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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

金属光沢のトンボ チョウトンボ


熱帯の昆虫が、金属のような光沢を帯びているのは、
暑さ対策のためと言われている。

南国の直射日光はかなり厳しく、比較的小さな虫たちは
体温が上昇しすぎると、簡単に死んでしまう。

そこで、体に金属のような光沢を帯びることで、
太陽光を反射させ、体温上昇を抑えているのだ。


確かに、熱帯に限って言えば「有り得ること」だと思う。

 

 

しかし、温帯の日本国内では、どうなのだろうか?

 


そういえば、日本国内(青森県も含む!)でも、
夏の真っ盛りに活動する虫は、光るタイプが少なくない。

 

 

マイナーな金属光沢の虫たち、4回目は、
翅に金属光沢のあるチョウトンボ

体の部分が金属光沢のトンボは沢山いるが、
翅に金属光沢のあるトンボは、他にはいない?

 

 


チョウトンボ(トンボ科)

2012年6月20日 芝谷地湿原・秋田

ようやく北国でも、新緑の季節になったころ、
そんな新鮮な葉っぱの隙間から、
かなり非生物的な色彩のトンボが見えた。


この色は、明らかに人工的で、かなり違和感がある。


基本的に、チョウトンボの翅の色は、
この写真のような青紫色に見えることが多い。

しかし、光の当たる角度によって、
少なくとも人の目には、赤~金緑色に見えることもある。

 

 


チョウトンボ(トンボ科)

2012年6月20日 芝谷地湿原・秋田

彼らの体もまた、太陽光を反射するために、
金属光沢を帯びているのだろうか?

この写真の撮影時刻は、朝の9:23であり、
北国では、むしろ太陽の光を浴びて、
飛翔するために、体温を上げたいところだろう。

 

 

 

チョウトンボ(トンボ科)

2013年7月15日 七里長浜・青森

この写真でも、確かに金属光沢はあるが、
むしろ黒っぽさが強調されて、
太陽光を十分に吸収しているようにも見える。

こんな寒そうな(?)トンボを見ていると、
最初に紹介した説は、少なくとも、
北国のトンボには、当てはまりそうもない。

 

 


チョウトンボ(トンボ科)

2013年7月15日 ベンセ沼・青森

このように、下から見上げた写真を撮ると、
太陽光を反射することがないので、真っ黒だ。

チョウトンボは、もともと南方系のトンボのようだが、
この写真の雰囲気は、どちらかと言うと、
日光浴をしているように見える。

 

 


チョウトンボ(トンボ科)

2010年8月10日 東海村・茨城

この写真は、後翅の先端部が透明でないので、多分雄だ。
これまで、数匹が上空で群舞していたが、ようやく止まった。

雌を探して飛び回っていて、一休みというところだろう。

ただ、基本的に雌雄の翅の色に差はないので、
交尾行動(雌雄の出会い?)に関係しているとは思えない。

 

 


チョウトンボ(トンボ科)

2011年8月12日 ひたちなか市・茨城

これは、ようやく撮れた飛翔中の雄の写真。

後翅が幅広く、飛び方もチョウに似ている(?)が、
何故、トンボがチョウの真似をするのか、全く不明だ。


確かに、後翅は光を反射して、光っている。

虫を探している野鳥類が、前述の④のように、
多少とも躊躇するのだろうか?
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20140331/1/

     

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金属光沢の甲虫類③ ドロハマキチョッキリ

 
 マイナーな金属光沢の虫たち、3回目は、
虹色に輝くドロハマキチョッキリ・・・・

 

やや大型の金緑色のチョッキリだが、
よりによって、名前にドロが付くとは?


もちろん、ドロというのはドロノキのことだろうが・・・

 

 


ドロハマキチョッキリ(オトシブミ科)

2013年6月4日 子舟野沢林道・茨城

車で茨城県内陸部をキョロキョロしながら走行中、
それでも、危うく見逃してしまいそうな、
小さな林道の看板を、反対車線に発見。

いつものように、後続車をチラッと確認して、
急ブレーキをかけ、さりげなくUターン。

しかし、あまり状況は良くない。

あきらめて、引き返そうとしたとき、
小さな金属光沢のある虫をみつけた。

 

 

 

ドロハマキチョッキリ(オトシブミ科)

2013年6月4日 子舟野沢林道・茨城

最初は、アカガネサルハムシだと思って、
シャッターを切っていたのだが・・・


でも、このように真横から見れは、
明らかに口の部分が長くなっている。

どうやら、ゾウムシの仲間のようだ。






そして・・・
 

 

 

アカガネサルハムシ(ハムシ科)

2011年6月22日 白岩森林公園・青森

こちらが、噂のアカガネサルハムシ。

以前にも、沢山写真を紹介したことがある。
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110603/1/


明らかに、どちらかが、どちらかに擬態しているようだ。


ハムシの仲間は、体液が不味いことが多く、
よく目立つ警戒色をしていることが多い。

前回紹介した、無毒(と思われる?)のアオカミキリとは、
この点が違うのかもしれない。

 

 

ただ、オトシブミの仲間も、一般的に言って、
特に防御手段を持っているわけではない。

だから、この金属光沢は、ミューラー型擬態ではなく、
ベイツ型擬態の範疇になるだろう。

 


と、書いているうちに、ちょっとだけ不安になってきた。

改めて、パソコンのハムシのホルダーを調べてみた。

 

 

100枚以上のハムシの写真の中に・・・

 

やっぱり・・・・・

 

・・・・・あった。

 


ドロハマキチョッキリが、だんぶり池にも、いたのだ!!!!

