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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

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これは交尾擬態か? ヒトツメカギバ

今回の発見は、ちょっとだけではなく、かなりの衝撃だった。


オスとメスが、互いに協力(?)した新しいタイプの擬態のようである。

少なくとも私は、過去にこのような例を知らない!!!

 

仮称として、交尾擬態(または協力擬態?)ではどうだろうか?

 

 

ヒトツメカギバ(カギバガ科)

2012年9月13日 芝谷地湿原・秋田

葉っぱの上に、全く隠れようとせずに止まっている白い蛾!!

この状態でも、鳥の糞のように見えなくもない。


でも、やっぱり、輪郭は間違いなく蛾である。

緑の葉っぱの上にいると、かなり目立つ!!

 


・・・と、ここまでは、良く見る光景である。

 


ところが!?
 

衝撃は、ここから始まった。

 



2012年9月13日 芝谷地湿原・秋田

写真の真ん中に、鳥の糞が写っている。

 

 

えっ~?!

 

 

ヒトツメカギバ(カギバガ科)

2012年9月13日 芝谷地湿原・秋田

もう少し、近づいてみると、ちょっとだけ、様子がおかしい??


何と、白い蛾が交尾しているようだ。

 

 

輪郭が、全く蛾ではない!!!

 

 


ヒトツメカギバ(カギバガ科)

2012年9月13日 芝谷地湿原・秋田

さらに近づいて、別角度から見ると、

多少違和感があるが、ヒトツメカギバが、確かに交尾している。

もちろん、この違和感というのは、
普通の蛾の交尾の状態ではないからである。

明らかに、交尾することによって、
左右対称の本来の蛾の輪郭を消しているのだ!!!

 

 

そして!!!!

 

 


ヒトツメカギバ(カギバガ科)

2012年9月13日 芝谷地湿原・秋田

10mほど離れたところに、別のカップルがいた。

こちらも、なんと交尾中・・・・

同じように、2匹が合わさると、普通の蛾の輪郭ではなくなっている。


まさにこれは、鳥の糞である。

 

 


さらに!!!!

 

 

ヒトツメカギバ(カギバガ科)

2012年9月13日 芝谷地湿原・秋田

近くで、また3組目のカップル発見!!

こちらも、微妙に左右対称の状態にはなっていない。

このカップルは、まあ、蛾が交尾してるように見えなくはないが・・・

 

 

最後に、新たな衝撃!!!!!

 

 


ヒトツメカギバ(カギバガ科)

012年9月13日 芝谷地湿原・秋田

また別の場所で、4組目のカップルを発見!!!


こっちは、驚くべきことに、交尾は終わっているようだ。
(⇒時間的に、交尾前とは考えにくい?)

しかし、このように、ある程度重なったまま離れようとしない。
交尾が終わって、ただ名残を惜しんでいるわけではないのだ。
冷静に観察すると、この役者カップルの迫力のある演技(!)が理解できる。

このような、全体の輪郭を細長く見せるような重なり方は、
鳥の糞が、垂直に近い葉っぱの上に落ちて、
下の方に垂れ下がったような雰囲気を出しているのだ。


偶然とは思えないし見事というしかない!!!!!!


これが意識的に(?)演技しているのだとすると、
逆に言うと、最初のカップルの重なり方も、また見事である。
ほぼ水平の葉っぱの上で交尾する場合には、鳥の糞が、
水平の葉っぱの上に落ちて、均等に広がった状況を、
再現(?)していることになる。

ヒトツメカギバのオス成虫は、自分が止まっている葉っぱが、
水平に近いのか、あるいは垂直に近いのかを分かっていて、
雌雄の重なり方を変えているのだ。


こんなことが、本当にあるのか!!??

