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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

虫を食べる野鳥類⑬ ヤマガラ


前回のツグミと見た目が似ているヤマガラ。

よく見れば、全く違うのだが・・・


ヤマガラは学習能力が高いので、
おみくじを引かせるような芸を仕込む事もでき、
江戸時代に盛んに披露されたようだ。

これだけの知能(記憶力?)があれば、
一度いやな経験をした危険な生物にベイツ型擬態する種を
普通に学習し、捕食することはないだろう。

しかも、自分に直接危害を加えられることのないような、
不完全な「非食べ物擬態者」や「保護色の虫たち」でさえも、
十分観察して、識別することが出来るだろう。

これが非食べ物擬態者に、ミラクル擬態が多い理由なのだろう。

 

 

 

ヤマガラ(シジュウカラ科)

2012年6月6日 小泉潟公園・秋田

シジュウカラと同じ仲間のヤマガラも、
同じような捕獲習性を持っている。

樹木の枝や小枝、葉の間を、
活発に動き回って餌(えさ)を探す。

3月から6月にかけての繁殖期には、
かなり昆虫も食べるが、ヒナは18~20日で、
巣立ってしまうようだ。

 

 

 

ヤマガラ(シジュウカラ科)

2012年6月6日 小泉潟公園・秋田

明らかに何か丸いものを、嘴に挟んでいる。
堅い果実は、嘴でこじ開けて中身を食べるようだ。

 

 

そして、・・・・

 


私の良く訪れる道の駅や森林公園の駐車場には、
結構明るい常夜灯が点いていることがある。

夏の条件が良い日(満月でない日)の夜には、
その街灯に、ものすごい数の虫たちが集まってくる。

車中泊して、東の空が薄明るくなったころ、
帰りそびれた様々な虫たちを狙って、
 ① クワガタやカブトムシを捕まえる親子連れと、
 ② 駐車場で車中泊したカメラを手にしたおっさんと、
 ③ そこに行けば、食べ物が沢山あることを学習した鳥たちが、
さりげなく集まってくる。

②の人間(私!)は、①を全く気にしないが
③の鳥よりも早く現場に行かないと、
無残に食べ散らかされた残骸だけを目にすることになる。

恐るべし、③の学習した鳥たち!!!
カラス、ヤマガラ、ハクセキレイ・・・・

 

  

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虫を食べる野鳥類⑫ ツグミ

(虫を食べる野鳥シリーズ、さりげなく再開します)

これまで10種以上の野鳥類を紹介してきたが、
虫たちが行う様々な直接的な防御手段に関しては、
どうも、虫たちの最大の天敵である野鳥類には、
あまり有効でないようなイメージだった。

擬態とか、保護色とか、疑死とか、自切行動とか、
一体どこへ行ってしまったのだろうか・・・


昔、「自然淘汰による進化を否定」する人たちの言い方で、
 虫たちが、どんな防御手段を用いても
 野外で実際に虫が食われている現場を見ると、
 そんな防御手段とは無関係に、運だけの世界で、
 捕食者と出会ったら、ほぼ100%食われてしまう
という有名なフレーズもあるほどだ。


それでも、やっぱり、間違いなく、ほんの少しでも、
その個体の生存率を上げるような防御手段があれば、
進化してくるのだろう。

 

今回の虫を食べる野鳥は、渡り鳥のツグミ。

 

冬になると、市街地の公園や草地などで、
ごく身近に見ることのできる野鳥だ。

シベリアで繁殖したツグミは、日本海を越えて、
10月下旬に、日本各地に飛来する。

だから、日本で見られるのは、
晩秋から春までの短い期間に限られる。

当然この時期は、気温が低く、虫が少ない季節なので、
樹上では木の実を食べ、地面に降りると、
泥や落ち葉の中の、ミミズや小昆虫を食べるようだ。

 

 


ツグミ(ツグミ科)

2011年2月22日 南相馬市・茨城

駐車している車が多い、早朝の道の駅。

まだ2月なので、この場所には、
おそらく、活動している虫はいないだろう。

完全に芝生が枯れているし・・・・

 

 

 

ツグミ(ツグミ科)

2010年3月22日 夢の島公園・東京

ようやく春らしくなった都会の公園。

越冬した虫たちがそろそろ這い出してきたころ、
そこには、見た目は可愛らしいが、恐ろしい捕食者が・・・

 

 


ツグミ(ツグミ科)

2012年4月2日 ひたちなか市・茨城

虫たちが本格的に活動を開始するちょっと前、
こんな雰囲気のブッシュの側には、予想以上に虫がいる。

彼らは、それを知ってるかのように、この場所に来る。

 

 


ツグミ(ツグミ科)

2011年4月13日 ひたちなか市・茨城

秋に日本に渡って来た時には、群になっているが、
本格的な冬になると、微妙に分散して、
農地、公園、川原、干潟などの開けた場所で、
地面を歩きながら、ミミズや昆虫を、
食べることが多くなるようだ。

 

 


そして、今年・・・

 

 


ツグミ(ツグミ科)

2014年3月19日 ひたちなか市・茨城

ようやく春の訪れを感じ始めて頃の水辺。

彼らが一体何を食べてるのかをしばらく観察した。

このときは、(多分)ミミズを食べるのを目撃したが、
一瞬シャッターを切ることができなかった。


ネット情報では、日本では、ほとんど、
ツグミの鳴き声を聞けないとされている。

冬には、ずっと口をつぐんでいるので、
ツグミと呼ばれるようになったらしい????

