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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

だんぶり池にも春が来た(後編)

(前回の続きです)

春が来たと言っても、だんぶり池は、まだまだ早春。
草花は小さいし、木の芽もようやく緑色になっただけ・・・


大きなチョウやトンボは、まだ見かけない。


だんぶり池周辺には、イタドリやフキがやたら目に付くが、
必死に探すと、大きな葉っぱの表面に、
小さな甲虫類が、結構見つかるのだ。

 

 

イタドリハムシ(ハムシ科)

2013年5月24日 だんぶり池・青森

早春の虫の代表的な存在という印象があるが、
この子は、真夏でもときどき見かける。

まだ、個体数は多くない。

もう少し経つと、カメラを向けることもなくなるほど、
あちこちで見つかるようになる。

警戒色を持った種は、あまり個体数が多くないのが普通である。

実は、イタドリハムシが、ベイツ型擬態種なのか、
ミュラー型擬態種なのかは、微妙なところであるだと思う。

 

 

スゲハムシ(ハムシ科)

2013年5月24日 だんぶり池・青森

今回、おそらく一番沢山見かけた甲虫類だ。
直射日光が当たると青く輝く、美麗種である。

この子のちょっとだけ不思議なところは、
全く同じ植物上に、数種類の色彩の異なる個体が、
普通に見られるところだ。

 

 

スゲハムシ(ハムシ科)

2013年5月24日 だんぶり池・青森

こちらが、まるで別種のように見えるのだが、
赤っぽい銅色のスゲハムシ。

だんぶり池では、このように、青っぽい個体と、
赤っぽい個体の2種類が、同時に見つかる。

 

 

スゲハムシ(ハムシ科)

2013年5月24日 だんぶり池・青森

そして、2色の個体が、同種であることの証拠写真。

何故か、違う色のカップルを数組見かけたが、
いずれも雄が青、メスが赤のカップルであった。

これは、ちょっとだけ不思議なのだろうか?

 

 


アトボシハムシ(ハムシ科)

2013年5月24日 だんぶり池・青森

背中にもうひとつ黒い紋があるタイプと、
黒紋が一つもないタイプの合計3つのタイプがあるようで、
これだけ違えば、普通は別種である。

だんぶり池では、2紋と3紋タイプのみがいるようだ。

この子も、もう少し季節が進むと、
カメラを向けなくなるだろう。

 

 


ウスアカオトシブミ(オトシブミ科)

2013年5月24日 だんぶり池・青森

もう少し大きかったら、美麗種に付け加えるところだ。

この微妙な色合いは、なんと表現すればいいのだろうか?
薄赤(ウスアカ)では、あまりにも可哀そうだ。

ちなみに、先日カーラジオで聞いた話であるが、
日本語ほど「赤」を表現する語が沢山ある言語は、
他の国にはないらしい。

⇒赤、紅、丹、緋、朱、茜などが思いつく。、
 しかも、それぞれに、薄、深、彩、明、暗などの接頭語が付くので、
 日本人は、赤系の色(?)を、何種類に区別できるのだろうか?

 

 

ハイイロヒョウタンゾウムシ(ゾウムシ科)

2013年5月24日 だんぶり池・青森

だんぶり池では、普通に見られるが、
逆に弘前市周辺以外では、あまり見たことがない。


ネット写真を検索すると、北海道で撮ったものが目に付く。

同じくネット情報では、北海道産のものは、
多くが、単為生殖すると言われている。

 

 


コガネムシの仲間(コガネムシ科)

2013年5月24日 だんぶり池・青森

多分濡れた土(泥)の中からから這い出してきて、
そのまま乾いてしまったようだ。

こんなことは、かなり珍しいことのように感じるが・・・


これを言い訳にして、種の同定はできなかった!?

 

 


キクスイカミキリ(カミキリムシ科)

2013年5月24日 だんぶり池・青森

幼虫が栽培キクの茎に入り込むので、害虫とされる。

真っ黒な体に、何故か、一点だけ赤い部分があり、
不思議な雰囲気のカミキリである。

このカミキリが、今回の目玉である。


何かに擬態しているのだろうか?

 

(蛇足)
ようやく春が来たというブログ記事を書いてる日(5月27日)は、
弘前市内は、突然夏になったような気がした。

当然、車はクーラーなしでは走れない。
昨日までは、部屋に電気ストーブがあったのに・・・

私の部屋は、電気ストーブの翌日から、扇風機である。
こんなことは、今までなかった気がする。

老犬アイン君(18歳6ヶ月)は、大丈夫だろうか?







