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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

君はアリか? アリグモ幼体


3月の典型的な三寒四温の「温」の日、
いつもの公園をさりげなく歩いていると・・・

 


・・・・季節外れのアリ(?)

 

 

何だ!?

2014年3月19日 ひたちなか市・茨城

柔らかな日差しが当たる隙間だらけのケヤキの幹、
悠然と歩いているムネアカオオアリ発見。

暖かそうだが、さすがに3月では、ちょっと早すぎる?

 

 


やっぱり!!!

2014年3月19日 ひたちなか市・茨城

近づいて良く見ると、やっぱりこの子はクモ???

遠目で見ると、歩き方や止まったときの仕草は、
間違いなくアリなのだが・・・

 

 


アリグモ幼体(ハエトリグモ科)

2014年3月19日 ひたちなか市・茨城

このアングルで見ると、やっぱりクモか?

どうやら、赤っぽい色の個体は、
多分アリグモの幼体(幼虫)のようだ。


以前紹介したように、アリグモの成体(成虫)は、
基本的に真っ黒なので、クロヤマアリそっくりである。
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130702/1/


しかし、ちょっとだけ不思議なことに、
アリグモの幼体は、このように赤っぽく、
ムネアカオオアリそっくりなのである。

 

 


アリグモ幼体(ハエトリグモ科)

2014年3月19日 ひたちなか市・茨城

アリグモの仲間は、見た目だけでなく、
移動するときに、最前部の脚を触覚のように上げて、
残りの6本の脚で、アリのように歩く。

 

 


アリグモ幼体(ハエトリグモ科)

2014年3月19日 ひたちなか市・茨城

一部のネット情報では、
「アリグモが、アリに擬態することで、
 何か得することがあるのか?」 
という意見が、しばしばあるようだ。

記憶力のある捕食者の代表である野鳥類が、
小さなアリを食べようとして、嫌な経験をしているのか?

また、警戒色でもないアリを記憶して、
次回の出会いから、避けるようになるのか?

さらに、アリに擬態している虫も、避けるのか?

このあたりが、疑問点なのだろう。

 

 

 

アリグモ幼体(ハエトリグモ科)

2014年3月19日 ひたちなか市・茨城

しかし、アリに擬態している虫は、意外と多いのだ。

アリは、地上で最強の捕食者とも言われ、
かなり攻撃的で、お尻近くの毒腺から蟻酸を放出したり、
集団で大きな生き物を襲ったりするからだ。


もしかしたら、(多分そうだと思うのだが
アリに擬態する虫たちのターゲットは、
視覚的に獲物を探す野鳥類ではなく、
身近にいる動く虫を獲物とするような、
小さな捕食者なのかもしれないのだ。

虫たちにとってのアリは、もちろん脅威であり、
そのアリに「見た目や行動」を似せれば、
小さな捕食者から狙われにくい可能性が十分あるだろう。

 


そして・・・・

 

夏が来れば思い出すミズバショウの花を発見。

まだ、3月なのに・・・

 


ミズバショウ(サトイモ科)

2014年3月19日 ひたちなか市・茨城

何か、今年は(も?)、異常気象の予感!!!



 

      

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色々と不思議な虫??? キタベニボタル


多くのベニボタルの仲間は、その名のとおり、
前翅が赤い種類が多く、体内に不味成分を持っている。

だから、鳥などの捕食者に食われることはなく、
必然的に目立つ体色(警戒色)であることが多い。


日本のベニボタル科には、100種以上の種が知られている。
近年は新種も、発見されつつあるようで、
私には、そんな種類を、全く同定することができない。

ただ、キタベニボタルは、前翅の付け根部分(肩?)が、
特徴的に赤くなるので、まあ識別しやすいだろう。

良く似た種類もいるようだが・・・・

 

 

キタベニボタル(ベニボタル科)