 

     

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金属光沢の蛾 キスジホソマダラ


マイナーな金属光沢の虫たち、7回目は、
微妙に金属光沢がある蛾、キスジホソマダラ・・・

 

もちろん、夜行性の種類が多い蛾の仲間で、
金属光沢を持つ種類は、あまり多くない。

と言うか、金属光沢が見られるのは、
昼行性の種類に限られるのかもしれない【注】

しかも、ミヤマカラスアゲハやゼフィルスのように、
翅全体が金属光沢の種類は、多分いないだろう。

 

 


キスジホソマダラ(マダラガ科)

2013年6月6日 ひたちなか市・茨城

青白いメタリックな輝きの触角、頭部、胸部。

そして、前翅の一部にも!!

結構、毒々しいというか、不気味な色である。

 

 

 

キスジホソマダラ(マダラガ科)

2013年6月6日 ひたちなか市・茨城

この色合いは、「どこかで見たことがある」と思ったら、
中世のブロンズ像に似た妖しい輝きだ。

だから、生きているものという感じが全くしない。


これは、生きた彫刻である(言い過ぎ!!)


幼虫時代はいったい何を食べてるのかと、
軽くネットで調べてみると、
有毒植物(?)ではなさそうなススキやササの葉っぱである。


マダラガの仲間なのに???


⇒微妙な有毒植物(例えばキャベツ、ニンジン)については、
 後日まとめて紹介する予定である。


 

 

キスジホソマダラ(マダラガ科)

2013年6月6日 ひたちなか市・茨城

マダラガ科の多くの種類は、熱帯にみられ、
幼虫は、他の虫があまり食べない毒のある葉っぱを食べる。

当然、幼虫はよく目立つ警告色であり、多くの種類が、
その毒を、成虫になるまで保持することが知られている。


簡単に思いつく、以下に代表されるような種類は、
基本的に昼行性で、よく目立つ警告色を持ち、
幼虫も成虫も、おそらく捕食者に食べられることはない。

 ミノウスバ⇒(マサキ)、サツマニシキ⇒(ヤマモガシ)、
 ホタルガ⇒(サカキ)、 ベニモンマダラ⇒(クサフジ)

 

 

しかし・・・

 

 

キスジホソマダラ(マダラガ科)

2010年7月7日 室蘭市・北海道

これは、北海道で撮った個体。

心なしか、金属光沢が弱く、
茨城で撮った個体ほど、青色が目立たない。


地域的なものなのか、個体変異なのか?

 

むしろ、黒地に黄色い筋の模様だけでも、
典型的な警戒色なので、金属光沢は必要ないのだろうか?

キスジホソマダラも、もともとは、南方系の種で、
北海道の個体は、金属光沢が弱くなっている可能性もあるのだ。


⇒これって、もしかして、ひょっとすると、多分、
 異所的種分化の前兆???

 


【注】金属光沢の発色メカニズムは、良く知られていて、
   体表の透明多層膜に、太陽光が反射する構造色であるが、
   当然のこととして、夜行性の蛾の仲間では、
   この仕組みは、あまり進化しなかったようだ。

    

 

 

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金属光沢のハエ マダラアシナガバエ


マイナーな金属光沢の虫たち、6回目は、
虹色に輝くマダラアシナガバエ・・・・


そんなに多くないと思うが、他にも、
同じハエ目の仲間に、金属光沢のものがいる。

その名も、(良いのか悪いのか分からないが)
キンバエという微妙な呼び方をされる虫だ。

何故か、昔からあまりイメージが良くない?!

当然、見かける場所と生態が悪い(?)からだろう。


私の子供のころは、東京でも大発生することがあった。
当時ゴミの島などと呼ばれていた「夢の島」が、
キンバエやイエバエなどの発生源になっていたのだ。

 

 

しかし、今回のマダラアシナガバエは、
間違いなくマイナーな美しいハエである。

 

 


マダラアシナガバエ(アシナガバエ科)

2010年8月3日 だんぶり池・青森

その名のとおり、体が金緑色のまだらに輝く、
脚の長い小さなハエである。

ただ、実はこの仲間はハエではなく、
ムシヒキアブのような捕食性のアブなのだ。

そうかと言って、アブとハエは、分類学上も、
明確に違いがあるわけではない(らしい)。

 

 


マダラアシナガバエ(アシナガバエ科)

2010年8月3日 だんぶり池・青森

最初の写真では、金属光沢が分かりにくかったが、
近寄ると、確かに光っている。

背景の葉っぱも光を反射しているので、
緑を基調とした金属光沢の場合には、
保護色的な効果があるのかもしれない。

ただ、胸から腹にかけて、体表の色が、
 緑⇒黄⇒青⇒緑⇒黄⇒赤⇒
と、微妙に変化しているので、やはり目立つ!!

