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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

アリ擬態はベイツ型擬態なのか??


前回の「ミュラー型擬態」に続いて、
今回は、「アリ擬態」の謎(?)について、
個人的な考えを、簡単にまとめてみた。


地面だけでなく、葉っぱの上にも、アリがウロウロしている。
そんな本物のアリに混じって、偽物のアリも見かける。

予想外に多くの「アリのような姿かたち」の虫たちがいるのだ【注】


 ⇒多くは、姿かたちだけでなく、
  歩き方や仕草まで、アリに似せている。

  写真を撮ろうとかなり近づいてから、
  ようやくアリでないことに気付いて、
  シャッターを押したことも、何度かある。

 

しかし、アリに似ている程度(擬態の完成度)は、
ピンからキリまであるようで、
この点に関してだけでも、ちょっとだけ不思議だと思う。

 

 


アカネカミキリ(完成度★)

2012年5月18日 だんぶり池・青森


一体何故、ほぼパーフェクトにアリに似た擬態と、
何となくアリに似てる程度の擬態まで、
様々な完成度の虫たちが、存在しているのだろうか?

これは、全くの個人的な感想なのであるが、
特に、ベイツ型擬態の場合には、
完成度のバラツキが見られることが多い。

逆に、隠蔽的擬態の場合には、その完成度はみな高く、
このブログで言うところのミラクル擬態も、しばしば見られる。


その理由のひとつは、我々人間の行動からでも、十分説明できる。

ほとんどの人たちは、怖いものはちょっとだけしか見ないが、
怖くないものは、結構じっと見つめる傾向があるはずだ。

だから危険な種に擬態するベイツ型擬態はちょっと似てれば良いし、 
危険でないものに似せる隠蔽的擬態は、より精密さが必要なのだと思う。

 

 


・・・と、
アリ擬態はベイツ型擬態に含まれるとの前提で、
これまで、話を進めてきた。

しかしながら、多くの虫たちが、何故アリに擬態しているのか、
本当のところは、まだ分かっていないようだ。


ベイツ型擬態の可能性については、最後に触れるとして、
とりあえず、「その他の4つの説」について、考えてみよう。

 

 

 


最初の説は、アリの社会に入り込むアリとの共生・寄生説で、
かなり昔から有力だった(?)のだが・・・


アリの集団は、何らかの保護を受けている可能性が高い。

だから、アリと一緒にいれば、究極には巣の中に入り込めれば、
アリと同じように保護される可能性が高いのだ。


アリに擬態することで有名な、アリグモやカミキリ類の他にも、
完成度は低いが、ホソヘリカメムシなどの若齢幼虫や、
コアリガタハネカクシなどは、アリの巣の中に入ることはない。

アリの巣の中に入り込む虫として、アリヅカコオロギや、
アリヅカムシ、さらにはクロシジミの幼虫などが、
すぐに思い付くが、残念ながら、彼らの姿かたちは、
アリそっくりという訳ではないのだ。


その一方で、
『アリの巣の中に入り込むことのないカミキリやアリグモが、
アリに擬態することで、何らかの利益があるのか?』 
というような意見を、ネットでも、しばしば目にする。

ただ、この疑問提示はおそらく「まと外れ」で、
アリの巣に入り込む虫たちは、多くの場合、
姿かたちをアリに似せる必要はない。

むしろ、体表ワックスや匂いなどの化学的擬態が主流なのだ。

 


2番目は、アリを捕食するための攻撃的擬態という説だ。

『アリが仲間と間違えて寄ってくるので、これを捕食する』
というのは、確かに、魅力的な説である。

しかし、アリがウロウロしている葉っぱの上で、
アリグモを見かけることがあるが、少なくとも私は、
アリグモが、アリを捕食する現場には遭遇したことはない。

むしろ、アリグモは何故かアリを避けるような行動も見られる。

また、肉食性でない虫たちも、アリに擬態している場合が多く、
攻撃擬態説は、あまり有力ではなさそうだ。

 

 

3番目として、『アリに擬態する虫たちのターゲットは、
アリそのものである』という説もある。

これは、2番目の攻撃擬態と全く逆の発想である。


小さな虫たちにとって、アリは、もちろん脅威であり、
そのアリに「見た目や行動」を似せれば、
少なくともアリからは、攻撃されることがなくなるかもしれない。

アリは地上で最も攻撃的で、
しかも個体数の多い捕食者といわれており、
その生息範囲に生活する小動物が、
何らかの形でアリに対する防御手段をもつことは、
その個体の生存の上で、必要不可欠であるかもしれない。