2013年7月14日 蔦温泉・青森

いつものように、蔦沼へ向かう遊歩道。
イシハラハサミツノカメムシを探しながら歩く。

よく目立つササの葉っぱの上で、
怪しい動きをする、見慣れない虫を発見した。

 

 

 

キタベニボタル(ベニボタル科)

2013年7月14日 蔦温泉・青森

どうやら、交尾中のカップルのようだ。

キタベニボタルの仲間は、
名前のとおりホタルに似ている。

系統的にも、ホタルに近いようだが、
もちろん、発光することはないようだ。

 

 

 

キタベニボタル(ベニボタル科)

2013年7月14日 蔦温泉・青森

すぐ近くで、別のカップルがいた。

しかし、こちらは修羅場である。

多分一番下になっている1匹の雌に対して、
3匹の雄が交尾しようとしている??


⇒虫たちの世界では、こんな光景は、
 あまり珍しくないのかもしれないが・・・

 

 

 

キタベニボタル(ベニボタル科)

2013年7月14日 蔦温泉・青森

交尾中のカップルに、別の雄がしつこく離れずに、
こんな状態になってしまうのは、
雌が性フェロモンを放出している場合が多い。


⇒交尾が成立すると、もちろんフェロモン放出は、
 すぐに、ストップするのだが、
 多少とも周辺に、匂いが残っているのかもしれない。

 

しかし、この雄の前翅の色は、さりげなく見事だ!

黒から赤への微妙なグラデーションは、
他の昆虫類では、あまり見かけない(と思う)。

 

 

 

キタベニボタル(ベニボタル科)

2013年7月14日 蔦温泉・青森

この体色は、はたして警戒色として良いのだろうか?

野鳥類が、赤と黒のこんな配色パターンを、
嫌な経験(不味成分)と結び付けて記憶すれば、
以後、キタベニボタルを食べようとしないはずだ。


⇒しかし、そんなに簡単に見つかる種類でもないので、
 ある野鳥類が、短期間に2回以上も、
 キタベニボタルに遭遇することは、多くないだろう。

 この個体数(捕食者と遭遇頻度?)は、
 擬態を考える上での「キーワード」のひとつだ。


 

     
 

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ちょっとだけ不思議な虫 トビナナフシ


木の枝にそっくりのナナフシを紹介する。

ナナフシの仲間は、コノハムシと同様に、
昔から教科書にも載っているほど有名で、
隠蔽的擬態の代名詞にもなっている。

ただ、今回のトビナナフシは、
確かに木の枝に似せているが、体型が、
ずんぐりむっくり(死語?)なのだ。

しかも、頭部が丸くて大きい・・・

 

 

ヤスマツトビナナフシ(ナナフシ科)

2011年10月17日 東海村・茨城

いつものように、公園の遊歩道を、
キョロキョロしながら、歩いていると、
椿の葉っぱの上に、チラッと動くものが見えた。

 

とりあえず、遠目からパチリ・・・


赤丸の中に、トビナナフシがいる!!!

 

 

ヤスマツトビナナフシ(ナナフシ科)

2011年10月17日 東海村・茨城

この時期なので、おそらく成虫だと思うが、
翅は、申し訳程度にしかなくて、
普通に飛ぶことはできないだろう。


良く見ると、右側の脚が1本しかない??

2本の前脚は、体の前方に伸ばして、
触角と重なっているようだが、
やっぱり・・・・右後脚がないようだ。

 

 


 ニホントビナナフシ(ナナフシ科)

2010年9月24日 東海村・茨城

この子も、前脚を体の前で揃えている。

翅が見えにくく、まだ幼虫のようである。

写真では、左中脚が見えないが?!

 

このように、ナナフシの仲間は、
防御手段の一つとして、敵に襲われた際に、
脚を自ら切り離す「自切」を行う種が多い。

失われた脚は、自切が若齡幼虫期ならば、
脱皮とともに再生していくようだ。

 

 


 シラキトビナナフシ(ナナフシ科)

2013年8月10日 里見野外教育センター・茨城

この子は、左前脚がないし、触角も痛々しい。

一体どれだけの外敵がいるのだ!?

