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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

枯れ葉? ミラクル擬態??

自分の体の色や形を枯れ葉のように変化させて、
外敵の目を欺き、捕食を免れている虫たちがいる。

一方で、前回紹介したミノムシやクサカゲロウ幼虫のように、
本物の枯葉を身に着けて、身を守っている虫たちがいる。


そういう事実を知ってしまった私は、今度は逆に、
本物の葉っぱを見つけても、虫に見えてしまうことがある。

気まぐれに撮った虫のような「本物の枯れ葉」の写真は、
パソコンの枯れ葉ホルダーに保存している。

今回、そんな写真を、まとめて紹介したい。

ただ、それだけでは、面白くもなんともないので、
さりげなく、本物の蛾の写真を混ぜてみた。

 

以下の11枚の写真の中に、「本物の蛾」が混ざっています。
どの写真か、分かりますか?
(写真はクリックすると大きくなります)

 

①枯れ葉?

2013年9月10日 梵珠山・青森


 

②枯れ葉?

2011年7月12日 帯広・北海道


 

③枯れ葉?

2011年8月26日 白岩森林公園・青森


 

④枯れ葉?

2011年9月15日 白岩森林公園・青森

 


⑤枯れ葉??

2012年7月21日 白岩森林公園・青森


 

⑥枯れ葉?

2013年8月31日 白岩森林公園・青森


 

⑦枯れ葉??

2013年5月29日 芝谷地湿原・秋田




 
⑧枯れ葉?

2013年9月11日 白岩森林公園・青森


 

⑨枯れ葉??

2013年8月1日 矢立峠・秋田


 

⑩枯れ葉?

2012年6月7日 芝谷地湿原・秋田


 

⑪枯れ葉??

2012年5月18日 芝谷地湿原・秋田



 

 

・・・・・・・・・・回答です。



 

実は、上の写真のタイトル部分に、
【?】マークが、2個ついているのが、
本物の蛾の写真なのである。

 


⑤マエグロツヅリガ(メイガ科)

2012年7月21日 白岩森林公園・青森

この蛾の凄いところは、前翅を周辺部でカールさせ、
頭部を枯れ葉の柄に似せているところだ。


 

 

⑦カバオオフサキバガ(キバガ科)

2013年5月29日 芝谷地湿原・秋田

この蛾の凄いところは、上半身をぐっと持ち上げて、
枯れ葉が落ちているような演技をしているところだ。



 

⑨ムラサキシャチホコ(シャチホコガ科)

2013年8月14日 宮古市・岩手

この蛾の凄いところは、上のマエグロツヅリガと違って、
翅がカールしているように、鱗粉の濃淡で描いているところだ。


 

 

⑪ウスイロカギバ(カギバガ科

2012年5月18日 芝谷地湿原・秋田

この蛾の凄いところは、雌雄がうまく重なり合って、
左右対称の蛾の輪郭を、うまい具合に消しているところだ。

 


以下の写真でお分かりのように、
緑の葉っぱの上にある本物の枯葉も、
枯れ葉に擬態した蛾も、よく目立つのだ。

だから、外敵に見つからないようにする「隠蔽的擬態」というより、
むしろ、見つかっても無視される「非食物擬態」という方が、
より適切であるのかもしれない。

               

 

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君はミノムシ? クサカゲロウ幼虫??


いきなりですが・・・

 


枯れ葉?

2013年9月7日 白岩森林公園・青森

緑色の葉っぱの上に、小さな枯れ葉の塊(=塵)がある。

 

 


枯れ葉??

2013年9月7日 白岩森林公園・青森

でも、よく見ていると、かすかに動く。

 

 

クサカゲロウ幼虫(クサカゲロウ科)

2013年9月7日 白岩森林公園・青森

もっと、よく見ると、下に足や腹部が確認できる!!

クサカゲロウ(種名不詳)の幼虫が、
自分の体に、【その辺に落ちている】枯れ葉などの塵を、
さりげなく付着させているのだ。

 

 

さらに・・・

 

 

枯れ葉?

2013年10月7日 弘前市・青森

緑色の葉っぱの上に、小さな枯れ葉の塊(=塵)がある。

 

 


枯れ葉??

