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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

ん!? どっちが食べてる??


カメラを片手に、林道をブラブラ歩いていると、
「ん! どっち??」
という捕食者と被食者との関係が、
一瞬、分かりにくい光景に出会うことがある。


もちろん、ある捕食者が別の捕食者の餌となることは、
自然界では、普通にあることだろう。


ただ今回は、両者の位置関係が微妙なので、
おそらく「ちょっとだけ不思議な写真」になっているのだ。

 

 


多分カニグモの仲間がヤニサシガメを捕獲

2014年6月1日 東海村・茨城

両者とも、ほぼ同じサイズの捕食者だ。

できるなら、直前のバトルを、見たいものである。


おそらく、クモの方が先に、より有利な位置で、
獲物をじっと待ち構えていたのだろう。

獲物を探して茎を登ってきたサシガメにとって、
不運は、クモが動くものに敏感に反応することだ。

このような「待ってる捕食者」と、
多少でも「動きながら探してる捕食者」との、
わずかな位置関係の違いが、この結果になったようだ。

 

 

 

サキグロムシヒキが多分ナツアカネを捕獲

2013年9月4日 白岩森林公園・青森

両方の捕食者は、飛びながら捕獲するタイプだ。
特に強力な武器を持っているわけでもない。

だから、捕獲出来るかどうかは、一瞬で決まる!!!

しかも、この戦いは、体の大きな方が有利に違いない。

 

だから、この写真の撮影時には、
トンボがアブを食べてるのかと思った。

アブの体が、空中にあるように見えたからだ。


後で、別アングルの写真を含めて、良く見ると、
明らかに、トンボの方は脚が全て空中にある。

それに対して、アブの右側の脚は、
全て、葉っぱに接しており、
間違いなく、トンボの体を支えていたのである。


おそらく、両種の体調(?)の違いがあったのかもしれないが、
この結果は、個人的には、かなり予想外のことだった。

 

 

 

種名不詳のクモがムネアカオオアリを捕獲

2010年6月19日 だんぶり池・青森

この関係も、どちらが食べてるのか、全く分からなかった。

アリよりも小さく見えるクモ(もしかしたら幼生?)が、
何と獰猛なムネアカオオアリを捕獲しているのだ。

明らかにクモの脚が、アリの頭部と胸部を包み込んでいる。


上の2枚の写真とは違って、この1分前には、
葉っぱの上で、壮絶な戦いがあったはずだ。

どちらが先に見つけたかが重要だとは思うが、
多少の条件の違いで、逆の結果になっていた可能性もあるはずだ。

 


これって、例えがすごく悪いが、
ライオンがヒョウを襲ってるようなものなのだろうか?



 

 


  

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感動のツーショット ヤンコウスキーキリガ


蛾マニアでなくても、虫好きならば、
一度は出会ったみたい蛾が、おそらく何種かあって、
常夜灯を見るときには、頭の片隅にあるはずだ。

私も、そんな蛾を何種類か思い浮かべることができる。


ヨナグニサン、セスジスカシバ、アゲハモドキ、ウスベニアヤトガリバ 

 ⇒さりげなく撮影成功!


当然、出会えていない蛾は、この他にもまだまだ沢山いる。

 


・・・しかし、

 

今回、出会ったのは・・・・!!!

 

 

ヤンコウスキーキリガと言うやや不可解な名前を持つ、
信じられないほど局地的な分布をする美麗種だ。

そんな蛾を、同じ日に、別の場所で2回も見ることができたのだ。

 

 


ヤンコウスキーキリガ(ヤガ科)

2014年8月4日 城ヶ倉・青森

他に類を見ない独特の模様が、如何にも珍品そうだ!!!

