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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

虫を食べる野鳥類② ハクセキレイ

残念ながら、前回のシジュウカラは、
実際に虫を食べている証拠写真を撮ることができなかった。

 

今回の野鳥は、ハクセキレイ・・・・


シジュウカラよりも、もっともっと身近にいるこの鳥は、
辛抱強く待っていれば、虫を捕獲した瞬間に、
シャッターを切ることができる。

 

 

ハクセキレイ(セキレイ科)

2011年10月29日 ひたちなか市・茨城

畑や市街地の空き地、道路などで、
最も良く見かける野鳥である。

ひたちなか市内にあるこの公園は、
チョウやバッタなどの虫が多く、
虫とり網を持った子供たちをよく見かける。

そんな子供たちが、別の場所に行ってしまうと、
すぐに(?)飛んでくるのが、ハクセキレイである。


多分、昔はどこにでもいたスズメのような感じだろうか。

 

 

 

ハクセキレイ(セキレイ科)

2011年10月29日 ひたちなか市・茨城

ネット情報では、水辺や畑などに降りて歩きながら、
水中や岩陰、土中などに潜む昆虫類やクモ、ミミズなどを、
捕えて食べるようだ。

上の写真のような開けた草地は、虫たちの宝庫であり、
その付近をちょっと歩いてみると、
色々な虫たちが、あわてて逃げ出すのが分かる。

 

 

そして・・・

 

 


以下の4枚の写真は、超辛抱強くない私が、
偶然に撮ったハクセキレイの食事風景である。
(⇒写真をクリックして、拡大してご覧ください)

 

 

ハクセキレイ(セキレイ科)

2010年5月30日 岩木山・青森

岩木山山麓の大きな公園で、虫を捕獲した瞬間が撮れた。

口の中に入りきれないほどの大きな虫である。

 

 


ハクセイレイ(セキレイ科)

2011年8月8日 裏磐梯・福島

早朝に、虫を捕食中のハクセキレイを発見。

獲物が大きすぎるのか、抵抗が激しかったのか、
結構苦労しているようだった。

とりあえず、ガンガン連射したが、結局一枚だけOK。

犠牲者は、おそらく蛾の仲間だろう。

 

 

 

ハクセキレイ(セキレイ科)

2012年6月7日 弘前市・青森

比較的時間がある早朝、自宅近くの空き地で、
ハクセキレイが、虫を捕獲する様子を観察することができた。

獲物は、多少ハラボテの虫だ。

バッタかコオロギ、もしかしたら蛾かもしれない。

 

 

 

ハクセキレイ(セキレイ科)

2012年6月7日 弘前市・青森

同じ場所にいた別個体も、虫を捕まえた。

こっちも、獲物の色や雰囲気が同じだ。

 


写真で捕獲されている虫は、
いずれも警戒色ではなさそうで、
鳥にとって、味は良いのかもしれない。

こんな鳥たちの捕食風景を見ていると、
あまりにも、餌となってしまう虫たちは、
鳥の攻撃に対して、無防備のような気がする。

     

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虫を食べる野鳥類① シジュウカラ


このブログでは、機会あるごとに、
「虫たちの行う外敵に対する防御手段」について、
できるだけ、写真入りで紹介してきた。

様々な工夫を凝らして身を守る虫たちに対して、
一方の捕食者側も、その防御手段に対抗しようとする。


餌を捕獲しないと生きていけない捕食者側から、
虫たちを見ることで、また別の面白い発見があるはずだ。

 

今回から、虫たちの最恐(!)の天敵である野鳥類について、
さりげなくシリーズで紹介して行きたいと思う。

 


とは言っても、写真を撮れたものだけ順不動で・・・

 

 

虫を食べる野鳥類の代表として、
第1回目にふさわしいのは、
やはりシジュウカラだろう。

日本全国に広く生息している留鳥で、季節を問わず、
市街地の公園や、山地の林縁部、草原や湿原などで、
虫の写真を撮っているときにも、比較的良く目にする野鳥である。

 

 


シジュウカラ(シジュウカラ科)

2010年3月23日 深谷市・埼玉

ようやく芽吹き始めた枝(黄色○印)に、
活発に動き回っているシジュウカラを発見した。

おそらく、餌(虫)を探しているのだろう。

 

 


シジュウカラ(シジュウカラ科)

2010年3月23日 深谷市・埼玉

シジュウカラは、頭と喉の部分は黒く、
頬に大きな半月状の白色部分があるので、
素人の私でも、比較的分かりやすい鳥である。

 

 


シジュウカラ(シジュウカラ科)

2010年3月23日 深谷市・埼玉

このように、シジュウカラは、
越冬明け後に、のろのろと這い出してきた虫たちを、
待ち受けているように捕食する。

冬場の餌が少ない時期には、樹皮の間で越冬している虫を、
くちばしで突いて探し出し、食べることもあるようだ。

こんなときには、虫たちの保護色は、あまり有効でないだろう。

 

