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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

春の珍事?! ② ヨコヅナサシガメ幼虫集団


前回のヒラタアオコガネと同じように、
日本列島を北上し続ける(?)外来種ヨコヅナサシガメ。


少なくとも私が東京に住んでた頃は、
ヨコヅナサシガメを見かけることはなかった。

当時は、九州でもかなりの珍品で、
カメムシマニアにとっても、あこがれの虫であった。

 

ところが・・・

 

近年、急速に分布が増加したようで、
東京付近はもちろん、茨城県でも、
結構普通に、見られるようになった。
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20131020/1/
(⇒成虫の写真もあります)

 


ヨコヅナサシガメ幼虫集団(サシガメ科)

2014年4月24日 東海村・茨城

いつもの公園を散歩中に、越冬明けの終齢幼虫を見つけた。

拡大しないと分かりにくいが、このように樹皮の隙間に潜んで、
9匹(この写真では!)が、ルーズな集団を形成している。

 

 

 

ヨコヅナサシガメ幼虫集団(サシガメ科)

2014年4月24日 東海村・茨城

赤と黒と白のちょっと恐ろしげな肉食昆虫だ。

これまでの経験から、集団を形成する種は、
何らかの防御戦略によって、鳥などの捕食から免れていることが多い。


おそらく、この目立つ体色が、関係しているのだろう。

 

 

 

ヨコヅナサシガメ幼虫(サシガメ科)

2014年4月24日 東海村・茨城

この格好をしているが、予想外に機敏に動くことができ、
他の小昆虫を前脚で、捕獲するのだ。
⇒もちろん、動きの遅いイモムシやケムシが多いが!

そして、捕獲とほぼ同時に、獲物に口吻を突き刺して体液を吸う。


この子は、おそらく食事の後なのだろう。
腹部がパンパンに膨らんでいるのが分かる。

 

 


次の日、少し離れた場所で、また集団を発見・・・

 

 

ヨコヅナサシガメ幼虫集団(サシガメ科)

2014年4月25日 東海村・茨城

この桜の老木は、公園の中ではなく、
普通に、道路わきにある。

この道路は、幼稚園児や小学生の通学路だ。


そんな目立つ場所で、肉食性の昆虫にしては珍しく、
ルーズな集団で生活するようだ。

 

 

ところが・・・

これは、春の珍事なのだろうか?

 

 


ヨコヅナサシガメ幼虫集団(サシガメ科)

2014年4月25日 東海村・茨城

すぐ近くの別の桜の木に、必要以上(?)に、
ビタクッツキする密な集団を発見した。

明らかに、重なり合って静止しているのだ。

(⇒餌が少ないときには、共食い????)

 


このように、肉食性の外来種が分布を広げてくると、
特に、ヨコヅナサシガメのように、サイズが大きい種では、
獲物となる在来種(イモムシやケムシ?)だけでなく【注】
ライバルであるサシガメ科の在来種にも、
大きな影響を与えている可能性がある。

そういえば、東海村では、他種のサシガメをあまり見かけない。

   

【注】最近、サクラの木に大発生するアメリカシロヒトリを、
   あまり見なくなったような気がする。
   もしかしたら、同じ外来種のヨコヅナサシガメが、
   アメシロの生息密度に影響を与えている可能性もある???

 

     

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春の珍事?!  ① ヒラタアオコガネ


子供たちが半袖シャツで遊んでいる4月の暖かな日、
散歩中の近くの公園で、不思議な光景を見た。

まだまだ茶色の芝生の上を、沢山の小さなコガネムシが、
何かを探しているかのように、飛び回っていたのだ。

 

 

ヒラタアオコガネ(コガネムシ科)

2014年4月24日 東海村・茨城

ただ、飛んでる虫の写真を撮るのは難しい!!