 

 

今回、ほぼ同じ場所で、いずれも、当然よく目立つ葉っぱの上で、
4組のカップルを連続で発見したことになる。

このように、次々に、いとも簡単に見つけることができたということは、
少なくとも、視覚的に獲物を探す捕食者(おそらく鳥類)の目を、
完璧に欺くほどの保護効果があった証拠だろう。

 


虫たちが色々なものに似せて、外敵の目を欺く防御戦略には、
彼らがどうしても変化させることができない宿命的な欠点がある。
それが、左右対称の姿かたちなのだ。

このブログで何度も紹介しているように、保護色を持った虫たちが、
自分がいる背景を間違えてしまう(?)と、そこでは、
本来のその虫たちの(蛾やセミの)外観が、むしろはっきりと表れてしまう。

ほぼ完璧に枯れ葉に擬態したマエグロツヅリガが、枝の部分まで創っても、
残念ながら、左右対称の姿かたちを、変えることはできなかったのである。
だから、目立っても大丈夫な「枯れ葉」に擬態したのだろう。
↓  ↓  ↓  
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120729/1/

もちろん、コノハムシやカレハカマキリでも、全く同じで、
左右対称の外観は、それが虫たちの宿命なのである。


しかし、今回のように2匹が協力(?)し合えば、話は別である。

ヒトツメカギバの成虫が、どんなに精巧に鳥の糞に擬態しても、
単独でいるときに輪郭を見れば、明らかに蛾だと分かってしまうが、
交尾中に、うまく重なっている場合には、左右対称ではなくなり、
蛾の輪郭は、完全に消されてしまうのだ。

そして、このような不規則な外観は、より鳥の糞に似てくるのである!!


もちろん、他の種類の蛾が交尾するときには、普通にお尻とお尻が繋がるので、
左右対称の輪郭は、そのまま残ってしまうが、
このような左右対称にはならないような交尾姿勢は、
鳥の糞に擬態するヒトツメカギバにだけ(?)特別に進化してきた行動なのだろう。

 

ヒトツメカギバが成虫になってから、交尾するまでに、
どの程度の期間があるのか、現時点では全く不明であるが、
少なくとも単独でいる時間より、交尾している時間の方が、
外敵に対して、保護されている状況にあると仮定すると、
交尾終了後も、雌雄が離れずに、そのままでいる方が良いことになる。

それが最後の写真に、見事に表れているような気がするのだが・・・

 

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ちょっとだけ不思議な虫たち ハネナガフキバッタ

昔(?)は、稲の害虫であったイナゴやバッタは、
当然のごとく、自然状態では、草しか食べないと思っていた。

 

 

ところが!?

 

 

ハネナガフキバッタ(バッタ科)

2012年8月22日 十石峠・長野

長野・群馬県境の十石峠近くの舗装された駐車場で、
奇妙な行動をするバッタを見つけた。

乾燥しているミミズの死体のそばに、バッタがいるのだが、
ときどき、ミミズがまるで生きているように動く。

 

 

どうした!!??

 

 


ハネナガフキバッタ(バッタ科)

2012年8月22日 十石峠・長野

普通は、人が近づくと、一目散に逃げてしまうバッタが、
このときは、全く逃げる気配がないのだ。

かなり、夢中になっている感じで、
まるで魔法にかかったように、その場所から動かない。

 

 

何で!!!!

 

 

ハネナガフキバッタ(バッタ科)

2012年8月22日 十石峠・長野

近付いてしばらく観察していると、どうやら、
干からびたミミズの死体を食べて(舐めて?)いるようだ。

基本的に草食であるはずのバッタが・・・・

 

 

ハネナガフキバッタ(バッタ科)

2012年8月22日 十石峠・長野

昔から良く経験することではあるが、実験室で、
草食のバッタなどを大量に飼育していると、
エサ不足か、飼育密度が高すぎるのか、微量栄養素が足りないのか、
あるいは飼育環境へのストレスか、
何らかの原因で、草食のバッタが、共食いをすることがある。

 

 

ハネナガフキバッタ(バッタ科)

2012年8月22日 十石峠・長野

だから、ちょっとだけ不思議ではあるが、
バッタがミミズを食べるのも、
全くあり得ないことでもないのだろうとは思う??


ただ、まわりに餌となるような植物が沢山あるのに、何故? 


塩分補給でもしているのだろうか?