それほどアリは、小型の虫たちにとっては脅威なのだ。


この辺りの詳細については、ブログ開設当初に、
カメムシの匂い成分のアリに対する防御効果のところで考察した。
↓   ↓   ↓
カメムシの匂いの不思議【2】 アリに対する防御効果
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20101108/1/

 

 

4番目は、『アリ以外の小さな捕食者がターゲットである』
という説である。

アリ以外の小さな捕食者に対しても、
姿や行動が危険なアリに似ていれば、
攻撃を受けない可能性もある。

サイズのあまり違わない捕食者(特に昆虫や小動物)が、
本能的に、アリを避けることは、十分ありそうである。

もちろんこれは、学習できない捕食者が対象なので、
通常のベイツ型擬態とは違った概念である。

  
この説は、なかなか捨てがたく、否定できる根拠はない。


しかし、その一方では、予想外に多くの小さな捕食者が、
アリを食べていることも事実ではある。

 ヤニサシガメなどのサシガメ類(特に若齢幼虫)は、
普通にアリを捕獲し、その体液を吸うことが知られている。

もちろん、徘徊性のクモの仲間も、アリを見つけると、
そっと近づき、捕獲するのを、私自身、何度か見ている。

他にも、ウスバカゲロウの幼虫が、
すり鉢状の罠(アリ地獄!)で、
落ちてきたアリを捕獲するのは有名である。


ただ、現時点では、詳細な観察例や実験的研究はなく、
この説に関して、肯定も否定もできない。

 

 


そして、最後の5番目は、最初に書いたように、
「アリ擬態」はベイツ型擬態に含まれるとする、
もっともありそうな説だ。


ベイツ型擬態とするには、一つだけ気になる点がある。

それはモデルとなるアリは、基本的に目立つ体色ではないことだ。
もちろんムネアカオオアリもいるのだが・・・

 


マツシタトラカミキリ(完成度★★)

2012年6月19日 白岩森林公園・青森


普通に考えれば、アリの仲間が、何らかの理由で、
捕食者に食べられないという事実があって、
そのために、類縁関係のない虫たちが、
アリの姿かたちに似せることは、有りうることだ。


この「ベイツ型擬態」説が正しいことを確かめるには、
少なくとも1種以上の学習できる捕食者が、
「アリを食べない」という観察結果があれば良い。

 

まず、「最恐の学習できる捕食者の野鳥類は、
アリを食べるのか? 食べないのか??」
が重要な問題である。

おそらく誰も、アリは野鳥類の餌としては、
小さすぎて、野外で実際に観察した人は、
多分いないかもしれないのだが・・・

多くのアリ類は、体内に蟻酸を持っているので、
野鳥類が食べない可能性も十分ありうるのだ。

 


・・・・手元にある『鳥の胃の内容物を調べたリスト』を見る!!


それによると、キツツキの仲間であるヤマゲラやアオゲラは、
多数のムネアカオオアリやトビイロケアリを捕食しているようだ。


 ⇒このブログでは、虫を食べる野鳥類シリーズで紹介したが、
  アオガラの例では、沢山の虫の名前が列記されている中で、
  アリ類として、最初に出てくる。
  ↓   ↓   ↓
  虫を食べる野鳥類③ アオゲラ
  http://kamemusi.no-mania.com/Date/20140207/1/

 

個体によっては、600匹以上のアリが確認された場合もあるのて、
アリを常食としている気配さえも感じる。


どうやら、「アリが野鳥類に捕食されない」
ということは、なさそうである。


その他にも、アリを食べる学習可能小な捕食者としては、
日本国内には生息しないアリクイやアルマジロなどが有名である。

 

 

アリグモ(完成度★★★★)

2014年5月24日 金沢市・石川

 

少なくとも1種以上の学習できる捕食者が、
なかなか見つからない。

 

・・・・しかし、最後の切り札が、かろうじて残っている。

 

日本国内で、視覚によって獲物を探し出し、
しかも、学習できる捕食者ととしては、
カエルやトカゲ、ネズミなどが考えられる。


 ⇒個人的には、アマガエルなどは、
  アリに遭遇する機会が多いはずだが、
  どうも、アリを食べないような気がする・・・?