そんなときに便利なのが、デジカメの連射機能だ。
AFモードにして、ただシャッターを押し続けるだけ・・・


その結果が、こんな感じの写真だ。

赤丸が飛行中、青丸が歩行中のヒラタアオコガネ。

(⇒写真をクリックすると、拡大します)

 

 

当然、ムクドリやツグミ、カラスなどの野鳥類も、
こんなに楽して手に入る餌を、見逃すはずがない。

 

 

ツグミとヒラタアオコガネ

2014年4月24日 東海村・茨城

こちらは、もっと分かりにくいが、赤丸の中に、
飛び回っているコガネが写っている。

ツグミの目の前に、かすかに見える沢山の黒い点も、
おそらく、ヒラタアオコガネだろう。

 

 

他にも、野鳥類が・・・・
(まだ、野鳥シリーズを引きずっている?)

 

 

ムクドリ(ムクドリ科)

2014年4月24日 東海村・茨城

芝生から少し離れた雑草地(?)には、
3匹のムクドリがいるが、
芝生には、先客のカラスがいるので、近づけないようだ。

 

 

私も、もう少し近づいて、コガネの写真を!!

 

 

ヒラタアオコガネ(コガネムシ科)

2014年4月24日 東海村・茨城

これは、ちょっとだけ異様な雰囲気のコガネムシだ。

何か意味があるのか、フサフサとした白い毛が、
体のまわりを取り囲むように生えているのだ。


もともとは、南方系の種類のようだが、例によって(?)、
最近は、関東でも見かけるようになったらしい。

 

 

 

以下ネット情報・・・・

 


ヒラタアオコガネ(コガネムシ科)

2014年4月24日 東海村・茨城

実は、このコガネ、他の多くのコガネ類とは違って、
秋には、成虫になって、そのまま土中で越冬するのだ。

だから、ちょっと暖かくなると、
朝早い時間に集団で配偶行動をするようで、
芝生の上を、沢山の雄が、雌を探して飛び回る。

おそらく、雌の放出する性フェロモンに反応してるのだろう。

 


最後に、もう一度、飛翔中の写真!!

 


ヒラタアオコガネ(コガネムシ科)

2014年4月24日 東海村・茨城

何10枚か連射しながら飛行中の写真を撮ったが、
トリミングしたこの写真が、残念ながらベストショットだ。
(これ以上は、私には無理だ!?)

 

こんな珍しい場面に遭遇出来て、
今年は、春から縁起がいい?

      

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虫を食べる野鳥類⑯ あと6種類


(このシリーズ、今回が、さりげなく最終回です)

 


カケス(カラス科)

2011年5月10日 笹子峠・山梨

尾や翼は黒色だが、一部に青色の目立つ模様がある。

昆虫類が主食とされるが、果実や種子も食べるようだ。

昔、読んだ擬態や保護色の効果を調べる実験で、
アメリカの野球チームのような【blue jay】と言う
鳥の名前が良く出てきた記憶があるが、
おそらくカケスのことだったのだろう。

有名なのは、アメリカのブラウアー博士が、
オオカバマダラの有毒成分と警戒色との関係を、
実験的に確かめた一連の実験で、
多くがカケスの仲間が実験材料だった(と思う)。

カケスは、一度嫌な経験をした獲物を学習し、
次からは、同じように見えるものを攻撃しないのだ。

 

 


コゲラ(キツツキ科)

2011年10月18日 東海村・茨城

日本に生息するキツツキとしては最も小さい。

食性は雑食だが、主に昆虫などの節足動物を捕食し、
木の実を食べることもある。

手持ちの胃内容物を調べた文献によると、コゲラは、
各種のアリ類の他、ヒラタムシ、コメツキムシ、カミキリ幼虫、
ゾウムシ、ハムシ、コガネ類、蛾の幼虫、アブラムシ類、ハエ、
カマキリ、ハサミムシなどを食べていた。

 

 

 

ジョウビタキ(ツグミ科)

2010年3月27日 石廊崎・静岡

ほぼスズメと同じ大きさの典型的な冬鳥であるが、
日本国内での繁殖も、北海道で観察されているようである。

当然日本国内では、基本的に子育てはしないが、
昆虫やクモを捕食することが確認されている。

良く見かける野鳥類のようだが、私が見たのは、
この子が最初で最後(?)だった。

 

 

 

ガビチョウ(チメドリ科)

