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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

光に誘引されたカミキリ①

ずいぶん昔であるが、ビーティング採集をしてた頃は、
比較的珍しいカミキリも落ちてきた記憶がある。

でも最近は、歩きながら虫を見つけて、写真を撮るだけなので、
自然状態のカミキリに出会うことは、ほとんど出来なくなった。


ところが、明け方に常夜灯を見まわるようになって、
蛾以外にも、普段見ることのできない虫たちに、
さりげなく出会うことが出来るようになった。

⇒ただ、全く自然状態のものではないのだが・・・

 

という訳で、今回から、撮影日順に2回に分けて、
夜間、光に誘引されてきたカミキリ類を紹介したい。

 

 

 

ヒゲナガカミキリ(カミキリムシ科)

2013年8月31日 矢立峠・秋田

この子は雌なので、ヒゲが長くない。

ただ、雄の場合には、その名前のとおり、
触角の長さは、体長の2.5~2.8倍になるようだ。

残念ながら、写真はないのだが・・・・

 

 


ホソカミキリ(カミキリムシ科)

2013年9月11日 酸ヶ湯温泉・青森

この子は名前のとおり、体が細く、スマートである。

写真では、体色はかなり黒っぽく見えるが、
実際にはやや赤味を帯びていたと思う。

 

 


カラカネハナカミキリ(カミキリムシ科)

2014年6月5日 矢立峠・秋田

名前の由来である青銅色のカミキリで、
昼間、花に集まってるのを良く見かける。

肩の部分が発達して金属光沢を持つので、
少し大きめのハムシのように見える?

完全に昼行性だと思うので、むしろ、
光に集まるのが、ちょっとだけ不思議だ。

 

 


ニセヨコモンヒメハナカミキリ(カミキリムシ科)

2014年6月5日 矢立峠・秋田

怪しげな雰囲気を持つカミキリだが、
この子の同定は、私には無理だ。

これは友人、にゃおと氏の写真同定によるものである。


一見珍品風であるが、普通種のようで、名前のとおり花に飛来する。

 

 

 

ハンノアオカミキリ(カミキリムシ科)

2014年6月5日 矢立峠・秋田

金属光沢(緑青色?)の前胸と翅に、黒い紋を持つ美麗種。

多分、カミキリの中では、美麗種の人気ベスト10に入るだろう。

学生時代、奥秩父の切り出した木材の集積場で、
キラキラ輝いて飛んでいたのを、見事にネットインした思い出がある。

 

 


(つづく)

     

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例外的な美麗種? アカアシカスミカメ


カスミカメムシの仲間は、分類が難しいこともあって、
あまり好きになれないのだが、数は少ないが、
ハッ!!とするような美麗種もいる。


今回のアカアシカスミカメは、人気投票すれば、
カスミカメムシ科の部門(?)では、ベスト3に入るだろう。

 ⇒個人的には、ベスト1なのだが・・・

 

 


アカアシカスミカメ(カスミカメムシ科)

2013年9月10日 梵珠山・青森

言葉で表現するのは、なかなか難しいのだが、
「6本の脚は、赤と緑と白に塗り分けられ、
 頭部と胸部は、黒褐色が主体ではあるが、
 前翅の周辺部は緑色で、中心部分には、
 黒色と赤色と白色のの三角形を主体とした、
 ステンドグラスのような、幾何学的模様がある」
と、写真をみながら、図鑑にはない書き方をしてみた。


まあ、「生きたステンドグラス」と書けば、
その一言で、話は終わるのだろうが・・・

 

 

 

アカアシカスミカメ(カスミカメムシ科)

2012年8月4日 裏磐梯・福島

一般的に、赤・緑・黒の模様は、かなり目立つので、
捕食者に発見されやすくなっているはずなのだが、
なかなか、その裏付けが取れない。

 ①体液に不味成分を持つことによる警戒色?

 ②それとも、何かに擬態している??

 ③もしかしたら、分断色???

 ④このブログの最終行(?)に記載????

