虫たちの親子-14 ミドリヒョウモン
このシリーズでは、特異な姿かたちの幼虫について、
たまたま、成虫の写真が撮れていたものを、
親子として、両方同時に紹介している。
普通に考えて「こんなにも奇妙な幼虫たちの親(成虫)は、
一体どんな虫なんだろうか?」というのが、その発端である。
今回は、ちょっとだけ不思議なミドリヒョウモンの親子である。
まずは、幼虫から・・・・
というか、この親子は、親の方がずっと有名だ!!
ミドリヒョウモン幼虫(タテハチョウ科)
2011年5月29日 だんぶり池・青森
この子は、今までのシリーズで見てきた蛾の幼虫にも見える。
ただ、蝶の幼虫と知っていても、なかなか手が出せない。
もちろん触っても、刺されることはないのだが・・・
タテハチョウの仲間は、このように、
何故か、奇抜なタイプが多いのだ。
この姿かたちと色彩は、普通に分類すれば、
良く目立つ警戒色・標識的擬態だろう。
ミドリヒョウモン幼虫(タテハチョウ科)
2011年5月29日 だんぶり池・青森
幼虫の食草は、スミレ類のはずだが、
この子は、何故かヨモギの葉っぱの裏側にいた。
なんで、こんなところに!!!
もちろん食痕は、見当たらないので、ヨモギを食べている訳ではない。
ただ、友人の話では、スミレ以外の植物で発見されるのは、
そんなに珍しいことではないらしい。
どうも、食事中以外は、スミレの葉っぱから移動して、
一休み(?)しているようなのだ。
この行動については、全く意味のないことではなさそうであり、
それが捕食者との関係であれば、面白いのだが・・・
そして、この子たちの親は、北国や山間部では、
最も良く見かけるヒョウモンチョウだ。
ミドリヒョウモン成虫(タテハチョウ科)
2010年8月27日 だんぶり池・青森
雑木林の周辺の明るい場所や、林道を活発に飛び回り、
いろいろな花で吸蜜しているのを見かける。
だんぶり池では、この時期、
おそらく9割がミドリヒョウモンだろう。
ミドリヒョウモン成虫(タテハチョウ科)
2010年8月27日 だんぶり池・青森
成虫は、年1化であるが、6月から10月まで、
かなり長い成虫期間がある。
ただ、夏の暑い時期は休眠するようで、
だんぶり池でも、良く見られるのは、初夏と秋だけである。
さらに、不思議なことに、秋になって交尾した雌は、
食草のスミレ類に、直接産卵することはない。
まぁ、もし真面目な(?)親がスミレの葉に産卵したとしても、
冬になると枯れてしまうので、全く意味がないのだが・・・
秋に孵化した幼虫も、スミレの葉を摂食することはなく、
そのまま越冬してしまうようだ。
そして、翌春、真っ先に出てくるスミレの葉っぱを食べるのだろう。
色々な場面で、ちょっとだけ不思議なことがある、
そんなミドリヒョウモンの親子でした。