 

 

 

ニホントビナナフシ(ナナフシ科)

2011年10月22日 東海村・茨城

今回のシリーズで、ようやく正常な個体・・・・

トビナナフシの九州以北の個体は、
単為生殖すると言われている。

だから、今回の写真は、すべて雌である。


もともとナナフシの仲間は南方系の昆虫であり、
屋久島以南では、雄も出現するようだ。



何故、こんな習性が進化してきたのか?

新しい環境へ進出していくためには、
雌雄の出会い、交尾という行動は、
できれば、ない方が有利だったのだろう。

 

やっぱり、ちょっとだけ不思議な虫だ・・・・

 

     

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ちょっとだけ不思議な蛾 マイマイガ


(個人的事情で、更新が遅れました・・・・)


今回は、かなり不思議な蛾、マイマイガを紹介したい。


植林地以外の森には、多くの種類の虫たちがいるが、
ある特定の種が、高い密度で発生することは少ない。

森林は、生態系が十分複雑なので、
生息する虫たちの個体数には、
自然制御機構が働きやすい場であるからだろう。


ところが、植林地(?)の害虫とされるマイマイガは、
約10年周期で、局所的だが大発生するのだ。

 

 


マイマイガ雄(ドクガ科)

2013年9月7日 志賀坊森林公園・青森

30年以上も前になるが、会社で、
マイマイガのフェロモンを入手できたので、
雑木林で、誘引試験をしたことがある。

そのとき、トラップ周辺にフワフワと飛んできたのは、
当然のことであるが、こんな色の雄の蛾だけだった。

だから、マイマイガは茶色っぽい蛾だと思っていた。

 

 

 

マイマイガ雌(ドクガ科)

2013年8月31日 矢立峠・秋田

ずいぶん後になって、マイマイガの雌成虫は、
雄とは全く違って、ほぼ真っ白であることを知った。

蛾の仲間で、雄と雌の体色がこんなに異なるのは、
私の少ないい経験から、比較的珍しいことだと思う。


通常の場合、蛾の雌成虫は、
強力な性フェロモンで雄を誘引するので、
あまり飛翔能力が高くないし、
交尾・産卵後は、すぐに死んでしまうとされている。

ただ、マイマイガの場合は、ちょっと違うような気がする。


マイマイガの雌成虫には、驚くべき産卵習性があるのだ。
 

 

 


マイマイガ産卵中(ドクガ科)

2013年8月3日 道の駅喜多の里・福島

道の駅の街灯の下にある木製の看板に、
産卵中のマイマイガを見つけた。

おそらく、夜間、光に誘引されて来たのだろうが、
何と、その場で産卵しているのだ。


産み付けられた卵塊の表面には、
フワフワの毛のようなものが付けられていた。

卵塊は、このままの状態で暑い夏を過ごし、
さらに、寒い冬も越して、翌年の春にふ化するのだ。

⇒卵は、秋までに幼虫となり卵塊の中で越冬し、
 翌年春に卵塊を破って脱出するようだ。

このようなフワフワの毛によって、
おそらく、暑さと寒さから保護されるのだろう。


いや、それ以上に、この付着された「りん毛」は、
重要な役割を果たしていると思う。

もしかしたら、卵寄生蜂の産卵を、物理的に防ぐ・・・?

 

 

 

マイマイガ(ドクガ科)

2013年8月3日 道の駅喜多の里・福島

これは、明らかに、マイマイガの集団産卵!!!

街灯に誘引された雌成虫が、不思議なことに、
飛んできたその場所、壁や電柱などに、
さりげなく、産卵してしまうのだ。


しかし、ふ化幼虫は、とりあえず、
この生みつけられた場所から、餌のある森林まで、
分散していかなければならない。


一体、どうやって!!????

 

 

 

マイマイガ(ドクガ科)

2013年8月3日 道の駅喜多の里・福島

こんなところにも、集団産卵?