 

 

 

アカアシカスミカメ(カスミカメムシ科)

2013年8月7日 安曇野・長野

この写真の子は、赤色がほとんど見えないが、
もちろん、別種でもなく、雌雄の差でもないようだ。

分類の厄介なカスミカメ類の中で、
この子のOnomaus属は、世界に4種しかいない。

当然日本には、アカアシカスミカメしか分布しないため、
誰も、他の種と間違えることはないだろう。


写真を見ると、体の外縁が背景の葉っぱの色に溶け込んで、
輪郭が分かりにくくなっているので、③の分断色説も有りなのか。

 

 

 

アカアシカスミカメ(カスミカメムシ科)

2013年9月9日 だんぶり池・青森

また、例によって、和名について一言・・・

確かに足が赤いカスミカメなのではあるが、
これだけ特徴的な背中の模様にちなんだ名前の方が、
もっともっと、人気が出たかも???


まさか、ステンドグラスカスミカメ!!????

 


・・・以下、追記??

 

ヤマジノホトトギス(ユリ科)

2014年8月14日 奥入瀬・青森

今年の夏、家族7人で奥入瀬渓流をワヤワヤ歩いていたら、
3才の孫がヤマジノホトトギスの花を見つけた。

何も考えずに、さりげなく写真を撮ったのだが、
直後に、モニター画面を見て、かなりビックリ。


さりげなく、アカアシカスミカメが写っている!!!

 


そこで、もう一枚・・・

 


アカアシカスミカメ(カスミカメムシ科)

2014年8月14日 奥入瀬・青森

シャッターを押しても、気が付かなかったくらい、
完全にヤマジノホトトギスの花に負けてしまった、
美麗種アカアシカスミカメ・・・・

この子も、赤色がほとんどない!!

 

⇒これは、目立たなくする保護色の範疇(⇒④)では?

 

 

      

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コアリガタハネカクシ交尾


弘前周辺の林道をカメラ片手に歩いていると、
緑色の葉っぱの上を、ウロウロと歩き回っている黒い虫が目に付く。

①歩き方と②体色と③サイズと④翅のないところが、アリに似ているので、
コアリガタハネカクシという、そのまんまの名前が付いている【注】


ただ、昔からアリに擬態してるようには見えなかったので、
どこが「アリガタなの?」という感じがしていた。

 


コアリガタハネカクシ(ハネカクシ科)

2011年6月6日 だんぶり池・青森

普段見かけるときには、こんな細長い虫なので、
遠くから見ても、アリのようには見えなかったのだ。

 

 

 

・・・・ところが!!!

 

 


ん!? アリが交尾???

2012年7月4日 白岩森林公園・青森

この写真で見れば、まさにアリなのだ。

最初は、アリが仲間の背中を舐めているのかと思った。


もしかしたら、アリの交尾かも・・・

 

 


コアリガタハネカクシ(ハネカクシ科)

2012年7月4日 白岩森林公園・青森

近づいてよく見ると・・・

やっぱりアリではない!!


アリは、こんな格好では交尾しないはず??

どうやら、コアリガタハネカクシのようだ。

 

 


コアリガタハネカクシ(ハネカクシ科)

2012年7月4日 白岩森林公園・青森

上の写真で、交尾が成立しているように見えたが、
何故か、さりげなく、向きを変えようとしている。

 

 


コアリガタハネカクシ(ハネカクシ科

2012年7月4日 白岩森林公園・青森

最終的に、この格好に落ち着いてしまうのか??

ちょっとだけ不思議な虫だ。

 

 


コアリガタハネカクシ食事中

2011年6月7日 志賀坊森林公園・青森

ちなみに、こんな格好をしているが、
小昆虫などを捕獲して食べる肉食性なのだ。

ただ、今回の獲物は、翅があって、
しかも、大きすぎる感じがするので、
どのような経過で、この写真のようになったのかは、
全く分からないのだが・・・・

 

 

【注】アリガタハネカクシ属 Megalopaederus は、
   日本に4種類知られているが、互いによく似ているため、
   交尾器を見ないと、同定は比較的難しいとされている。

   ①アリガタハネカクシ Megalopaederus poweri  ⇒紀伊半島
   ②コアリガタハネカクシ M. lewisii ⇒本州中部~北部
   ③ワダアリガタハネカクシ M. wadai  ⇒西日本~九州
   ④クロサワアリガタハネカクシ M. kurosawai  ⇒東海地方北部~東部

   しかし、4種はそれぞれ分布域が異なっているので、
   発見場所によって、ある程度の判別は可能だ。

   ⇒⇒⇒これが、良いのだ!!!


