思うのだが、
  おそらく、ヤママユ幼虫の食草ではないはず。

 

 

 

この他にも、目玉模様には、面白い機能がある。

 

普通の生物は、目がある方が前(進行方向?)なので、
もしニセの目玉模様が、身体の後方にあると、
もしかしたら、ちょっとだけ賢い捕食者が予測するのと、、
反対方向へ飛んで逃げられるかも・・・・?


スペースの関係で、今回は写真は載せられないので、
興味ある方は、こちらをご覧ください。

どっちが前なの? ウラナミアカシジミ
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120811/1/

 

 

・・・・?????

 


折角の話に水を差すようだが、
昔の学会(応動昆)では、こんな話も聞いたことがある・・・?


これまで、見てきたような同心円状の模様は、
一般的な虫を含む動物たちの生活圏の中では、
本来は、存在しにくいものであったと考えられる。

多くの生物は「見慣れないものを、本能的に避ける」傾向がある。

だから、ごくわずかの例外を除いて、
ほとんどの目玉模様の機能は、人間が想像しているだけなのだ。

 

前回のクジャクチョウのところで、
まるで目玉のように見える同心円状の模様は、
野鳥類にとって、最初から嫌いな模様である可能性に触れた。

実は、野鳥類が最初から嫌う形状は、
まだ他にもありそうだ。


次回、このシリーズ最後になるが、
野鳥類が「本能的に嫌う形状」のについて、
写真の撮れているものを紹介したいと思う。

 

 

    

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目玉模様にも色々な機能がある?


虫たちの身体や翅にある模様の中で、
比較的よく見られる目玉模様には、
さりげなく不思議なことが沢山ある。

この機会に、まとめて紹介したい【注】

 

虫たちの体や翅にある目玉模様は、見た目のサイズから、
大きくふたつのタイプに分けられる。

そして、2種類の目玉模様には、全く異なった機能があるのだ。

 

ひとつは、左右対称のやや大きめの目玉模様で、
蛾の後翅表面に見られることが多い。

普段は、前翅の下に隠されているが、
近づいてきた捕食者に、突然見せつけることで、
少なくとも瞬間的には、攻撃を躊躇させることが出来るのだ。


そんな目玉模様は、野鳥類などの捕食者に、
ヘビやフクロウの目を連想させるのだろう。
↓   ↓   ↓
虫たちの防御戦略⑩ Ⅲ(2). 目玉模様(大)
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130223/1/

 


初秋の北国では、下の写真のようなクスサンを、
常夜灯の近くで、明け方に良く見かける。


クスサン(ヤママユガ科)

2011年9月15日 白岩森林公園・青森

でも、野鳥類が本当に、このような蛾を見た瞬間に、
攻撃を躊躇するのか、個人的には、最近まで疑問視していた。


本物のフクロウとは、サイズが違いすぎるからである。


ところが、昨年末のブログで紹介したように、
 ① 野鳥類は、必要以上に怖がりである。
 ② 野鳥類は、遠近感とサイズ認識が苦手である。
というふたつの理由が重なって、
「小鳥たちにとって、遠くのフクロウよりも、
 近くのクスサン方が、はるかに怖い」
ということが、ようやく理解できたのである。
↓   ↓   ↓
擬態??④/④ サイズの違い
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20141214/1/

 

 


もうひとつのタイプは、やや小さ目の目玉模様で、
多くの昼行性のチョウの翅の端(周辺部分)に見られ、
大きな目玉模様とは違って、2個(1対)でないことが多い。

 

アオタテハモドキ(タテハチョウ科)

1999年6月21日 石垣島・沖縄

ジャノメチョウの仲間も同じであるが、
翅の周辺には、「これでもか!!」というくらい、
沢山の目玉模様が並んでいる。

このような翅の端の方に見られる目玉模様は、
視覚で獲物を探す捕食者からの最初の攻撃を、
胴体から離れた部分に向けさせる効果を持っている。
↓   ↓   ↓
虫たちの防御戦略⑫ Ⅲ(4). 目玉模様(小)、自切など
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130301/1/


この効果に関しては、あまり実験的なデータはないと思う。

ただ、ジャノメチョウの翅に、ビークマークと呼ばれる損傷が、
しばしば発見されるので、少なくとも、鳥の攻撃から逃れた個体が、
ある程度存在するのは確かである。
↓   ↓   ↓
ちょっとだけ不思議な虫たち ビークマーク
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120930/1/

