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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

テネラル

 全ての虫たちは、硬い外骨格を持っているので、
より大きくなったり、その形状を変えたりるためには、
脱皮をしなければならない。

脱皮をするときには、それまでの硬い皮膚を破いて、
より大きな柔らかい皮膚の状態で、脱出しなければならないのだ。

当然のこととして、脱皮直後は、まだ体が柔らかくて、
飛ぶことも、歩くこともできない。

しかも、皮膚が柔らかいときには、
本来の色彩になっていない場合が多く、
通常は、良く目立つ色をしている。

そのような状態を、テネラルという。


この時期に限って言えば、最も恐ろしい外敵は、
おそらくアリではないかと思うのだが(注)

 


アカスジキンカメムシ(キンカメムシ科)
 
2012年5月24日 ひたちなか市・茨城

鮮やかなオレンジ色が、脱皮を終えたばかりの新成虫。

ななめ上に見えるのは、脱皮前の終令幼虫。


これだけの色変化が、僅か数時間の間に起こるのだ。

脱皮直後のまだ体が柔らかい時期、かろうじて歩くことができる。

 

 


トホシカメムシ終齢幼虫(カメムシ科)
 
2011年9月8日 白岩森林公園・青森

こちらは、脱皮直後ではないようだが、
まるで蛍光塗料がついているように、良く目立つ。

外敵に襲われることはないのだろうか?

 

 

 
ヒグラシ(セミ科)
 
2012年7月11日 だんぶり池・青森

朝の7時前に撮った写真。

もう少しで、飛べるようになるのだろうか?

本来の体色になりつつある。

だんぶり池のこの時間は、結構鳥が鳴いている。
もう少し目立たない場所で脱皮すればよかったのに・・・

 

 

アブラゼミ(セミ科)
 
2011年8月5日 白岩森林公園・青森

このアブラゼミも、本来の色ではない。
しかも、こんなに目立つ草の上である。

よくも、今まで、無事でいたものだ。

 

 

(注)カメムシは、臭腺で作られた防御物質(におい成分)を、
  一時的に貯蔵嚢に蓄えている。物理的な刺激があったときに、
  内部の液体を噴射するが、運良く(?)次の脱皮まで使用しなかった場合には、
  脱皮殻と一緒に、その成分を残しておく。
  特に幼虫脱皮の直後は、その場にとどまっていることが観察されるが、
  もしかすると、脱皮殻の中にある防御物質(におい成分)が、
  アリに対する忌避作用を示すのかもしれない。
 


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枯葉のような蛾 シロテンツマキリアツバ

 コノハチョウやアケビコノハのように、
枯れ葉に擬態する虫は多く、隠蔽的擬態の好例とされる。


だから、「枯れ葉に擬態する虫は、枯れ葉の上に居ないと意味がない」
こんな表現を、ネット上では、しばしば見かける。

 

これ、本当だろうか?

 

確かに緑色の葉っぱの上に、枯れ葉に擬態してる虫がいれば、
逆に良く目立ってしまう印象がある。

でも、下の写真のように、緑の葉っぱの上にある枯れ葉は、
良く目立っても構わないのだ。

捕食者にとって、枯れ葉は食べ物ではないからだ。

 

 


シロテンツマキリアツバ(ヤガ科)

2011年7月3日 白岩森林公園・青森

遠めの写真は撮れていないが、
シロテンツマキリアツバという蛾である。

いわゆる蛾の輪郭がなく、この距離でも十分枯れ葉に見える。

 

 

シロテンツマキリアツバ(ヤガ科)

2011年7月3日 白岩森林公園・青森

ただ、翅の後縁のギザギザになったような部分は、
蛾の仲間に普通に見られる。

だから、前縁の特異な形状と模様と静止姿勢とが相まって、
十分に枯れ葉をイメージさせるのだろう。

 

 


シロテンツマキリアツバ(ヤガ科)

2011年7月3日 白岩森林公園・青森

上の写真の子を、軽く刺激して、飛び立たせてみた。

まるで枯れ葉が風に舞うように、ヒラヒラと飛んで、
数m先の道路に降りたのを確認して写真を撮ったが、
普通に歩いていたのでは、全く気が付かなかっただろう。

いくら目立っても構わないとはいえ、やはりこの方が、
捕食者に発見される頻度は低いはずだ。

 


本物の枯れ葉??

 
2012年8月6日 金山町・秋田

枯れ葉が、緑の葉っぱの上に落ちている。

拡大してみると、触角がある????

実は、カメラ片手に虫を探しながら、林道を歩いていると、
良く見かける光景であるが、一応、さりげなく反応してしまう。

普通の人や捕食者とは、全く発想が逆であるが、
最近では、枯れ葉を見て、虫だと思ってしまうのである。

 


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ちょっとだけ不思議な虫たち セマダラハバチの仲間

カメラ片手に、林道をブラブラ歩いていると、
ちょっとだけ不思議な光景に出くわすことがある。

今回もそんな感じで見つけた不思議なハバチである。

 

白岩森林公園の林道で、異常な動きをする2匹のハバチを、
連続して、ほぼ同じ場所で見つけた。

 


セマダラハバチの仲間(ハバチ科)

2012年6月3日 白岩森林公園・青森

最初は、何をしているのか分からなかった。

下になっている子も、かすかに動いているので、
交尾しているようにも見えた。

 

 


セマダラハバチの仲間(ハバチ科)

2012年6月3日 白岩森林公園・青森

近づいて見ると、かなりビックリ!!!

