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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

秋(越冬前)のタテハチョウ類3種

普段は、あまりチョウの写真を撮ることはないのだが、
この日(9・11)の酸ヶ湯温泉では、
タテハチョウ科の美麗種3種を、ほぼ同時に見かけた。

 


最初は、北国を代表するキベリタテハである。


まずは、ちょっとだけアート(?)な写真から・・・

 


キベリタテハ(タテハチョウ科) 

2013年9月11日 酸ヶ湯温泉・青森

道路からは見えにくいナナカマドの葉っぱの奥の方で、
さりげなく日光浴してるキベリタテハを発見!!

写真撮影は、どうしても、この位置からしかできない。

そこで、周囲がぼやけた「珍しい写真」が撮れた。

 

 


キベリタテハ(タテハチョウ科) 

2013年9月11日 酸ヶ湯温泉・青森

拡大してみると、この子は、予想以上に美麗種である。

表現が下手くそで、うまく言い表せないが、
中心部の上品なこげ茶色と、薄い黄色の縁取りの間には、
黒帯の中に、薄紫色の模様が、まるで首飾りのようだ。

 

 


キベリタテハ(タテハチョウ科) 

2013年9月11日 酸ヶ湯温泉・青森

こんな感じで、ダケカンバの白い樹皮の上にいると、
薄黄色の縁取りが、背景に溶け込んで、姿が見えにくくなる。

キベリタテハは、北海道と本州中部以北の山岳地帯に分布する。
やっぱり、ダケカンバやナナカマドがよく似合うチョウだ。

実は、この子は、夏の終わりに羽化して、そのまま成虫で越冬し、
翌年は、初夏まで生き延びる年1化のチョウなのである。

 

 

 

クジャクチョウ(タテハチョウ科) 

2013年9月11日 酸ヶ湯温泉・青森

クジャクチョウは、キベリタテハとは違う「あでやかな美麗種」で、
実は、子供の頃からのあこがれのチョウであった。

東京や徳島に住んでいたころは、あまり見る機会がなかったが、
弘前では、比較的普通種で、その美しい姿をたびたび見ることができる。

この子も、やっぱり北国のチョウなのである。

 

 


クジャクチョウ(タテハチョウ科) 

2013年9月11日 酸ヶ湯温泉・青森

春先によく見かけるボロボロ(?)の個体とは違って、
成虫越冬するこの時期のチョウは、翅に破損がなく、
その美しさも倍増する。

クジャクチョウの学名は、Inacjis io geisha であり、
以前紹介したアオバハゴロモと同じ「芸者」である。

やっぱり、異国の人たちにとって、geisha は、
日本を代表するような、美しい文化(?)なのだろうか?

 

 


アカタテハ(タテハチョウ科) 

2013年9月11日 酸ヶ湯温泉・青森

前2種とは、かなり異なるが、このチョウも今の時期は美しい。
前翅の表側に、鮮やかな橙色の模様は、飛んでいてもよく目立つ。

おそらく弘前では、年2回の発生のようであるが、
西南日本の暖地では、年3~4回も発生を繰り返す。

 

 


アカタテハ(タテハチョウ科) 

2013年9月11日 酸ヶ湯温泉・青森

今回の3種のタテハチョウは、表面はかなり派手な色彩であるが、
翅の裏面は、いずれも枯葉のようで、隠蔽的な色彩である。

このように、翅の表と裏の色彩が極端に違っている理由は、
以前紹介したルリタテハの場合と同じだろう。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130926/1/


翅を開いた状態のアカタテハを見つけた捕食者が、
捕獲しようと近づいて来たとき、突然、翅を閉じたらどうだろうか?

枯葉模様のアケビコノハ成虫が、目玉模様を突然見せて、
捕食者をビックリさせるのとは、全く逆の状況である。

おそらく、それまで見せていた派手な色の表面が、
目の前から突然消えて、裏面の枯葉模様の隠蔽的な効果が、
そのコントラストの大きさによって、より強調されることになる。

近づいてきた捕食者は、目の前の獲物を捕まえようとしたとき、
一瞬のうちに消えてしまったように感じだろう。

 

       

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まさかの場所で、キバラヘリカメムシの大集団

高速道路のサービスエリアで、
アイン君を散歩させていた妻が、
とんでもないものを見つけた。

(車で仮眠中の私は、たたき起こされたが!!)