 

下の写真は、その状況を分かりやすく示したものである。


クロヒカゲのビークマーク

左: 正常個体 白岩森林公園・青森(20110826)
右: ビークマーク個体 小泉潟公園・秋田(20120828)


静止しているクロヒカゲを見つけた小鳥が、
胴体から離れた翅のヘリにある目玉模様を、
急所の目玉と間違えて、最初についばんだとき、
チョウは、わずかな翅の損傷を残して、
その場から飛んで逃げることが出来たという証拠である。

もちろん、チョウが空中を飛んでいるときでも、
瞬間的には、翅が上下で重なる場合があるので、
このような左右対称の傷が出来るのだろう。

 

 

 

・・・と、話はここで終わらない!!!

 


これまで、曖昧に「やや大きめの目玉模様」と、
「やや小さ目の目玉模様」とに分けて紹介してきた。

ただ、ちょっとだけ不思議な昆虫の世界には、
当然のごとく、その中間の大きさの目玉模様が、
さりげなく存在するのだ。

 


下のクジャクチョウの場合は、どっちなんだ???

 

クジャクチョウ(タテハチョウ科)

2013年0月11日 酸ヶ湯温泉・青森


ジャノメチョウやアオタテハモドキの目玉模様と比較して、
明らかに大きく、しかも左右対称に配置されている。

小鳥の攻撃を、そこに向けさせているとすると、
ちょっと胴体に近くないか?


一方で、上の写真を良く見ると、
フクロウの眼に見えないこともない。

ただし、目が4個あるのだが・・・


もし、勇敢な小鳥たちの中には、
クジャクチョウを、食べようとするかもしれない。

その場合は、おそらく目玉模様を最初に攻撃するだろう。

 


クジャクチョウは、花などの蜜を吸うときに、
他のタテハチョウの仲間と同じように、
ゆっくりと、翅を開閉するする習性がある。

明らかに、目玉模様を、まるで誘惑するように、
チラチラ見せるような行動である。

 

この状況を、捕食者の側から考えてみよう。

野鳥類は、目玉模様を持った動物(モデル!)に、
一度ひどい目にあうと、それ以来、
目玉模様を学習して、避けるようになると言われている。


しかし、野鳥類が目玉模様の危険性を学習する機会は、
かなり少ないような気がするのだが・・・

というか、わずか数年の寿命の小鳥たちが、
自然状態で、フクロウやヘビに襲われて、
しかも、(その怖い経験をしただけで)、
運よく生き残っている確率は、ほぼゼロに近いと思う。

 


ん!!・・・ということは、

 

野鳥類は、良く目立つ同心円状の模様を、
もともと「本能的に避けるだけ」なのだろうか?


まるで目玉のように見える同心円状の模様は、
野鳥類にとって、最初から嫌いな模様だとすると、
クジャクチョウのように、最初から見えている場合でも、
野鳥類は、怖がって攻撃しない可能性があるのだ。


つまり、クジャクチョウの場合には、
微妙なサイズの目玉模様が、それを見る方の解釈によって、
「攻撃の対象」になったり、逆に「攻撃を躊躇」させるという
全く違った機能を持っていることになりそうだ。

 

 

 


最後に、写真をもう一枚!!

 


下のヘビに擬態した、2種類の蛾の幼虫。

どっちのヘビが怖そうに見えますか?

 

ヘビのような蛾の幼虫

左: ベニスズメ幼虫 白岩森林公園・青森(20101020)
右: アケビコノハ幼虫 弘前市・青森(20101008)


大きな目玉模様を持つ虫たちは、そんなに多くないが、
いずれも単なる同心円ではないところが凄い!

良く見ると、多少のずれがあったり、
中心部分には、虹彩を思わせる別の模様があるのだ。


ただし、一方はリアル、もう一方は漫画チック!!

 

 


・・・・次回へ続きます。

(今回は、さすがに長くなりすぎるので?)

 

 


【注】実は、4年前にも、特集記事を書いたことがあります。
   ここに書けなかった詳細情報もありますので、
   興味ある方は、是非ご覧ください。

   ↓  ↓  ↓

   目玉模様の進化【1】
   http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110308/1/

   目玉模様の進化【2】
   http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110309/1/

   目玉模様の進化【3】
   http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110310/1/

   目玉模様の進化【4】
   http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110311/1/





    

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隠蔽的擬態の虫は、本当にいるのか???