 

 

以上、バッタがミミズを食べる衝撃シーンでした。

 

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ちょっとだけ不思議な虫たち ザトウムシの仲間

ザトウムシという脚の長さが半端ではないクモの仲間がいる。

たいていは、ちょっと薄暗い林の中にいるが、
私のフィールドである林縁部でも、ときどき見かける。

 

ザトウムシの一種

2010年9月15日 白岩森林公園・青森

こんな感じの多少気味が悪い、ちょっと手が出にくいムシである。

 

 

ザトウムシ捕食中

2012年8月17日 奥入瀬渓流・青森

もちろん彼らは肉食であるが、捕獲する瞬間を見たことがない。

ただ、他の捕食者よりは、遭遇する機会は少ないが、
普通に、食事中の写真も撮らせてくれる。

 

 

ザトウムシ接近中


2010年10月12日 白岩森林公園・青森

これは、全くの多分(?)であるが、雄と雌の出会いである。

これから、どんなふうに交尾するのだろうか?

 

 

ザトウムシ捕食される

2011年9月23日 白岩森林公園・青森

どんな捕食者も、当然のことながら、捕食されることもある。

捕食者と被食者の、この組み合わせも、珍しいのかも知れない。

 

 

多分モエギザトウムシ幼体(マザトウムシ科)

2012年8月2日 芝谷地湿原・秋田

そんな不気味なザトウグモの仲間に、
多分モエギザトウムシという美少女(?)がいる。

人間で言うと、中学生くらいなのか?

長い脚を分断する白い模様が、ちょっとだけ美しい。

 

 

多分モエギザトウムシ幼体(マザトウムシ科)

2012年8月2日 芝谷地湿原・秋田

これだけの長い脚を、巧みに操って移動する姿は、
美しくも、また絶妙である。

この写真でもはっきり分かるが、それぞれの脚(8本!!)が、
独自に(?)、しかも巧みに足場を捕えている。

 

 

多分モエギザトウムシ捕食される

2012年8月2日 芝谷地湿原・秋田

しかし、そこは生物の世界である・・・

イトトンボは、歩いているのを、この子の脚が長過ぎるので、
空中を飛んでいるように見えたのだろうか?

いとも簡単に捕獲されてしまった。

 

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ちょっとだけ不思議な昆虫の世界 キカマキリモドキ

ややこしい話題が続いたので、ちょっと気分転換。

しかも9月は、ブログ開設2年目を、さりげなく迎えた節目の月である。
ビートルズのマジカル・ミステリー・ツアー(Magical Mystery Tour)にちなんで、
私もさりげなくマジカル・ムシトリー・ツアー(MMT)に、暇を見つけては出かける。
(⇒いや、見つけなくても、暇だけは普通にある!!)

MMTで、いつもと違う道を歩くのは、なんだかワクワクする。

そこで、出会ったブログにふさわしい「ちょっとだけ不思議な虫たち」を、
連続で、紹介していきたい。

 

トップバッターは、キカマキリモドキというちょっとだけ不思議な虫である。

この子は、以前も紹介したのだが、
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20111001/1/
今回、新たに3個体の写真が(上手に)撮れたので、
改めて、彼らの不思議さを、カメラを通して見てみよう。

 

 

キカマキリモドキ(カマキリモドキ科)

2012年8月22日 十石峠・長野

獲物を狙って待機中の姿は、本家のカマキリそのものである。

しかし、写真では、ちょっと分かりにくいのだが、
前脚の折りたたみ方と、下半身(翅のイメージ)が微妙に違う。

 

 

キカマキリモドキ(カマキリモドキ科)

2012年8月22日 十石峠・長野

この恰好なので、行動パターンは、カマキリと良く似ている。

じっと待ち伏せの体制をとって、獲物が通るのを待っている。
もちろん、空腹度が増すと、自ら動き出す・・・

残念ながら、捕獲の瞬間は見ることができなかったが、
獲物を食べる姿は、本家カマキリと全く同じだ。

このように、全然違う種類が、良く似ているのを、相似進化【注】と呼ぶ。

 

 

キカマキリモドキ(カマキリモドキ科)