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だんぶり池にも春が来た(前編)

虫たちの親子シリーズを一時中断して、気分転換!!!


しかも、初めてのブログ風(日記?)・・・

 

 


寒かった弘前にも、ようやく春が来た。


ちょうど1ヶ月前に訪れた「だんぶり池」では、
雪がまだ沢山あるのに、ヤマアカガエルが産卵していた。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130424/1/

本当に、特に今年は、雪が多いようだ。



 

・・・・・・・・・・・・・・



 

今日は、久しぶりの晴天(5月24日)だ。

 

さりげなく、だんぶり池方面へ、車を走らせた。
もちろん、車の窓は全開である。


わずか15分ほどの道中は、両側がほとんどリンゴ畑である。
数日前から咲き始めた白い花が、ほぼ満開になっていた。

岩木山の残雪も、だいぶ解けてきたようだ。

 

途中、お気に入りポイントで、路肩に車を止めて、写真撮影。



下の2枚の写真、同じ位置から撮ったものだが、
タイトルの違いが、さりげなく微妙である。

 

リンゴの花と岩木山

2013年5月24日 弘前市・青森

満開のリンゴの花。

リンゴの花は、桜と違って、葉っぱの方が少し先に出る。

 

 

岩木山とリンゴの花

2013年5月24日 弘前市・青森

残雪の岩木山。

山麓手前のリンゴ畑は、花が満開で、
ちょっと分かりにくいが、白っぽく見える。

 

 

そして、1か月ぶりの「だんぶり池」に到着・・・・

 

 

カルガモ(カモ科)

2013年5月24日 だんぶり池・青森

緑色が戻った「だんぶり池」では、カルガモ夫婦が
ゆっくりと、仲良く泳いでいた。

カメラを向けると、恥ずかしそうに、行ってしまった。

 

 


オタマジャクシ

2013年5月24日 だんぶり池・青森

完全に透明な水の中を見てみると、
ちょうど1か月前に見たヤマアカガエルのオタマジャクシも、
かなり数は少なくなっていたが、元気に成長していた。

 

 


ウグイス(ウグイス科)

2013年5月24日 だんぶり池・青森

長靴に履き替えないで、林道を登って行くと、
何か聞きなれない鳥の鳴き声が聞こえた。

梢の向こうに、小さな鳥が見え隠れしている。

かろうじて撮れたのが、この一枚。

まだ上手く鳴けないウグイスだった。

 

 


イカリモンガ(イカリモンガ科)

2013年5月24日 だんぶり池・青森

今度は、地面スレスレを素早く飛ぶチョウを発見。
目で追うと、若葉の中に潜むように止まった。

ぎりぎりまで近づいて、ズームで撮ると、
チョウではなく、成虫越冬したイカリモンガだった。

 

 

キリウジガガンボ(ガガンボ科)

2013年5月24日 だんぶり池・青森

すぐそばで、ぎこちない飛び方の虫がいた。
何かをぶら下げて飛んでいるように見えた。

これも、着地したところに近づくと、
キリウジガガンボのカップルだった。

この光景は、この時期でなくとも、良く見かける。

 

 


コクサグモ(タナグモ科)

2013年5月24日 だんぶり池・青森

背中の模様が、ちょとだけ不思議なクモを発見。
でも、近づいても逃げないし、何か様子がおかしい。

良く見ると、右側の脚が2本しかない(6本足のクモ?)。
この子に、一体何があったんだろうか?

帰ってから調べると、コクサグモらしい。

 

 


ハラヒシバッタ(ヒシバッタ科)

2013年5月24日 だんぶり池・青森

今度は、小さなバッタを発見。
結構活発に動き回っている。

これも、帰ってから昨年購入した図鑑で調べると、
背中の三角形の模様から、多分コバネヒシバッタのようだ。

⇒当初は、上記のように、コバネヒシバッタとしていましたが、
 nabita氏から、「ハラヒシバッタのようだ」との、
 ご指摘がありましたので、写真タイトルを訂正しました。


(つづく)


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虫たちの親子③ タケカレハ

完全変態をする虫たちは、多くの場合、
成虫と幼虫が、全く異なる姿かたちをしている。

だから、野外で、それぞれを見つけたときには、
別々に名前を覚えておく必要があるのだ。

(⇒覚えるべき種類数が、普通に2倍になっている!?)