ただ、カエルが実際にアリを捕食するのか否かについては、
実験・観察記録は、私には見つけることが出来なかった。

アリは、地上で最強の捕食者とも言われ、
かなり攻撃的で、お尻近くの毒腺から蟻酸を放出したり、
集団で大きな生き物を襲ったりする。

もし、彼らがアリを食べないのであれば、
多くの虫たちがアリに擬態することで、
捕食を免れる可能性は高い。

 

 

アリグモ幼体(完成度★★★★★)

2014年3月19日 ひたちなか市・茨城

この写真を撮ったとき、かなり近づいて、
シャッターを押す直前まで、アリだと思っていた。

姿かたちは当然として、何かを探すような歩き方や、
止まったときの仕草は、まさにアリそのものだったのだ。

 

写真を見ているだけで、何故か、
「ちょっとだけ不思議な虫たちの世界」を感じる。


 ⇒ただ、前回のミュラー型擬態に続いて、
  今回も、結論は出ていない??

 

 


【注】上記写真の詳細については、以下の過去ログをご覧ください。
   今回使用した写真の詳細な説明分があります。


   アリのようなカミキリ発見!!
   ↓  ↓  ↓
   http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120611/1/


   マツシタトラカミキリ? ムネアカオオアリ??
   ↓  ↓  ↓
   http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120704/1/


   ミラクル擬態? アリグモ
   ↓  ↓  ↓
   http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130702/1/


   君はアリか? アリグモ幼体
   ↓  ↓  ↓
   http://kamemusi.no-mania.com/Date/20140322/1/


   再びアリグモ これがミラクル擬態だ!!
   ↓  ↓  ↓
   http://kamemusi.no-mania.com/Date/20140611/1/

   

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ミュラー型擬態??? スズメバチの仲間


以前このブログで、ミュラー型擬態の紹介をしたときに、
以下のような文章を書いたことがある。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20101114/1/


ミューラー型擬態とは、
何らかの防御手段を持った別の種どうしが
互いに良く似ている現象を言うが、
アシナガバチやスズメバチのように、
近縁種が、同じような色彩と形態を持っていても、
あまり面白くない。

やはり、ミューラー型擬態の醍醐味(?)は、
近縁関係にない種どうしが良く似ていることにあると思う。

 

  ⇒醍醐味というあいまいな言葉を使ったが、
   数種のスズメバチが全く同じ形状なのは、
   あるいは、ゲンジボタルとヘイケボタルが似ているのは、
   ミュラー型擬態の範疇には含まれないと、
   勝手に解釈していたのだ。

 


そんなとより、警戒色を持つ近縁種(!)が、
お互いに良く似ている現象は、予想外に多い。

日本国内で見られるテントウムシ、ハムシ、ベニボタル、
マダラチョウなどの一部の種の間では、
良く似た色彩パターン(警戒色!)を採用している。

この近縁種どうしは、本当にミュラー型擬態なのだろうか?

 

 

そこで、ミュラー氏が発見した経緯について、
手元の本『ヴィックラーの自然も嘘をつく』の記載を、
もう一度確認してみた。


 要約すると・・・・

ベイツ型擬態が発見されてから、20年後の1876年、
南米ブラジルでチョウの採集・観察をしていたドイツのミュラー氏は、
マダラチョウの仲間の中に、かなり良く似た種類が多いのに気が付いた。

警戒色を持ったマダラチョウは、学習可能な捕食者1匹に対して、
少なくとも1匹の犠牲者が必要であるが、
ミュラー氏は、このリスクを最低限にするためには、
不味いチョウどうしが、同じ模様になれば良いと考えた。

そうすると、マダラチョウの仲間の一部は、
ある捕食者に対して、種の壁を越えて、
同じような警戒色を持つ1匹の犠牲者がいれば、
それに良く似たすべての種の個体が、
同じ捕食者に2度と襲われることがなくなるのだ。


 このことに気付いたミュラー氏は、
その現象について、擬態(Mimicry)という語を、
 少なくともその時点では使用してはいないはずだ。

現在、ミュラー型擬態の定義が多少曖昧に感じるのは、
決してミュラー氏の責任ではないのである。

 

  ⇒どうでも良いことであるが、
   もし仮に万が一、私がその場にいたら、
   近縁種が互いに良く似ているの当然のこととして、
   多分、一件落着してしまったことだろう。
 

