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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

絶妙の配色? ホンドテン

山道を車で走っていると、突然道路を横切る動物たちに出会う。
ウサギやイタチが多いが、たまにテンやリスも見かける。

あまりに突然で、逃げ足が速いので、基本的にカメラで取ることは不可能である。


それでも、このような全速力で走り去る動物たちにとって、
おそらく車のスピードは、想定外なのだろう。

逃げ遅れた動物が、車にぶつかっているのを時々見かける。
特に、夜はライトに目が眩むのか、道路上で立ち止まって、
車と衝突してしまうことも多いようだ。

おそらく、飼い猫もそうなのだろう。


しかし、カメラ片手に林道を歩いている場合は、条件がちょっと違う。

カメラのスイッチはONになっているので、すぐにシャッターを切ることができる。
だから、道路上の動物たちを、余裕で撮ることができる。


 

例によって、前置きが長くなってしまったが、
まるで動物園から逃げ出してきたような綺麗なテンの写真を、
白岩森林公園の林道で撮ることができた。

ちょっと感動的な出会いであった。

 

ホンドテン( イタチ科)

2012年8月8日 白岩森林公園・青森

悠然と、10数メートル先を歩いている。

テンの体の毛の色は、季節によって変わるようだ。

このように、夏は綺麗な赤褐色で、足の後ろ側は黒色である。
何故か、尻尾の付け根は黒く、先端は真っ白である。

 

 

ホンドテン( イタチ科)

2012年8月8日 白岩森林公園・青森

私に気づいたのか、振り返った。

心配そうに、こちらを見ている。

顔の一部が黒く、何故か目と目の間が白いのだ。

 

 

ホンドテン( イタチ科)

2012年8月8日 白岩森林公園・青森

もう少し近づいてみると、ちょっと焦って逃げ出しそうになった。

後ろ足の先端部分は、本当に真っ黒である。

 

 

ホンドテン( イタチ科)

2012年8月8日 白岩森林公園・青森

でも、予想外に、すっ飛んで逃げるような感じではない。

この写真のアングルでは、メスのライオンの雰囲気があるし、
目の周りが黒いのは、パンダを思わせる??

前足の前(表?)側は黒くならないので、
このように正面から見ると、まあ普通(?)の動物であるが・・・

 

 


ホンドテン( イタチ科)

2012年8月8日 白岩森林公園・青森

改めてこの写真を見ると、ちょっとだけ不思議である。
どうしてこんな配色になったのだろうか?

もし仮に、昆虫がこの体色をしていたら、
警戒色か保護色なのかは、意見が分かれるところだろう。




テンは、集団で生活することはないようで、
基本的に小昆虫や両生類などを食べる肉食であるが、
果実も食べる雑食である。

以前紹介したキンキラキンの糞の製造者である可能性が高い。
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20101130/1/


とにもかくにも、こんな綺麗な野生の哺乳類が、
人里にもまだいるのだ!!


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鳥のフン擬態【3】 トリノフンダマシ

それにしても、適切すぎる見事な名前を付けたものである。

・・・トリノフンダマシ・・・


ずっと昔から、一度は会ってみたい虫であった。
昔バイト先で、先輩と一緒に来たクモが好きだという美少女(?)が、
「こんな変なクモがいるよ!?」と、教えてくれた。
それ以来、実物を一度は見たい(偶然見つけたい!!)と思っていた・・・

そして、そのときは、突然やってきたのだ。

 

トリノフンダマシ(コガネグモ科)

2012年8月6日 金山町・秋田

例によって、葉っぱの上の鳥のフンが目に入った。

最初は、さりげなく通り過ぎてしまった。


道路わきのクズが茂っている場所、
その中央部に写っているのが、トリノフンダマシである。

遠目に見ると、こんな感じで、まさに「鳥のフン」なのだ。

 

 

トリノフンダマシ(コガネグモ科)

2012年8月6日 金山町・秋田

思いきり近づいてみると、上の方に黄色く見えるのが、
見事に折りたたまれた脚である。

灰色の微妙な模様の腹部とのバランスは、明らかに、
鳥のフンを意識(?)しているのだろう。

一番目立つ場所で、必死に演技している!!!