行ってみると、キバラヘリカメムシ幼虫の大集団・・・・

 

 


キバラヘリカメムシ幼虫集団

2013年9月29日 国見SA・福島

場所は、東北自動車道の国見サービスエリア(下り線)。

多分ニシキギの木は、特に奥まった場所ではなく、
かなり人通りの多い歩道脇に、1本だけあった。

枝にコルク質のヒレ(?)があるので、
この子をよく見かけるマユミではなさそうである。

ちょうど昼食の時間帯ではあったが、
付近を通りかかる人は、誰も気づかないようだ。

 

 


キバラヘリカメムシ幼虫集団

2013年9月29日 国見SA・福島

キバラヘリカメは、卵塊ごとに幼虫集団を作るが、
ごく稀に、数個の集団が一緒になって、
このような大集団になることがあるようだ。

しかし、こんな大集団を見たのは、
私は、もちろん初めてである。

 

 

キバラヘリカメムシ幼虫(ヘリカメムシ科)

2013年9月29日 国見SA・福島

この集団は、終齢幼虫がほとんどで、
4齢や成虫もチラホラ見える。

 

 

しかし・・・

 

キバラヘリカメムシ幼虫集団

2013年9月29日 国見SA・福島

最初の集団のちょうど反対側の、
電柱に接している部分にも、集団を見つけた。

ちょっとだけ不思議なことに、一部の個体は、
電柱の部分にはみ出して静止していた。

 

 


キバラヘリカメムシ幼虫集団

2013年9月29日 国見SA・福島

拡大してみると、この集団は、
発育ステージがバラバラである。

多少、条件が悪い場所だったのだろうか?

 

 

 

キバラヘリカメムシ幼虫集団

2013年9月29日 国見SA・福島

それにしても、こんな目立つ場所での大集団、
観光客やSAの管理事務所の人に見つからないことを、
ただただ祈るばかりである。

 

 

      

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ちょっとだけ不思議な虫たち ヒメカマキリモドキ

ちょっとだけ不思議な形態のキカマキリモドキは、
以前このブログでも紹介した。


キカマキリモドキ これがミラクル擬態だ!!
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20111001/1/


ちょっとだけ不思議な昆虫の世界 キカマキリモドキ
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120912/1/

 

まず、最新のキカマキリモドキの写真から・・・

 

 

キカマキリモドキ(カマキリモドキ科)

2013年8月31日 矢立峠・秋田

キカマキリモドキは、光に集まる性質があり、
常夜灯近くで、明け方に見つかることが多い。

名前の由来となった黄色い首(前胸)が、特徴である。

もちろん、名前の由来となったカマキリにも似ているが、
むしろ、ムモンホソアシナガバチに擬態しているような気がする。

 

 


でも、ガラス面に止まってるこの子は、
ちょっとだけ雰囲気が違うぞ!!

 

ヒメカマキリモドキ(カマキリモドキ科)

2013年8月31日 矢立峠・秋田

首(前胸)の部分が赤いので、
少なくともキカマキリモドキではなさそうだ。

 

 

帰宅後すぐに、図鑑で調べてみると、
 やはり、ヒメカマキリモドキという別種であった。


この子は、近づくと、思いがけず、
フワッと飛び立った。

でも、予想外に素早い飛び方で、
本家カマキリよりは、ハチのようである。

 

 


ヒメカマキリモドキ(カマキリモドキ科)

2013年8月31日 矢立峠・秋田

すぐ近くの雑草地に着地したのを確認してから、
その付近をしばらく探して、ようやく見つけた。

 

 


ヒメカマキリモドキ(カマキリモドキ科)

2013年8月31日 矢立峠・秋田

いずれも、前述のように、光に集まる性質があり、
そこに集まる小昆虫類を、さりげなく捕食する。

 

 


ヒメカマキリモドキ(カマキリモドキ科)

2013年8月31日 矢立峠・秋田

ネット情報によると、カマキリモドキ類の幼虫は、
クモの卵やハチの巣などに寄生することが知られているが、
1齢幼虫はシミ形で、2齢以後はウジ形となり、
齢によって、全く形態の異なる幼虫期を経過するようだ。

そして、本家カマキリとの決定的な違いである、
蛹(繭)の時期を経過してから、最終脱皮をして成虫となる。


やっぱり、不思議な虫である・・・・・

     

 

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ついに撮れた!!! ルリタテハ幼虫

今年は、ムラサキシャチホコに続いて、
ずっと撮りたいと思っていたルリタテハ幼虫にも、
さりげなく出会うことができた。

場所は、休日の家族連れでにぎわう「ひたちなか海浜公園」である。


しかも、最も衝撃的な終齢幼虫・・・・

 


ルリタテハ幼虫

2013年9月22日 ひたちなか市・茨城

遠くからでも、すぐ分かる「姿かたち」である。

不気味なオレンジ色の線が交差する胴体に、
触るな!オーラ満開の真っ白な棘が恐ろしい。


・・・・・・誰も、触らないよ!!!

 

 

 

ルリタテハ幼虫

2013年9月22日 ひたちなか市・茨城

それにしても、何なんだ!!  

この人を寄せ付けない毒々しい姿は!!!