2013年10月7日 弘前市・青森

でも、よく見ていると、かすかに動く。

 

 


ニトベミノガ幼虫(ミノガ科)

2013年10月24日 弘前市・青森

もっと、よく見ると、前方に小さな頭部がある。

これは、ニトベミノガの幼虫が、
多分【自分で切り取った?】枯れ葉や枯れ枝などで、
さりげなくミノを作って隠れているのだ。

 


このように、本物の枯葉や枯れ枝を、
うまい具合に、身に付けていれば、
このブログで今まで紹介してきた「擬態する虫たち」のように、
苦労して自分の体そのものを、変化させる必要はないのだ。

 

 


ここで、ミノムシとクサカゲロウの違いについて、
もう一度、詳しく見てみよう。

 

クサカゲロウ幼虫(クサカゲロウ科)

2013年9月9日 だんぶり池・青森

これは、どうみても、葉っぱの上のゴミだ!!

 

 


クサカゲロウ幼虫(クサカゲロウ科)

2013年9月13日 だんぶり池・青森

だんぶり池では、時間が沢山ある場合が多いので、
結構熱心に(?)虫を探すのだが、
枯れ葉(?)が動かなければ、多分私も見逃していただろう。

 

 

今度は、ミノムシ・・・

 

 

ニトベミノガ幼虫(ミノガ科)

2013年10月21日 弘前市・青森

ミノムシの方は、クサカゲロウより、多少探しやすい。


理由はお分かりだろうか?


ミノムシには、必ず葉っぱに食痕が残るのだ。

捕食者であるクサカゲロウ幼虫には、
当然、葉っぱに食痕は見当たらない。

 


というわけで、以下も元記事もご覧ください。


擬態よりすぐれているのか? フタモンクサカゲロウ
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110107/1/


擬態より完璧??? ニトベミノガ
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20131029/1/

 

         

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不思議な光景? キイロスズメバチ

 晩秋のダムサイトで、かなり不思議な光景に出会った。

浅瀬石ダムの展望台にあるキヅタの果実に、
何故か、10数匹のキイロスズメバチが集まっていたのだ。
 

 

キイロスズメバチ(スズメバチ科)

2013年10月18日 浅瀬石ダム・青森

この写真の赤丸の中に、6匹のスズメバチが写っている。

普段は、こんなふうに沢山のハチを、同時に見ることはない。

 

 

キイロスズメバチ(スズメバチ科)

2013年10月18日 浅瀬石ダム・青森

ややビビリながら近づいてみると、
お腹が長く、触角もやや長めなので、
どうやら交尾待機中の雄のようである。

みんな熱心に花の時期が終わったキヅタの果実を、
かじっているようであるが・・・・

 

 


キイロスズメバチ(スズメバチ科)

2013年10月18日 浅瀬石ダム・青森

図鑑によると、キイロスズメバチの女王は、
秋になると働きバチを産むのを止め、
新女王バチと雄バチだけを産むようになる。

9月下旬から11月にかけて、オスバチが羽化し、
その1~2週間後には、新女王バチが羽化してくるのだ。

 

 


キイロスズメバチ(スズメバチ科)

2013年10月18日 浅瀬石ダム・青森

彼らは、性的に成熟するまでの7~15日間は、
巣内に留まり、晴天の午前中を選んで巣を離れる。

巣を離れたオスは、単独生活をしながら毎日交尾場所を訪れ、
交尾の機会を待つと言われており、もしかしたら、
展望台周辺(キヅタの近く?)が、交尾場所なのかもしれない。

 

もちろん巣に帰っても、食糧をくれるハタラキバチは、もういない。

オスバチは、ボソボソとキヅタの実をかじるしか生きられないのだ。

 

 


それから、2週間後・・・

 

 


キイロスズメバチ(スズメバチ科)

2013年10月31日 浅瀬石ダム・青森

まだ、同じ場所にいた!!!

こんな状態で、新女王が巣立ちするのを、待っているのだろうか?


写真の青マルの部分には、突出した雄の交尾器が写っている。

でも、もしかしたら、新女王と交尾できなかったアブレ雄???

