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さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。 従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。
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一部の人たちに、予想外に好評だった、
以下の「真冬に虫を探す疑似体験」シリーズ。
【保護色の虫たちを探す疑似体験】
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20160115/1/
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20160118/1/
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20160121/1/
調子に乗って、別の疑似体験を考えました・・・??
すぐに思いついたのは、枯れ葉に擬態する虫たちです・・・!!
⇒ただ、今回は虫を見つけ出すのではなく、
葉っぱの上にある枯れ葉が、
本物なのか、擬態している蛾なのかを、
瞬時に見分ける疑似体験です。
後述のように、彼らは、本物の枯れ葉の中に、
ひっそりと隠れているのではなく、
よく目立つ緑の葉っぱの上に、堂々と静止しています。
獲物を探す捕食者になった気分で、
以下の写真をご覧になってください。
当然ですが、この疑似体験は、
前回の保護色の虫を探す場合と違って、
じっくり見るのではなく、一瞬の判断です。
それでは・・・・
どうですか?
見た瞬間に、分かりましたか?
今回の枯れ葉擬態の虫は、
全てカギバガ科に属する蛾の成虫で、
種名は、以下の6種です【注】。
左上: ウスイロカギバ 芝谷地湿原・秋田(20120518)
もともと、カギバ類の成虫は、前翅の先端が細くなって、
葉っぱの葉柄のようなイメージがあります。
ただ、昆虫類は左右対称の体型なので、
多少なりとも虫の雰囲気が出てしまいますが、
この写真は交尾中で、その欠点を見事にカバーしています。
⇒このブログでは、交尾擬態と仮に呼んでいますが、
さいきん、検索ワードでも、ヒットするようになりました。
【交尾擬態???】
↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130120/1/
中上: マエキカギバ 芝谷地湿原・秋田(20120607)
灰色系の枯れ葉も、葉っぱの上に落ちています。
ただ、やはり左右対称なので、見破られやすいかも?
【枯れ葉のような蛾【2】 マエキカギバ】
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120712/1/
左中: ウコンカギバ 神流町・群馬(20120626)
おそらく自然落下した黄色から薄茶色の枯れ葉も、
緑色の葉っぱので、良く見かけます。
⇒この子は、いわゆる黄色系の翅に、
茶色の斑点が良く出来ていると思います。
右中: アシベニカギバ 志賀坊森林公園・青森(20140621)
ツートンカラーのイメージですが、静止場所も含めて、
今にも落ちてしまいそうな状態が、かなりそれらしい雰囲気です。
【虫たちの親子-20 アシベニカギバ】
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150308/1/
中下: ギンスジカギバ 蓮華温泉・新潟 (20120627)
この子も、かなりの役者です。
写真では、分かりにくいですが、名前の由来となった、
銀色のスジの模様は、瞬間的には、
枯れ葉に生えたカビのように見えます。
⇒実は、この写真を見た家族(妻と娘)は、
私が「これは蛾だ!」と言っても、
ずっと嘘だと思っていたようです。
右下: ヒメハイイロカギバ 矢立峠・秋田 (20130722)
この子の主張(演技)は、丸くカールした枯れ葉のようです。
まあ、「もう、ちょっと?!」という感じはしますが・・・
⇒真上から見ると、蛾だと分かりますが、
もう少し少し後ろから見ると、
もっと枯れ葉に似ているような気がします。
・・・と言うことは、
残りの「斜め右上がり3枚」の写真は、
本物の枯れ葉ということになります。
こんな感じなので、枯れ葉擬態は、
このブログで何度も取り上げましたが、
なかなか奥が深い、不思議な現象でもあります。
⇒趣味で虫の写真を撮ってる人で、
枯れ葉の写真も、ついでに撮る人は、
多分、あまりいないと思います。
恥を忍んで白状してしまうと、
次回分の枯れ葉の写真も含めて、
そのうちの数枚は、虫だと思って、
思わずシャッターを押してしまったものです。
【注】これは、非常に興味深いことなのですが、
成虫が、枯れ葉に擬態するカギバ類は、
何と幼虫時代は、鳥の糞に擬態しています。
是非、以下のページもご覧ください。
【リアルな糞擬態 ウスイロカギバ幼虫】
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150928/1/
地面に水平に広がっている大きな葉っぱの上には、
枯れ葉や花の残骸などの他に、鳥の糞も落ちています。
だから、鳥の糞に擬態する虫がいても、十分納得できます。
第3回目の虫を探す疑似体験は、
このブログで何回も登場した虫たちです。
前回と同様に、虫の名前は伏せてありますので、
何処にどんな虫がいるのかをお楽しみください。
⇒ハッキリ言って、かなり難しいので、
そんな虫を探す気がない方は、
今回は、さりげなくスルーしてください。
もし写真の中に、虫を発見できれば、
あなたは、重症の虫マニアです。
・・・
⑨ 今はもう秋・・・
2013年10月10日 十和田湖・青森
⑩ 静けさの中の・・・
2011年8月5日 白岩森林公園・青森
⑪ 忍法雲隠れ・・・
2013年9月4日 志賀坊森林公園・青森
⑫ 私を探して・・・
2012年10月10日 白岩森林公園・青森
すぐに、分かりましたか?