 

 

・・・・という訳で、

 


ミュラー型擬態の発見の経緯としては、
近縁で別種のマダラチョウ類の中で、
起こっている現象だったのだ。

だから、最初に挙げた私のブログの記載は、
さりげなく「ピント外れ(!!)」だったことになる。

 

この近縁で別種に見られる良く似た警戒色が、
ミュラー型擬態の範疇に入るとすると、
日本にいるスズメバチやアシナガバチの仲間も、
まさにその好例になってしまう。

 

 

キイロスズメバチ(スズメバチ科)

2010年8月25日 だんぶり池・青森

スズメバチやアシナガバチが、黄色と黒色の縞模様で、
素人では同定できないほど良く似ているのは、
共通祖先が同じだから当然と考えるのではなく、
それ以外の形状や色彩の突然変異種が生じても、
排除されてしまった結果と考えた方が良いのだろうか?

 

 

 

モンスズメバチ(スズメバチ科)

2011年6月5日 だんぶり池・青森

おそらく人間も含めた信号受信者(!)は、
黄色と黒の縞模様のスズメバチとアシナガバチは、
みんな同じに見える可能性が高いのだ。

 

  ⇒少なくとも野鳥類は、スズメバチの顔を見比べて、
   単眼の周辺部の色を見たり、小楯板の色を見たりしない。

 

 

 

コガタスズメバチ(スズメバチ科)

2013年8月5日 東海村・茨城

人間が見ても、ビビるような姿かたちなので、
小さな野鳥類にとっては、もっともっと怖い存在なのだろう。

当然、モンスズメバチでひどい目にあった鳥は、
次回からは、コガタスズメバチも避けるだろう。

 

 

 


キアシナガバチ(スズメバチ科)

2013年10月31日 浅瀬石ダム・青森

この写真は、アシナガバチの仲間ではあるが、
上3種のスズメバチと区別が付かないほどよく似ている。

少なくとも私には、野外で見つけたときに、
その場で同定することはできない・・・

 

 ・・・・・・・・・・

 


ここで問題なのは、類縁関係が非常に近い種が、
お互いに似ているのは、共通祖先が同じだから当然のことで、
わざわざ擬態を持ち出さなくても説明できることだ。


ベイツ型擬態では、信号受信者は、
味の良い(危険でない)擬態種も避けるので、
つまり、だまされていることになり、
これは擬態の定義に合致する。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110602/1/

 

ところが、ミュラー型擬態の場合には、
信号受信者は、類縁関係があろうとなかろうと、
そんなこととは全く無関係に、
良く似た姿かたちの集団の全メンバーを避けるのだ。

信号受信者は、決してだまされているわけではないし
もちろん、モデルと擬態種の区別もない!!!


だから、擬態の通常の定義から言えば、ミュラー型擬態には、
何処にも信号受信者をだますという擬態の要素は、
全くないことになってしまう。

 

  ⇒もちろん、針を持たない雄バチが、
   雌と同じような姿かたちなのは、
   通常のベイツ型擬態の範疇になり
   明らかに「だまし」が存在するのだが・・・

 

 

キイロスズメバチ雄(スズメバチ科)

2013年10月18日 浅瀬石ダム・青森

この子は間違いなくオスバチで、危険ではない。

ただ、普通の人や獲物を探す野鳥類には、
スズメバチ類の雌雄の区別はつかないだろう。

 

 

 

もうひとつ、ミュラー型擬態を複雑にしているのは、
良く知られている多型の問題である。


まず、多型が普通に存在する理由が、
本来のミュラー型擬態の定義では説明できないのだ。


例えば、南米産のベニモンドクチョウとアカスジドクチョウは、
それぞれの種に、約30もの異なったモルフが知られており、
そのモルフが対をなしている。

多くの場合、これらの対をなすチョウは、
(ある程度地理的に隔離された?)同じ地域に、
それぞれ生息しているのだ。

この事実については、その意味を、沢山の人が考察している。


しかし、ミュラー型擬態の発見の経緯からすると、
このような多型は、全く逆の現象ということになる。

ミュラー型擬態は、なるべく最初の犠牲者を少なくするために、
別種でも同じような姿かたちになったのだから・・・

 

  ⇒一体何故、ドクチョウの仲間は、
   こんな手の込んだことをするのだろうか?