 

 


さらに、1週間後・・・

 

 

キイロスズメバチ(スズメバチ科)

2013年11月9日 浅瀬石ダム・青森

まだ、数は少なくなったが、まだ、いた!!!!!

⇒(新たに、キヅタの花が咲いたようにも見える)

お腹の長さが、大分短くなっているようだが、
間違いなく、アブレ雄だろう。




そして・・・・・・・・・

    
  


2013年11月9日 浅瀬石ダム・青森

そして、この日が、アイン君、最後のドライブだった。 



  

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ダケカンバにも、7種のカメムシが!!

若いころ(?)、昆虫採集を兼ねて山登りをしていると、
だんだん標高が高くなって、ダケカンバが散見されるようになると、
急に虫の種類と数が少なくなってしまうことを、何度か経験した。

昔の経験から、ダケカンバには、あまり虫(カメムシ?!)が、
いないものだと思い込んでいたのだが・・・

 

関東では、森林限界付近にしか生育しないダケカンバが、
家から車で1時間ほどの酸ヶ湯温泉周辺(標高900m)で見られる。

しかし、上記のような理由もあって、しばしば訪れる場所なのに、、
あまり熱心に、ダケカンバにいる虫を探したことがなかった。


弘前へ移り住んでから5回目の夏、
初めて、黒石市の nabita 氏に同行させていただき、
ダケカンバの果実には、結構虫がいることを知った。

 

ヒメセグロベニモンツノカメムシ幼虫(ツノカメムシ科)

2013年7月14日 酸ヶ湯温泉・青森

大駐車場そばのダケカンバの葉裏で、
ツノカメのふ化幼虫集団を見つけた。

この集団は、ヒメセグロベニモンツノカメの幼虫であるとのこと。

 

 

クロヒメツノカメムシ(ツノカメムシ科)

2013年7月14日 酸ヶ湯温泉・青森

つづいて、クロヒメツノカメムシの雌成虫を発見。

よく見ると、お腹の下には、黄色い卵塊が見える。
この子は、ヒメツノカメムシと同様に、卵を保護中である。


 


それから、2週間後・・・


 


クロヒメツノカメムシ幼虫集団(ツノカメムシ科)

2013年7月27日 酸ヶ湯温泉・青森

上の写真とは、少し離れた別の場所で、おそらく3齢幼虫を発見。

このときは、付近に雌成虫の姿はなかった。

 

 

チャモンナガカメムシ(ナガカメムシ科)

2013年7月27日 酸ヶ湯温泉・青森

今回は、果実がある木を重点的に探した。
果実で、ようやく見つけたチャモンナガカメムシは、
珍品ではないが、今回初めてであったカメムシである。

通常はヤマグワやニワトコで、見つかることが多いようだ。


 


そして、秋の気配がようやく感じられる頃・・・


 


ウスイロヒラタナガカメムシ幼虫(マダラナガカメムシ科)

2013年9月11日 酸ヶ湯温泉・青森

多少色づき始めた果実を探すと、比較的簡単に見つかった。

本種も、nabita 氏の同定によるものだが、
この時期、ダケカンバの果実で、10個以上の幼虫集団がいた。

どうやら、こちらもダケカンバの果実で育つ普通種のようだ。

 

 

スコットカメムシ幼虫(カメムシ科)

2013年9月11日 酸ヶ湯温泉・青森

果実以外でも、葉っぱの上に、カメムシはいた。

真ん中にいる大きな幼虫は、スコットカメムシで、
小さく見える数個体は、ウスイロヒラタナガカメムシ幼虫。

 

 

ハサミツノカメムシ(カメムシ科)

2013年9月11日 酸ヶ湯温泉・青森

そして、まさかの大型ツノカメ発見。

葉っぱの隙間にいて、見にくかったので、
一瞬イシハラハサミツノカメと思った。

 

 

さらに、その1ヶ月後・・・・

 

 

スコットカメムシ成虫(カメムシ科)

2013年10月10日 酸ヶ湯温泉・青森

この日は、今年のダムサイトに、クサギカメムシに代わって、
沢山集まっていたスコットカメムシの成虫を発見。

 

 

エゾアオカメムシ(カメムシ科)