・・・・・以下、回答です・・・・
⇒ブログ残り容量の関係で、
見にくいですが、ひとつにまとめました。
⑨ キエグリシャチホコ(シャチホコガ科)
実は、飛行中のツノカメの仲間が目で追いながら、
止まった付近を探していたら、偶然見つけた。
他に何枚か写真を撮って、帰宅後に、
キエグリシャチホコと同定したもので、
予想どおり、年1化で秋の発生のようだ。
⇒これだけ、枯れ葉に似せているので、
ある程度静止場所も意識している?
⑩ ニイニイゼミ(セミ科)
ニイニイゼミの翅の模様が、これほど、
樹皮の模様そっくりだったとは知らなかった。
誰にも見つからない自信があるのか、
または、動いたら見つかると思っているのか、
カメラの前、数10cmの目の高さにいるのだ。
⇒他のセミの仲間では、おそらく、
こんなに近づくことは出来ないだろう。
⑪ エゾシロシタバ(ヤガ科)
この子も、見事なまでに、樹皮の模様そっくりである。
下向きに静止しているのも効果的かも?
樹木の幹は、飛翔する虫たちの静止場所として最適であるが、
我々人間のすぐ眼の前でも、慎重に探せば見つかる。
⇒でも、実際には、かなり多くの虫たちが、
目の前に、樹皮にさりげなく静止しており、
私や捕食者に見つかることがないだけなのだろう。
⑫ ハイイロセダカモクメ幼虫(ヤガ科)
ヨモギの花穂の写真を見て、真っ先に、
この子の姿を思い浮かべた人に対して、
今更、何のコメントも必要ないでしょう。
そうでなかった人は、以下のページに、
クイズ形式で掲載していますので、是非ご覧ください。
ちょっとだけ不思議な昆虫の世界が広がります。
【ハセモを探せ! ハイイロセダカモクメ幼虫】
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20121009/1/
【ハセモを探せ【上級編】 ハイイロセダカモクメ幼虫】
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20121012/1/
写真の中の虫を探す疑似体験。
今回は、体色が茶・褐色系の虫たち・・・
彼らは、葉っぱの上に静止していると、
捕食者に簡単に見つかってしまう。
しかし、正しく背景を選んでいれば、
(緑色の葉っぱの上にいなければ)
おそらく、野鳥類も、もちろん我々も、
なかなか発見することは出来ないだろう。
ただ、個人的な好みの問題になるのだが、
地面や、枯れ葉・枯れ枝にいる虫たちを、
私自身が、注意深く探すことはないので、
今回のような写真は、なかなか撮れない。
⇒自分で撮った写真が少ないことが、
そのような虫たちに出会う機会が少ないと、
勝手に思いこんでいるだけで、
実際には、単に見逃しているだけなのかも・・・
まず、以下の4枚の写真を見ていただき、
どこかに写っている虫たちの姿を見つけてから、
その下の説明文をお読みください。
⇒最初は、虫の名前は伏せてありますので、
何処にどんな虫がいるのかをお楽しみください。
尚、表題の「?」の数は、難易度に比例します。
すぐに、分かりましたか?