北海道、本州、九州に分布するとされているが、
実際の採集地は、ごく限られた場所だけだ。

幼虫は、シナノキ(シナノキ科)を食草とすることが分かっている。


和名の由来は、(多分)人名のようだ。

 ⇒Xanthocosmia jankowskii (Oberthur, 1884)

 

 

 

ヤンコウスキーキリガ(ヤガ科)

2014年8月4日 城ヶ倉・青森

やや斜めから撮ると、何とも言えない複雑な模様と色使いだ。

前翅表面のベース色は黄緑色とやや濃い青灰色、
そこに複雑にちりばめられた黒点と白点がある。
4個の白紋の中心にも黒点があり、別にオレンジ色の紋も見える。

体の中心部分には橙色の4個の突起が並び、
前方のヘリ部分には、やや赤い太線がある。

 

そして・・・・


何と、そんなヤンコウスキーキリガが、
ミラクル擬態の代名詞ともなっているムラサキシャチホコと、
常夜灯のもとで、夢の競演を果たしたのだ。

 

 

 

ヤンコウスキーキリガとムラサキシャチホコ

2014年8月4日 矢立峠・秋田

もちろん、ちょっと前にマスコミでも話題になった合成写真ではない。

その証拠(?)に、写真には不自然な縦線がない??!!
(明確な太い斜線はあるが・・・・)

 

 

 

ヤンコウスキーキリガとムラサキシャチホコ

2014年8月4日 矢立峠・秋田

一方は、中途半端な眼状紋では、鳥を驚かせることもできず、
微妙な色合いでは、目立つのか隠れるのかもハッキリしない、
夜行性の蛾というイメージもない珍品のヤンコウスキーキリガ。

もう一方は、どこにでも落ちているカールした枯れ葉の模様を、
前翅に鱗粉の濃淡によって、芸術的に描き出したムラサキシャチホコ。


そんな2種が、青森と秋田の県境の道の駅で、
感動のツーショットを見せてくれたのだ。

 

誰もいなかったので、何か叫んでいたと思う!!!!


 
 ⇒しかし、 時間が経って改めて写真を見ると、
  ムラサキシャチホコの方が、かなりの迫力だ。
  

  君は画家? 蛾か??
 
 
 

   

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金色に輝く湖


前回の記事(昆虫の種類数)の中で、
道南MMT(2014)で撮った北海道の景色を紹介した。

ただ、1ヶ所の写真を除いて・・・・


その除いた場所で撮った「ちょっとだけ不思議な写真」を、
さりげなく普通のブログ記事にする??

 

・・・・

 



2014年7月2日 オロフレ峠付近・北海道

北海道、登別温泉から洞爺湖方面へ抜ける近道が、
オロフレ峠越えの道道2号線である。

曲がりくねった山道を走りながら、
適当な場所に、さりげなく車を停めて、
夕方にしか見られないような虫を探していた。


オロフレ峠のトンネルを抜けた頃、
あたりが薄暗くなって、虫の写真が撮りにくくなってきた。


・・・・


ふと目を上げると、遠くに金色に輝く湖が見えた。

 

 

 


洞爺湖遠景

2014年7月2日 オロフレ峠付近・北海道

かなり神秘的な・・・息をのむような光景だった。


洞爺湖にしては、真ん中の島(中島)の姿が全然違うし、
最初は、本当に幻の湖かと思った。

よく見ると、光っているのは、洞爺湖の一部で、
中島は右側に山のように見えていたのだ。

 

 

 

洞爺湖遠景

2014年7月2日 オロフレ峠付近・北海道

多分、洞爺湖の上空は雲が少なく、
夕日が直接、湖面を照らしているのだろう。

私がいる峠付近の上空は、厚い雲が垂れ込めている。


風がなく、湖面が鏡のようになっているので、
これだけ見事に太陽光を反射してるのだと思う。

 

 

 

洞爺湖遠景

2014年7月2日 オロフレ峠付近・北海道

もちろん、地理的な位置関係と時刻も重要だ。

いったい何個の必要な条件が、完全に一致したのだろうか?

 

普段の行いの良い私に対して、
運命の神様がご褒美として、
こんな滅多にない(?)景色を見せてくれたのだろう。

 

・・・その間、ほんの10数分程度だった。


おそらく、この道を何度も通ってる人でも、
こんな景色に遭遇した人は、滅多にいないはずだ。

 

 

    

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昆虫の種類数


近所の小学生の子供から、
「地球上には、いったい何種類の昆虫が存在するの??」
どうせ答えられないんだろという雰囲気(多分?)で、
こんな良くある質問をされた。


当然の答えとして、
「そんなの、だれも数えたことがないから、分からないよ!」
と、ちょっと動揺しながら、その雰囲気のまま回答・・・

 


そして、家に帰って、さりげなく調べてみた!?