 

 


トリノフンダマシ(コガネグモ科)

2012年8月6日 金山町・秋田

このように、鳥の糞に似せた外見を持つ虫たちは、
ネット上では、隠蔽型擬態として扱われることが多い。

ただ、擬態者が捕食者である場合には、どうしても、
獲物を待ち受ける攻撃擬態とされてしまう傾向があるようだ。

つまり、鳥のフンに集まる虫たちが、間違えてあつまってくるので、
いとも簡単に自分の餌にすることができると考えられるからだ。

しかし、詳細は省くが、そうではないという証拠も多いようだ。

 

 

トリノフンダマシ(コガネグモ科)

012年8月6日 金山町・秋田

やはり、鳥のフン擬態も、葉っぱの上で、これだけ目立つのであれば、
枯れ葉擬態と同じように、標識的擬態の範疇に入れるべきだろう。
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120729/1/

ただ、いずれの場合も、一般的なベイツ型擬態とは異なり、
捕食者は、モデルに対して一度も嫌な経験をすることなく、
最初から(本能的に)、これらを餌でないものとして無視するのだ。

 

 

トリノフンダマシ(コガネグモ科)

2012年8月6日 金山町・秋田

これらの2種類の標識的擬態【Mimicry】について、
しつこいようだが、もう一度まとめてみよう。


通常のベイツ型擬態: 

①捕食者が過去に嫌な経験をした生き物(モデル種)を覚えていて、
次回からその種ばかりでなく、それに擬態する種も避けるようになる。

②ほとんどの場合、モデル種は、良く目立つ色彩をしているので、
捕食者も、学習しやすく、次回からは基本的に攻撃しない。

③捕食者は、少なくとも一回はモデル種を食べようとして、
嫌な経験をしなければ、擬態者を避けることはない。


鳥のフン擬態: (枯れ葉や枯れ枝に擬態する場合も含む)

①捕食者が、本能的に食べものと認識しないものが存在し、
それに擬態することで、捕食者の攻撃を免れることがある。

②ほとんどの場合、モデルとなったものは、良く目立つので、
捕食者も、簡単に見つけることができるが、即座に食べ物でないと判断する。

③捕食者は、ベイツ型擬態のように、一度もモデルを食べることはないので、
おそらく学習によって、擬態者を避けるわけではない。


このような非食物擬態(仮称)は、通常の隠蔽的擬態【Mimesis】とは異なり、
目立たせることによって、捕食者に食べ物でないことを認識させる。

このブログで何度も紹介したハイイロセダカモクメ幼虫に代表されるような、
捕食者に見つからないように、徹底的に隠れる隠蔽的擬態とは、全く違うのだ。
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20111007/1/

彼らは、ヨモギの花穂にいるときだけのパーフェクトな擬態者である。
しかし、それ以外の場所にいる場合には、全く無防備なのだ。
もちろん、ヨモギの花穂以外の場所にいることはないのだろうが・・・


いずれにしても、今回紹介したトリノフンダマシは、脚の折り方も含めて、
ここまでやらなくても良いのでは? と思わせる「やりすぎ擬態」である。

私は、これを「ミラクル擬態」と読んでいるが・・・


また、冒頭に出てきた美少女のイニシャルは、KKだったと思います。


 

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鳥のフン擬態【2】 やっぱり目立つのか?

今回で2回目の「鳥のフン擬態」である。

 

前回は、こちらであるが、
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110624/1/

このときの最後の写真は、虫のように見える「本当の鳥の糞」だったのである。

一年以上も、正体を明かさずに放置していたことになってしまう。


そして、当時の結論は、鳥の糞に擬態するのは、
隠蔽的擬態よりも、標識的擬態の範疇になるということだった。

もちろん、今でもその考えは、基本的には変わってはいないが・・・




まずは、ちょっとかわいい鳥のフン擬態の写真からご覧ください。


オジロアシナガゾウムシ(ゾウムシ科)

2010年9月24日 東海村・茨城

どうも、白と黒のまだら模様があると、
鳥のフンに見えるようである。

これが、緑色の葉っぱの上にあると、
かなり良く目立つ。

 

 

ヒメシロコブゾウムシ(ゾウムシ科)

2011年6月12日 東海村・茨城

良く目立つが、獲物を探している捕食者は、
おそらく見向きもしないのだろう。

葉っぱの上で、簡単に見つけることができるが、
即座に「これはエサでない」と判断するのだろう。

 

 

オカモトエダシャク幼虫(シャクガ科)