 


同じスズメバチの仲間でも、似たようなことがあり、
多少雰囲気の異なるクロスズメバチが数種が知られている。

もちろん、普通のスズメバチとクロスズメバチは、
私でも、簡単に識別可能である。

しかも興味深いことに、
キオビホオナガスズメバチという種がいて、
大型の女王は、キイロスズメバチ型であり、
やや小型のワーカーとオスは、クロスズメバチ型という、
不思議な現象も存在するのだ。

 


ますます、ミュラー型擬態の定義が難しくなりそうだ。

 

 

ついでなので、もう少し・・・・


過去に、このブログで、紹介しているように、
様々な種類があるとされる「擬態」の定義については、
なかなか一筋縄ではいかない問題があるのだ。

 

隠蔽的擬態:

ムラサキシャチホコが、枯れ葉の中にいれば、
視覚で獲物を探す捕食者には、絶対見つからないだろう。

ただ、緑色の葉っぱに静止していることもあるのだ。
このときには、逆によく目立つので、隠蔽的擬態ではない

でも、捕食者に攻撃されることはない。
一般的な捕食者は、枯れ葉を食べることがないからである。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130821/1/

 

糞擬態:

鳥の糞のように見える見える虫たちも多い。

この場合には、隠蔽的擬態と思われがちだが、
実は、緑の葉っぱの上では良く目立つ。

しかし、野鳥類に襲われることはないだろう。
野鳥類は、自分の糞を食べることはないからである。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130213/1/

 

攻撃擬態:

良くピンクのハナカマキリが好例とされ、
書籍やネットの写真で公開されている。

本来の攻撃擬態の定義からすれば、
ハナカマキリは、葉っぱや枝にいて、
花の蜜を吸うため、だまされて飛んできた虫を、
捕獲する状況を言うのだ。

しかし、多くの例は、ピンクの花の上にいる写真であり、
本物の花の蜜を求めて飛んできた虫を捕獲するのだろう。
この場合には、隠蔽的擬態の例になってしまう。

ここをハッキリ区別しないと、隠蔽的擬態をする捕食者は、
全て攻撃擬態の範疇に入ってしまう。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110114/1/

 

 

     

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オオアカマルノミハムシ 君は大きいの? 小さいの??


オオアカマルノミハムシというややこしい名前の虫がいる。

実際には、体長5mmほどのハムシの仲間であるが、
ハムシにしては小さく、ノミハムシにしては大きいのだろう。


 ⇒こんなことに「こだわる!」のは、私だけ??

 

 

 

オオアカマルノミハムシ(ハムシ科)

2014年4月25日 ひたちなか市・茨城

ハムシ類を、写真だけで同定するのは、難しいことが多い。

同じ食草に見られる近縁種のオオキイロマルノミハムシとは、
脚の腿節が赤褐色で、その先は黒色なので、
写真でも比較的簡単に、識別可能である。

 

 

 


オオアカマルノミハムシ(ハムシ科)

2014年4月25日 ひたちなか市・茨城

この子は、身体全部が光沢のあるオレンジ色なので、
緑色の葉っぱの上にいると、小さいのに良く目立つ。

食草は、キンポウゲ科のボタンズルやセンニンソウである。

通常の場合、有毒植物を食草とする昆虫類は、
良く目立つ(学習しやすい?)体色になることが多く、
野鳥類などの捕食者が、避けることが知られている。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130209/1/


あるいは、他の防御手段を持った虫に、
ベイツ型擬態をしている可能性がある。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130211/1/


オオアカマルノミハムシの場合は、
食草が有毒植物なので、多分前者だろう。

 

 

 


オオアカマルノミハムシ(ハムシ科)

2014年4月25日 ひたちなか市・茨城

警戒色もベイツ型擬態も、その対象となる捕食者は、
学習能力があることが重要な条件である。

だから、騙される捕食者は、野鳥類がメインになる。
カエルやカナヘビも、学習できそうだ。

しかし、ノミハムシの仲間は、野鳥類の餌としては、
あまりにも小さ過ぎるような気がするのだが・・・

 

 

・・・・ん!?

 


多分オオキイロノミハムシ(ハムシ科)

2010年9月8日 白岩森林公園・青森

この子は、上のオオアカマルノミハムシと、
非常に良く似ているが、別種のようだ。

脚の色と、食草(アザミ?)が違う!!