 

現在、学名が付いている(文献に記載されている!!)昆虫の種は、
情報源によってかなりバラツキがあるが、世界中で約95万種と言われている。

⇒明確に世界の昆虫の種類数を把握できる資料は、おそらく存在しないようだ。

⇒ちなみに、未発見種が沢山いるとは思えない(?)哺乳類は、約6000種で、
 鳥類は、約9000種とされている。

 

 

(以下、本文の内容と写真は、無関係です)

 

 

地球岬

2014年6月30日 室蘭市・北海道

私が虫に興味を持った頃(半世紀前)は、約70万種とされていたので、
その間に、次々に新種が記載されて(??)、約1.5倍になったことになる。

無理を承知の単純計算で、1年に2500種以上の虫たちが、
学名を付けてもらって、次々に記載されていたのだ。

 

 


倶多楽湖

2014年6月30日 登別・北海道

だから、「世界に昆虫が何種類いるのか?」と質問されても、
例えば、新たな文献記載の可能性が少ないある年の1月1日時点でも、
誰も数えようとした人は多分いないので、正確に答えられない。

苦労して調べても、当然次の日には、また何種かが増えている可能性が高いのだ。

 

 


硫黄山

2014年6月30日 登別・北海道

昔は、「ある生物種」が、海に隔てられた島や、大きな河川の両側で、
お互いに移動できなくなった場合には、どちらかに何らかの遺伝的な変異が生じて、
交配が不可能になれば、新しい種として、分化したことになるとされていた。

だから、移動性のあまり大きくない微小昆虫の場合には、
わずかな障壁でも、簡単に生息隔離が起こりやすく、
長い年月が経過すれば、普通に、別種になる可能性が高いのだ。

 

 


内海湾に沈む夕陽

2014年7月1日 室蘭・北海道

また、多くの昆虫類は、ある特定の植物に依存(餌とする)している。
特に、微小昆虫の種類数に関しては、頭がクラクラするような恐ろしい状況がある。

一本の大きな木に袋をかけて、地面に白い布を敷く。
その袋の中に燻煙殺虫剤を処理して、その中にいる全部の虫を殺して、
布の上に落ちている虫の種類と数を確認する。
そうすると、特定の木についている虫の種類と個体数が、全て把握できる。

特に、熱帯雨林で行われた様々な樹木に対する「袋がけ殺虫試験」では、
ある植物(樹木)に依存する昆虫の種類数を確定し、
植物の種類数を掛け算すれば、その地域の総種類数が予測できる。

当然野結果として、昆虫の多様性(種類数!)が、
想像以上に大きいことが再確認されているのだ。

 

 


昭和新山

2014年7月2日 有珠・北海道

基本的に、種の記載は形態に基づいて行われている。

しかし、形態的に区別がつきにくく、同一であると考えられていた種が、
「DNAなどの分子系統解析によって、実は別種であった」
と考えられる例が、最近になって増えているのだ。

特に、人間が作った作物の害虫についての研究が、精力的に行われており、
学会で話を聞いても、とても付いていけないレベル(?)になっている。


例えば、ミバエ類では、34の調査地から24種のウリ科植物の花や実を集め、
羽化してきた2857頭のミバエの分子系統解析を行った。

その結果、それらは52種に分割可能であることが明らかになった。

ある種のミバエは、1種の植物の雌花のみを利用していたが、
その同じ植物の雄花を、別の種が利用していることもある。
    
だから、ミバエの仲間は、地理的な種分化に加えて、
植物の利用部位による種分化の程度も大きいことが分かってきた。

 

 


美瑛の丘

2014年7月4日 美瑛町・北海道

という訳で、従来の分類学(系統学?)は、形態学や発生学、
さらには、生化学的性質も含めた表現型の比較に基づいていたが、
現在の分子系統学は、それらの根本にある遺伝子型に基づく方法であり、
より直接的に、生物の進化を推定できるとされている。

この分野は、遺伝子解析が容易になったこともあって、
進化生物学の重要な柱となりつつあるようだ。

 

・・・・

 

逆に、こんなことはないだろうか?

かなり多様化していると考えられていた種が、
詳細な遺伝子解析によって、実は1種だった。

そうなれば、昆虫種類数の増加傾向に、
多少とも、歯止めがかかるかもしれないのだが・・・


ただ現時点では、この推論は、全くありそうもない!!!
 