   だから、弘前周辺で見かけるのは、 すべて②のコアリガタハネカクシだ。



     

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これは自然淘汰の結果なの?? アヤトガリバ


背中に、立体的に見えるヘビの模様のある不思議な虫がいる。

以前このブログでも紹介したウスベニアヤトガリバという、
ちょっとだけ素敵で、やや官能的(?)な名前を持った蛾だ。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130824/1/


虫にあまり興味のない普通(?⇒!!)の人は、
ウスベニアヤトガリバという名前を聞いただけでは、
おそらく、何組なのかも分からないだろう。


せっかくなので、もう一度、ウスベニアヤトガリバをご覧ください。

 

ウスベニアヤトガリバ(カギバガ科)

2013年7月27日 城ヶ倉・青森

背中が観音開きの窓のように開いていて、
中に、彫刻のようなヘビ(コブラ?)が見える。

よく見ると、中に見える立体的なヘビは、
下の方が、蛾の胴体とピッタリ繋がっている。

かなり不思議な雰囲気を持つ蛾なのだだ。

 


ネット情報によると、アヤトガリバの仲間(Habrosyne属)は、
日本に、6種類が生息するようだ。

 ①ウスベニアヤトガリバ Habrosyne dieckmanni roseola Matsumura,1909
 ②オオアヤトガリバ Habrosyne fraterna japonica Werny,1966
 ③アヤトガリバ Habrosyne ryritoides derasoides (Butler,1878)
 ④タイワンアヤトガリバ Habrosyne indica flavescens Werny,1966
 ⑤カラフトアヤトガリバ Habrosyne intermedia (Bremer,1864)
 ⑥ヒメウスベニトガリバ Habrosyne aurorina auronia (Butler,1881)


いずれも、特異な姿かたち(基本形は同じ?)であり、
鱗粉の濃淡で、立体的に描かれたヘビ(コブラ?)のような模様がある。

だから、少なくとも、日本で見られる6種の共通祖先で、
背中に「立体的なヘビ模様を持つ基本的な姿かたち」が完成(?)していた。

その後、何らかの生殖隔離が起こって、6種に分かれたのだろうが、
基本形態はそのままで、色彩・模様が個々の種で多少変化したようだ。

 ⇒この文章の書き方は、オオトリノフンダマシ、
  キイロシリブトジョウカイに続いて、3回目・・・

 

 

そして、つい最近、以前紹介した友人とのナイターで、
2種目の、③のアヤトガリバに出会えたのだ。
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20140828/1/

 

 


アヤトガリバ(カギバガ科)

2014年8月19日 木賊峠・山梨

多少の色の違いがあるが、全体的な雰囲気は、
最初のウスベニアヤトガリバと同じである。

ただ、この子の方が、ヘビの目(?)が悲しそうで、
ウスベニよりもインパクトは、やや少ない印象がある?


いずれにしても、切り裂かれた(破られた?)穴の奥に、
ヘビがいるだけで、それはもう神秘的な世界だ!!!

 

 

 

アヤトガリバ(カギバガ科)

2014年8月19日 木賊峠・山梨

少し斜めから撮ると、かなり不思議なことに、
ヘビも、こちらを向いているように見えるのだ。

こんなことってあるのか?


・・・・あるのだ!!!!

 

 


アヤトガリバ(カギバガ科)

2014年8月19日 木賊峠・山梨

一体何故、こんな模様になったのだろうか?

捕食者との関係から考えるのが普通だろうが、
はたして、この模様を、本能的に嫌う外敵がいるのか?

以前、色々な機能のある目玉模様の紹介をしたときに、
知能を持つ学習できる動物(特に人間!)は、
「意味のないものに意味を見出す」ことを知った。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110311/1/

 

たとえば、携帯電話で良くやる(o^ー^o)のようなもの????