 

そして、この枝の下は、こんな感じで、
スミレが咲いている典型的な早春の草地である。


2010年3月23日 深谷市・埼玉

シジュウカラの写真を撮った後、さりげなく私も、
目の届きそうな枝や、真下の草地を探してみると、
ハエやハナアブ、微小甲虫類が、簡単に見つかった。

おそらく、そんな虫たちが、餌になっているのだろう。

 

 

というわけで・・・(虫のブログです)

 

 

野鳥類の体のサイズや行動能力を考えると、
彼らの単位時間当たりの捕食量は、
カマキリやクモなどの節足動物の捕食者よりも、
おそらく、ケタ違いに多いはずだ。


例えば、大阪府が万博公園で行った調査がある。

育雛期(平均8羽のヒナがいる!)のシジュウカラ夫婦は、
たった1日で、約500匹の虫を巣に運んだことが確認されている。

1羽のヒナ鳥は、一日で、約50匹の虫を食べていることになるのだ。


この数は、一日数匹の餌でこと足りるカマキリやクモと比べると、
頭がクラクラするほどの数字である!!!!

もちろん、ヒナ鳥の日齢でも、食べる量は異なるだろうが、
単純計算すると、わずか20日程度(多分?)で巣立ちするまでに、
合計約10,000匹もの虫たちが、犠牲(幼鳥の餌)となっているのだ。

万博公園に、10組のシジュウカラ夫婦がいたとすると、
なんと10万匹の虫たちが、いなくなっていることになるのだ。



やっぱり、虫たちにとって「何らかの防御手段」は、
必要不可欠なことなのかもしれない。

虫たちの防御戦略シリーズ(①~⑪)にまとめてありますので、
11回連続ですが、時間のある時にでも、ぜひご覧ください。
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130201/1/

 

 

    

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強そうな名前? ヘビトンボ


ヘビトンボという「ややこしい名前の虫」がいる。

ヘビでもないし、トンボでもない。
むしろウスバカゲロウなどに近い仲間である。


そして、名前のとおり、見た目の恐ろしさは半端ではない。

 

 

ヘビトンボ(ヘビトンボ科)

2013年7月22日 矢立峠・秋田

もちろん、右側に写ってる大きな虫だ!!

背中に、SF小説に出てくる「宇宙人のような顔」がある。

確かに、頭部が蛇のように長く突き出ているが、
全体を見れば、とても蛇には見えない。


左側に、写っているヒグラシと比べれば、
その大きさが良くわかる。

 

 

 

ヘビトンボ(ヘビトンボ科)

2013年7月22日 矢立峠・秋田

如何にも頑丈そうな容姿にもかかわらず、
翅の下に隠された腹部は、軟弱で弱々しく、
飛び方も、何となくぎこちない。
・・というか、下手くそだ。

ちなみに、上の2枚の写真は、
道の駅の灯りで撮ったものであり、
普段はありえない「ヒグラシとのツーショット」は、
やらせではなく、全くの偶然の産物である。

 

 

 


ヘビトンボ(ヘビトンボ科)

2011年8月7日 乳頭温泉・秋田

大きく開いた口は、蛇のイメージではないが、
如何にも獰猛そうな「鋭い大あご」だ。

しかし、この格好で、広葉樹の樹液を舐めているようだ。
そのせいか、成虫の寿命は短く、1~2週間程度しか生きない。
だから、成虫を見る機会はあまり多くないと思われる。


 幼虫は、きれいな水の中(清流という言葉がぴったりな!)に生息し、
他の水生昆虫を捕獲して食べる獰猛な肉食性である。

見た目から、カワムカデとも呼ばれることもあり、
よく釣りの餌にも使われるらしい。

また、古くから漢方薬の「孫太郎虫」としても知られている。

 


それにしても、ヘビトンボとは、立派な名前である。

 

   

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かなりの珍品? ヒウラカメムシ


今日は、久しぶりに、カメムシの話である。

しかも、超(!)希少種であるという噂の、
ヒウラカメムシ【Holcostethus breviceps Horvath】だ。


実際にヒウラカメムシの生きている姿を見た幸運な人は、
そんなに多くないはずである(多分?)。

 


ヒウラカメムシ(カメムシ科)

2013年7月15日 七里長浜・青森

実際には、何の変哲もない普通の薄茶色のカメムシだ。

1993年発行のカメムシ図鑑(Ⅰ)によると、
本種は、図鑑発行時点では、青森県と茨城県からしか、発見されていない。
(⇒極東ロシア、中国にもいるらしいが・・・)

全くの偶然であるが、青森と茨城は、
私の主要な活動地域と一致する!?