2002年4月26日 徳島市・徳島

これは、ちょっと無理があるかもしれないが、
模様に白が混じると、鳥のフンに見える。

ちなみに、鳥のフンが、このように白っぽく見えるのは、
フンと一緒に排泄するオシッコ成分の尿酸を含むからだ。

どうでもいいことではあるが、
鳥はフンとオシッコを、同時に排泄するのだ。

 

 

多分ヤナギカワウンカの仲間

2011年7月1日 だんぶり池・青森

これは、ちょっと微妙だが、鳥のフンに見えないこともない。

というか、最初は、鳥の糞だと思った。

微妙な汚れ具合が、なかなかのものである。

 

 


多分ウスイロカギバ幼虫(カギバガ科)

2010年10月21日 白岩森林公園・青森

白っぽくなくても、鳥のフンに見える虫もいる。

いつも濡れているような、カギバ幼虫もそうだ。

でも、ちょっと・・・・

 

 


多分ミミズクの幼虫

2012年6月13日 梵珠山・青森

この子は、形状がまさに鳥のフンである。

少なくとも、カメラを構えて近づくまでは・・・・

とにかく、じっとしている。

 

 

クロヒラタヨコバイ(ヨコバイ科)

2011年5月31日 だんぶり池・青森

この子も、形状がまさに鳥のフンである。

少なくとも、カメラを構えて近づくまでは・・・・(文章コピーの手抜き)

 

 

多分アシベニカギバ幼虫

2012年5月30日 南会津・福島

この子は、鳥のフンの演技をしているのか?

しかし、鳥のフンの演技とは!!!!

枯れ葉のように見えなくもない。

⇒どっちにしても、捕食者は、即座にエサではないと判断する。

 

 

本物の鳥のフン

2012年7月11日 だんぶり池・青森

そして、今度も、参考のために本物登場・・・・(遠目で!)

 

 

このように、鳥のフン擬態は、かなり良く目立つので、
隠蔽的擬態ではなく、標識的擬態の範疇に入る。

だた、一般的な標識的擬態【Mimicry】とは異なり、
捕食者は、一度も(モデル種で)嫌な経験をすることなく、
本能的に、これらを餌でないとして無視するのだ。

ただ、捕食者が偶然に食べてしまった場合、
つまり「これは食べられるぞ!」と学習したときには、
サーチングイメージができて、近くにいるフン擬態者を、
徹底的に食べまくる可能性もある。

食べられないものに標識的擬態をする危険性がここにある。

まあこれは、通常のベイツ型擬態の場合にも言えることで、
モデル(の不味成分!)を一度も経験していない捕食者が、
最初に食べた目立つ擬態者を、徹底的に食べまくる可能性だってあるはずだ。


この問題に関しては、次回、トリノフンダマシを紹介する予定なので、
そのときに、もう少し考えてみたい。

 

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これは警戒色なの? ハンノケンモン終齢幼虫

いつものように、白岩森林公園の林道を歩いていると、
ちょっとだけ不思議なムシに出会った。

まずは、写真を見てください。

 


ハンノケンモン終齢幼虫(ヤガ科)

2012年8月8日 白岩森林公園・青森

黄色と黒のしま模様のよく目立つ幼虫で、
何故か「?」マークの姿勢で、ほとんど動かない。

 

 

ハンノケンモン終齢幼虫(ヤガ科)

2012年8月8日 白岩森林公園・青森

ネット情報では、この色彩になるのは、終齢幼虫のみである。
それまでの若齢期では、アゲハ類と同じように、
鳥の糞のような形態であるらしい。

しかも、どうも不味成分や武器を持っていないようなのだ。

このような、良く目立つ色彩の幼虫は、毒草を食べていることが多く、
捕食者に対して、自分は不味いぞ!!と警告している。

しかしながら、ハンノケンモンの食草は、ネット情報では、
ブナ科、クルミ科、バラ科など、何でも食べるらしいが、
その中に、いわゆる有毒植物は含まれていないようだ。

 

 

ハンノケンモン終齢幼虫(ヤガ科)

2012年8月8日 白岩森林公園・青森

このような黄色と黒のしま模様は、遠くから普通に見ても、よく目立つ。

しかも、普通のイモムシがあまりやらない恰好をしている。

この「?」マークは、他のネット写真を見ても、
ハンノケンモン君が、普通にさりげなくとるパターンのようである。

 


ハンノケンモン終齢幼虫(ヤガ科)