 

 


ドロハマキチョッキリ(オトシブミ科)
 
2010年6月10日 だんぶり池・青森

全然違うじゃん!!


ちょとだけ言い訳をさせてもらうと・・・

・・・・やっぱり、止めよう。

 

何と、4年近くもの間、この子は、
間違って、ハムシのホルダーにいたのである。


恐るべし!!・・・・擬態の威力!!

と言うか、撮影者の眼力のなさ?!


⇒白状すると、このような単純な写真の間違いは、
 私には、昔から良くあることで、
 今年になって、 マスコミを賑わしてる例の件についても、
 少なくとも最初は、意図的に行われたとは、思わなかったのだ。
 
 

 

   

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金属光沢の甲虫類② 多分スキバジンガサハムシ


生物が、非生物のような金属光沢を持つ意味について、
様々な分野の人たちが、色々と考えてきた。

捕食者と被食者との関係に限ってみれば、

① 捕食者は、非生物のような金属光沢を、食べ物と認識しない。
② まわりの葉っぱや水面がキラキラ反射すると、保護色になる。
③ 逆に、そのキラキラがよく目立ち、警戒色となる。
④ 飛翔中にキラキラ光ると、小鳥をおびえさせる。

  
というように、説明されることが多い。
もちろん、その他の機能としては、

⑤ 太陽光を反射して体温上昇を防ぐ。
⑥ 交尾相手を発見しやすくする。

なども考えられる。

 


マイナーな金属光沢の虫たち、2回目は、
金色のスキバジンガサハムシ・・・・(多分?)

 

以前紹介したカメノコハムシに似ているが、
ジンガサハムシの方が、金属光沢は強く出る。
↓  ↓  ↓
虫たちの親子⑮ イチモンジカメノコハムシ
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130803/1/

⇒幼虫も良く似た行動が見られ、脱皮すると、
 そのまま抜け殻を背中に背負って、
 外敵から隠れている(つもり?)のだ。

 

 

 

ジンガサハムシ???

2013年7月15日 ベンセ沼・青森

食草であるヒルガオの葉っぱに、
金色に輝くジンガサハムシを発見。

でも、何か、触角の位置が変????

 

 


スキバジンガサハムシ(ハムシ科)

2013年7月15日 ベンセ沼・青森

近づいて良く見たら、下にもう一匹いた!!!

さりげなく、交尾中だったのだ。


この子たちは、多分スキバジンガサハムシだろう。

ジンガサハムシとの違いは、ま横から見たとき、
スキバの方が、背中(小楯板の後端付近)が、
隆起せず、なだらかであることで区別できるようだ。

 

 

 

スキバジンガサハムシ(ハムシ科)

2013年7月15日 ベンセ沼・青森

それにしても、見事な金色(ゴールド)だ。

まるで、透明なプラスチックの容器の中に、
虫がいるように見える。

この透明な部分は、一体何のためにあるのだろうか?


⇒今回の写真では、交尾中なので、わかりにくいが、
 葉っぱに、隙間なくピタッと張り付いていると、
 カマキリやクモのような捕食者が、
 掴もうとすると、ツルッと滑ってしまう感じで、
 うまく捕獲できない可能性は十分あると思うのだが・・・

 

 

 

スキバジンガサハムシ(ハムシ科)

2013年7月15日 ベンセ沼・青森

多くの場合、ハムシの仲間は、捕食者(人も含めて?)が、
近づいてくるのを察知すると、ポロッと下に落ちてしまうが、
ジンガサハムシの仲間には、そんな行動は見られないようだ。

私のあまり多くない経験上からも、こんな習性は、
何かしらの「防御手段」を持つ虫たちに多く見られる。


⇒有毒植物とされるヒルガオが食草なので、
 上記③のように、よく目立つ金色は、
 警戒色と考えるのが自然である。

 


別の機能として、もし仮に、
何かに擬態しているとしたら、
やっぱり、鳥の糞なのだろうか?


⇒このブログで、何度も紹介しているように、
 鳥の糞は、緑の葉っぱの上で、良く目立つが、
 捕食者は、「即座に食べ物ではない」と判断して、
 擬態者を食べようとしない(上記①)。

 

 

・・・このように、

スキバジンガサハムシは、幼虫時代も含めて、
実に様々な防御手段を持っている。

当然、これらの防御手段を、
「捕食者の種類によって、使い分けている」
とも言えるのだ。

   

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金属光沢の甲虫類① アオカミキリ


太陽ギラギラの熱帯だけではなく、
日本国内にも、さらに北国にも、
さりげなく鮮やかな金属光沢を持つ虫たちがいる。

有名なのは、タマムシ、キンカメ、ゼフィルスなどだが、
よりマイナーな金属光沢の虫たちもいる。


今回から数回に分けて、あまり有名でない、
身近な金属光沢の虫たちを紹介したい。

 


最初は、アオカミキリ・・・・


 

最近、捕虫網をあまり持たなくなったので、
カミキリに出会う機会が減ってきたのだろうか?