2010年3月23日 深谷市・埼玉

何か、保護色の虫たちの写真のような雰囲気の写真・・・

落ち葉の中に埋もれて虫を探すのは、変な名前の鳥。


もともと、中国南部から東南アジア北部にかけて生息するが、
日本では、ペットとして輸入された個体が逃げ出し、定着したとされる。

また、特定外来生物に指定され、侵略的外来種ワースト100選に入る。

 

 

 

セグロセキレイ(セキレイ科)

2006年8月6日 徳島市・徳島

これは、かなり古い写真であるが、
セグロセキレイが、虫を捕獲した直後である。

実は、私が初めてその瞬間を撮影した「貴重な写真」でもある。

セグロセキレイは、留鳥として九州以北に生息し、
日本各地の平野の川沿いなどで見られる日本固有種で、
このように、頻繁に虫を食べてる姿を見かける。

 


 

キジ(キジ科)

2006年8月6日 弘前市・弘前

知らなかったが、キジも、昆虫やクモなどを食べるのだ。
ときにはヘビも!!

だから、このシリーズ最後を飾る(?!)野鳥類に・・・

それにしても、金属光沢が見事だ。

 


このシリーズで、写真を撮ることのできたものだけで、
合計21種類の「虫を食べる野鳥類」を紹介したことになる。

野鳥類の餌となる虫たちの生存戦略としては、やっぱり、
食べられるのを見越して、沢山卵を産むことが、
子孫(遺伝子)を確実に残す上で、ベストだったのだろう。

そんな中で、一部の虫たちは、ほんの少しでも、
自分が食べられてしまう可能性を減らす工夫をする。
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130201/1/


・・・がんばれ! 虫たち!!

 

 

      

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虫を食べる野鳥類⑮ キセキレイ


前回紹介したツバメは、飛行中の虫を、
飛びながら捕獲することが多いが・・・・

他の野鳥類では、どうなんだろうか?


野鳥類が餌となる虫を探し出し、捕獲するときは、
以下のような状況がありそうだ。

 ①木の近くをゆっくり飛びながら探す。
 ②木の枝を、歩きながら探す。
 ③見通しが良い場所に止まり、そこから見える範囲をじっと探す。
 ④木の枝を飛び跳ねながら移動し、
  びっくりして飛び立った獲物を空中で捕まえる。
 ⑤飛んでいる虫を飛びながら捕獲する。
 ⑥地面を歩いて、隠れている虫を探す。
 ⑦水場付近に集まる虫たちを探す。

 

今回は、キセキレイを例に、野鳥類が、
虫を探し出して、捕獲する状況を想像(!)してみよう。

 

 

キセキレイ(セキレイ科)

2010年5月10日 弘前市・青森

桜の花も散ると、北国の弘前にも、
ようやく虫の季節がやってくる。

水田が耕起されると、驚いた虫たち(?)が這い出てくる。
それを狙って、色々な捕食者たちが集まってくるのだ。

目の前を、お腹の黄色い鳥が舞った。


上記の①~⑦の捕獲方法のどれだろうか?

⇒多分⑥

 

 


キセキレイ(セキレイ科)

2012年6月27日 白馬岳山麓・長野

大雪渓から流れ出てくる冷たい雪解け水も、
流れも淀んだ場所では、水温も上がるのだろうか?

キセキレイは、このように、水辺を好み、
水中や岩陰などに棲む虫たちを捕えて食べる。


石をひっくり返すと水棲昆虫の幼虫がいる。

⇒間違いなく⑦

 

 

 

キセキレイ(セキレイ科)

2013年5月17日 白岩森林公園・青森

キセキレイは、地面だけでなく、枝にもいる。

野鳥類が、飛んでいる小さな虫たちを見つけて、
あっという間に、飛びかかっていくのは、
林道を歩いていると、比較的良く目にする。


この子は、数秒後には、ゆっくりヒラヒラ飛ぶ小さな蛾を、
飛んでる方向に回り込むように先回りして、空中で捕獲した。

⇒③または⑤

 

 

 

キセキレイ(セキレイ科)

2013年5月17日 白岩森林公園・青森

夏季の渓流沿いなどでは、
セグロセキレイ、ハクセキレイとは、
概ね棲み分けているとされている。

口にくわえているものは、
虫のように見えるが、違うかもしれない。

⇒⑥・・・・やはり、このタイプが一番多いのか?