2012年8月8日 白岩森林公園・青森

さらに特徴的なのが、このように横から見ると分かりやすいが、
オールのような先端が太くなった毛(?)を持っている。

どんな機能があるのか、全く不明だが、
映画に出てくる海賊船のオールのようにも見えてくる。

 


・・・・

・・・・

・・・・

・・・・

 


実は、この色彩パターンは、オニヤンマと全く同じである。

下の写真と見比べると、一目瞭然である。

 

オニヤンマ(オニヤンマ科)

2011年8月5日 白岩森林公園・青森

不味成分を持たない黄色と黒のしま模様のオニヤンマは、
何かに擬態している(ベイツ型擬態)とは考えられない。

以前のこのブログでは、そのような模様を、生物が本能的に嫌うのではないか? 
ということで、紹介した。
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110826/1/

今回見つけたハンノケンモンも、①有毒植物を食べているわけではなく、
②特にベイツ型擬態とは考えられず、③黄色と黒のしま模様なので、
生物がそのような色の組み合わせを、本能的に嫌うという説の好例のような気がした。


本能的に避けるのかどうかは別にして、
このような、黄色と黒のしま模様は、良く目立つという理由で、
人間の世界でも、道路の危険個所や工事現場などで、
特に注意を促す視覚信号として、使用されている。

というか、もしかして、すでに人類は、このような「しま模様」を、
危険なものとして、本能的に避けるようになっている???

 


 

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それは君! 食べすぎだよ!!

クモのような捕食者は、獲物に出会うという千載一遇のチャンスを、
えり好みなどしてる場合ではない。

もちろん好き嫌いなんかあるわけがない。

網を張って獲物を捕えるクモたちは、自分の体長の数倍もある獲物を、
自らの糸で、グルグル巻きにしてからゆっくりと体液を吸うことができる。


しかし、網を張らない徘徊性のクモは、獲物をさがすときに、
そのサイズを、どんな基準で選んでいるのだろうか?

逆に言うと、どの大きさまでが、捕獲可能と判断しているのだろうか?

 

実際に捕食現場を見かけることがしばしばあるが、
獲物のサイズは、自分の体の大きさ程度が限界で、
普通は、それ以下である。


しかし、今回紹介するのは、
「それ、ちょっと大きすぎるんじゃないの?」
というような獲物を捕えた「至福の瞬間のクモ君たち」である。

 

 

カニグモの一種がハバチの仲間を捕獲

2012年6月28日 燕岳山麓・長野

クモが獲物を丸かじりするわけではなく、
体液を吸うだけだとしても、この獲物は大きすぎないか?

クモの体長の2倍はあるぞ!!

 

 


ワカバグモがガガンボを捕獲

2011年6月2日 だんぶり池・青森

このように、ワカバグモがガガンボのお尻の先を捕まえている光景を、
だんぶり池で、何度も見たことがある。 

そっと背後から接近して、捕獲するのだろうか?
 

これも、大きい!!


 


ワカバグモがトゲカメムシを捕獲

2010年9月4日 だんぶり池・青森

良く見ると、このカメムシはクモに捕獲されている。
最初は分からなかったのだが・・・・・

以前紹介したように、カメムシの持つ強烈な匂いは、
アリ以外の捕食者に対しては、防御効果はほとんどない。
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20101107/1/

だから、このように簡単に捕獲されてしまう。
この写真は、少なくともクモに対しては、
「匂いの防御効果はない」という証拠でもあるのだ。

 

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そして、極めつけの大きさの獲物は、下の写真である。

今までの写真は、単なる「前置き」でしかないくらい・・・


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(長い!!!)


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ハシリグモの一種がセミを捕獲

2012年8月2日 芝谷地湿原・秋田

これはどう見ても、サイズが違いすぎるだろう!!!!!

どうやったら、こんな獲物を捕まえられるのだろうか?

さらに、このクモ君にとっては、セミを捕獲するのは、
ラッキーだったのだろうか?

 

 

ハシリグモの一種がセミを捕獲

2012年8月2日 芝谷地湿原・秋田

しかし、「いらぬ心配」は、無用である。

クモの仲間は、消化液を獲物の体内に注入して、
いわゆるエキスだけを飲み込むので、サイズ的には全く問題ない。

しかもご存じのように、セミの体の中は、ほとんど空洞であり、
我々が食べるスカスカの「カッパエビセン」のようなものである。

 

なるほど、ちょっとだけ納得・・・

 

 

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