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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

虫たちの親子⑦ ホタルガとホシナカグロモクメシャチホコ

完全変態をする虫たちは、成虫と幼虫で、
全く異なる姿かたちをしている。

極論すれば、それ以外にも、
生息場所、食べ物、移動手段などが違って、
通常の分類方法でからすると、全くの別種である。

だから、野外で、それぞれを見つけたときには、
独自に名前を覚えておかないといけない。

覚えるべき種類が、2倍になるのである。

 

今回は、ちょっとだけ不思議な蛾の2組の親子である。

 

 

まず、ホタルガ幼虫から・・・・・

下の写真、一体、どこが不思議なのか?

(⇒不思議だと思ってるのは、私だけ?)

 

 

ホタルガ幼虫(マダラガガ科)

2012年5月25日 東海村・茨城


幼虫はサカキやヒサカキの葉を食べる害虫とされる。
前回紹介したのフクラスズメ幼虫のように、
よく目立つ黄色と黒の派手な模様である。

不思議なのは、写真のように、静止しているときには、
どっちが頭か尻尾か、ほとんど見分けが付かない姿かたちだ。
動いていれば、小さな黒い頭部が少し伸びるので、
簡単にわかるのだが・・・

これは、イモムシ界では、異例の姿だと思う!!!!

以前紹介したように、頭と尻尾を逆に見せて、
捕食者の攻撃を急所でない部分に向けさせる例は多いが、
前後の見分けがつかないようにするタイプは、比較的珍しい。


虫たちの防御戦略⑫ 目玉模様(小)、自切その他
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130301/1/

 


こんな「ちょっとお茶目な幼虫」の親は、
一体、どんな姿をしてるのだろう。

 

 


ホタルガ成虫(マダラガガ科)

2010年7月11日 筑波山・茨城

例によって、成虫の特徴から付いた和名のホタルガ。

見た感じは、有毒種のホタルに擬態しているようだ。

しかし、本種に限らずマダラガ科の成虫は、
食虫性の鳥獣が敬遠するような体液を持っている。

だから、この場合は、擬態の対象となろ種が、
お互いに良く似ているという、ミュラー型擬態の範疇になるだろう。

 

 


次に、シャチホコガの親子。

 


ホシナカグロモクメシャチホコ幼虫(シャチホコガ科)

2012年8月22日 十石峠・長野

とりあえず、上のホタルガ幼虫とは違った意味で、
どっちが頭だか、ちょっとだけ迷ってしまう。

体の後部を少し持ち上げて、写真のように、
長い触角のように見える突起を広げるので、
まるで、左側が頭のように見えるからだ。

実は、触角のように見える突起は、尾脚が特殊化したもので、
この子は、お尻を持ち上げて、頭のように見せているのだ。

 

 

ホシナカグロモクメシャチホコ幼虫(シャチホコガ科)

2012年8月22日 十石峠・長野

角度を変えた写真で見ると、お尻の偽の触角を閉じて、
本物の頭部を、少し持ち上げている。

たぶん、この子の名前の由来となったシャチホコのポーズだろうか?

 

 

こんな「ちょっとお茶目な幼虫」の親は、
一体、どんな姿をしてるのだろう。

 


ホシナカグロモクメシャチホコ成虫(シャチホコガ科)

2011年8月8日 裏磐梯・福島

白と黒のツートンカラー(?)の良く目立つ美しい蛾だ。
僅かに見えるオレンジ色も、なかなか良い味を出している。

このような色使いは、白樺の幹にも似ている。
もしかしたら、と思って幼虫の写真を見直してみると、
やっぱり、幼虫はシラカバの葉を食べるようだ。

この子が、シラカバの白い幹に止まっているところを想像するだけで、
保護色な効果があると確信してしまう???


 

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虫たちの親子⑤ ベニスズメ

完全変態をする虫たちは、成虫と幼虫で、
全く異なる姿かたちをしている。

極論すれば、それ以外にも、
生息場所、食べ物、移動手段などが違って、
通常の分類方法からすると、全くの別種である。

だから、野外で、それぞれを見つけたときには、
独自に名前を覚えておかないといけない。

覚えるべき種類が、2倍になるのである。

 

 

今回は、ベニスズメ親子である。

 

まず、幼虫から・・・・・

 

ベニスズメ幼虫(スズメガ科)

2010年10月20日 白岩森林公園・青森

この姿だけ見ると、普通のイモムシで、
我々人間は、それほどヘビ似てるとは思わない。

 

 

ベニスズメ幼虫(スズメガ科)