ミズキやカエデの花に集まるカミキリを、
ネットで捕獲することがなくなった。


高い木の花に集まるカミキリは、当然、
なかなか写真には撮ることができないのだが・・・

 

 


アオカミキリ(カミキリムシ科)

2013年8月15日 白岩森林公園・青森

結構低い位置にあるリョウブの花に、
珍しくキラッと光るカミキリを見つけた。

体全体が、鮮やかな緑~青緑に輝いて、
タマムシのようなイメージもあるカミキリだ。


 

 

アオカミキリ(カミキリムシ科)

2013年8月15日 白岩森林公園・青森

おそらく、日本のカミキリムシの中では、
大型で金属光沢のある種類は少ないはずで、
こんな間近で見ると、なかなかの迫力である。

 

 


アオカミキリ(カミキリムシ科)

2013年8月15日 白岩森林公園・青森

しかも、こんな恐ろしい顔をしながら、
さりげなく、花の蜜を舐めている?

この違和感が、何ともいえず不気味だ。

 

 


アオカミキリ(カミキリムシ科)

2013年8月15日 白岩森林公園・青森

これ、もしかしたら、花を食べている?

虫たちの中には、タマムシやゼフィルスのように、
金属光沢を持った種類が少なくない。

このような金属光沢は、よく目立つので、
警戒色としての役割がありそうだが・・・

 

 


アオカミキリ(カミキリムシ科)

2013年8月15日 白岩森林公園・青森

しかし、防御手段に裏打ちされない警戒色は、悲惨である。

以前紹介したように、こんなことになってしまう。
↓  ↓  ↓
不思議な金属光沢
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20101130/1/

この目立つ色は、捕食者が学習すると、
格好のサーチングイメージとなってしまうのだ。


アオカミキリも含めて、カミキリの仲間が、
有毒成分を持っているとは考えにくいので、
少なくとも、この色は、警戒色ではなさそうである。

 

(次回以降で、こんな金属光沢の役割を考えてみたい)

     

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その背景選択は偶然なの? ムラサキトビケラ

ムラサキトビケラという、不思議な虫がいる。

昔、八ヶ岳の山小屋で、初めて見たときには、
「この子は、一体何組なの?」と、
思わず同行した先輩に、訊いたのを思い出す。


前翅は、茶褐色と黒色のまだら模様だが、
後翅には、名前の由来となった黒い紫色で、
鮮やかな黄色の帯がある。

カトカラの後翅のようなイメージだと思う。

残念ながら、今回写真には撮れなかったが・・・

 


・・という長い前置きで・・・・・

 


人工的な切り株(椅子?)

2013年9月9日 矢立峠・秋田

道の駅矢立峠のトイレの前に、
多分コンクリート製の木の切り株がある。

本物の切り株のように、
茶色と黒で、色付けされている。

 

 


座ろうとして、近づいたとき・・・

真ん中に、その模様に溶け込むような虫がいた。

 

 


ムラサキトビケラ(トビケラ科)

2013年9月9日 矢立峠・秋田

まさに、溶け込むという表現がピッタリだ。

赤っぽい色と黒色のまだら模様は、
一般的には警戒色の範疇であり、
普通の緑色の葉っぱにいると、良く目立つはずだ。

しかし、今回この子が選んだ背景にいると、
保護色や隠蔽的擬態のような雰囲気もある。

 

 

 

ムラサキトビケラ(トビケラ科)

2013年9月9日 矢立峠・秋田

トリミングして、翅と背景の模様を比較してみると、
少なくとも、2種類の色合いは、ほぼ同じだ。

それにしても、「よくぞ選んだ背景」だ!!!

 

 


ムラサキトビケラ(トビケラ科)

2013年9月9日 矢立峠・秋田

どうせなら・・・と、さらにトリミング!!


初めてこの写真を見た人が、
左側の部分が虫の翅で、
右側が背景だと分かるだろうか?

 

 


ムラサキトビケラ(トビケラ科)

2013年9月9日 矢立峠・秋田

ムラサキトビケラの幼虫は、水の中に棲み、
水底の落葉などを集めて、円筒状の巣を作る。

まるで水中のミノムシのようだが、
これが、まさかの肉食性!!!!

 

 


ムラサキトビケラ(トビケラ科)

2013年9月9日 矢立峠・秋田

街灯のまわりを飛んでいるときに、
ムラサキトビケラは、蛾に良く似ている。

トビケラの祖先は、蛾と同じ仲間から分岐したはずだが、
チョウや蛾と違ってトビケラの翅には、
鱗粉ではなく、細かい毛が付いている。

この毛があるため、クモの巣には、
引っかからないとも言われているのだ。

 


・・・・色々と、不思議な虫のようだ。

 

     

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