交尾しているのではなく、食べているのだ!!!

食べられている方も、種名までは分からないが、
寄生バチのような雰囲気もある。

 

 


セマダラハバチの仲間(ハバチ科)

2012年6月3日 白岩森林公園・青森

かなり、激しい食べ方をするので、
犠牲者の頭の部分が、切り離されて、下に落ちた。

この仲間は、幼虫時代は葉っぱを食べているのに、
成虫になってからは、肉食になるという、
かなり不思議なハバチなのである。
(逆のパターンは、良くあるのだが・・・)

 

 


セマダラハバチの仲間(ハバチ科)

2012年6月3日 白岩森林公園・青森

そんなビックリしている間もなく、
すぐそばで、別の個体を発見!!

何とこの子も、虫(ヤブキリの幼虫?)を食べている!!!

 

 


セマダラハバチの仲間(ハバチ科)

2012年6月3日 白岩森林公園・青森

それも、まるでカマキリが、獲物を捕食しているイメージだ。
サシガメやクモの摂食場面とは、全く違う雰囲気なのである。


恐るべし、ハバチ(の成虫)君!!!



 


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ちょっとだけ綺麗な虫たち カミキリ【3】

(つづき)

今回のシリーズで紹介したカミキリ類が、
以前紹介した「警戒色の無毒の昆虫」なのかどうかは、
議論が分かれるところだろう。

このような色彩は、典型的な警戒色ではないし、
今回のカミキリも、無毒かどうかも定かではないからである。

もちろん、トラカミキリ類のように、
明らかにハチに擬態していると考えられる種もいるのだが・・・


いずれにしても、目立つ色彩のカミキリの種類は、
何故か、さりげなく多いのである。

 

 

シロトラカミキリ(カミキリムシ科)

2011年6月22日 白岩森林公園・青森

この子の背中の模様は、前後左右から改めて見直してみると、
(見たことはないのだが)ホラー映画に出てくるような、
恐ろしげな雰囲気を持っている。

暗闇の中で、ストロボで撮ったら、
どんな感じに見えるのだろうか?

 

 


キンケトラカミキリ(カミキリムシ科)

2012年6月3日 白岩森林公園・青森

名前のとおり、全身に金色の毛が生えている。
もちろん黒い毛も・・・

でも、やっぱりハチに擬態してるのだろうか?

 

 

 

カラカネハナカミキリ(カミキリムシ科)

2011年6月29日 白岩森林公園・青森

これは、まあ普通の綺麗な虫とでもしておこうか?

このような金属光沢のある虫たちを写真に撮るには、
かなりのテクニックがいるようだ。

もう少し撮り方が上手かったら、印象が違うかも・・・

 

 


謎のカミキリ(謎のカミキリムシ科)

2012年12月27日 弘前市・青森

あまり見かけない、というか、
珍しく雪の中でも生きているカミキリ。

 

 

・・・・・・

 


カミキリマニアの方、ビックリさせてご免なさい。

 

 

・・・・・・

 


これは、ロンドンの【Natural History Museum】の売店で、
公式に販売している、さりげなく精密な昆虫模型です。


気分転換に、さりげなく撮ってみました。
(⇒4月1日に記事にすれば良かった?)


それにしても、触角が見事だ???


 

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ちょっとだけ綺麗な虫たち カミキリ【2】

(つづき)

カミキリの仲間は、体が硬くて、丈夫なイメージが強い。

そのせいか、カマキリやクモ、カエルなどの捕食者は、
あまり好適な餌としては見ていないのかもしれない。

だから、カミキリが捕獲されている現場に遭遇したことは、
少なくとも私は、(あいまいな記憶だが)ないかもしれない。


今回のシリーズで紹介しているように、カミキリ類の色と模様は、
他の虫たちに比べて、良く目立つ綺麗なものが多い。

いわゆる保護色的な色彩(茶色や緑色だけの)カミキリの種類は、
むしろ少数派なのだろうか?

もしかしたら、オニヤンマやジョウロウグモと同じように、
以前紹介した「無毒の虫たちの警戒色」の範疇に入るかもしれない。

 


シラホシカミキリ(カミキリムシ科)

2012年6月21日 南会津・福島

小さいが、なかなか綺麗なカミキリである。
胸の部分に印象的な【I】字模様がある。

⇒昆虫アルファベットに追加しようか?
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110220/1/

 

 


ハンノキカミキリ(カミキリムシ科)

2012年6月28日 燕岳山麓・長野

この赤と黒のカミキリは、なかなか美しい。

全国に分布するようだが、やや珍しい種?

この色彩は、かなり警戒色っぽいが、
何かに擬態しているのだろうか?

 


ヘリグロベニカミキリ(カミキリムシ科)

2012年5月17日 白岩森林公園・青森

胸と翅の黒い紋が、不思議な雰囲気を醸し出している。

もう少し、居場所(背景)を選んでくれれば?!?!

 

 


ヤツメカミキリ(カミキリムシ科)

2012年6月20日 芝谷地湿原・秋田

同じ金色でも、次回掲載予定のキンケトラカミキリとは、
全く違うイメージの金色のカミキリ。

あまりにも金色なので、はじめて見つけたときは、ちょっと興奮した。

 

(つづく)

 

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