名前は、キイロというよりアカなのだが・・・

 


   

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ちょっとだけ不思議 カメノコ? ジンガサ??


特異な姿かたちのカメノコハムシの仲間は、
個人的に好きな甲虫類なので、
見つければ、さりげなく写真を撮っている。

ジンガサハムシという見た目が良く似た種類もいるが、
カメノコハムシとの違いが、良く分からない。


おそらく、一方は、カメの甲羅を背負っているように見え、
もう一方は、陣笠をかぶっているように見えるので、
多分、無意識に(?)名付けられた和名だと思う【注】


普通に考えると、カメの甲羅は例外なく不透明であり、
陣笠は半透明(最近の傘も?)のものが多いので、
前者がカメノコハムシ、後者がジンガサハムシだと思っていた。

 

ところが・・・・

手持ちの6種類の写真を比べて見ると、
その名前の基準が、良く分からなくなってくる。

 


まずは、カメノコハムシ4種から・・・・

 


 
ミドリカメノコハムシ(ハムシ科)

2013年7月15日 中泊町・青森

折角の機会なので、交尾中の写真・・・

その名のとおり、全身が緑色のカメノコハムシで、
不透明な鎧のようにも見える甲羅を付けている。。


近縁種にアオカメノコハムシがいるが、
背中が盛り上がっているように見えるので、
この子は、ミドリカメノコハムシで良いだろう。

 

 

 

多分カメノコハムシ(ハムシ科)

2014年4月25日 ひたちなか市・茨城

全体が淡褐色~赤褐色で、体型が細長く、
多少とも背中に黒点があるので、
ただのカメノコハムシで間違いないだろう。

カメノコハムシの写真は、これ1枚だけで、
もしかしたら、この子は珍品かもしれない。


食草はアカザとシロザとされているのだが・・・

 

 

 

イチモンジカメノコハムシ(ハムシ科)

2014年4月25日 ひたちなか市・茨城

この子は、カメノコハムシなのに、
甲羅の模様のない部分は、明らかに半透明である。

ちょっと分かりにくいが、黒っぽい模様が、
体の縁と後方2ヶ所のみで接しているので、
イチモンジカメノコハムシで間違いないだろう。


幼虫は、ちょっとだけ刺激的な性質を持っている。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130803/1/

 

 

 

コガタカメノコハムシ(ハムシ科)

2014年7月18日 笹子峠・山梨

この子も、カメノコハムシなのに、
甲羅の周辺部分が半透明である。

黒っぽい模様が、体の縁と4ヶ所で接しており、
背中が盛り上がっているので、
コガタカメノコハムシで間違いないだろう。


このように、葉っぱに、ピタッと張り付いていると、
捕食者の爪や嘴が、引っ掛かり難いので、
捕食者がうまく捕獲できない可能性が十分ある。

 

 


という訳で、写真の撮れた4種のカメノコハムシは、
半数が、甲羅が半透明の種類であった。

 

続いて、ジンガサハムシ・・・・

 

 

 

スキバジンガサハムシ(ハムシ科)

2013年7月15日 ベンセ沼・青森

ジンガサハムシの仲間は、身体を覆う前翅が、
このように、透明のプラスチックのように見える。

しかも、この子の背中は、金色に輝いている。

カブトムシ目(甲虫)の仲間で、
前翅がこれだけ透明なのは、珍しいと思う。


この写真、良く見ると下にもう一匹いて、交尾中だった!!

 

 

 

ヒメジンガサハムシ(ハムシ科)

2012年6月19日 白岩森林公園・青森

ヨモギの葉っぱの裏側で見つけたこの子たちも、
さりげなく交尾している。

ただし、ジンガサ(?)の部分は、不透明である。


普通のハムシ類のように、近づいただけで、
地面に落下するようなことはない。

何かに擬態しているとしたら、
やっぱり、鳥の糞なのだろうか?

 


という訳で・・・・・どうやら、
カサの部分が透明か、不透明かで、
カメノコハムシと、ジンガサハムシに、
分けられているのではなさそうだ。

  


【注】軽くネットで調べてみると、カメノコハムシの仲間は、
   6属25種類が知られており、そのうち18種類が、
   ○○カメノコハムシと和名が付けられ、残りの7種類が、
   ○○ジンガサハムシとなっているようだ。





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かなり不思議!! カゲロウの仲間


今月は、ブログ開設時の原点に戻って、
想定読者は、虫好きの高校生!!!