そんな親子について、写真が撮れたものを、
順不動で、(不定期に!)紹介していきたい。

 

 


今回は、タケカレハ親子である。

 

まず、幼虫から・・・・・

 

 

タケカレハ幼虫(カレハガ科)

2012年6月13日 ベンセ沼・青森

撮影場所のベンセ湿原は、津軽半島の日本海に面した地点で、
さすが北国、ほぼ海抜0mの湿原(草原?)で、
ニッコウキスゲの大群落が見られるのだ。

霧ヶ峰、志賀高原、菅平、白馬高原、尾瀬ヶ原といった、
懐かしい有名ポイントには、残念ながら遠く及ばないが、
その雰囲気だけは「ややあり」の場所である。

ニッコウキスゲ群落を、心から愛する私が、
弘前に移り住んで、この場所を知ってからは、
年に、数回は訪れるようになった。


そんな、ベンセ湿原の木道に、得体のしれないケムシがいたのだ。

タケカレハの幼虫は、数あるケムシの中で、
多分1・2を争う綺麗な(?)毛虫だと思う。

 

 


タケカレハ幼虫(カレハガ科)

2012年6月13日 ベンセ沼・青森

鮮やかな黄色の体と、背中にオレンジ色の太線がある。
その太線には、黒い2列の点々があり、
そのおかげで、非常によく目立つ。

しかし、タケカレハの幼虫の背中にある短い毛は、毒針毛であり、
おそらく捕食者は、攻撃しないだろう。

ただ、ネット情報では、側面が青緑色で、
背面が黒褐色のタイプもいるようで、
捕食者の学習を混乱させるのかもしれない(注1)

 

 

 

そして、この子の親も、独特の雰囲気をもっている。

 

 

タケカレハ成虫(カレハガ科)

2011年7月19日 登別温泉・北海道

こちらは、茶色い枯葉のような翅の真ん中に、
良く目立つ、白銀の小さな紋が2個ずつある。

このタイプが、普通に見られる色彩のようだ。

 

 


タケカレハ成虫(カレハガ科)

2011年7月8日 登別温泉・北海道

そして、こんな雰囲気の子もいるのだ。

ホテルの街灯の色が影響している子ともあるだろうが、
全身が美しい黄色の毛に覆われて、非常に美しい。

幼虫時代にも、決して負けることのない鮮やかな色だ。

上の写真と同じ蛾とは、思えない程である注2

 

というわけで、今回紹介した蛾の親子は、
何故か色彩に、2タイプあるようなのだ。

 

 

(注1)この幼虫の写真は、まだ撮れていないが、
    ネット上で見る限り、まるで別種のようだ。


(注2)街灯の色がどれほど影響を与えているのか、
    今となっては全くわからないが、少なくとも、
    写真を撮ったときの印象は、黄色が鮮やかだった。

    上記2枚の成虫の写真は、もちろん、
    レタッチはしていない。

 

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ちょっとだけ不思議な虫たち この子は何組?

いつもの白岩森林公園の林道で(注)で、
不思議な正体不明の虫を見つけた。


最初に見つけたのときは、こんな感じであった。


この子は何組??

2012年10月7日 白岩森林公園・青森

葉っぱの奥から、こちらを警戒して、動かない。

バッタ?  コオロギ?  カメムシ?
クモ?   ハチ?    アブ?


もう少し近くで、確認しようと思ったら、
あっという間に、視界から消えた。


後から、撮った写真を見ても、分からない。

短い翅があるようだが、幼虫なのか?

よく分からない。

 


全くの正体不明の虫??


 

 

ハラビロマキバサシガメ(マキバサシガメ科)

2012年10月10日 白岩森林公園・青森

それから3日後の、ほぼ同じ時間と場所で、
同じ雰囲気の虫を偶然見つけた。

翅の短さや、体型と色が良く似ているので、
最初の写真も、ハラビロマキバサシガメだったのだろう。

肉食(小昆虫などを捕らえて体液を吸う)の種が、
同じ場所で、数日後にまた見つかるのは、
そんなに珍しいことではない。





 

ハラビロマキバサシガメ(マキバサシガメ科)

2012年10月10日 白岩森林公園・青森

食事直後の個体なのだろうか、マキバサシガメの仲間にしては、
非常にがっしりとした立派な体型をしている。

ハラビロマキバサシガメは、徳島に住んでいるときには、
あまり見かけなかったが、ネット情報によると、
北国では、普通にみられるようだ。

 

 


ハラビロマキバサシガメ(マキバサシガメ科)

2011年9月15日 白岩森林公園・青森

不思議なのは、翅の長さである。

通常は、このように翅が短かいので、
まるで、幼虫のようなイメージである。

しかも、この個体は、腹部背面の中央付近が黒っぽくなって、
臭腺開口部が背中にある(幼虫の特徴!)ように見える。


何故か、ごく稀に翅の長いものが現れるようだ。
(⇒残念ながら、長翅型個体の写真はない!!)