 

 

 

ヒウラカメムシ(カメムシ科)

2013年7月15日 七里長浜・青森

・・・しかし、その図鑑には、稲の穂を吸汁して、
斑点米を産出すると、さりげなく書かれている。

⇒確かにイネ科植物から見つかってはいるが、
 いわゆる珍品害虫なのか(注)
 

 

 


ヒウラカメムシ(カメムシ科)

2013年7月15日 七里長浜・青森

青森県内の生息地は、津軽半島の日本海側である。

結構、湿地や沼が多いところであるが、
ヒウラカメムシは、そんなところに生息するようだ。

本来は、撮影場所を詳細に特定すべきなのだが・・・・

 

 

 


ヒウラカメムシ(カメムシ科)

2013年7月15日 七里長浜・青森

そして、昨年発行されたカメムシ図鑑第3巻には、
ヒウラカメムシの国内分布は、「本州」に変更されていた。

おそらく青森・茨城以外でも見つかったのだろう。

 

 

 

ヒウラカメムシ幼虫(カメムシ科)

2013年7月15日 七里長浜・青森

あまり良い写真ではないが、幼虫も見つかった。

今回、紹介した一連の写真が撮れたのは、
黒石市在住の nabita 氏に、同行させてもらったからだ。

生息場所であるイネ科植物が繁茂する湿地には、
一人のときには、決して行かない場所だ。

しかも、目視で見つけるのは、かなり難しい。

写真の背景の雰囲気でバレバレであるが、
今回の写真は、スウィーピングで捕獲したものである。


ちなみに、ヒウラカメムシのヒウラとは、
カメムシ研究で有名な日浦勇氏に由来する。

 

(注)この情報源はどこだろうと、軽く調べてみたが、
   日本応用動物昆虫学会が2006年に編集・発行した
   「農林有害動物・昆虫名鑑(増補改訂版)」
   には、ヒウラカメムシの名前はなかった。

   日本以外の極東ロシア・中国での観察記録かもしれない。
    

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もう一度! ベッコウハゴロモ幼虫


以前、このブログで、タンポポの種子のような、
ベッコウハゴロモの幼虫を紹介した。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110814/1/

ただ、このとき(前回:2011年08月14日)の写真は、
被写体に、迫力が全く感じられなかった。

というか、たった1匹の葉っぱの上にいる幼虫を、
色々な角度から撮りまくったものだった。

 

 

今回は、一味違う・・・・?

 

 

ベッコウハゴロモ幼虫集団(ハゴロモ科)

2013年7月15日 中泊町・青森

初めて見る人は、これが虫だとは思わないだろう。


フワフワと風に乗って飛んでいきそうな雰囲気である。

普通に見れば、やっぱり植物の種子だ。

 

 


ベッコウハゴロモ幼虫集団(ハゴロモ科)

2013年7月22日 白岩森林公園・青森

しかも、集団でいると、遠くからでも良く目立つのだ。

この白い綿毛のようなものは、もちろん、
幼虫が分泌したワックス成分である。

同じ仲間のカイガラムシの白い虫体被覆物と、
基本的には同じ成分だろう。

 


ただ、同じ仲間のアオバハゴロモ幼虫も、
ワックスを分泌するが、その形態は全く異なる。

 


アオバハゴロモ(アオバハゴロモ科)

2013年8月5日 東海村・茨城

このように、アオバハゴロモ幼虫は、
自分の体全部を、白いワックスを覆うのだ。

どちらかというと、カイガラムシに近い。


しかも、自分のいる枝や葉っぱにまで、
ワックスを付着させるのだ。

 

 

もう少し、ベッコウハゴロモ幼虫を見てみよう。

 

 

ベッコウハゴロモ幼虫(ハゴロモ科)

2013年7月30日 だんぶり池・青森

大きく開いた傘は、かなり迫力がある。

しかもこの傘は、ある程度向きを変えたり、
開き加減を調整することができるようだ。

 

 


ベッコウハゴロモ幼虫(ハゴロモ科)

2013年7月30日 だんぶり池・青森

早朝に撮った写真なので、よく見ると、
上の個体には、朝露が付いているのが分かる。

 

 


ベッコウハゴロモ幼虫(ハゴロモ科)

2013年7月30日 だんぶり池・青森

幼虫本体を、この角度から見ると、
何か「大きな口を開けた鯉のぼり」のように見える。

もちろん、大きな口は、本物の口ではない!!

 


それにしても・・・


一体どうして、ベッコウハゴロモの幼虫は、
こんな傘のようなものを、進化させてきたのだろうか?

これだけのことをする以上、彼らの生存のために、
あるいは、子孫を十分に残していくために、
大きなメリットがあるに違いない。


それが、外敵に対する防御戦略だけとは限らないようだ(多分?)。

      


 

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