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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

虫たちの親子-27 カシワマイマイ

今回も、ちょっとだけ不思議なケムシ。


野鳥類の餌として、質・量ともに最適な蛾の幼虫は、
様々な手段を用いて、捕食を免れているようだ。

 

例えば・・・

カシワマイマイの幼虫が、捕食者を威嚇するときのポーズが凄い。


過去の記事で紹介しているので、もう一度ご覧ください。
2本の毛束が強調されて、日本昔話に出てきそうな雰囲気がある。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20141214/1/

 

 

カシワマイマイ幼虫(ドクガ科)

2014年7月1日 早来・北海道

少し頭部を持ち上げたこの姿勢でいることが多いのだが、
2本の黒い毛束は、前方に向いて、角(ツノ)のように見える。

この毛束は、カシワマイマイ幼虫に特徴的なものだと思う。


この風貌で、カシワマイマイの幼虫には、毒針毛はなく、
孵化したばかりの一齢幼虫以外は無毒とされている。

 ⇒とは言っても、一部の人には、
  皮膚に炎症を起こすことがあるようで、
  特にアレルギー体質の人は注意が必要だ。


また、軽く調べたネット情報では、
幼虫は、カシワやクヌギ、コナラなどの葉を食べるので、
体液には、不味成分が含まれていないだろう。

 

 

 

 

カシワマイマイ幼虫(ドクガ科)

2014年7月7日 羊蹄山・北海道

この子は、まるで別種のように見えるが、
全体が黒っぽく、前後に長い毛束があるので、
カシワマイマイの幼虫で間違いない。


ネット上の写真をみると、灰色の樹皮にいる幼虫は白っぽく、
茶色の樹皮にいる幼虫は、黒っぽいものが多いようなので、
もしかしたら、彼らは、自分の体色を知って、
背景を選んでいるのかもしれない。


 ⇒ただし、食事中(?)の緑の葉っぱには、
  このように、二つのタイプが見つかる。

 

 

 

こんな幼虫の親は、意外に普通だ!!

 

 

 

カシワマイマイ雌成虫(ドクガ科)

2011年8月8日 裏磐梯・福島

こちらが成虫で、幼虫のようなの迫力はなく、
どこにでもいそうな蛾である。


近似種のマイマイガと同様、雄と雌で色彩に違いがあるが、
残念ながら、変異が大きくて、確定できる写真が少ない。


両種とも、数年に一度大発生するようで、
おそらく、野鳥類の捕食が間に合わないのだろう。

 ⇒このことが、幼虫の防御行動と関係するのかは、
  非常に興味深いところだが・・・


なお、大発生の収束は、ウィルス病によるものとされる。

 

  

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虫たちの親子-24 スジモンヒトリ


親子シリーズ、再開します。


一般的に、ケムシ(毛虫)と呼ばれるのは、
チョウやガの幼虫のうち、身体に長い毛が生えているものを言う。


 ⇒長い毛の生えていない幼虫をイモムシと言うが、
  長い棘(トゲ)を持った、例えばサカハチチョウの幼虫は、
  ケムシともイモムシとも言わない・・・??

 

とりあえず、ケムシの仲間は、毒針毛を持っているので、
毛嫌い(!?)されることが多いが、実際に有毒なのは、
ドクガ科、カレハガ科、ヒトリガ科、イラガ科、
マダラガ科の一部の幼虫に限られるようだ。


だから、触っても大丈夫なケムシも多いのだ。

 


今回のケムシは、どっちだろうか?

 


スジモンヒトリ幼虫(ヒトリガ科)

2011年8月3日 だんぶり池・青森

ちょっと見ると、かなりヤバそうな姿だが、
この子は、イラガやチャドクガのように、
毒針毛を持っていないので、
触っても「痛い!」とか「痒い!」とかはない。

 

ただし、間違っても食べてはいけない!!!!

 

 ⇒そんな人は、滅多にいないが?! 