2012年8月23日 十石峠・長野

しかしながら、体のサイズが、全く違う。
背景の葉っぱと比較しても、かなり小さいのが分かる。

 

 

キカマキリモドキ(カマキリモドキ科)

2012年8月23日 十石峠・長野

歩き方はそっくりだ。

細い茎を、上手に昇っていく。

 

 

キカマキリモドキ(カマキリモドキ科)

2012年8月23日 十石峠・長野

先端近くの種子があるところで、獲物を見つけたようだ。

写真の手前に、ピンボケで写っている小さなカメムシだが、
この後、さりげなく取り逃がしてしまった。

 

 

 

【注】相似性・相似進化:
例えば、魚類のサメと哺乳類のイルカは、「海の中をすばやく泳いで獲物を捕らえる」という、
良く似た行動パターンを持っているので、かなり良く似た体型になっている。
水中を泳いでいるときのペンギンも、まるで魚である。

このような共通祖先を持たないが、類似の体型になる進化の方向性を、相似進化と呼ぶ。

ただ、昆虫の場合には、ベイツ型擬態やミュラー型擬態との関係があるので、
多少の注意が必要であると個人的には思っているのだが・・・


 

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分断色!? 蛾の白線

身近な虫たちの分断色、今回で連続3回目である。
良く見ると、タイトルのマークが、3回とも微妙に異なっている・・・・

分断色は、はっきり言って(!)微妙なのだ。

 


まず、その定義【注】から確認してみよう。

昆虫関係で、普通に用いられている分断色の定義として、
「体の輪郭を横切るように配置された白と黒のようなコントラストの強い模様」
とされることが多く、それらは、昆虫の輪郭の検出を妨げる効果を持つとされる。

ただ、この定義だと、体を横切るコントラストの強い模様があれば、
それだけで、とりあえず分断色となってしまう可能性がある。

そこで、多少(?)マニアックであるが、
これから紹介する10枚の蛾の写真を見ながら、
分断色の定義について考えてみたい。

 

まず、下の写真は、シロスジオオエダシャクというシャクガ科の蛾である。


シロスジオオエダシャク(シャクガ科)

2011年6月29日 白岩森林公園・青森

これは、私自身が撮影時に確認していることであるが、
シロスジオオエダシャクは、私の気配を感じて、飛んで逃げた後、
写真のような非常に効果的な環境に、着陸したのである。
着陸地点を大まかに確認し、そっと近づいたのだが、
この子を再び見つけるのに、おそらく1~2分経過していたと思う。

翅の先端近くにある白色の帯が、効果的に翅を分断している。
さらに、翅が木の枝を包み込むように静止しているので、
蛾の全体像が、非常に確認しにい状態になっている。

したがって、この子の体色は、前回紹介したクルマバッタモドキや、
ショウリョウバッタと同じように、おそらく分断色の範疇に入るだろう。

 


ただし、以下の9種の蛾は、翅にそれらしい模様を持っているが、
分断色であるかどうか、現時点では確認できていない(かもしれない?)。

 


ハコベナミシャク(シャクガ科)

2012年7月21日 志賀坊森林公園・青森

この子は、上のシロスジオオエダシャクと雰囲気が似ている。

別の場所にいたら、分断色が効果的になるかもしれないが、
このような止まり方では、白色で分断されていても、
残りの三角形の褐色部分が、残念ながら蛾そのものである。

一体どうなんだろうか?

 

 

シラフシロオビナミシャク(シャクガ科)

2011年5月31日 だんぶり池・青森

間違いなく、この子は昼間飛ぶ蛾であるが、
この写真では、緑色の葉っぱに止まっているので、
非常に良く目立っている。

飛んでいるときも、白い部分がチラチラして、
ミスジチョウやルリタテハのようなイメージもある。

白線が蛾の輪郭を分断しているようにも見えるが、
はたして、この模様が有効に働くような状況があるのだろうか?