擬態シリーズ、第3回目は、衝撃のタイトルだが、
内容はそうでもないことが予想される?!

みんなが知っているのに、ちょっとだけ不思議で、
良く分からないことが多いのが擬態だ。

擬態の本を書いたW.ヴィックラーでさえ、
その本の中で、様々な状況で生活する虫たちを見ると、
擬態を正確に定義することは難しいと述べている。


だから、似せる対象【モデル】と、擬態者【信号発信者】と、
だまされる者【信号受信者】を、全て特定してからでないと、
正確に「擬態」を考察することはできないという意見もあるほどだ。


 


さて、【保護色】と【隠蔽的擬態】という語は、
小・中学生向けの本などでも普通に使用されるほどに、
専門用語では、なくなっているようだ。

両方とも、自分の姿を背景に溶け込ませて、
外敵から身を守るという、共通の作用がある。


しかし、この二つの概念は、ちょっとだけ機能が異なっており、
あまり知られていないが、かなり重要な問題なのである。

 

 

ここで、もう一度、保護色隠蔽的擬態の関係を整理しよう。

 

虫たちの中には、自分の体の色や模様を、
普段いる背景に似せて、外敵から身を守る種類がいて、
その体色は一般的に「保護色」と呼ばれる。
↓   ↓   ↓
虫たちの防御戦略③ Ⅱ(2) 保護色と分断色
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130205/1/

 

保護色の例

左: ニイニイゼミ 小泉潟公園・秋田(20120807)
右: ヤマトマダラバッタ 中泊町・青森(20130715)


例えば、ニイニイゼミの翅の模様は、樹皮にそっくりだし、
ヤマトマダラバッタの体の模様は、砂粒そのものである。

だから、彼らが背景を正しく選んで静止していると、
視覚で獲物を探す捕食者は、おそらく見つけることができないだろう。

 

背景選択が正しく行われた場合の実際の防御効果は、
昔から多くの研究者によって、実験・観察されて、
ある程度の有効性が確認されている。

また、有名な工業暗化の好例もあって、保護色は、
視覚で獲物を探す捕食に対して、有効に機能しているのだろう。

 

 


一方、保護色を持った虫たちの中には、
色や模様だけでなく、姿かたちまで似せている種類もおり、
それらは一般的に「隠蔽的擬態」と呼ばれる。
↓   ↓   ↓
虫たちの防御戦略④ Ⅱ(3). 隠蔽的擬態
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130207/1/

 

隠蔽的擬態の例

左: ムラサキシャチホコ 宮古市・岩手(20130814)
右: マエグロツヅリガ 白岩森林公園・青森(20120721)


例えば、ムラサキシャチホコやマエグロツヅリガは、
枯れ葉にそっくりで、視覚で獲物を探す捕食者は、
彼らが正しく背景を選んで静止していれば、
おそらく、見つけることができないだろう。

でも、私が写真に撮った隠蔽的擬態の虫たちは、
ほとんどが背景選択を間違えているので、
逆に、良く目立っているものばかりである。

 

上の写真のように、背景選択を間違った場合には、
おそらく、簡単に捕食者に見つかってしまうだろう。

しかし、ほとんどの捕食者は、チラッと見るだけで、
 「これは食べ物ではない」と、無視して通り過ぎるので、
食べられてしまうことはないだろう。

 

それに対して、保護色だけの虫たちの場合は、悲惨である。

虫たち特有の左右対称の輪郭が、くっきりと浮かび上がって、
捕食者に簡単に見つかって、食べられてしまうだろう。


この現象が、保護色と隠蔽的擬態の違いなのだ。


冒頭で、「ちょっとだけ機能が異なっている」と書いたが、
この違いは、ちょっとだけではないのかもしれない。

 

 

 

・・・・・

 

 

ところで、予想外に多くの虫たちは、
食べ物ではないものに似せることによって、
捕食者の視覚を欺いて、身を守ろうとする。

 

非食物擬態の例

左: アカガネサルハムシ だんぶり池・青森(20110524)
右: トリノフンダマシ 金山町・秋田(20120806)