・・・・・以下、回答です・・・・
⑤ ナナフシモドキ(ナナフシ科)
中央部分に、予想外(?)に大きく写っている。
この子は、6本の脚が細くて長いのに、
さらに、身体も同じように細くて長いので、
完全に背景の枯れ枝に溶け込んで見えるのだ。
ナナフシの仲間は、身体の姿かたちまで、
枯れ枝に似せているので、隠蔽的擬態の範疇に入る【注】。
⇒写真の個体の選択した背景は、まさに絶妙で、
ここ以外にはないという場所に静止していると思う。
本当に、分かってやってるのだろうか?
実は、ナナフシモドキには緑色の個体もいるが、
バッタ類のように、 体色を変化させることが出来るかどうかは、
多分確認されてはいないはずだ・・・?
枯れ枝に擬態しているはずなのに、
緑色とは、ちょっとだけ不思議であるが、
少なくとも私が見たのは、葉っぱの上である。
⇒やっぱり、背景を選んでいるのか?
以下のページをご覧ください。
【かなり不思議なナナフシモドキ】
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20141228/1/
⑥ ショウリョウバッタ(バッタ科)
写真の左上あたりに、枯れ葉の色の大型のバッタがいる。
これは、私から飛んで逃げたバッタの着陸地点付近を、
必死に探して発見したもので、普通に歩いていたのでは、
絶対に見つからなかったと思う。
⇒飛翔中のバッタが、この着陸地点を、
意識的に(?)選択したのかどうかは不明だが・・・
実は、ちょっとだけ不思議なことに、ショウリョウバッタにも、
ナナフシモドキと同様に、緑色の個体もいる。
バッタの場合は、 沢山の人が、
背景を選択できるかどうかを実験しているが、
結論は出ていないようである。
⇒こんなことを書くと、
誰も実験したくなくなるかもしれないが・・・
例えば、茶色と緑色のバッタが、
それぞれ自分の体色に応じて、
生きている草か、枯れた草を選ぶかを、
実験的に確かめようとする場合、
彼らが、どんな刺激をその根拠にするのかを、
確認することから始めなけれなならない。
つまり、色を見るという視覚刺激以外の条件、
例えば、緑葉の匂い、周辺の温度や湿度、
足ざわり感触、草が立っているか寝ているかなどや、
試験するバッタの空腹度なんかも、
考慮しなければならないのだ。
⑦ シロスジオオエダシャク(シャクガ科)
右上あたりに、小枝を包むように静止している蛾がいる。
この子も、少し動いて静止位置を変えたので、
私にも、居場所が分かったのだが、普通では、
完全にスルーしている被写体だ。
⇒それにしても、絶妙な静止姿勢だと思う?
この写真では分かりにくいが、翅の白く見える部分は、
分断色として機能しているはずだ。
⑧ ヤマトマダラバッタ(バッタ科)
やや左上のあたりに、砂粒に紛れたバッタがいる。
そう言われても、見つからない人もいるかもしれないが・・・
⇒大丈夫です!!!
こんな写真で、見つけられる人は、多分いません。
そして、この子を、歩きながら発見して、
写真を撮れるような人は、普通の人ではありません。
次回は、立ち止まってじっくり見ても、
もしかしたら、探し出せない虫たちです。
【注】保護色の虫たちが、背景選択を間違えた場合には、
虫たち特有の左右対称の輪郭が、くっきりと浮かび上がって、
捕食者に簡単に発見されてしまうだろう。
逆に、隠蔽的擬態の虫たちが、背景選択を間違っても、
ほとんどの捕食者は、チラッと見るだけで、
「これは食べ物ではない」と、無視して通り過ぎるだろう。
このことの詳細は、以下のページをご覧ください。
【隠蔽的擬態の虫は、本当にいるのか???】
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150210/1/
【追記】
前回の写真も含めた①~⑧の中で、
どうしても虫を見つけられなかった方は、
下の拍手マークをクリックしていただき、
コメント欄に、その旨をお書きください。
その欄に、直接返信用のメールアドレスを、
記入していただければ、目印の付いた写真をお送りします。
・・・まだまだ、春は遠い・・・
カメラ片手に、林道をブラブラ歩いていると、
すぐに目につくのが、間違いなく、
空中を飛んでいるチョウやトンボである。
個人的には、その次に見つけやすいのが、
緑の葉っぱの上にいる、緑色以外の虫たちだ。
逆に言うと、葉っぱの上にいる緑色の虫たちは、
ゆっくり探しながら歩かないと、見落としてしまう。
⇒ちょっとだけ自慢になるかもしれないが、
歩きながら、以下の虫たちを見つけられれば、
俗に言う「虫屋」の仲間入りができるかも?
