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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

ちょっとだけ不思議な虫たち 何してんだ! そんな恰好で!!

虫たちの中には、普通では考えられない姿勢で、
静止している種類が少なくない。

その理由は、いろいろ考えられるが、
今回紹介する2種の蛾は、
本当に何をしてるのかわからない!?!?

 


ヨコジマナミシャク(シャクガ科)

2011年7月19日 登別温泉・北海道

白色の地に、茶褐色の独特の縞模様があるが、
胴部分が、かなり上に跳ね上がっている。

これは、ちょっとだけ不思議な止まり方だ!!!

一体、何故???

静止するときに、お腹を持ち上げる蛾は少なくない。

こんなに高く持ち上げる姿勢をとるのは、
写真の子だけなのだろうか?

 


ヨコジマナミシャク(シャクガ科)

2011年7月19日 登別温泉・北海道

いや、すぐ近くで見つけた別個体も・・・

同じように、胴体部分が反り返りすぎて、
前後が反転しているようにも見える。

どうやら、この子たちは、静止する時には、
腹部を、かなり上方にそり返す習性があるようだ。

 


そして、約2か月後・・・・・

同じような姿勢の蛾をみつけた。

 


ウストビモンナミシャク(シャクガ科)

2011年9月15日 城ヶ倉大橋・青森

褐色地に灰色の帯があり、先端に暗褐色の紋があって、
上のヨコジマナミシャクと良く似た姿かたちである。

なんと、この子も、全く同じように、
腹部を、情報に反り返らせているのだ。


両方ともEulithis属で、日本には、
この2種しか生息していないらしい。

 

 

ウストビモンナミシャク(シャクガ科)

2011年9月15日 城ヶ倉大橋・青森

実は、このようなお尻を挙げるポーズは、
モンシロチョウの交尾済みの雌にも見られ、
交尾拒否姿勢(MRP)と呼ばれる。

また、蛾の雌だけが行う、少しだけお腹を持ち上げるポーズは、
性フェロモンを放出しているときにも見られる。

しかし、今回のこの2種の蛾の場合には、
そうではなさそうだし、もちろんMRPでもないようだ。


軽くネット検索すると、このポーズで静止している写真が多い。

にもかかわらず!?! 

これが、どんな意味があるかについては、ほとんど言及していない。

 

もちろん、他の種類の蛾でも、お尻を上げて静止する場合がある。

しかし、上の写真のように、頭部を超えてまで、
お腹を曲げる種類はいないようだ。

ひょっとすると、以前紹介したような、
捕食者の攻撃を躊躇させるODDITYの範疇に入る???

そんな効果も、少しはあるのかもしれない。
↓  ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130123/1/

 

いずれにしても、この2種の蛾が、何故この格好で静止するのか、
これからの研究・観察結果が待たれるところである。


 

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ちょっとだけ不思議な花 ツリフネソウ

全くの季節外れであるが、林縁部のやや湿った場所で、
良く見かけるツリフネソウは、かなり不思議な花であると思う。

 

ツリフネソウ(ツリフネソウ科)

2011年9月8日 白岩森林公園・青森

何が不思議かって、普通に見られる筒状の花は、
ユリのように、根元部分を茎が支える形になっている。

ところが、名前のとおりツリフネソウは、
花の中心部分から伸びた茎(葉腋というらしい?)で、
バランス良く、ぶら下がっているのだ。

花の後方は、距と呼ばれるが、その先端は、
渦巻き状に巻いて、多分閉鎖されているのだろう。

 


ツリフネソウ(ツリフネソウ科)

2010年8月22日 白岩森林公園・青森

見れば見るほど、さりげなく不思議な花だ。

大型のクマバチが花の中に潜り込んで、
蜜を吸っているのを、見たことがある。

良く見ると、ちょうど花の入口の下側が、
ハチが止まるのに適した台座になっている。

 


さらに不思議なことがある。

 


この形に良く似た黄色い花を咲かせる別種があるのだ。


キツリフネ(ツリフネソウ科)

2011年9月8日 白岩森林公園・青森

見た目(花の形)は、ツリフネソウにそっくりだが、
花の色が黄色で、葉っぱの下に花がある。

そして、花の後ろに伸びる距の先端が、
渦巻きになっていないのだ。

 

 

キツリフネ(ツリフネソウ科)

2010年7月18日 だんぶり池・青森

高校生のころ、同じく虫好きの友人が、
キツリフネのことを「キツネフリ」と呼んでいた。

確かに、キツネがふりまわす提灯のような形状であるが・・・

確かに、細い1本の葉腋でぶら下がって、
空中に浮いてるようにも見える。

 

 