 ⇒全く無関係の記号を、ある規則で並べるだけで、
  様々な表情の人の顔に見せることができるのだ。

 

 

 


しかし、ここで、ちょっとでけ残念な写真が・・・・・

 

 

ウスベニアヤトガリバ(カギバガ科)

2013年8月31日 矢立峠・秋田

これは、最初の写真のウスベニアヤトガリバだが、
明るい場所で、こんな風に、草に止まっていたら、
背中のヘビが、全く見えない。


これでは、いとも簡単に鳥に食べられてしまうだろう。

 ⇒せっかく、ここまでテンション高く紹介してきたのに!!!


でも、これが、ちょっとだけ不思議な昆虫の世界・・・・


 

追記(2015年9月13日)

チョウや蛾の翅にある動物の不思議な模様について、
最近日本でも紹介された「サティロス型擬態」という概念で、
統一的に解釈できるようになった。

以下の記事をご覧ください。

【古くて新しい擬態 サティロス型擬態】
 ↓   ↓   ↓
 http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150913/1/
 

     

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かなりの珍品!? キイロシリブトジョウカイの仲間


キイロシリブトジョウカイという、本州でしか発見されていない、
かなり稀な種類のジョウカイがいる。

しかし、そんな珍品キイロシリブトジョウカイは、
2003年に、高橋和弘氏によって、以下の8種類に分割されたのだ。

 ①ミエシリブトジョウカイ Yukikoa akitai Takahashi  (三重)
 ②ナガノシリブトジョウカイ Y. kamezawai Takahashi  (長野)
 ③ヤマナシシリブトジョウカイ Y. kanekoi Takahashi  (山梨)
 ④サトウシリブトジョウカイ Y. masatakai Takahashi  (長野)
 ⑤ヒラシリブトジョウカイ Y. mizunoi Takahashi  (滋賀)
 ⑥オンズイシリブトジョウカイ Y. onzuiensis Takahashi  (兵庫)
 ⑦カントウシリブトジョウカイ Y. watanabei Takahashi  (群馬,埼玉,東京)
 ⑧キイロシリブトジョウカイ Y. wittmeri (Nakane, 1963)  (北近畿)

ただし、種類は、産地によって、かなり識別が出来そうである。

 


では、下の写真の子はどうなの? 新しい種名は??

 


キイロシリブトジョウカイの仲間(ジョウカイボン科)

2013年6月11日 十石峠・長野

このように、体の幅が広いことが大きな特徴となっている。

確かに、尻太(シリブト)のジョウカイである。


しかし、・・・残念ながら、撮影地の十石峠は、
長野県佐久穂町と、群馬県上野村の間にある峠なのだ。

 

 


キイロシリブトジョウカイの仲間(ジョウカイボン科)

2013年6月11日 十石峠・長野

実際に写真撮影したのは、長野県側にある林道であるが、
運が悪いことに(?)、②、④、⑦の可能性があり、
場合によっては、③も、かなり近い場所なのので、
簡単に切り捨てるわけにもいかない。


・・・なので、種名は「???」のままである。

 

 


キイロシリブトジョウカイの仲間

2013年6月11日 十石峠・長野

本種のもう一つの特徴として、メスの腹部が、
上翅から大きくはみ出していることだ。

何か、あまり飛ぶことが、上手ではなさそうだ。

もしかしたら、それも種分化(生殖隔離)の原因かもしれない。

 

 

 

キイロシリブトジョウカイの仲間

2013年6月11日 十石峠・長野

この子を、林道の下草で、最初に見つけた時には、
何の仲間かさえも、全く分からなかった。

というか、色々な虫の仲間の特徴をみんな持ってる?


ネット情報でも、採集例が極端に少ないようで、
生態的な特性は不明であるが、成虫の出現時期は、
5月から7月初めに限られるようだ。

 

 

 

キイロシリブトジョウカイの仲間

2013年6月11日 十石峠・長野

世の中に(?)、こんな不思議な虫がいるからこそ、
もうちょっと真面目に、探してみようと思う。

もしかしたら、青森県でも見つかるかもしれない??


そんなときのために、採集用具は、いつでも車の中にある。
もちろん、ここ数年は、使ったことはないのだが・・・

 

     

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