今回のターゲット、カゲロウの仲間は、
色々な意味で、ちょっとだけ不思議な昆虫である。

 


まずは、下の写真をご覧ください。

 


フタスジモンカゲロウ(モンカゲロウ科)

2011年7月24日 だんぶり池・青森

弱々しい身体に、透明な翅と、長い3本の尾を持ち、
成虫の寿命の短さでも良く知られている昆虫だ。

寿命が短い成虫には、一応口はあるが、
おそらく、食物を摂取する機能は全くないのだろう。

止まるときは、ほとんどの種が、
このように、翅を背中合わせに垂直に立てる。


この雰囲気・生き方は、個人的にアートだと思う。

 

 

 


フタスジモンカゲロウ(モンカゲロウ科)

2011年7月7日 豊浦森林公園・北海道

水中生活をする幼虫が、十分に成長し、
羽化する前になると、水面に浮き上がり、
あっという間に(多分、数秒!!)に脱皮する。

初夏の夕方近く、水面から羽化したての成虫が、
次々に飛び立っていくのを見たことがある(テレビで!)。

実は、この水面から羽化して行くのは、亜成虫と呼ばれる【注1】

亜成虫は、飛び立った後、別の場所で改めて正式に(?)脱皮する。

そこで初めて、本当の成虫になるのだ。


上の写真の子は、貴重な(多分?)亜成虫だ。

 

 

 

カゲロウの仲間

2013年6月21日 矢立峠・秋田

信じられないかもしれないが、これは脱皮殻である。

普通の昆虫類の羽化時の脱皮殻は、
こんな風に、翅が伸びきった状態で残っていることはない。

何故、いったん羽化して翅が伸びた後に、
再び脱皮するような不経済なことをするのだろうか?

 

 

 


モンカゲロウ(モンカゲロウ科)

2011年5月31日 だんぶり池・青森

見た目でも明らかなように、軟弱な身体のカゲロウの仲間は、
外敵に対する防御手段を、全く持ち合わせていない。


理由は、明らかである。

防御手段を進化させるほど、成虫は長生きをしないからだ。

ただし、カゲロウの仲間には、別な意味で強力な防御手段がある。

 

 

 


モンカゲロウ(モンカゲロウ科)

2012年6月7日 芝谷地湿原・秋田

成虫の時代が、極端に短いカゲロウは、ほぼ一斉に羽化する。

もちろん、種や地域によって異なるが、
初夏の頃が最も多く、時間も夕方頃が多い。

このように大発生することは、短命のカゲロウにとって、
近くに交尾相手がたくさんいる状態となるので、理にかなっている。


そして、もうひとつ、重要な意味があるのだ。

ある地域に、大量のカゲロウが一斉に出現した場合には、
とても、そこにいる野鳥類やその他の捕食者が、
一網打尽に、食べきれるものではない。

必ず、ある程度の個体数が残って(生き延びて)しまうのだ。

この現象は「天敵からのエスケープ」と呼ばれ、
結構多くの種類が採用する、重要な防御手段のひとつなのだ【注2】

 


という訳で、ちょっとだけ不思議で、しかも、
突っ込みどころ満載のカゲロウの仲間でした。

 

 

【注1】カゲロウの仲間は、蛹の時代がない不完全変態であるが、
    卵→幼虫→亜成虫→成虫と「半変態」と呼ばれる特殊な変態を行う。

    亜成虫の期間は、数時間から1日以内であることが多く、
    成虫になってからの生存期間も、数時間ないし数日で、
    この間に、素早く(?)交尾し・産卵するのだ。

 

 


【注2】オオカバマダラの集団越冬や、17年ゼミなどが、
    その代表的な例であり、教科書にも載っている。
    ↓   ↓   ↓
    http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130215/1/

    捕食者の数よりも被食者の個体数が多すぎ(!!)て、
    捕食者が食べきれない現象を、「天敵からのエスケープ」と呼んだ。

    しかし、最近では、有名な大学の先生も含めて、
    単に、「ある個体が天敵から、何らかの手段で逃げ延びる」現象を、
    天敵からエスケープすると呼び、この語を使用しているようだ。

    もともとのエスケープという英語の意味から使っているのだろうが、
    我々のような古い人間にとっては、微妙な違和感を感じる。


    

 


 

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