2013年10月10日 酸ヶ湯温泉・青森

こちらは、越冬前の体色変化した成虫。
ダムサイトでは、あまり見かけない普通種である。

 

というわけで、虫がいないという先入観しかなかったダケカンバに、
何と、今年だけで、カメムシが7種類も見つかったのだ。


昔のダケカンバの印象が、さりげなく覆されてしまったところで、
今月(11月)の「カメムシ写真強化月間」は終了です。

 

        

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君は肉食系なの?? ツマジロカメムシ


前回のスコットカメムシに良く似たカメムシがいる。

市街地から、山地まで、どこにでもいるイメージの、
絶対的普通種ツマジロカメムシだ。
Menida violacea Motschulsky,1861

スコットカメムシと同じ Menida 属なのだが、
この子にも、ちょっとだけ不思議な習性があったのだ。

 

 


ツマジロカメムシ(カメムシ科)

2011年9月15日 白岩森林公園・青森

やや金属光沢のある黒っぽい紫色の体に、
真ん中の白斑がひときわ目立つカメムシだ。

都市近郊の雑木林にも普通に分布し、
どんな植物上でも発見されるイメージがある。


というか、ツマジロカメムシの餌植物は、
まだ特定されていないようなのだ。

 

 


ツマジロカメムシ(カメムシ科)

2012年6月2日 だんぶり池・青森

寄主植物が沢山リストアップされているカメムシは、
クサギカメムシのウワミズザクラに代表されるように、
餌植物がなかなか特定できなかった例が多いのだ。

カメムシ図鑑(第1巻?)には、
「山地のキイチゴ、クヌギ、キリ、フジ、ミズナラ、ノリウツギ、
 ニワトコなど多くの植物に寄生し、初夏から夏にかけて産卵する。
 クロタマゾウムシの幼虫を捕食するといわれる」
と書かれていた。

そういえば、私も、(ずいぶん前の話だが)
サクラの木で見つけた多分ツマジロカメムシの幼虫を、
枝ごと持ち帰って、そのまま飼育しようとしたことがあった。
そのときに、偶然葉っぱに産み付けられていた蛾の卵塊から、
幼虫が吸汁しているのを見かけたことを覚えている。

図鑑に載っていたクロタマゾウムシの幼虫も、
多分移動性が少なく、卵のようなものだと思う。

 

 


ツマジロカメムシ(カメムシ科)

2013年9月10日 梵珠山・青森

というわけで・・・・

もしかしたら、ツマジロカメムシは、肉食もする雑食性(?)で、
単に、動物質の餌を求めて歩き回っているところを採集されて、
沢山の植物が、ホストとして掲載されている可能性があるのだ。

こんなことは、幼虫を捕まえてきて、飼育してみれば、
簡単にわかることなのだが・・・・

 

 

さらに・・・・

 

 

ツマジロカメムシ産卵中

2012年5月29日 南湖公園・福島

これは珍しい(?)ツマジロカメムシの産卵場面である。

ところが、産み付けている植物が、
今まで、ホストとしてリストアップされたことがない(多分?)、
有毒成分を持つケシ科のタケニグサの葉裏なのだ。

 

 


ツマジロカメムシ産卵中

2012年5月29日 南湖公園・福島

カメムシ科でも、何種か食草外産卵は知られているが、
この種でもそうである可能性は、十分ありうるだろう(注)

しかし、このことは、
本種が肉食系(?)カメムシで、クチブトカメムシのように、
どんな植物にでも産卵する可能性を示しているとも考えられるのだ。

 


(注)私も学生時代、実験材料として、
   ナガメを大量に飼育したことがあるが、
   基本的に餌植物であるアブラナ科の葉や茎に産卵することはなく、
   ほとんどが、飼育容器の壁面に産卵した。

   この性質が分かってからは、後処理が楽になるように、
   ジャバラに折りたたんだ「ろ紙片」を、飼育容器内に入れて、
   そこに産卵させていた。

   ふ化幼虫は、基本的に餌植物から吸汁しないので、
   こんなことができるのだと思っていた。

   ただ、その生物学的意味については、
   卵寄生蜂対策かもしれないとは思っていたのだが、  
   実験的に確かめることはできなかった。

   

     

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