幼虫は、孵化直後から糸が吐くことができ、
生まれた場所からその糸でぶらさがって、
風に乗って移動することができるのだ。

・・・ちょっと不思議!!

 

 

 

マイマイガ(ドクガ科)

2013年8月3日 道の駅喜多の里・福島

道の駅にある木の葉にも、沢山の雌成虫がいたが、
落葉の危険性もある葉っぱには、産卵しないようだ。

ふ化幼虫が微妙な移動手段を持っているので、
幼虫の食べものに直接産卵する必要は全くないのだろう。

 

そして、ここが一番不思議なところなのだが・・・

 

この道の駅の光に誘引されてくるのは、
どうも、雌成虫だけのようなのだ。

上の写真の日付でも、お分かりのように、
私はこの道の駅に夕方から、翌日の朝まで滞在したが、
真夜中も含めて、雄成虫の姿を一度も見ていないのだ。

おそらく、交尾は別の場所で、行われているはずだ。

そして、雌成虫だけが、光に誘引され、
しかも集団で、その場に卵を産むのだ。


この不思議な産卵習性が、もしかしたら、
大発生する要因になっているのかもしれない。

     

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緊急報告 コクチョウの抱卵


千波湖は、偕楽園の南に広がる小さな湖で、
ジョギングや散歩をしてる人が目立つ。

 

梅の花と市街地の湖

2014年3月3日 千波湖・茨城

梅の名所、偕楽園を訪れる観光客も、
この湖にも立ち寄ることが多いようで、
人が常時いるような、典型的な都会地の公園である。

 

 


コクチョウ(カモ科)

2014年3月3日 千波湖・茨城

そんな湖には、水鳥が沢山いる。

そして、少なくとも千波湖にいるコクチョウは、
人を恐れないことで、有名のようである。

 

 


コクチョウ(カモ科)

2014年3月3日 千波湖・茨城

だから、遊歩道をノコノコ歩いているし、
人が来るところにも、平気で近づいてくる。

 

 


極め付けは、これ!!!!

↓  ↓  ↓  ↓

 

 

コクチョウ(カモ科)

2014年3月3日 千波湖・茨城

お腹の下に、何と!

・・・卵のようなものが見える。

こんな人通りの多い遊歩道のすぐそばに!!!

少しは、ヒバリを見習ったらと思うほど・・・【注1】

 

 


コクチョウ(カモ科)

2014年3月3日 千波湖・茨城

ズームで!!

やっぱり、卵だ。


普通は、浅瀬や島に、草を積み上げて巣を作るようだ。

雌雄ともに抱卵するので、幸か不幸か、
この子たちには、世間の常識が通用しない。


何なんだ!!

この無警戒さ(無神経さ?)は!!!

他の野鳥類では、考えられないだろう。

 

 


コクチョウ(カモ科)

2014年3月3日 千波湖・茨城

卵の場所を、少し変えているようだ。

通常、4~6個を産卵するようだが、
この巣には3個しかない。


・・・と言うことは、
多少の犠牲者が出ているのだろうか?

 

 

 


コクチョウ(カモ科)

2014年3月3日 千波湖・茨城

確かに、以前紹介したコクチョウ夫婦のヒナの数は、
もっと多かったような気がする。⇒【注2】


人為的にある程度管理された環境で、
怖い経験を一度もしていないと、
こんなにも、生物は、無警戒になるのか?


人間を恐れないのは、まあ分かるにしても、
ここには、卵を狙うヘビやイタチもいないし、
恐ろしい野犬や野良猫もいないようだ。

逆に、このような環境では、
個体数が増え続けてしまう可能性も、
多少あるような気がするのだが・・・

 

 

【注1】ヒバリの帰巣方法は、こちら
    ↓  ↓  ↓
   http://kamemusi.no-mania.com/Date/20140211/1/

【注2】貴重なコクチョウのヒナの写真は、こちら
    ↓  ↓  ↓
   http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120123/1/

      

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