 

 

 

ルリタテハ幼虫

2013年9月22日 ひたちなか市・茨城

遠目には良く分からなかったが、拡大してみると、
赤、黄白、黒の3色が、幾何学的(?)に配置されていて、
黄色の線は、体節の境目にある。

しかも、白い棘の先端部は、不気味に黒くなっていて、
触ると毒液が出てきそうな雰囲気である。

 

 

 

ルリタテハ幼虫

2013年9月22日 ひたちなか市・茨城

実は、この棘には毒針毛はなく、触ってみると、
多少弾力があるゴムのような感じで、全く問題ない。

また、サルトリイバラやホトトギス類などが幼虫の食草で、
これらは、特に有毒植物と言われる種類ではない。

だから、体液に不味(有毒)成分は持っていない。

 

 

 

ルリタテハ幼虫

2013年9月22日 ひたちなか市・茨城

ということは、何かに擬態して、捕食者を騙している??

タテハチョウの仲間には、幼虫時代に棘があるものが多くいるが、
いずれも棘に毒はないので、おそらく、
毒針毛を持つイラガ類の幼虫に擬態しているのだろう。


虫たちの親子⑧ サカハチチョウとキアゲハ
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130617/1/

 

 

過去の親子シリーズのようになってしまうが、
最後にルリタテハ成虫の写真を・・・

 

ルリタテハ成虫(タテハチョウ科)

2010年8月10日 東海村・茨城

ルリタテハの翅の裏面は、捕食者である鳥に対して、
このように、樹皮や落ち葉に似た保護色として機能する。

 

 

しかし、表面には、強烈に目立つ金属光沢の輪がある。


ルリタテハ成虫(タテハチョウ科)

2010年8月22日 ひたちなか市・茨城

このように翅を開いた状態のルリタテハを見つけた捕食者が、
捕獲しようと近づいて来たとき、突然、翅を閉じたらどうだろうか?
(⇒突然見せる目玉模様とは、全く逆の状況である)

おそらく、それまで見せていた派手な色の表面が、
突然なくなって、すぐ上の写真のように裏面の隠蔽的な効果が、
そのコントラストの大きさによって、より強調されるだろう。

近づいてきた捕食者は、マジックでも見てると感じだろうか?

 

また、ルリタテハは、力強く羽ばたいて、かなり機敏に飛ぶ。

そうすると、鳥のような飛びながら獲物を捕獲する捕食者には、
翅の表と裏が交互に見えることになる。

ある瞬間には翅の表面だけ、ある瞬間には翅の裏面だけが見える。

だから、良く目立つキラキラ表面が、
途切れ途切れに移動しているように見えるので、
捕食者は、正確に後を追うことができなくなる可能性もあるのだ。

 


成虫も、幼虫も、ちょっとだけ不思議なルリタテハでした。

     

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何これ?? ちょっとだけ不気味?!

 
 
2013年9月13日 だんぶり池・青森

気持ち悪いブヨブヨのかたまりが、
アメリカセンダングサの葉っぱの上に・・・


鳥の糞?

なんかの幼虫?

ナメクジ?

両生類か貝類のたまご?

 

 


 何だ??  これは!!

2013年9月13日 だんぶり池・青森

エグリトビケラ(多分)の卵塊・・・

この日は、結構な頻度で見つかった。

 

 

エグリトビケラ卵

2013年9月13日 だんぶり池・青森

さりげなく、ネット検索してみると、
葉っぱの表面に産み付けられた卵塊が、
雨が降ると水分を吸って膨らんで、
このようなゼラチン状になるらしい。

 

 


エグリトビケラ卵

2013年9月13日 だんぶり池・青森

トビケラ類は、幼虫時代を水中で過ごす。

だから、葉っぱの上でふ化した幼虫は、
水面に落下しなければ、生きていけない。

他のトビケラ類の種類は、水中に潜って産卵したり、
流れの中から飛び出した小石の表面や植物など、
ふ化幼虫が水に入りやすいように産卵するのだが・・・

 

 


エグリトビケラ卵

2013年9月13日 だんぶり池・青森

エグリトビケラだけが、モリアオガエルと同じように、
水面から離れた植物上に、卵塊で産卵するようだ。

そういえば、卵を見つけた付近を、引いた画面で見ると、
下の方には、水面(だんぶり池の一部)が見える。


この写真では、ちょっとだけ分かりにくいが、
3か所の黄色の丸印の中に、卵塊が同時に写っている。

 

 


そして、これが成虫・・・・


 

エグリトビケラ(エグリトビケラ科)

2011年9月15日 酸ヶ湯温泉・青森

成虫は、光に集まる性質がある。

このように、沢山の蛾の仲間に交じって、
常夜灯のある建物の壁に、明け方まで止まっている。

 

 


 

エグリトビケラ(エグリトビケラ科)

2011年10月4日 だんぶり池・青森

もちろん、だんぶり池でも、成虫は見つかる。

トビケラの仲間は、その生活様式から、
カゲロウやカワゲラに近いと思われがちだが、
完全変態(蛹の時期がある)のチョウや蛾に近いのだ。

 

       

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