・・・という訳で、
今回から、来たるべき虫の季節(!)に備えて、
色々な虫たちを探す疑似体験シリーズです。
以下の4枚の写真を見ていただき、
写っている虫たちを探し出してください。
⇒今回は、初心者向けなので、
このブログをいつもご覧いただいている方は、
ひと目でお分かりだと思いますが・・・
① アオスジアオリンガ(コブガ科)
2015年6月11日 酸ヶ湯温泉・青森
この子は、ダケカンバにいるカメムシを探していて、
「あれ! 何だ? これは!!」
という感じで、偶然見つけた。
⇒昼間に、葉っぱの上で見かけたのは、
多分この子が最初だったと思う。
緑色の雰囲気が、ダケカンバの葉っぱの色と全く同じで、
しかも、前脚の色合いも、葉脈と良く似ている。
このような写真になれば、直ぐに分かるが、
遠目に見ていると、この程度でも、
なかなか発見するのは難しい。
② アオマツムシ(コオロギ科)
2012年9月24日 東海村・茨城
この子は、至近距離にいたのだが、
今度は、「えっ!! そこにいたの?」
という感じで、一度は見逃してしまった。
色だけでなく、姿かたちも、
ツツジの葉っぱに、そっくりなので、
こんな風に静止していたら、なかなか見つけにい。
⇒この子は、保護色と言うより、
隠蔽的擬態の範疇かもしれない【注】。
③ キリギリスの仲間の幼虫
2011年6月26日 白井亜森林公園・青森
この写真のような状況は、林道などで、
実際に歩きながら虫を探すときに、
良くあるパターンである。
左上の方に、葉っぱが重なって、光がさえぎられ、
色が濃くなっている部分に、さりげなく静止している。
⇒こんな虫たちを、歩きながら、
普通に見つけられるようになると、
虫を探す楽しみが倍増する。
④ ニホントビナナフシ(ナナフシ科)
2010年9月24日 東海村・茨城
すぐに目につく真ん中のナナフシに気をとられると、
その右側にいる同じサイズのもう一匹を見落としてしまう。
瞬間的に、2匹を同時に見つけた方は、
かなりの虫マニアだと思う。
これは、私のお気に入りのツーショット写真だ。
⇒トビナナフシの仲間は、日本に3種いるが、
成虫ならば、それぞれ分かりやすい特徴があり、
写真でも、比較的簡単に識別可能だ。
【ちょっとだけ不思議な虫 トビナナフシ】
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20140316/1/
・・・どうですか?
イメージトレーニング出来ましたか??
次回は、葉っぱ以外の場所にいる虫たちを探してください。
【注】今回の表題は「保護色を見破る・・・」となっているが、
体色だけでなく、姿かたちまで似せた場合には、
隠蔽的擬態の範疇に入る。
しかし、一部の隠蔽的擬態の虫たち、例えば、
ムラサキシャチホコやマエグロツヅリガなどは、
正しく背景を選ばない場合が多く、そこで目立ってしまっても、
捕食者が餌と認識しなければ、攻撃を受けることはなくなる。
(通常、獲物を狙う捕食者は、枯れ葉には興味を示さない!!)
この擬態を、とりあえず「非食物擬態(仮称)」と呼ぶことにした。
⇒是非、以下のページをご覧ください。
これが、ちょっとだけ不思議な昆虫の世界です。
【隠蔽的擬態の虫は、本当にいるのか???】
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150210/1/
スズメバチにベイツ型擬態したスカシバの仲間は、
このブログでは、常連とも言える存在だ。
特にセスジスカシバは、間違いなくミラクル擬態なのだが、
その状況を詳細に確認したとき、驚くべき秘密が隠されていたのだ。
普通に考えれば、遠目の外観が似ているだけで、
捕食者を騙すことが出来るので、ベイツ型擬態は成立するはずだ。
しかし、より詳細に見たセスジスカシバの擬態は、
我々の想像を越えた完成品に近いものだったのだ。
多くのベイツ型擬態の虫たちは、 横から見たときが、
最もモデルのハチに似ていると思う。
⇒このブログの写真でも、
捕食者の目線と同じく(多分?)、
斜め上から見たものが多かった。
・・・前から見ると、どうなんだ??