2010年10月20日 白岩森林公園・青森

ただ、頭部を空中において、ゆっくり振ると、
背中の目玉模様と、爬虫類によくある不気味な色が、
十分すぎるほど、ヘビを連想させる。

ただし、このように小型のヘビに似ることが、
生存の上で、どれほどの意味を持っているかは、
詳細な検討が必要であると思うが・・・

 

 

ベニスズメ幼虫(スズメガ科)

2010年10月20日 白岩森林公園・青森

小鳥たちが、自分の卵やヒナがいる巣に向かって、
恐ろしいヘビが近づいてくるのを経験すると、
ちょっと小さいが、蛇のような姿や色を見て、
どんなに恐怖心を掻き立てられるのか、十分想像できる。

 

 


そして、この子の親も、独特の雰囲気をもっている。

虫の名前は、当然成虫(親)の特徴で付けられる。
だから、何故ヘビに似た幼虫が、ベニスズメなのか?
と思う人もいるかもしれない。

⇒ヨモギの花穂そっくりのハイイロセダカモクメ幼虫も、
 その(幼虫の)姿かたちにちなんだ和名は、
 残念ながえら付けられていない

 

実は、この子の親は、蛾の世界でも、
あまり類を見ないピンク色なのだ。

 

 

ベニスズメ成虫(スズメガ科)

2011年7月7日 豊浦森林公園・北海道

グロテスクなヘビそっくりの幼虫が、
成虫になると、こんな綺麗なピンク色の
ジェット機になるとは・・


これが、典型的なショッキングピンク!!!!??






 

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虫たちの親子③ タケカレハ

完全変態をする虫たちは、多くの場合、
成虫と幼虫が、全く異なる姿かたちをしている。

だから、野外で、それぞれを見つけたときには、
別々に名前を覚えておく必要があるのだ。

(⇒覚えるべき種類数が、普通に2倍になっている!?)

そんな親子について、写真が撮れたものを、
順不動で、(不定期に!)紹介していきたい。

 

 


今回は、タケカレハ親子である。

 

まず、幼虫から・・・・・

 

 

タケカレハ幼虫(カレハガ科)

2012年6月13日 ベンセ沼・青森

撮影場所のベンセ湿原は、津軽半島の日本海に面した地点で、
さすが北国、ほぼ海抜0mの湿原(草原?)で、
ニッコウキスゲの大群落が見られるのだ。

霧ヶ峰、志賀高原、菅平、白馬高原、尾瀬ヶ原といった、
懐かしい有名ポイントには、残念ながら遠く及ばないが、
その雰囲気だけは「ややあり」の場所である。

ニッコウキスゲ群落を、心から愛する私が、
弘前に移り住んで、この場所を知ってからは、
年に、数回は訪れるようになった。


そんな、ベンセ湿原の木道に、得体のしれないケムシがいたのだ。

タケカレハの幼虫は、数あるケムシの中で、
多分1・2を争う綺麗な(?)毛虫だと思う。

 

 


タケカレハ幼虫(カレハガ科)

2012年6月13日 ベンセ沼・青森

鮮やかな黄色の体と、背中にオレンジ色の太線がある。
その太線には、黒い2列の点々があり、
そのおかげで、非常によく目立つ。

しかし、タケカレハの幼虫の背中にある短い毛は、毒針毛であり、
おそらく捕食者は、攻撃しないだろう。

ただ、ネット情報では、側面が青緑色で、
背面が黒褐色のタイプもいるようで、
捕食者の学習を混乱させるのかもしれない(注1)

 

 

 

そして、この子の親も、独特の雰囲気をもっている。

 

 

タケカレハ成虫(カレハガ科)

2011年7月19日 登別温泉・北海道

こちらは、茶色い枯葉のような翅の真ん中に、
良く目立つ、白銀の小さな紋が2個ずつある。

このタイプが、普通に見られる色彩のようだ。

 

 


タケカレハ成虫(カレハガ科)

2011年7月8日 登別温泉・北海道

そして、こんな雰囲気の子もいるのだ。

ホテルの街灯の色が影響している子ともあるだろうが、
全身が美しい黄色の毛に覆われて、非常に美しい。

幼虫時代にも、決して負けることのない鮮やかな色だ。

上の写真と同じ蛾とは、思えない程である注2

 

というわけで、今回紹介した蛾の親子は、
何故か色彩に、2タイプあるようなのだ。

 

 

(注1)この幼虫の写真は、まだ撮れていないが、
    ネット上で見る限り、まるで別種のようだ。


(注2)街灯の色がどれほど影響を与えているのか、
    今となっては全くわからないが、少なくとも、
    写真を撮ったときの印象は、黄色が鮮やかだった。

    上記2枚の成虫の写真は、もちろん、
    レタッチはしていない。

 

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