このように、同じ種で、翅の長さが異なる現象は、
翅多型性と呼ばれ、マキバサシガメでは、普通に見られる。

 

 


ハラビロマキバサシガメ(マキバサシガメ科)

2010年10月19日 酸ケ湯温泉・青森

この子の翅は、ちょっとだけ長いようだ。

でも、この中途半端な長さは、何なんだ。

おそらく、長翅型の個体が基本型で、
(多分)飛ぶことが出来るのだろうが、
それならば、全部が長い翅を持った方が、
有利だったはずである。

何故、多くの個体は、飛ぶことを断念したのだろうか?


全くの想像だが、コストをかけて翅を持つより、
取りあえず、餌探し、外敵からの防御、異性の発見など、
基本的な行動には、飛べなくても、ほとんど問題がなかったのだろう。


それなら、中途半端に、翅を残さなくても良かったのに・・・

 


(注)この撮影地は、弘前へ移り住んでからの
   お気に入りの場所なのだが、正式名称がよく分からないので、
   このブログでは、白岩森林公園としている。

   しかし、森林公園とは、遊具やキャンプ場、トイレなどがある場所で、
   入り口付近のごく一部のことを言うようである。

   実は、私がいつも虫の写真を撮っている場所は、
   そこから、車で10分ほど登った林道で、
   その付近は、森林公園ではないのかもしれない・・・
   




 

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小さな蛾の秘密? ハマキガ類の騙しのテクニック?

数年前までは、見つけても写真を撮ることなんか、
思いもよらなかった小さな蛾ハマキガの仲間(注)

でも最近は、ブログネタ(?)として、撮るようになった。


実は、撮影したときには、全く気にも留めなかった虫が、
後で写真を再確認すると、「あれっ!?」という感じで、
改めて面白さに気が付くことが良くある。

 

今回は、そんな感じの「ハマキガ」を紹介したい。

 

 


オオアトキハマキ(ハマキガ科)

2010年7月21日 だんぶり池・青森

最も普通に見かける模様のハマキガである。
早朝に林道に出かけると、交尾中のカップルを見かける。

緑の葉っぱの上に、何となく枯れ葉が落ちてるようだ。
 
良く見ると、地味ながらも、凝った模様である。

 

 

ヨツスジヒメシンクイ(ハマキガ科)

2010年8月7日 だんぶり池・青森

この子は、かなり特異な色彩パターンを持っている。

蛾の仲間では、比較的珍しい薄紫の地に、
4本の白線と、サイドには白黒の縞模様。

ただ、ネット上の写真を、さりげなく見ても、
このように、綺麗な薄紫色の個体は掲載されていない。

しかも、後ろから見ると、翅が巻き込んで、
ロケットの噴射口のようなイメージがある。

 

 


ヒメハマキの仲間(ハマキガ科)

2011年7月3日 白岩森林公園・青森

これはどう見ても、鳥の糞である。

このようなイメージのハマキガは、
緑色の葉っぱの上で、比較的良く見かける。

結構、擬態に自信があるのだろうか?

残念ながらこの写真だけでは、種名まで同定できない。

 

 


キオビヘリホシヒメハマキ(ハマキガ科)

2011年9月4日 だんぶり池・青森

背中の真ん中にあるオレンジ色の模様は、
遠くからでも、良く目立つ。

最初に、見つけたときは、甲虫のようにも見えて、
ハマキガだとは、全く思わなかった。

これも、警戒色なのだろうか?

 

 


オオヤナギサザナミヒメハマキ(ハマキガ科)

2012年7月21日 白岩森林公園・青森

この子は、どう見ても、木の芽のような雰囲気だ。

本物が、ときどき葉っぱの上に落ちているのを見かける。

しかも、この子の場合、どっちが前なのか、
どっちへ飛び立つのか、すぐには分からない?

 

 


オオギンスジハマキ(ハマキガ科)

2012年6月8日 だんぶり池・青森

この子は、オレンジ色に銀色の線があって、
典型的な警戒色パターンだ。
当然葉っぱの上では、普通に良く目立つ。

こんな綺麗な蛾であるが(?)、
青森県では、リンゴの害虫とされているようだ。

 

 

(注)考えてみたら、学生時代に、性フェロモン同定のために、
   チャノコカクモンハマキの大量飼育のアルバイトをしたことが、
   私が、生理活性物質に興味を持つキッカケになった。

   その当時のことは、色々面白い話もあるので、
   別の機会に、紹介したいと思う。



 

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