  

 

 

スジモンヒトリ幼虫(ヒトリガ科)

2011年8月2日 芝谷地湿原・秋田

このように赤みがった毛の色は、
よく目立つので、捕食者に対して、
何らかの防御効果があることが推定される。


もちろん、後で出てくる成虫も、
警戒色っぽい雰囲気を持っている。


だから、体内に、植物起源の不味成分を、
蓄積している可能性があるのだ。

 

 

 


スジモンヒトリ幼虫(ヒトリガ科)

2011年8月2日 芝谷地湿原・秋田

という訳で、早速、スジモンヒトリ幼虫の食草を、
ネットで調べてみると、オオハンゴンソウ、
ムラサキシキブ、クワなどの微妙な植物が出てくる。

実は、キク科、シソ科、クワ科 ニレ科、アブラナ科などの植物は、
全部ではないが、微妙な有毒植物なのである。


だから、そのような植物を食草とする幼虫は、
ちょっとだけ派手な姿かたちであることが多い【注】


カメムシの例でいうと、明らかな警戒色を持つ、
セリ科植物を吸汁するアカスジカメムシや、
アブラナ科植物を吸汁するナガメは、
基本的には野鳥類に捕食されないはずだ。

 

 

 

スジモンヒトリ成虫(ヒトリガ科)

2011年7月16日 遠軽・北海道

ヒトリガ科の蛾は、このように多くの種類で、
腹部が派手な赤色をしていることが知られている。

普段は、前翅の下に隠されているが、
ちょっと触ってやると、翅を開いて、
この写真のように、腹の色を見せる。


ただ、少なくともこの子は、近づいただけでは、
お腹の赤い部分を見せつけることはないようだ。

 

 


【注】有毒成分を体内に持つ虫たちには、
   大きく分けて2種類ある。

   つまり、有名なカバマダラのように、
   捕食者が食った瞬間に吐き出すような、
   強力な毒性を持つ虫たちのグループと、
   例えばモンシロチョウ幼虫のように、
   捕食者が食い終わって、しばらくたってから
   「やっぱりマズイ!、出来れば、
   次からは食べるのは止めよう」
   という弱い毒性を示す虫たちのグループだ。


   これは、別に大した違いでもなさそうだが、
   虫たちの警戒色や標識的擬態の進化を考える上で、
   重要なヒントが隠されているのだ。

   ⇒このことについては、別の機会に取り上げてみたい。

 

   

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虫たちの親子-23 ミヤマカラスアゲハ


私は、何を隠そう、野外で、
ミヤマカラスアゲハ幼虫を見るのは、
今回が、多分最初である。

・・・しかも、3匹ほぼ同時に!!

 

だから、お気に入りの白岩森林公園の林道で、
幼虫を偶然見つけたときは、ちょっとだけ感動した。

 

 


ミヤマカラスアゲハ幼虫(アゲハチョウ科)

2014年6月21日 白岩森林公園・青森

この子が、人生で初対面の子!!


多分3齢幼虫だと思う。

いわゆる鳥の糞型なのだが、色が不気味?

 

 

 


ミヤマカラスアゲハ幼虫(アゲハチョウ科)

2014年6月21日 白岩森林公園・青森

他のアゲハ類の幼虫と似ているのだが、
ミヤマカラスアゲハ幼虫の尾端にある突起は、
顕著に尖っていることで、識別可能とされる。


 ⇒この付近では、ミヤマカラスアガハ成虫を、
  しばしば見かけるので、多分間違いないだろう。

 

 

 


ミヤマカラスアゲハ幼虫(アゲハチョウ科)

2014年6月21日 白岩森林公園・青森

これまで、一度も行ったことはないのだが、
この形状と静止姿勢は、カラオケのマイク???


このように、上半身(?)を持ち上げて静止するのは、
何らかの意味があるのだと思うが・・・


 ⇒いちばん考えやすいのが、威嚇行動だが、
  この色と形状では、全く迫力がない。

 

 

 


そして、美麗種として有名な成虫は?!

 

 

 

ミヤマカラスアゲハ成虫(アゲハチョウ科)

2010年7月23日 だんぶり池・青森

だんぶり池の渓流沿いの林道を、
キラキラと輝きながら飛んでいる姿は、
この世のものとは思えないほど美しい。


これぞ寒冷地の動く宝石かも・・・

 

カラオケと同じく、一度も行ったことがないのだが、
写真や映像で見る南米や東南アジアのチョウよりも、
さりげない金属光沢のミヤマカラスアゲハは、
個人的に、「一番好きなチョウなのかな!」と思う。

 

 

 

   

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虫たちの親子-22 ヒメカメノコテントウ


昆虫の模型(最近はフィギアと言う?)には、
多分「リアル派」「アニメ派」に分けられる。


まあ、私ほどの虫マニアになると、
一目見るだけで、どっちの「派」なのかは、
簡単に識別することが出来るのだが・・・


 ⇒そんなもん、幼稚園児でもできる!!!

 

 

・・・ならば、下の写真!?