ミヤマカラスアゲハとキツリフネ

2011年8月26日 白岩森林公園・青森

このように、ブラブラした状態なので、大型のチョウは、
花に静止して、蜜を吸うことはできない。

キツリフネの花から、ホバリング気味に蜜を吸っている。

おそらく、蜜のある距の部分まで、
口吻が伸びているのだろう。

 


そして、さらに不思議なことがある。

 


ツリフネソウとキツリフネが混生している場所があるのだ。

良く似た種が、全く同じ場所で共存するのも、
また不思議なことであると思うのだが・・・

 

ツリフネソウとキツリフネ混生群落

2011年9月8日 白岩森林公園・青森

この写真でみると、園芸植物に見られるような、
花の色が異なる品種のイメージである。

しかし、2種は明らかに別種なのだ。

Impatiens textori ツリフネソウ
⇒東アジアに分布する。

Impatiens noli-tangere キツリフネ 
⇒ユーラシアと北米に広く分布する。

ちなみに、属名インパチェンスは、
種がはじけて飛ぶホウセンカの仲間で、
花言葉は「私にさわらないで!!」だそうである。


この花言葉を知っている若者たちは、
なんかの機会に利用できそうかも・・・

 

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クモに擬態するカミキリ???

前回に続いて・・・・・ん?!


カミキリに擬態するクモは、多分?いないが()、
クモに擬態するカミキリは、多分!いるのかもしれない。

これから紹介するカミキリが、その有力候補である。

 


イシガキゴマフカミキリ(カミキリムシ科)

1999年6月20日 石垣島・沖縄

デジカメがようやく普及してきたころの写真。

この黄色と黒色の色彩パターンは、良く目立つ。


普通なら、このカミキリは有毒で、警戒色の典型なのだろう。

しかし、カミキリの体液が有毒(不味)成分を含むという事例は、
おそらくないと思うので、警戒色というのは、やや微妙である。


この子は、カミキリにしては、触角が短く太いので、
8本足のクモに似ているように見えなくはない。

もし、クモに擬態しているのであれば、モデルは?

当然、ベイツ型擬態???

 

と言うわけで・・・・


手持ちのクモの写真を探してみると、
以下の2種のクモが、がモデル候補として見つかった。

 


多分アオグロハシリグモ(キシダグモ科)

2010年8月19日 梵珠山・青森

確かに、雰囲気はイシガキゴマフカミキリに似ているが、
残念ながら、このクモは、石垣島には分布していない。


ただ、近似種に、イシガキアオグロハシリグモという種がいるようだ。

多分、上のアオグロハシリグモに、良く似た種なのだろう。

この子たちは、カエルなんかも食べるような獰猛な種なので、
ベイツ型擬態のモデルとなる資格は十分ある。

 

 

もう1種、同じような色彩のクモの写真があった。

 

多分キクメハシリグモ(キシダグモ科)

2010年8月25日 だんぶり池・青森

一見、上のアオグロハシリグモに似ているが、
背中の模様が違うようだ。

ハシリグモ属(Dolomedes属)は、沖縄に数種いるようで、
これらの種が、モデルになっている可能性は高い。

 

いずれにしても、イシガキゴマフカミキリが、
本当に、クモにベイツ型擬態しているのかどうかは、
これからの研究・観察結果が待たれるところである。

もちろんミュラー型擬態の可能性も、全く「0」ではないだろう。

 

(注)ヤハズハエトリというハエトリグモ科のクモがいる。
   微妙にトラカミキリ類に似ているのだ。
   ただ、トラカミキリはハチに擬態しているので、
   このクモは、ハチに擬態していると言った方が良いだろう。

 

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ちょっとだけ不思議な虫たち

4月になったので(軽い前振り?)、
クモに擬態する「珍しいカミキリ」を紹介しよう。


ヒガシカミキリ(ヒガシカミキリ科)

2013年4月1日 富士山頂・静岡/山梨

遠くで見たときには、本当にカミキリがいる! と思った。

前方に長く伸びる触角が、クモの前脚のように見えるし、
歩くときにも、足の動きに合わせて動かす。

よく見ると、背中に「東」という文字がある。

このカミキリには、かなり不思議な習性があって、
何処にいても、必ず東を向いて静止しているのだ。

だから、学名を、Akab utagis という。


さらに、驚くべきことに、ニシカミキリという近縁種がいて、
こちらは背中に「西」という文字がある。

当然、このカミキリは、西を向いて静止するのだ。

学名は、Loof lirpa という。


おそらく、まだ発見されていないが、
当然「南」と「北」の文字があるカミキリもいるようで、
昆虫マニアの間では、誰が先に発見するのか、競争になっているようだ。



??????????????????????

 


⇒今日は、4月1日なので、一度はやってみたかったネタです!!