これが、微妙な虹色の金属光沢は、
保護色なのか、警告色なのか、不思議感満載だ!!!


多分、この子は、小さな獲物を探しているのだろうが、
残念ながら、虫を捕らえたところを見たことがない。

これで、本当に捕食者なのだろうか?

 

 

 

マダラアシナガバエ(アシナガバエ科)

2012年8月7日 小泉潟公園・秋田

こちらは、捕食中ではなく、交尾中の写真である。

どちらかというと、交尾中の方が、捕食中より、
見る機会が少ないような気がするのだが・・・

 

 

 


マダラアシナガバエ(アシナガバエ科)

2012年8月7日 小泉潟公園・秋田

例によって、アブレ雄が、背後から・・・(多分)


この写真を見るかぎり、金属光沢は、雌雄に差はないようだ。
もしかしたら、雌雄ともに金属光沢に反応するので、
こんな光景がみられるのかもしれない。

 

というわけで、今回のマダラアシナガバエ、
サイズ的にも、野鳥類に頻繁に食われるとは思えないし、
何故、わざわざ7色に輝く金属光沢を持ったのか、
現時点では、全く不明なのである。

    

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金属光沢のハチ ルリチュウレンジ


マイナーな金属光沢の虫たち、5回目は、
全身が、暗い紺色の綺麗なハバチの仲間、
ルリチュウレンジ・・・・


ハチの仲間で、金属光沢を持つ種類は、
おそらく、あまり多くないだろう。

 

 

・・・?

 


ルリチュウレンジ(ミフシハバチ科)

2012年9月25日 東海村・茨城

目の前を、見慣れない青い虫が飛んだ。

すぐに追いかけて、シャッターを押すが、
結構動きが早く、ピントが合わせにくい。


⇒普通の昆虫関係のブログでは、
 基本的に見ることが出来ないような、
 典型的なピンボケ写真を、
 ピントが合わせにくいとか、平気で言って、
 さりげなく使う ・・emoji・・

 

 

 

ルリチュウレンジ(ミフシハバチ科)

2012年9月25日 東海村・茨城

幼虫は、ハバチの仲間なので、
チョウや蛾の幼虫と同じ雰囲気で、
ツツジの葉っぱを食べる。

ツツジは、有毒植物とされており、
幼虫は、有毒成分を体内に摂り入れるので、
おそらく野鳥類に食べられることはないだろう。

当然のこととして、幼虫は典型的な警戒色である。

しかも、成虫にも、マダラチョウの仲間と同様に、
有毒成分が残っている可能性は十分ある【注1】

 

 

 

ルリチュウレンジ(ミフシハバチ科)

2012年9月25日 東海村・茨城

一枚だけ撮れた、フォーカスの決まった写真。

全身の青藍色の金属光沢は、実に見事だ。


しかし・・


手持ちの図鑑には、
体と足は光沢ある青藍色で、翅は暗色半透明、触角は黒色
となっており、
確かに展翅した標本写真では、そうなっている。

でも、今回のような生態写真で見ると、
体の全ての部分が、同じ青藍色のように見える。


逆に言うと、生態写真だけで同定しようとして、
おもむろに図鑑を開いて、絵合わせを試みても、
こんな全身が金属光沢のハチの標本写真は載っていない。

おそらく途中で、あきらめて投げ出してしまうだろう(私なら!)。


これが、光の反射によるトリック(?)なのかもしれない。

 

 

ん!!!


そんなことより、この雰囲気の写真は、
どこかで見たことがあるぞ!?

 

 


そうだemoji

 


全身がすべて青藍色のヒメツチハンミョウだ!!

 

 

ヒメツチハンミョウ(ツチハンミョウ科)

2010年9月26日 乗鞍高原・長野

この子の詳細、不思議な行動・生態については、
かなり前のこのブログでも紹介した。
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110504/1/

ヒメツチハンミョウは、強力な有毒成分を体内に持っている。

だから、警戒色(金属光沢)の虫ではあるが、
ベイツ型擬態のモデルになっているとは、
当時(3年前!)は、思っていなかった。


今回、ルリチュウレンジ(の写真)を改めて眺めていると、
ヒメツチハンミョウに擬態している可能性もある気がする。

ただ、個体数(少なくとも成虫の!)は、
モデルの方が、かなり少ないような気がするのだが・・・【注2】

 

【注1・2】
   ヒメツチハンミョウとルリチュウレンジは、
   ミュラー型擬態である可能性も十分考えられる。

   一般的に、ベイツ型擬態のモデルになるような種は、
   自分の危険性を、相手に知らせる警戒色をしているが、
   それをまだ知らない捕食者にとっては、よく目立つので、
   逆に、格好の獲物となってしまう。
 
   だから、最低でも一匹は捕獲されて、その危険性を、
   捕食者に十分、学習させなければならない。

   そのリスクを少なくするために、危険種同士が似た姿になると、
   最初の犠牲者を最小限にすることが出来るのだ。
   ↓  ↓  ↓
   http://kamemusi.no-mania.com/Date/20101114/1/


   

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