 


羊蹄山

2014年7月7日 虻田郡・北海道

最後に、さりげなく話を最初に戻して、陳腐な結論。


⇒地球上の昆虫の総種類数に関しては、
 現時点では、どんな偉い・有名な昆虫学者でも知らないし、
 そんな詳細な数字を知っても、あまり意味がないとも言える。


最初に小学生から質問されたときに、
こんな結論を、自信を持って答えれば良かったのだが、
どうなんだろうか・・・??

 

 

       

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枯れ葉擬態 オビガ


枯れ葉に隠蔽的擬態する蛾は、多くのグループ(科?)で、
独自に進化してきたようだ。

今回のオビガもは、常夜灯に来ているのを良く見かける。

オビガは、オビガ科に属する蛾だが、
日本にはオビガ1種しかいないようである。

 

 

オビガ(オビガ科)

2012年9月13日 矢立峠・秋田

こんな感じで、明るいトイレのガラス面に止まっているが、
そんなにリアルな枯れ葉の印象はない。

 


それでも、この子が枯れ葉が沢山ある場所に、静止していたら、
私ごときには、絶対に見つけることはできないだろう。


しかし、緑色の葉っぱの上では、簡単に見つかるのだ。
・・・・と言うか、偶然見つけると、ちょっとだけ感動!!

 

 

 

オビガ(オビガ科)

2014年7月21日 ひたちなか市・茨城

写真の中央、赤丸の部分に落ち葉が見える?

緑の葉っぱの上には、見た目がこんなイメージで、
風に乗って飛ばされてきた枯れ葉が、落ちていることが良くある。


でも、これ、よく見るとオビガなのだ。

 

 

 

オビガ(オビガ科)

2014年7月21日 ひたちなか市・茨城

近づくと、こんな感じ・・・


枯れ葉に擬態する蛾は、翅を閉じて止まることが多い。

明らかな蛾の形状である左右対称の蛾の姿を見破られないためだ。


しかし、オビガは違う。

前翅と後翅の微妙な重なり(開きの角度?)と、
後翅後縁の膨らみが、葉っぱの形状そのものなのだ。


 

 

オビガ(オビガ科)

2014年7月21日 ひたちなか市・茨城

下から見上げて撮ると、何か必死で止まってる感じだ。

普通の蛾は、こんなところに静止することはないだろう。


偶然に風に飛ばされてきた枯葉が、引っかかっているようだ。

 

 

 

オビガ(オビガ科)

2014年7月21日 ひたちなか市・茨城

蛾の仲間は、オビガのように、普段隠れている後翅の表面を、
前翅を少し広げて静止することが、たまにある。

ただ、オビガの場合は、全体を葉っぱに見せるようなイメージで、
後翅の表面を常に見せて止まっている。


明らかに、どの辺まで開けば(後翅を見せれば)、
自分が、葉っぱに見えるか分かっているようである。

でも、中央の白いラインが、一直線にならない!!!


・・・・・・恐るべし、オビガの微妙な戦略!

 

 

という訳で、今回までに、
緑の葉っぱの上に静止している枯れ葉のように見える蛾を、
4回連続で紹介してきた。

ただ、このブログでは、過去にミラクル擬態として、
もっと沢山の「枯れ葉に似た蛾」の写真を紹介してきた。

 

興味ある方は、是非、下記をご覧ください。

 

ウスイロカギバ ⇒雌雄が少しずれて交尾している
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120710/1/


マエキカギバ ⇒体の色がまさに枯れ葉
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120712/1/


マエグロツヅリガ ⇒そんなに似せなくともというレベルのミラクル擬態
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120729/1/


イカリモンガ ⇒普段は枯れ葉に似てるとは夢にも思わない
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20121210/1/


シロテンツマキリアツバ ⇒まあ普通の枯れ葉擬態
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130114/1/


ムラサキシャチホコ ⇒ご存知のミラクル擬態(もう一度ご覧ください)
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130821/1/


ハガタエグリシャチホコ ⇒新しいタイプの枯れ葉?
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20131008/1/


枯れ葉? ミラクル擬態 ⇒クイズ形式の総集編(もう一度ご覧ください)
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20131208/1/





    

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