 

 

シロオビヒメエダシャク(シャクガ科)

2010年6月24日 登別温泉・北海道

この子も、それらしい模様であり、昼間活動する。

しかし、この写真を見るかぎり、分断色とは言えないと思う。


私は、少なくとも体が分断されて見えるような環境を好む(?)かどうかを、
分断色の定義に付け加えるべきだと思っている。

はたして、この子は、自分の翅の模様を知っていて、
その分断色が効力を発揮するような背景を、選ぶのだろうか?

 

 

シロオビドクガ(ドクガ科)

2012年8月22日 十石峠・長野

この子の体色は、普通に見ると、翅を明らかに分断しており、
状況によっては、蛾の輪郭を曖昧にする効果があるかもしれない。

ただし、この写真は、夜間の灯火採集のときに、撮ったもので、
当然、この子は夜行性であると思われる。

だから、分断色が効力を発揮するような、
真昼のギラギラした太陽の光と影が交錯する環境(背景)にいることは、
基本的に、ありえないのかもしれない。

 

 

ヒトリガ(ヒトリガ科)

2012年9月7日 志賀坊森林公園・青森

上のシロオビドクガと雰囲気が似ているが、
こちらも夜行性のようである。

この写真は、公園の常夜灯付近で、早朝に撮ったものである。
おそらく、明るくなって、帰り損ねたのだろう。

蛾の輪郭を、明らかに分断しているように見えるのだが・・・

 

 

オオシロオビナミシャク(シャクガ科)

2010年7月2日 摩周湖・北海道

最初に紹介したシロスジオオエダシャクの雰囲気を持つ蛾である。

もしかしたら、別な場所では、分断色の効果が出るのかもしれない。

この子は、ちょっとだけ微妙である。

 

 

セスジナミシャク(シャクガ科)

2010年9月2日 だんぶり池・青森

まあ、この模様では、分断色ではない確率がかなり高いし、
夜行性であると思う。

しかし、この模様にマッチした、背景【環境)があるのかもしれない。

 


キンモンガ(アゲハモドキ科)

2011年8月8日 裏磐梯・福島

この子は、むしろ無毒の警戒色の範疇だろう。

もしかして、同じ科のアゲハモドキのように、
ベイツ型擬態の可能性もあると思うが・・

 

 

ヒロオビトンボエダシャク(シャクガ科)

2012年7月21日 白岩森林公園・青森

最後に紹介するこの子は、全く分からない。

警戒色のようであり、保護色のようでもある。
さらに、分断色の匂いもするし・・・

 

以上、見てきたように、ある虫の模様が分断色かどうかは、
簡単には判別できない場合が多い。

まず、体を横切る目立つ白線があれば、分断色かどうかを疑って、
さらに、どんな場所に静止しているかを確認することが必要なのだ。

もちろん、この場合でも、虫たちが自分の体の模様を十分理解していて、
それに見合う環境を選んでいるのかどうかとは、無関係な話であるが・・・

そうであったとしても、冒頭で紹介した、虫たちの分断色の定義には、
「自らが、適切な環境を選ぶ」という条件を追加すべきであると思う。


この分野の実験的研究は、始まったばかりです。

イギリスの研究者が、2005年に分断色の効果を実証して以来、
日本でも、地元弘前大学の鶴井さんのグループが、
ハラヒシバッタを実験材料として、精力的な研究を行っています。

機会があれば、当ブログでも紹介したいと思います。

 

 

【注】分断色:
動物の眼は、光と影のコントラストの強い部分があると、
そこに焦点が合ってしまい、全体の輪郭がわからなくなってしまう。

分断色の典型として、しばしば例示されるシマウマであるが、
サバンナでえものを探す捕食者の眼には、白い部分と黒い部分とが
別々に強調されて映るので、シマウマ全体の輪郭があいまいとなると言われる。

動物は、一つの輪郭、つまりシルエットで物体や生物を認識しているので、
こうなると、シマウマを一つの生物として認識することがむずかしくなるのだ。

ただ、個人的な感想を書かせてもらえば、
子供のころに、動物園で見たシマウマの輪郭が、どうしても「あいまいに見える」
ということがなかったので、多分(?)シマウマがトラウマになって、
分断色に関しては、本当なのだろうか? と思っていたのである。

 

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