 

 


ヒメカメノコテントウ幼虫(テントウムシ科)

2013年7月14日 虹の湖・青森

もう少し大きければ、まるで、
観光地の土産物屋で売ってるような「漫画チックな」幼虫。


形状、色、模様、脚の付き方・・・
どれをとっても、安物の「おもちゃ」だ!

 

 ⇒これで、全国の幼稚園児を敵に回してしまった。

 

 

 


ヒメカメノコテントウ幼虫(テントウムシ科)

2013年7月14日 虹の湖・青森

テントウムシの仲間は、成虫も幼虫も、
アブラムシを常食とする種が多い。


・・・と、さりげなく書いたが、
実は、完全変態の昆虫で、
成虫と幼虫が同じ食べ物であるのは、
結構珍しいことだと思う。


逆に言うと、多くのテントウムシの仲間は、
完全にアブラムシ(の数!)に依存した生活史なのだ。

 

 

 


ヒメカメノコテントウ幼虫(テントウムシ科)

2013年7月14日 虹の湖・青森

毎度毎度、同じような話になってしまうが、
テントウムシの仲間は、体液(黄色の液体)を、
脚の関節部分から分泌する。

この液体には、強い匂いと苦味があり、捕食者が嫌う。


だから、体色の鮮やかさ・奇抜さは、
そんな匂いと不味さを、捕食者に警告しているのだ。

 

 

 

成虫は、普通のテントウムシ・・・

 

 


ヒメカメノコテントウ成虫(テントウムシ科)

2011年7月1日 だんぶり池・青森

ヒメカメノコテントウにも、ナミテントウと同じように、
斑紋の変異(多型)があって、こんな感じで交尾する。

当然、多型とはいえ、みんな警戒色の範疇にはある。


言うまでもないが、テントウムシの味の不味さは、
植物起源の有毒物質ではないはずだ。







 

    

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虫たちの親子-21 キンイロエグリバ


今回も、ちょっとだけ不思議な雰囲気の蛾の幼虫から・・

 

 

キンイロエグリバ幼虫(ヤガ科)

2014年6月5日 白岩森林公園・青森

いつものように、カメラ片手に林道を歩いていると、
舗装道路の上を、真っ黒なシャクトリムシ(?)を見つけた。

この子は、身体が真っ黒なのに、
なぜか頭の部分だけが、鮮やかな黄色なのだ。

しかも、その黄色の部分に、黒い目のような点が見える。


このときは、珍しいシャクガ類の幼虫だと思って、
色々な角度から、写真を撮りまくった。

 

 

 


キンイロエグリバ幼虫(ヤガ科)

2014年6月5日 白岩森林公園・青森

しばらくして、葉っぱの上でも見つけた。

どうも、シャクガの幼虫ではなさそうだ。


という訳で、家に帰ってから、
ヤガ科のキンイロエグリバの幼虫であることが分かった。


 ⇒近縁種のキタエグリバに似るが、ネット情報によると、
  この子は、胴体の白色波線が体節ごとに途切れるようだ。

 

 

 

 

キンイロエグリバ幼虫(ヤガ科)

2014年6月5日 白岩森林公園・青森

同じくネット情報では、幼虫の食草は、
有毒植物のアオツヅラフジやコウモリカズラとされる。

でも、写真の植物は、どちらでもないようだ。


黄色と黒の結構目立つ姿かたちなので、
鳥が食べない可能性があるとは思うのだが・・・

 

 

 

そして、成虫もかなり不思議だ!!!

 

 

 

キンイロエグリバ成虫(ヤガ科)

2013年9月9日 矢立峠・秋田

少し遠いが、実際に見るときは、こんな感じである。

この子も、最初に見つけた時は、
今にも風に吹き飛ばされそうな感じで、
葉っぱに引っかかっているようだった。


この枯れ葉のような成虫は、ミラクル擬態として、
以前このブログでも紹介した。
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20140806/1/


前の記事でも触れたように、枯れ葉に似せた虫たちは、
よく目立つ緑色の葉っぱの上に静止することが多く、
より擬態の効果が高いはずの地表部には静止しない。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150210/1/

 

 

キンイロエグリバの場合は、親子で防御手段が全く異なるが、
これは、別段珍しいことではない。


 ⇒有名な例が、アケビコノハ親子だ。
  ↓   ↓   ↓
  http://kamemusi.no-mania.com/Date/20101224/1/


アケビコノハは、成虫と幼虫がミラクル擬態という、
珍しい例でもあるのだ。

 

 

 

    

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