セスジスカシバ静止中(スカシバガ科)
2013年9月4日 白岩森林公園・青森
上の写真は、正面から見たセスジスカシバの成虫である。
詳細に見ると、触角の基部が実際の頭部であり、
当然、チョウ目特有の小サイズなのだが、
その上にある前胸部分が、スズメバチの顔のように見える。
⇒前翅の付け根部分が黒い球状なので、
その下にある黄色い三角形の部分と同時に見ることになり、
スズメバチの複眼と大あごのように見えるのだ。
・・・実際のハチの頭部と比較してみよう。
キイロスズメバチ静止中(スズメバチ科)
2013年10月31日 浅瀬石ダム・青森
あまり、スズメバチの顔を正面から見ることはないが、
セスジスカシバの胸と、ハチの顔がそっくりである。
⇒もちろん、詳細に細部を比較してしまうと、
違いは明らかにあるのだが、瞬間的に見た雰囲気は、
かなり似ていると言える。
しかし、話は、ここでは終わらない!!!!
飛翔中のセスジスカシバは、さらに秀逸で、
この事実を知ったとき、ちょっとだけ感動した。
セスジスカシバ飛翔中(スカシバガ科)
2013年9月4日 白岩森林公園・青森
飛翔中は、もっともっとハチのように見える。
・・・何故だろうか?
最初の写真で見たように、蛾の頭部は小さいが、
黄色の前脚を、頭部の真下に折りたたむと、
その前脚がスズメバチの大あごのように見えるのだ。
静止時には、スズメバチの顔のように見えた前胸は、
今度は、普通にハチの背中の模様になっている。
触角の基部に見える黒い部分が、
セスジスカシバの実際の頭部である。
・・・飛翔中のハチの頭部と比較してみよう。
キイロスズメバチ飛翔中(スズメバチ科)
2013年9月4日 白岩森林公園・青森
これは、恐怖の一瞬!!
カメラに向かって飛んでくるキイロスズメバチ!!!
ハチの黒く見える複眼と、黄色の大あごの部分を、
セスジスカシバが見事に真似しているのが、お分かりだろう。
と言うことは、セスジスカシバの成虫は、
静止時には前胸部が、
飛翔時には、前脚部分が、
スズメバチの顔のように見えるのだ!!!
最後にもう一度!!!
ハチと蛾 飛翔中
左: キイロスズメバチ(スズメバチ科) だんぶり池・青森(20120608)
右: セスジスカシバ(スカシバガ科) 白岩森林公園・青森(20130904)
この写真だけで、ハチと蛾の識別できますか?
前脚の位置と形状に、ご注目ください。
⇒ちなみに、セスジスカシバが飛翔中にも、
まるでハチが飛び回っているような翅音が聞こえるのだ。
飛翔中の方が、より精密にハチにベイツ型擬態することで、
捕食を免れていると考えると、起立して拍手を送りたくなる。
・・・【蛇 足】・・・
セスジスカシバの幼虫は、長い幼虫期間を、
キイチゴなどの茎の中に潜入して過ごすので、
葉っぱを食べる他のチョウ目の幼虫のように、
野鳥類の餌になってしまう危険性は、ほとんどない。
一方で、セスジスカシバの成虫に出会うのは、
夏の終わり頃の約1ヶ月間に限られる。
個体レベルで考えれば、羽化後の交尾・産卵までの期間は、
長くても、数週間程度だろう。
この短い成虫時代を乗り切る(捕食回避!)ために、
一体何故、上記のようなミラクル擬態が、
出来上がった(進化してきた)のだろうか?
メインの捕食者である野鳥類は、
この時期、基本的に子育てが終わっているはずで、
そんなに淘汰圧が高いとは思えないからだ。
⇒本当に、突然変異と自然淘汰だけで、
ミラクル擬態の進化を説明できるのだろうか?
それとも、何か別の進化要因が存在するのだろうか?
蛇足の蛇足であるが、伝説(?)の「ある話」を思い出した。
⇒茶目っ気のある喜劇俳優チャップリンは、
「チャップリンのそっくさんコンテスト」に正体を隠して出場し、
見事2位になって、人知れず喜んでいたという・・・???