 

 

しかし!!!

 


野鳥類以外の捕食者【カマキリ、ハチ、クモなど】は、
動いているものだけを、敏感に察知し攻撃する。

逆に言うと、カマキリやクモは、全く動かないものに対して、
基本的に攻撃はしない、というか複眼の構造から、出来ないのだ。

だから、良く見かける光景で、
食うものと食われるものが向かい合って、
数分間全く動かないことも良くある。


これが、知能がある野鳥類の捕獲方法とは違うのだろう・・・

   

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虫を食べる野鳥類⑭ ツバメ


昔は、春になると必ず見かけたツバメが、
何故か、最近はあまり見かけなくなった。


実際に、日本野鳥の会によると、
全国各地で行われた調査では、ほとんど例外なく、
ツバメが減少しているという結果が出ているようだ。

 

 

 

ツバメ(ツバメ科)

2013年6月3日 道の駅きつれがわ・栃木

ツバメが虫を捕獲する瞬間を見た人は多いと思う。

とにかく、物凄いスピードで、目の前を通り過ぎて、
あっという間に飛んでる虫を捕まえる。

そんな光景からは、虫たちが持っている防御手段、
たとえば、擬態とか、保護色とか、警告色とかとは、
全く無関係に、虫たちは捕獲されてしまうようだ。

 


 ツバメ(ツバメ科)
 
2013年8月7日 道の駅風穴の里・長野

このように、ツバメが餌を入手する方法は、
飛翔中の小さな虫たちを、空中で捕獲するのがメインだと思われる。

ネット情報では、ツバメの主要な餌は、
カ、ハエ、アブ、ユスリカなどのハエ目類が過半数で、
その他に、小型のガ、チョウ、トンボ、カゲロウなどを、
子育て中のヒナに与えているようだ。


さらに、子育て中の両親が餌を運ぶ回数も、詳細なデータがあり、
1日当たり500匹の虫をヒナに与えている。

この数字は、このシリーズ最初に紹介したシジュウカラ夫婦が、
ヒナのいる巣に運ぶ餌の数と、ほぼ同じである。

 

 

 

ツバメ(ツバメ科)

2013年8月7日 道の駅風穴の里・長野

また、日本各地でツバメが減少している原因については、

 ①自然環境の変化によりエサとなる虫たちの減少、
 ②人家に軒先がなくなり、住民がツバメの糞を嫌がり、巣を作らせない、
 ③カラスなどの天敵の増加、
 ④集団ねぐらのヨシ原の減少、

などが挙げられており、いずれも人間の生活に関係している。

この中で、ツバメが集団でねぐらを形成することは、
あまり知られていないことだと思う。





 

ツバメ(ツバメ科)

2003年4月5日 与那国島・沖縄

ツバメは、繁殖期前の3月下旬頃から日本に飛来し、
4月~7月上旬にかけて、夫婦で子育てをする。

繁殖終了後から、10月上旬までに、河川や湖沼周辺の湿原に、
場合によっては、数万羽の個体が集まり、集団ねぐらを形成するのだ。

だから、上記④の河川敷のヨシ原の減少が、
ツバメが少なくなった大きな原因なのかもしれない。


ただ、ヨーロッパやアメリカの各地でも、
ツバメの個体数が急速に減少していることが知られており、
何か別の原因がある可能性も残されている。

 

・・・・・

見かける機会が減ったというだけで、
全く姿を見ることがなくなったわけではない。

すでに、今年になって、何度も元気な姿を見ている・・・


⇒今年4月中旬に、東北自動車道を、弘前から東京まで、
 ゆっくり南下する機会があった。

 出発するときの車窓は、道路脇に、まだ残雪が見えていた。
 盛岡を過ぎるころから、畑に緑色が目立つようになり、
 チラホラ桜が咲き始めたなと思っていると、
 仙台あたりで満開になり、福島では、やや散り始めていた。
 常磐道に入った茨城では、ほとんど葉桜になっていた。

 
 そんな景色の移り変わりを体感していると、
 立ち寄った宮城・福島県内の数か所のSAでは、
 ツバメが活発に飛び回っているのを見かけた。

 

    

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