 

 

(失礼しました)

ここからは、すべて事実です。

上の写真は、メガネドヨウグモというクモの仲間で、
背中に「東」の文字も、何も修正を加えていません。

 

メガネドヨウグモ(アシナガグモ科)

2012年6月27日 蓮華温泉・新潟

最初の写真と同じ個体を、
鮮明(?)に、撮ったものである。

背中にはっきりと「東」の文字が見える。

良く見ると、お尻から、一本の糸を出している。

 

 

メガネドヨウグモ(アシナガグモ科)

2012年6月27日 蓮華温泉・新潟

少し撮影アングルを変えてみても、
何となく「東」と読み取れる。

どうして、この特異な模様が、
和名にならなかったのだろうか?

 


しかし、別な日に、別な個体を撮った写真を見ると・・・・


メガネドヨウグモ(アシナガグモ科)

2011年6月1日 白岩森林公園・青森

かなり怪しくなってきたぞ!?

というか、この写真を最初に見たときには、
東という漢字を連想することは、おそらくないだろう。


どちらかというと、和名のとおり「メガネ」か?

 

というように、虫たちの模様は、同じものでも、
写真の写り方によって、変わって見えるのだ。

もっと正確に言えば、「東」という文字は、
それを見る側(情報の受け手)が、
頭の中で勝手に、判断し、作り出したもので、
これこそが、私が何よりも興味を持っている「擬態」の起源なのだ。


以前、このブログで、昆虫の翅や体にある模様に、
アルファベットを見出して、紹介したことがあった。
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110217/1/


昆虫のアルファベットも、当然「東」と同様に、
体の模様を何かに似せる「擬態」の起源・本質を、
さりげなく表しているのだと思う。

だから、フクロウやヘビのような目玉模様にしても、
虫の食痕まである葉っぱや枯れ葉の模様にしても、
あるいは、鳥のフンのように見える姿かたちにしても、
それらを見た側が、全く勝手に解釈して、全く勝手に、
驚いたり、避けたりしているだけなのである。

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ちょっとだけ不思議な虫たち エゾシロチョウ

ようやく北海道も夏になった頃、
札幌に住む娘のところへ、さりげなく行ってみると・・・


市街地でも、海岸線でも、峠道でも、高山の林道でも、
どこに行っても、北海道にしかいないエゾシロチョウが、
本州以南のモンシロチョウのように、たくさん飛んでいる。

一応、果樹害虫ということになっているらしいが・・・

 


エゾシロチョウ(シロチョウ科)

2011年7月10日 阿寒湖・北海道

ウスバシロチョウに、雰囲気が似ていて、
ふと間違えてしまいそうになるが、
さすがに、7月になると、もう飛んでいない。

しかも、アゲハチョウ科のウスバシロチョウよりも、
シロチョウ科のエゾシロチョウの方が大きいのだ。

 

えっ?! この写真じゃ、分からないって?!

とっておきの写真があります!!!!!

 


エゾシロチョウとモンキチョウ

2010年6月29日 十勝・北海道

モンキチョウ(夏型の雄)と一緒に、レンゲの蜜を吸っている。
こうして、直接比較すると、その大きさがよく分かる。


・・・・・・


でも、上に飛んでる子の翅の模様が、なんかおかしい???


最初は、研究目的のマーキング個体かと思ったが、
どうも、花粉が付着しているようにも見える。

⇒やっぱり、ちょっとだけ不思議だ。

 

 

エゾシロチョウ(シロチョウ科)

2011年7月9日 網走・北海道

もう一つ、不思議なことがある。

エゾシロチョウは、他のチョウと違って、
先に羽化した雄が、雌が羽化してくるのを傍で待っていて、
まだ雌の翅が乾かないうちに、交尾行動に移ることがあるのだ。

 

 

エゾシロチョウ(シロチョウ科)

2011年7月9日 網走・北海道

しかも、待ってるのが、雄1匹だけではない場合だってあるし、
さらには、交尾中のカップルの雌にも、雄はちょっかいを出すのだ。


だから、こんな光景がしばしばみられる。


この一連の写真を撮った約10分の間、
雄は、何故か執拗に交尾中のカップルの周りを飛び、
あわよくば、雌を奪い取ろうと、襲い掛かっていた。

このような雄が、実際に交尾できるとは到底思えない。

一体、何のために、こんなことをするのだろうか?


⇒やっぱり、かなり不思議だ。

 

 

エゾシロチョウ(シロチョウ科)

2011年7月9日 網走・北海道

もう少し、近づいてみると、雄の翅はボロボロで、
雌をめぐって「すさまじい戦い」が繰り広げられた様子を物語っている。

しかし、写真を改めて見直してみると、
上の方の写真にあったようなオレンジ色の部分が少し見える。

どうも、マーキング説ではなく、花粉説の方が有力そうだ。

少なくともこの子たちに付着しているオレンジ色の粉は、
付近にいっぱい咲いているエゾカンゾウの花粉で間違いなさそうだ。

 

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