キンキラキンの金属光沢の虫たちは、その名のとおり自分は金属で、
食べ物(生き物)ではないことを、訴えているのだ。

また、鳥の糞に擬態する場合も、ほとんどの捕食者は、
鳥の糞を食べることはないので、見つけても無視するだろう。


このような擬態は、よく目立つので、隠蔽的擬態でもないし、
もちろん、怖いモデルがいるベイツ型擬態でもない。

実は、このような擬態を定義する用語は、今のところないのだ。


だから、このブログでは、仮に「非食物擬態」と呼んだ。
↓   ↓   ↓
虫たちの防御戦略⑦ Ⅱ(6). 非食物擬態(仮称) 金属光沢と糞擬態
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130213/1/

 


まさに、枯れ葉や枯れ枝に擬態する虫たちも、
全く同じ非食物擬態のジャンルに入ると思う。

彼らは、葉っぱの上では良く目立ってしまうが、
ほとんどの捕食者は、枯れ葉や枯れ枝を食べないからだ。

 

普通に考えると、枯れ葉に似せた虫たちは、
自らが静止する場所として、枯れ葉の多い環境を選ぶはずである。


もし仮りに万が一、ムラサキシャチホコが、
枯れ葉の多い地面に、静止していたとしよう。

この場合は、視覚的に獲物を探す鳥などの捕食者からは、
攻撃されることは、ほとんどない。


逆に、枯れ葉の多い地面には、
ネズミ、カナヘビ、カエル、ムカデ、オサムシや、
怖い怖いアリ類など、様々な捕食者がいる。

だから、捕食者の餌の探し方も様々だ。

例えば、匂いで獲物を探したり、動くものを素早く捕獲したり、
たまたま餌に遭遇したときに、獲物を捕獲するタイプが多い。

地上にいる多くの捕食者は、
野鳥類のように、獲物の体を、ある程度の距離を置いて、
全体的に見ながら(まさに鳥瞰!!)探すことはしない。

だから、枯れ葉に精密に擬態する意味が、基本的にないのだ。

 


ということは、冷静に考え直してみると、
『ムラサキシャチホコは、静止する場所を、
決して間違っているわけではない』のだ。


もしかしたら、彼らは全て分かった上で、
わざと間違えているかもしれないのだ。

きっと、ムラサキシャチホコは、良く目立つように、
正しく緑色の葉っぱの上に、静止している』のだ。

 

 


ここで、一つ重要な問題点が、さりげなく浮かび上がってくる。

 

隠蔽的擬態って、本当に存在するのだろうか?

 

背景選択を間違えて静止している場合には、
捕食者にとって、逆に良く目立つ存在になるので、
明らかに、隠蔽的擬態の範疇から外れる。


逆に言うと、背景選択が正しかった場合には、
保護色だけで、十分に捕食者の目から逃れることができる。

ということは、隠蔽的擬態として有効になる場面は、
どちらにころんでも「ない!」という結論になるのだ。


もちろん、様々な完成度の隠蔽的擬態虫たちがいて、
どちらとも言いがたい背景も存在し、
さらに、色々な行動・習性の虫たちがいる。

それら全ての場面で、全ての虫たちについて、
隠蔽的擬態の場面を否定してしまうことは、
もちろん、できるわけがないのだが・・・

 

 

最後に、お気に入りの写真を1枚!!

  

ハイイロセダカモクメ幼虫(ヤガ科)

2010年10月8日 だんぶり池・青森

この写真は、どう考えても、隠蔽的擬態の好例だ。


真ん中に写っているハイイロセダカモクメ幼虫が、
万が一にも、背景選択を間違えることは、
この子たちの生活史や習性を見る限りないだろう。

ハイイロセダカモクメの雌成虫は、
餌植物であるヨモギの花穂が、
年1回だけ出現する時期(秋)に合わせて、
ヨモギの葉っぱに(多分)産卵するほど、
ヨモギという植物に依存しているのだ。

幼虫は、自分の体の模様と同じ花穂を食べるのだ。
だから、幼虫が食べてなくなった部分に幼虫がいると、
まだ花穂が残っているように見えるのだ。・・・多分?

そんな幼虫が、餌植物の花穂のある場所を、
離れることは基本的にないだろう。

 


でも、・・・・・この子、保護色???







 

    

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